太宰治のレビュー一覧
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ネタバレ幸福は一生、来ない。
待って、待って、待ちきれなくて家を飛び出した次の夜にやってくる。一夜遅れて。
そんなことわかっているけれど、眠りに就く前に、明日の幸福を願わずにはいられない。
そういったいじらしさ、愚かさを、少女の成長の葛藤を交えて描いている。
心の成長というと、スポーツや青春ものが多くヒットするような気がするけれど、これも成長の一種だと私は思う。
むしろ、スポーツとも青春とも縁遠い中学高校時代を送った私からすれば、
こういった、誰も答えを教えてくれない、正しい道も、抜け出す術も教えてくれない、
ただ「大人になれば笑い話として懐かしむことができる、今はそういう時期なんだ」とだけしか助言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学校の国語の試験で、作家の意図は?という問題がよくありました。
採点結果を見ると、どうしても納得できないことがよくありました。
本当に、作家は、それを意図したのでしょうか?
作家の意図は単純ではないのではないでしょうか?
走れメロスは、分かりやすいかもしれないし、太宰らしくないかもしれない。
作品ごとに別々に読むか、作家ごとまとめて読むかは、その人の好みです。
ただ、複数作品まとめて搭載している本を買うかどうかは、迷うかもしれません。
富嶽百景だけでも価値はあるし、走れメロスだけでも価値はあると思います。
両方好きになる必要はないと思いますがいかがでしょうか。 -
Posted by ブクログ
最低な男である。いつも人の顔色を伺っているくせに、自分に好意的な人の気持ちは踏みにじる。他人が自分を受け入れてくれないと傷つくのに、自分は他人を受け入れようとはしない。自分から社会に背を向けておいて、社会から拒否されたと言って嘆く。自分の感情にばかり気をとられて、他人の感情を思いやるゆとりがない。自分のことしか考えられない、情死の相手の名前すら覚えていない、そんな男。
そんな男の告白を、他人事だと切り捨てることができないのは何故だろう。実在したらとても付き合いきれないはずのこの男に、惹かれてしまうのは何故だろう。一人の弱い男が転落していくだけの話なのに、そこに祈りを見てしまうのは何故だろう。 -
Posted by ブクログ
『阿Q正伝』『狂人日記』を書いた魯迅が、なぜ医学から文学へと転向するに至ったか、を書いた作品。
とりあえず阿Q正伝の読後にこれを読むことをお勧めする。理解度が全く違ってくる。
愛国と文学について考えさせられる作品である。
阿Q正伝を読んだ後、果たして魯迅の望んだ「文学による精神の変革」は叶ったのか?・・・いや叶ってないよな、と考えていた私が恥ずかしく思えた。
「文章の本質は、個人および邦国の存立とは係属するところなく、実利はあらず、究理また存せず。故にその効たるや、智を増すことは史乗に如かず、人を誡むるは格言に如かず、富を致すは工商に如かず、功名を得るは卒業の券に如かざるなり。ただ世に