太宰治のレビュー一覧
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人と関わることへの恐怖や自己否定の感情が、痛いほど率直に描かれていると感じた。
主人公は常に他人の顔色をうかがい、道化を演じることで社会に適応しようとするが、その姿は次第に自分自身を追い詰めていく。
有名なフレーズ、「恥の多い生涯」という言葉に象徴されるように、主人公が自分を許せず、社会からも切り離されていく過程は、弱さや醜さを隠さずにさらけ出す語り口でやや不快ですらあるが、その正直さゆえに強い説得力を持っており、それに惹かれ読み込んでしまう。
暗く救いのない物語でありながら、人が人として生きることの難しさを突きつける作品である。
読む側の心の状態によって、共感にも拒否にも変わる点が、何度 -
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、ねこ助さんの「ビルディング 乙女の本棚作品集」です。収録されてるのは、新見南吉『赤とんぼ』、中島敦『山月記』、太宰治『魚服記』、堀辰雄『鼠』、夢野久作『ルルとミミ』のイラストの中から、ねこ助さん自身が選んだ作品です。このほかに描き下ろしとして、夢野久作『ビルディング』が新たに収録されています。
これまでの「乙女の本棚作品集」(しきみさん、ホノジロトヲジさん)と同様、『ビルディング』以外の作品については本編を読むことはできません。イラストを眺めながら、あぁ…そうそう、こんなストーリーだったなぁ…と、思い出す感じですので、本編を読まれてからこの作品週を手にしたほうがよ -
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ネタバレ太宰治の第一創作集。
太宰治をして「私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた」と言わしめる一冊で、初期の作品が並び、その後の太宰治の色々な作品の種になるような短編が15入っている。
この『晩年』は太宰治が27歳のときに刊行され、それぞれの短編が書かれたのは太宰治が22〜23歳頃。
そんな若者が書いたとは思えないような、人生や人間の生々しい部分がえげつなく書かれている。
でも、どこかちょっと爽やかさもある。
短編の多くは、創作の苦しみ、世間の冷たさ、無常感のようなものが描かれている。
太宰治がそれまでの人生の中で感じていたことだろう。
この本の中に「私は散りかけている花弁であった。す -
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ふたつともだいすき。女生徒も斜陽も正義と微笑も、表題のパンドラの匣も、太宰治は人の日記を作品にするのがうますぎる。
正義と微笑のR大の同級生への描写、中学の先生についての考え、本当に好き。これをいいな、かっこいいーと思って影響受けちゃって学校で大浮きした。この状況も作品中の孤立派という言葉で正当化できちゃうんだから、なんという学生狂わせ!!「なんじら断食するとき、偽善者のごとく悲しい面容をすな。」これを大切に、大切に、生きていきたいと思う。何事も知識をひけらかさず、淡々と努力できる人になりたい。これも良くないか、まあ現実で会う誰もこのページ見てないし。でもこれを心に決めて生活すると本当に苦しい -
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表紙や作者の紹介ページで使われるイラストがとても美しい。適度に服装、髪型は本人の雰囲気を残しつつ、完璧に美化されていてイラストレーターの腕の良さにたまげる。
文豪たちの最後の作品を集めた本で、まとめて読むとその文豪らしさがよく感じられて良い。
芥川の「歯車」 私も偏頭痛持ちだからこの現象(閃輝暗点)よくわかる!と共感するとともに、精神病になりやすい家系の人なんじゃないかと邪推してしまった。
太宰の「グッド・バイ」 女性関係の華やかな作者の理想の別れ方を描こうとして、結末までいかなかったのは収集つかなかったのかな、と思った。
梶井「のんきな患者」 若い頃から結核を患ってたから、今回の主人公 -
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「太宰治の作品を初めて読んだのは、多分、現代文でやった『羅生門』だと思う。
ロングスリーパーな私にとっては、ほとんど子守唄のような時間だったけれど、なんとなく、太宰治特有の人間のドロドロした部分を描いていたような気がする。
そう思っていたからなのか、今回の作品を太宰治らしくないかも?と思った。
でも、女生徒が毎日、何を思い何を見て何を感じ、悩み傷つき、悶々とひとりで考えているのか。そしてその一連の思考が、私も同じように感じていたことがあったことに懐かしく感じた。
10代だからといって、侮るなかれ。
彼女たち、現代ならば彼らたちは、我々大人より遥かに重く、解決しがたい悩みや葛藤を抱えている。 -
Posted by ブクログ
2025/11/04
p.23
この雑誌にも、「若い女の欠点」という見出しで、いろんな人が書いて在る。読んでいるうちに、自分のことを言われたような気がして恥ずかしい気にもなる。それに書く人、人によって、ふだんばかだと思っている人は、そのとおりに、ばかの感じがするようなことを言っているし、写真で見て、おしゃれの感じのする人は、おしゃれの言葉遣いをしているので、可笑しくて、ときどきくすくす笑いながら読んで行く。宗教家は、すぐに信仰を持ち出すし、教育家は、始めから終りまで恩、恩、と書いてある。政治家は、漢詩を持ち出す。作家は、気取って、おしゃれな言葉を使っている。しょっている。
2025/11/