花房観音のレビュー一覧

  • 愛の宿

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    花房観音『愛の宿』文春文庫。

    ラブホテルを舞台に様々な男女の姿を描いた6編から成る短編集。全ての短編が「もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ ーどうなっていた……」という後悔とも取れる一文から始まる。ラブホテルで女性の死者が出たことから、多くの男女が足止めを食らうという特異なシチュエーションが面白い。様々な男女の姿と各々の未来が垣間見える。

    『嘘の宿』。ラブホテルで不倫を重ねる男女。将来、男と一緒になることを夢見て来た独身の女と巧みに女の騙しながら関係を続ける妻子ある男……

    『初の宿』。初体験を迎える19歳の女の子と2つ歳上の男。男の初体験の相手という歳上女性に嫉妬する女の子。初めて

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    2020年05月08日
  • 半乳捕物帳

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    書店で見つけたときは二度見、いや三度見しましたとも、ええ。もしも内容がとんでもないレベルだったらどうしようと心配しながら読み進めたところ、タイトルに偽りなしのくだらなさ(最上級の誉め言葉)で心の中で何度ツッコミをいれたことか知れません。

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    2020年04月05日
  • 情人

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    2020年、9冊目は、今年初の花房観音。文庫化作。

    阪神淡路大震災。高校三年の笑子は神戸で震災にあう。その時、不在の母は血のつながらない親戚、兵吾と一緒だった。母は家を去り、父は平静を装い、兄は引きこもりのまま、いたたまれぬ笑子は、進学を期に京都へ移る。そして就職、結婚。今度は結婚を期に、東京へと移り住み、そこで兵吾と再会する。兵吾と男女の仲になった笑子。次第にその関係に溺れていく。そんな彼女を東日本大震災が襲う。二つの震災を生きた、約20年の物語。

    「これが官能小説か?」と問われたら、「微妙」としか答えよぅがない。性交場面、性描写は少なくない。しかし、そこで男の欲情に火が点くこともほぼな

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    2020年03月10日
  • 好色入道

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    初出 2016年の単行本
    松浦シオリのカバーイラストが欲しくて文庫を購入。

    京都市長選挙を舞台にした、人間の欲を問う物語。
    好色文学などではなく、ある意味社会派かも。

    京都市長選に立候補する京大卒のジャーナリスト各務原は、京都の暗部を浄化して国際都市化することを目指すが、今の京都を守ろうとする勢力がたちはだかる。
    既得権益をを持つ保守勢力なのだろうが、その辺は触れられず、秘密の館で性の饗宴に集う仲間として、怪僧秀建が表に出てくる。
    彼は不細工で貧しく底辺の人間であるとするが、説法で人気が出てテレビタレントになり、女性たちを極楽へ逝かせることを楽しみとし、人間の欲望を肯定している。
    各務原を

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    2020年02月16日
  • 黄泉醜女

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    男が読む本じゃないな。
    かと言って、女にも読んで欲しくない。
    でも面白い。
    ある意味、とてもエンターテイメントな作品。
    それも「負」の。
    お金と時間を費やして、恐怖や実世界で認められない欲望を仮想体験するのは、勿論それが現実では困るから。
    これを真剣にとらえず、作品、フィクションとして楽しんで読める人にだけ読んでほしい。
    自分自身がそうであるかは甚だ疑問だけど。

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    2019年09月07日
  • ゆびさきたどり(新潮文庫)

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    文豪官能シリーズ第3弾!w

    『桜の里』『ボッちゃん』『枯れ菊』『オンナの友情』『残月記』の5編を収録。

    勃起のボッちゃんって!!www
    恐れを知らない感じだわ〜!www

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    2019年08月02日
  • 偽りの森

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    四姉妹それぞれの語りと男二人の語り
    姉妹は四者四様だなと
    それぞれの思いとセックス
    皆が住む家も重要でした
    そして、続きがあったらその先が知りたいな
    と思える内容でした

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    2019年04月13日
  • 紫の女

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    2019年、2冊目は昨年末に購入、今年の初読み用にとっておいたモノ。

    性愛小説の女王、花房観音が、『源氏物語』を下敷きに平成の世に送り出した短編集。七編収録。

    今回はタイトルのみ紹介。
    『夕顔』
    『若菜』
    『朧月夜』
    『藤壺』
    『葵上』
    『紫の女』
    『光る君』

    ラスト、『光る君』以外は、久々、花房観音の濃厚コッテリ系官能が楽しめる、性愛官能系に振りきってます。

    『源氏物語』は中、高の教科書程度しか知らなくても充分に味わうことが出来る。かく言う自分も、約25年前に、現代語訳サラっと読んだ程度。

    花房観音と言えば、女性の情念ドロドロ系が得意とする処。しかし、もぅ一方で、人の本性、本質の部

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    2019年01月09日
  • 紫の女

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    花房観音『紫の女』実業之日本社文庫。

    『源氏物語』をモチーフにした男女の禁断の関係を描いた7つの物語。『夕顔』『若菜』『朧月夜』『藤壷』『葵上』『紫の女』『光る君』を収録。

    最近の花房観音作品の中では、かなりエロい。いずれの短編もひとしきり男女のエロい描写が描かれ、その中に『源氏物語』との逸話が紹介されるといった構成になっている。最近は官能というスパイスの効いた京都の魅力と文学の風を感じる小説が多かった花房観音なのだが、本作は初期の頃のドロリとしたエロさばかりが目立つ作品に仕上がっている。

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    2018年12月21日
  • エロスの記憶 文藝春秋「オール讀物」官能的コレクション2014

    購入済み

    粒揃いの作品集です。小池真理子さんの作品を目当てに買いましたが、各先生の作品それぞれ格調の高いエロスで楽しめました。このお値段でこの内容はお得です。

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    2020年05月05日
  • どうしてあんな女に私が

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    首都圏連続不審死事件をモチーフに嫉妬について抉ってる。嫉妬と簡単に片付けられない感情。心が掻き乱される。女性と違う場面では男性にもあると思う得体の知れないもの。醜い心が表現されていた。解説にあったアンビバレントという言葉。同じ物事に対して相反する感情を持つこと。嫌悪や羨望といった感情が渦巻き、心乱される様を生々しく感じた。

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    2018年09月26日
  • どうしてあんな女に私が

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    タイトルがすべて。女は自分より劣ってる女がモテるのが気に食わない生き物。たぶん私を含め世の中の女は皆そうだと思う。それに対する嫉妬が上手く書かれている。
    男たちをまどわせ有名になった醜い死刑囚、木嶋○苗をモデルにした女がでてくる。そして最後に第二の木嶋○苗誕生を思わせる終わり方。

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    2018年08月09日
  • 鬼の家

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    2013、14年の「Mei」に掲載された3話、2015年の「小説野性時代」の1話に書下ろし2話。

    千本の桜があったという京都の千本通り(かつての朱雀大路で千本の卒塔婆があったとも)に明治期に建てられた豪華な洋館とそこに住む松ケ谷家の代々の人々と鬼の怪奇譚

    薩摩出身の陶器商吉二郎は妻桜子のために洋館を建てるが、留守がちで桜子の寂しさに鬼が付け入ってしまう。夫の「事故死」後、桜子は使用人の李作と再婚し、屋敷は社交場、享楽の場となったことが第2話の桜子の息子(実は享楽に供された桜子の娘が15で産んだ子)が家の秘密を語る独白でわかる。
    第3話は桜子の孫塔一郎の妻の独白で、性の快楽の果てに気づいた真

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    2018年01月23日
  • くちびる遊び(新潮文庫)

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    文豪官能シリーズ第2段!ww
    若干、ホラーとかブラックコメディの要素を含んでいるような?w
    男の嫉妬、コワイわー。ま、女の嫉妬もコワイですけどwww
    肝心のエロは・・・ま、お楽しみくださいww

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    2017年12月30日
  • 半乳捕物帳

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    花房観音『半乳捕物帳』実業之日本社文庫。

    確かに漫画的。著者が『謝辞にかえて』で語っているように、冗談のような連作艶笑時代小説である。半七ならぬ、半乳こと神田の岡っ引きの娘お七が江戸の事件を解決する。

    花房観音が元々は漫画家志望で、このような面白エロ可笑しい作品を書く作家だとは思わなかった。

    それにしても、江戸の定廻り同心の片山兵衛の情けないこと。

    『一、半乳登場の巻 』『二、吉原初恋の巻 』『三、色男坊主の巻 』『四、大奥潜入の巻 』『五、江戸城騒乱の巻』の5編を収録。

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    2017年12月09日
  • くちびる遊び(新潮文庫)

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    花房観音『くちびる遊び』新潮文庫。

    『花びらめぐり』に続く文豪の近代文学をテーマにした官能短編小説集の第2弾。いずれの短編も元ネタを連想させながら、花房観音の独特の雰囲気を表現しており、面白い。

    『愛しの舞姫』。森鴎外の『秋の舞姫』が元ネタ。美貌のドイツ女性エリスと結婚間近の友人への嫉妬の行方は…

    『女禁高野』。泉鏡花の『高野聖』が元ネタ。傷心の女性が高野山の宿坊で体験した耽美的な官能の世界。夢か幻か。

    『タレコミ訴え』。太宰治の『駈込み訴え』が元ネタ。政治家と秘書の禁断の関係とマスコミへのタレコミ。さもありなん。

    『悦楽椅子』。江戸川乱歩の『人間椅子』が元ネタ。江戸川乱歩には及ばな

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    2017年11月05日
  • くちびる遊び(新潮文庫)

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    2017年、41冊目は花房観音、近代文学を、現代官能にアレンジ、remixさせた、文豪官能シリーズ、第二弾。

    今回はタイトルと一言紹介を。

    愛しの舞姫:男の嫉妬話、その①。

    女禁高野:孤独の都会と滾る山野。

    タレコミ訴え:男の嫉妬話、その②、BL編 with 言葉遊び。

    悦楽椅子:性癖話、素晴らしいオチ付。

    みだら髪:文学同人誌の歪な三角関係。

    前作『花びらめくり』が良かったので、予約購入……、のはずが、予約した書店が発売日オーダーかけてなかったと発覚。2日遅れで入手。

    今回、気に入った順では「悦楽椅子」『みだら髪」「女禁高野」この3編は文句無し。完全に好みの問題。「愛しの舞姫

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    2017年11月01日
  • 鳥辺野心中

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    一度読んだかもしれないと思いつつ、あっという間に引き込まれ読み終わる。

    どろりとしてて、怖い。

    京都という設定だからこその、雰囲気。

    読み終わったあと、ハツラツとならないことだけは、確か。

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    2017年08月15日
  • 偏愛小説集 あなたを奪うの。

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    好きな作家さん勢ぞろいで、おまけに好きなテーマだったので、全部の短編を面白く読めました。窪さんの『朧月夜のスーヴェニア』 と花房さんの『それからのこと』が特に印象的。だけど、彩瀬さんの『かわいいごっこ』の主人公と文鳥の関係性もいいし、千早さんの『夏のうらはら』のツンデレっぷりも、宮木さん『蛇瓜とルチル』もアイドル好きの宮木さんっぽくて、結局やっぱり全部良かった。

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    2017年06月23日
  • まつりのあと

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    2017年、21冊目は、花房観音、「まつりシリーズ」第3段。

    今回は平安神宮での、結婚式をきっかけとした、6編の連作短編。今回もタイトルのみ紹介。

    帷子ノ辻
    安井金比羅宮
    随心院
    戻り橋
    高瀬川
    平安神宮

    光文社の「まつりシリーズ」となっているが、前2作とはフォーマットが大きく異なる。前2作は京都の実際の「まつり」や、その縁起、行われる場所に絡めた官能小説集だった。それに対して、『まつりのあと』は、まず、官能では括れない。中盤の「随心院」は官能度、激低。「戻り橋」ではよく効くスパイス的。全体としても、官能を期待すると、スライダーでかわされることとなるでしょう。次に、舞台となる、京都の地を

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    2017年05月17日