太宰治のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ太宰のデビュー短篇集。
太宰治を知る上でのエッセンスが詰まってると個人的には思います。
「葉」と「猿面冠者」が好き。
「葉」は小説ではなく、アフォリズムっていうのかな?デビュー前の作品やボツになった作品の印象的な断片を集めて散りばめた作品。
いかにも太宰って感じの警句が揃ってる。
「猿面冠者」は『どんな小説を読ませても、はじめの二三行をはしり読みしたばかりで、もうその小説の楽屋裏を見抜いてしまったかのように、鼻で笑って巻を閉じる傲岸不遜の男がいた。』
こんな書き出しで始まる、ある駆け出し作家の話。
本気で読むとラストで肩透かし食らっちゃうかも。
作中作をちゃんと一本描き上げてくれていたら -
Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治の「葉桜と魔笛」は
生きること、死ぬことに対する悲しみが
とても分かりやすく表現されている。
読みやすい。つまり、伝わりやすい。
そして優しい。痛々しいほど、優しい。
優しさとは何か。
優しさとは、こういう家族のことだ。
姉も妹も父も、それぞれに優しい。
家族愛の美しさは
「新樹の言葉」にも溢れている。
血のつながりではなく
乳のつながりが描かれている。
主人公が大人になってから
乳母の子供らと出会う。
この関係性がいい。
そして「偉くなりたい」というストレートな前向きさがいい。
作品全体に危うさがあるからこそ
明るい気持ちが、いっそう輝きを増す。
それから、この兄妹のために -
Posted by ブクログ
ネタバレ没落していく旧家が描かれ、無常感漂う作品であった。貴族として生きていくことはしたくない、だが貧乏人の中で戯れていても、自分の貴族的な面が際立つ。自分はどこにも所属できない。という弟君の苦しみは、運良くインテリ集団に入ってしまったが、彼らの考えになじめず、だからといって田舎でチャラチャラしていてるかつての友人と付き合える気もせず、どこにも所属意識を持てない自分と重なった。
主人公が『経済学入門』を読み、以下のように述べていることが印象的であった。
人間というものは、ケチなもので、そうして、永遠にケチなものだという前提が無いと全く成り立たない学問で、ケチでない人にとっては、分配の問題でも何でも、ま -
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※こちらに収録された『待つ』のみの感想です
人が一番不安を覚える行為。それは待つ、ことかもしれない。
次に起きること・遭遇するものを充分に想像できてしまっているのに、
その予想を裏切られ、考えてもいなかったことと向き合うことになる。
そんな気持ちに駆られることが「待つ」の持つ一面だ。
しかし、そうなる可能性を背負うことは放棄できない。
主人公の娘は、誰もが逃げたくなるその事実に
まっすぐぶつかり、壊れそうになるまで考え、悩む。
彼女は、きっと、きっと幸せになれる、と私は確信している。
たった4ページの掌編小説が、もう何年も脳裏に焼きついている。 -
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ネタバレ幸福は一生、来ない。
待って、待って、待ちきれなくて家を飛び出した次の夜にやってくる。一夜遅れて。
そんなことわかっているけれど、眠りに就く前に、明日の幸福を願わずにはいられない。
そういったいじらしさ、愚かさを、少女の成長の葛藤を交えて描いている。
心の成長というと、スポーツや青春ものが多くヒットするような気がするけれど、これも成長の一種だと私は思う。
むしろ、スポーツとも青春とも縁遠い中学高校時代を送った私からすれば、
こういった、誰も答えを教えてくれない、正しい道も、抜け出す術も教えてくれない、
ただ「大人になれば笑い話として懐かしむことができる、今はそういう時期なんだ」とだけしか助言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学校の国語の試験で、作家の意図は?という問題がよくありました。
採点結果を見ると、どうしても納得できないことがよくありました。
本当に、作家は、それを意図したのでしょうか?
作家の意図は単純ではないのではないでしょうか?
走れメロスは、分かりやすいかもしれないし、太宰らしくないかもしれない。
作品ごとに別々に読むか、作家ごとまとめて読むかは、その人の好みです。
ただ、複数作品まとめて搭載している本を買うかどうかは、迷うかもしれません。
富嶽百景だけでも価値はあるし、走れメロスだけでも価値はあると思います。
両方好きになる必要はないと思いますがいかがでしょうか。