太宰治のレビュー一覧

  • 人間失格

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    世間からの評判で一度は読んでみなくては。と耳にする度思っていた作品だった。
    初めは自分に似ているなと思った。道化を演じ、女に縋り、一時の安心を求めているところが本当にそっくりだと思った。私は自分のそれを言語化することなどできず、ただ一心に女を求めて生きていたので関心するばかりであった。
    しかし、読み進めているうちに私と太宰はまったくの別物だと気づいた。
    私は愛情を受けることを怖がってもなかったし、むしろ1人の人から深い愛を受ければ受けるほど、安心しきってそこに沈んでいた。
    読み終わって私は自分の浅薄さを恥じた。

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    2026年07月20日
  • 人間失格

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    ネタバレ

    「人間失格」を読んで、人は周りに合わせようとしすぎると、本当の自分を見失ってしまうことがあるのだと感じた。葉蔵は「道化」を演じ続けた結果、誰にも本音を打ち明けられず苦しんでいた。その姿は極端ではあるが、誰でも少しは周囲に合わせて無理をしてしまうことがあるため、共感できる部分もあった。人とのつながりや、自分らしく生きることの大切さを改めて考えさせられる作品だった。

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    2026年07月19日
  • ヴィヨンの妻

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    再読。『家庭の幸福』が、いちばん抉られた。「家庭の幸福のため」に行う、自分では善いこと、と思って行うそのことが、誰かを傷つけ、苦悶させることがあるという真実。「家族の幸せ」と思い続けて生きていれば、罪悪感を持たずに生きていける。その傲慢さ、自分勝手さ。
    『曰く、家庭の幸福は諸悪の本(もと)』。すごいなぁ。こんなふうに鋭い感性を持って生きていたら、さぞつらかったに違いない。
    一般的な幸せの内にある、残酷な真実を抉り出された気分。
    すごいなぁ、この人。本当に。

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    2026年07月17日
  • 走れメロス 富嶽百景

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    『走れメロス』は国語で学習して以来。
    それ以外は、初めて読むものばかりでした。

    全体的に楽しい雰囲気のお話が集められていました。

    『富嶽百景』と『畜犬談』がお気に入りです。
    『富嶽百景』は、茶屋の方々との交流が心に残りました。特に娘さんの純粋な声援をありがたいことだと素直に受け止めた場面が好きです。

    『畜犬談』は、すんごいツンデレでした!
    愛犬家の方にとっては、眉をひそめたくなる描写もあるかもしれません。

    でも私は、主人公はなんだかんだ罵詈雑言を並べながらも早い段階からポチに愛情を持っていたと思います。

    何度も読み返したいです。

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    2026年07月15日
  • もの思う葦(新潮文庫)

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    太宰好きなら絶対読んだ方がいい一冊だった!
    井伏鱒二について書く時イキイキしてるのが文から現れてきて面白かった!如是我聞も良き

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    2026年07月12日
  • 斜陽

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    怖いけど美しい。

    物語としては大きな展開はない。

    家族が没落して家庭が崩壊していく様を描いているだけといえばそれだけ。

    でも怖いくらい鋭い言葉で胸の内を抉ってくる感じ。

    > 人間は恋と革命のために生まれて来たのだ。(p116)
    >

    > 戦闘、開始。(p130)
    >

    パンチの強いキラーワードが多くて、天才を感じる一方で、私が好きなのはこの一文。

    > けれども、私は生きて行かなければならないのだ。子供かも知れないけれども、しかし、甘えてばかりもおられなくなった。私はこれから世間と争って行かなければならないのだ。(p126)
    >

    誰でも子どもの頃はあるし、歳を重ねれば嫌でも大人になっていく。

    環境に関わらず、それは誰にでも起こる。

    「いつから大人になったのか」と聞かれれば、いったいいつからか分からないくらい、緩やかに時間が流れてきたのに、いつのまにか世間の中で戦わないといけなくなる。

    いったいどうすれば、そんな栄枯盛衰を太陽の沈む様に重ねて『斜陽』なんて題名を思いつくんだろう。

    太宰治はダメ男を描くのが上手すぎる。

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    2026年07月09日
  • 富嶽百景・女生徒 他六篇

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    高校時代読み漁った新潮文庫には、確か収録されていなかった、「畜犬談」を読みたくて購入しました。
    太宰治の文章は、かわいくて、とくに「へんに」という言葉の使い方が本当に大好き。

    大人になってから読む富嶽百景が特に良かった。次は津軽を再読したい!!

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    2026年07月06日
  • グッド・バイ(新潮文庫)

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    すごく気に入りました!その中でも太平洋戦争が起き、疎開する太宰一家の話がまとめてある「薄明」が好きでした。
    やはり戦争は苦々しいですが、だからといって目を逸らしていい様な薄っぺらい出来事ではありません。私たちが今住む日本を守るべく沢山の尊い命が散った戦争を、文章に表し継承してくださった太宰さんには感謝しかありません。(熱が入って思想が強くなってしまいました、、、すいません)グッド・バイという小説は、おばあちゃん家の畳のような小説ですね。これからも愛読していきたい。

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    2026年07月05日
  • 斜陽

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    個人的にすごく良かったです。太宰治さんが著した小説の中では比較的明るい方だと聞いて初挑戦した小説だったので若干思い出補正もかかってますがご了承ください。ネタバレは省きますが、どろりとした恋模様を繊細な文で見事に表現していて、太宰さん特有の世界観に惹き込まれます。ただ最終章あたりで登場人物が自 殺したり、不倫したりなどのまぁなかなかに非道徳的なシーンが多々あるのでそういうのが苦手な人にはオススメ致しません。
    凄く良い作品でしたので、ご興味あればご一読ください。

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    2026年07月05日
  • お伽草紙(新潮文庫)

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    お伽草紙冒頭の、空襲警報が鳴って防空壕に逃げ込んだ太宰一家で、太宰治が子供たちに読み聞かせをする。という所からずっと好き♥️
    昔話に太宰特有のユーモアまぜて話の印象が変わるのもおもしろい

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    2026年06月30日
  • 斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇

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    かつて若かりし頃、太宰治を読んだ私は、太宰治が嫌いであった。文学に限らず芸術は私にとってすべからく希望であるべきだったからだ。
    時は流れ四半世紀。大人になり夫となり、父にもなった私はほんの少しだけ太宰治を受け入れる心持ちになった。
    読み出してみればなんと文章の上手い事か。ものの数ページでまんまと引き摺り込まれた。
    彼の人生に共感はしないが、わからぬでもない、と言いたい。

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    2026年06月28日
  • 斜陽

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    文豪の読みにくい文章も、女性の告白帯だと何故か読みやすい。全ての登場人物の心情に絶妙に共感出来ない感じが面白かった。世界史で習った色んな哲学者や小説家の名前が出てきて、それらの本も読んでみたくなった。昭和20年代の日本に着いてもっと知りたい。正直、なにか大層な事を得られたかと言われるとまるでないけど良い読書体験だった。

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    2026年06月28日
  • 斜陽

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    貴族が没落していく様を描いた作品。私はこの作品を(いけないことだが)ザマアミロ七光がと思いながら読んだ。好きな作品ではある。しくじった。惚れちゃった。

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    2026年06月24日
  • お伽草紙(新潮文庫)

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    解説にあるとおり、誰でも知っている昔噺を題材とし、軽妙でありながら人生の深みを鋭く突く作品集。
    個人的には「浦島さん」に出てくる亀の毒舌が好きだなぁ。

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    2026年06月24日
  • パンドラの匣

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    文庫版解説によると、本作は位置付け的には太宰治の中期的作品となるらしく、表題作と「正義と微笑」は、ともに30代で中年を迎えた太宰治の年下の友人の日記やそれに類する文章にインスパイアされて書かれた姉妹的作品であり、そして「青春文学」に分類される作品なのだという。

    中年を迎えた太宰治が、自らのこれまでの人生を織り込みながら、あくまでも10代後半、二十歳の書き手の視点で綴られた文章は、『晩年』や『人間失格』のような初期および後期の作品とは異なる「明るさ」な「軽さ」がある。他者の日記などを換骨奪胎しているが故に自己言及の度合いは希薄で、破滅的な太宰とは異なる顔を見せている。これらが戦時中、そして戦後間も無く書かれたことを関係しあって、私にはより生きることへの肯定的なニュアンスを随所に感じさせられて、とても響くものがあった。

    なぜ生きるのか、は問題ではない。どう生きるのか、がここで大切にされているように思われる。軍事主義への反省、あるいは批判的な見方を書き手の一人称的語りに託すことで、「新しい人」としての希望的な生への指向性が描き出されているように思う。それが「青春文学」という野暮ったいレッテルを引き剥がすには十分な言葉、そして思想によって展開される。太宰治本人としては、中年の生の実感を落とし込むには難しいところもあったそうだが、少年から青年へ移行する未来への意気込みあふれる若者の視点とのバランスによって、両作は文学作品としては非常に稀有な地点に至らしめているところがあるように感じられた。

    時代やその担い手となる若者たちのリアリズムとしての「青春性」を担保ながら、太宰治自身が抱え、『人間失格』に至る実存の危機と響きあうように両作は私に迫ってきた。このような作品を残しておいて、なぜ太宰治は破滅に向かわざるを得なかったのか、どうしても考えさせられてしまう。もっといけたのではないか、戦後の新しい思想とポエジーをものにすることは作者にとってあと一歩のところまで来ていたのではないか。そんなことを勝手に思わせられるほど、進歩的で素晴らしい作品だと思う。

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    2026年06月22日
  • 人間失格

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    ネタバレ


    ・世間、って世の中ではなくて個人

    ・同じ穴の狢だと思ってた堀木が自分とは違い何一つ失っていないと知った時、自分のことを見下していたことに気づいた時

    ・何があっても自分を信頼してくれていたヨシ子が、その純粋な心ゆえに人に騙されてしまうこと、それによって2人の関係性も破綻してしまうこと

    ・あとがきのマダムのことば「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」
    そんな人がかかえる内側の苦悩

    高校生の時に読んでなにもわからなかったけど、今読み返して良かった

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    2026年06月21日
  • 人間失格

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    ネタバレ

    太宰の自伝的小説。葉蔵の偏屈で冷め切っており、妙に謙って且つプライドの高さが感じられる作品。
    (自分に重なる部分が多々あり苦しくなりました。
    道化を演じていたり、論争ができなかったり、友人を馬鹿にしていたり)
    子供の時から何にも興味がなく、食にも金にも。只、普通を演じる為、選んだ道が道化だった。
    それは家族の前でもであった。
    唯一、中学時代の冴えない竹一という親友には、全てを曝け出せ、
    女にもてる いい画家になる が彼が私に対する予言でした。(後に前者は当たりますが、後者は微妙な漫画家止まりでした)
    鎌倉の高校を行ったりサボったりしている間に堀木雅雄と出会います。内心見下した形でつるんでいましたが、他に仲間もいない為、仕方ありません。
    葉蔵は、夜の街を遊んでいると自然と、淫売婦の忌まわしい雰囲気を手に入れるのでした。
    そこでツネ子という淫売婦と一夜限りの関係を持つのですが、
    堀木を連れて飲みに行った際、席の並び的にツネ子と堀木がキスをするかと思いきや、堀木がやめた!流石にこんな貧乏臭い女とはできん!と ツネ子に言い切るのでした。
    ツネ子を不憫に思うのと同時に、貧乏者同士の共和といいますか、初めて恋に落ちる感じがしたのです。
    散々飲んだ翌日、2人は入水自殺をするのでした。
    ツネ子は死に、葉蔵だけ生き残り、自殺幇助になりそうな所、病弱そうな見た目により、起訴猶予となりました。
    そこで、父は怒りの為、父の使いのヒラメ(平目にいている)の自宅の2階に住む事となった。しかし家を出る事も許されなく、何もなす事がない葉蔵の扱いも悪くなり、ある時聞かれます。
    将来どうするんです?
    葉蔵は 画家になる と伝えるがヒラメはええええ
    とこちらも恥ずかしくなるような反応を見せた為、
    葉蔵はヒラメ家を飛び出す事となりました。
    向かう所は見下している堀木の家しかないという惨めと思いながらも、堀木家へ向かいます。
    堀木は在宅しており、お汁粉を頂いた後、女性記者のシズ子が電報を届けにきます。
    ヒラメからでした。すぐに戻るようにと。
    シズ子が送っていきましょうか と声をかけてくれました。
    シズ子は5年前に夫を亡くしており、シゲ子という娘と2人暮らしをしていて、娘の相手がてら、
    シズ子の家に転がり込む形となります。
    しかし、暫くして、結局は自堕落な自分がいるとこの家族がダメになると思い、また家出をします。
    バァの2階で相変わらずの自堕落の生活をしている中、向かいのたばこ屋の娘、ヨシちゃんと酒を辞めるという条件で結婚します。(初日から破ってはいるが、ヨシちゃんがそれを認めません)
    新婚生活の中、堀木とまた飲み歩くようになります。
    葉蔵の家で飲み直している所、堀木は冗談半分で
    お前は羞恥心を捨てている
    お前は、どうにもならない
    散々心の中で馬鹿にしていたはずの人間に見下されていたことに唖然とします
    そして家内のヨシ子が、よくうちを訪ねる商人と
    関係をもっていました。
    葉蔵がかねて憧れる無垢の信頼心に漬け込んだ、行為であり、またヨシ子の無垢の信頼心を奪う行為でした。堀木が大きな咳をするのが精一杯で、葉蔵はすぐ様、屋上へ逃げるのでした。
    それ以来、ヨシ子はおろおろするようになりました。
    葉蔵も心労が溜まり、更に酒が増え、歯も体もボロボロです。
    ある晩、砂糖水を飲もうとした時、ジオールという睡眠薬一箱をみつけます。
    葉蔵は致死量の、一箱全てを飲み寝ます。二度目の自殺未遂です。
    三日間起きず、起きたら、堀木とヒラメがおり、女のいない所にいきたい と告げました。
    また飲み歩いているところ、吐血しました。
    薬を求めて、薬局の老婆に酒はやめた方がいいとの助言から、酒よりはマシと渡された
    モルヒネを打つようになり、あっという間に薬物中毒になってしまいました。
    ヒラメ達に、脳病院に収監され、さらに廃人。人間失格となってしまいました。この時、27歳。めっきり白髪が増え40歳以上に見られます。


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    2026年06月21日
  • 人間失格

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    自己批判を繰り返す男が、心中や自殺を図る話

    葉蔵は執拗に自身を責め続け自殺する。自責が見事で呆気に取られるほどだ。だが死ねず答えは出ない。で、あなたはどうなの?と毎度問うてくる。やはり答えは出ず仕方なく私は1日生きる。死の底から生を投げつけてくる本

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    2026年06月20日
  • 斜陽

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    太宰治が『斜陽』で言いたかったことを一つに絞るなら、「滅びゆく古い倫理の中で、それでも生きるためには、汚れてでも新しい生命を抱えるしかない」ということかもしれない。

    母は最後の貴族として品位があり、優雅で滅びにふさわしい美しさを持っている。けれどその美しさは未来を作らなかった。直治もまた古い階級の終末を背負いながら堕落し、薬物に逃げ、革命や思想を語りながらも結局は生の側へ踏みとどまれない。かず子だけが違った。かず子は上原に恋し、既婚者である彼の子を望み、望み通り妊娠する。
    しかし、かず子の妊娠は明るい希望としてだけ描かれているのではなく、貴族階級の没落、母の死、弟の自死、上原という男の堕落、既存の結婚倫理の破壊、すべてを通過した後に残る、かなり乱暴で、倫理的に危うく、しかしそれでも生きる側に属するものとして置かれている。

    つまり太宰が『斜陽』で描いたのは、「滅び」と「救済」ではなく、「滅びきった後に救済とは別の形で生命が残ること」。救済ではない。幸福でもない。倫理的な勝利でもない。それでも、生きる側へ引き戻すものがある。かず子にとってそれが子供だった。

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    2026年06月18日
  • 人間失格

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    おどおどしている人を見ると、なぜだろうこれが無性の愛と言うのだろうか、生まれた時からあなたを知っているようなそんな気持ちになる。
    こんな感じの文にとても共感できました。
    私はコミュニティに馴染めてない人や空回りしている人を見るとなんだか愛らしいような、何かしてあげたい気持ちになります。こう言うと上から目線で傲慢に写ってしまうからうまく伝えれないと閉じ込めてた気持ちだったのですが、太宰治が無償の愛と表現していてこれだ!と嬉しくなりました。

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    2026年06月17日