太宰治のレビュー一覧
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ネタバレ世界を信じられなかった人間の話。
自分を大罪人のように捉えていて「世間」を酷く恐れているが、これは自分あるいは他者に対する期待値が高いことの裏返しのようにも思え、その価値観の頑なさはある種信仰のようにも見える。自分にも他者にも幻滅し裏切られているように感じられるのは、生来の性質か或いは理想を植え付けるだけして内実は混沌とした世であるからか。
真実の自分は醜く皆を騙していると話すが、マダムから見た「神様みたいないいこ」も一つの真実ではなかったか。
本来人間には失格も合格もないはずだが、その線引きは確かに存在しているように思え、その息苦しさは現代にも通ずる。 -
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ネタバレ## 感想まとめ
太宰は意外と家族のことを想っていたのだなあと思う。
家族を想い、仕事に苦しみ、そして家族との関係に苦しみ、自分を追い詰める。
それが作品にも滲み出る。
太宰治の作品は最近少しずつ読んできているが、『人間失格』の息苦しくて暗い雰囲気から、『富嶽百景』の爽やかな雰囲気まで、色々な作品が書ける素晴らしい作家さんだなと思う。
しかし、素晴らしい作品を生みだせる感性は他人とは違うものがあるからこそだと思うが、それがあるからこそ世間からは浮いてしまって生きづらさがあるはず。
そう思うと、素晴らしい作品を届けてくれる芸術家の皆さんたちの苦労には頭が上がらない。
そしてその作品 -
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斜陽館に行くにあたり、太宰が故郷について書いた『津軽』を初めて読んだ。
結論、やっぱりこの人の書く文章は本当に面白い。
卑屈さ、皮肉、悪口、故郷に対する深い愛情、友人・家族(育ての親や使用人すべて)への感謝が絶妙なバランスでミックスされていて、文章が生き生きしている。ユーモアを交えた軽快な台詞回しが読んでいて心地いい。
こんだけいろいろやらかしていても(笑)、憎めない愛されキャラだったんだろうなあと思う。
実際に斜陽館も、津軽読後だと2倍楽しめます。
このお部屋で蟹を食べたのかあ、とか、この洋室で中学生の頃寝っ転がっていたのかあ、とかとか。
ちなみに竜飛岬でN君とどんちゃん騒ぎしたお宿は、現 -
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学生時代に心酔していた太宰治、ちょうど読む本が尽きたので、本棚からふと手に取ってみて、うわ!やっぱりいい!と思った。
今回特に好きだったのは以下三編。
『燈籠』
口に出したくなる「言えば言うほど、人は私を信じて呉れません」というキラーフレーズ、
そして「それに違いはございませぬ。いいことをしたとは思いませぬ。けれども、ーーいいえ、はじめから申しあげます。私は、神様に向かって申しあげるのだ。私は、人を頼らない、私の話を信じられる人は、信じるがいい」という毅然としたスーパーキラーフレーズ、
極めつけのラスト、蔑まれていても別にわびしくない、逆に美しいと思うというカウンター。
世間的にどう思われ -
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売れない画家に惚れ込んだ奥さんが
富と名声を得た主人に別れをつげるなんてあり得ない。
しかしこの感情は意外と女性の中にある気はします。
パッっとしない男で自分だけが必要で手を尽くしている間は愛おしく、いざ自分から離れて独り立ちした男が憎らしくなる。
作中の奥さんは実は正直であるゆえに弱い人のように感じる。その弱さを不思議な感覚にできる作品でした。
人間の感情って我儘だとつくづく思うけど
その我儘さを自分なりに折り合いをつけて人と関わりを上手に形成出来るのが強い人間だと年を重ねる毎に感じます。
内容もきちんと理解できない学生の頃
太宰治作品を沢山読んでました。
人間の弱さやずるさの表現の仕 -
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昔の名作は小難しい感じがして避けがちだったけど、暇つぶしに読んでみたら夢中で読んでしまった。初めて太宰治を読む人にはぜひこちらをオススメしたいと思った。
現代の作家さんが書いた小説ももちろん素晴らしいけど、この作品には干した魚のように濃厚な旨味があった。
それは単に昔書かれた本だから現代の私はたまらなく風情を感じてしまうだけかのか、はたまた作者がものすごく偉大なのか。
その辺は謎ですが、昔の文豪の作品の良さがようやく分かってきたような気がして大人になった気分。苦手意識を少し取り去ってくれた。
人間の孤独や虚しさ、あらゆる感情がぎゅぎゅっと詰め込まれていた。
直治の遺書は、太宰自身の遺書だっ