花房観音のレビュー一覧
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花房観音『愛の宿』文春文庫。
ラブホテルを舞台に様々な男女の姿を描いた6編から成る短編集。全ての短編が「もし、あの夜、あのホテルに泊まらなければ ーどうなっていた……」という後悔とも取れる一文から始まる。ラブホテルで女性の死者が出たことから、多くの男女が足止めを食らうという特異なシチュエーションが面白い。様々な男女の姿と各々の未来が垣間見える。
『嘘の宿』。ラブホテルで不倫を重ねる男女。将来、男と一緒になることを夢見て来た独身の女と巧みに女の騙しながら関係を続ける妻子ある男……
『初の宿』。初体験を迎える19歳の女の子と2つ歳上の男。男の初体験の相手という歳上女性に嫉妬する女の子。初めて -
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2020年、9冊目は、今年初の花房観音。文庫化作。
阪神淡路大震災。高校三年の笑子は神戸で震災にあう。その時、不在の母は血のつながらない親戚、兵吾と一緒だった。母は家を去り、父は平静を装い、兄は引きこもりのまま、いたたまれぬ笑子は、進学を期に京都へ移る。そして就職、結婚。今度は結婚を期に、東京へと移り住み、そこで兵吾と再会する。兵吾と男女の仲になった笑子。次第にその関係に溺れていく。そんな彼女を東日本大震災が襲う。二つの震災を生きた、約20年の物語。
「これが官能小説か?」と問われたら、「微妙」としか答えよぅがない。性交場面、性描写は少なくない。しかし、そこで男の欲情に火が点くこともほぼな -
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初出 2016年の単行本
松浦シオリのカバーイラストが欲しくて文庫を購入。
京都市長選挙を舞台にした、人間の欲を問う物語。
好色文学などではなく、ある意味社会派かも。
京都市長選に立候補する京大卒のジャーナリスト各務原は、京都の暗部を浄化して国際都市化することを目指すが、今の京都を守ろうとする勢力がたちはだかる。
既得権益をを持つ保守勢力なのだろうが、その辺は触れられず、秘密の館で性の饗宴に集う仲間として、怪僧秀建が表に出てくる。
彼は不細工で貧しく底辺の人間であるとするが、説法で人気が出てテレビタレントになり、女性たちを極楽へ逝かせることを楽しみとし、人間の欲望を肯定している。
各務原を -
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2019年、2冊目は昨年末に購入、今年の初読み用にとっておいたモノ。
性愛小説の女王、花房観音が、『源氏物語』を下敷きに平成の世に送り出した短編集。七編収録。
今回はタイトルのみ紹介。
『夕顔』
『若菜』
『朧月夜』
『藤壺』
『葵上』
『紫の女』
『光る君』
ラスト、『光る君』以外は、久々、花房観音の濃厚コッテリ系官能が楽しめる、性愛官能系に振りきってます。
『源氏物語』は中、高の教科書程度しか知らなくても充分に味わうことが出来る。かく言う自分も、約25年前に、現代語訳サラっと読んだ程度。
花房観音と言えば、女性の情念ドロドロ系が得意とする処。しかし、もぅ一方で、人の本性、本質の部 -
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2013、14年の「Mei」に掲載された3話、2015年の「小説野性時代」の1話に書下ろし2話。
千本の桜があったという京都の千本通り(かつての朱雀大路で千本の卒塔婆があったとも)に明治期に建てられた豪華な洋館とそこに住む松ケ谷家の代々の人々と鬼の怪奇譚
薩摩出身の陶器商吉二郎は妻桜子のために洋館を建てるが、留守がちで桜子の寂しさに鬼が付け入ってしまう。夫の「事故死」後、桜子は使用人の李作と再婚し、屋敷は社交場、享楽の場となったことが第2話の桜子の息子(実は享楽に供された桜子の娘が15で産んだ子)が家の秘密を語る独白でわかる。
第3話は桜子の孫塔一郎の妻の独白で、性の快楽の果てに気づいた真 -
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花房観音『くちびる遊び』新潮文庫。
『花びらめぐり』に続く文豪の近代文学をテーマにした官能短編小説集の第2弾。いずれの短編も元ネタを連想させながら、花房観音の独特の雰囲気を表現しており、面白い。
『愛しの舞姫』。森鴎外の『秋の舞姫』が元ネタ。美貌のドイツ女性エリスと結婚間近の友人への嫉妬の行方は…
『女禁高野』。泉鏡花の『高野聖』が元ネタ。傷心の女性が高野山の宿坊で体験した耽美的な官能の世界。夢か幻か。
『タレコミ訴え』。太宰治の『駈込み訴え』が元ネタ。政治家と秘書の禁断の関係とマスコミへのタレコミ。さもありなん。
『悦楽椅子』。江戸川乱歩の『人間椅子』が元ネタ。江戸川乱歩には及ばな -
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2017年、41冊目は花房観音、近代文学を、現代官能にアレンジ、remixさせた、文豪官能シリーズ、第二弾。
今回はタイトルと一言紹介を。
愛しの舞姫:男の嫉妬話、その①。
女禁高野:孤独の都会と滾る山野。
タレコミ訴え:男の嫉妬話、その②、BL編 with 言葉遊び。
悦楽椅子:性癖話、素晴らしいオチ付。
みだら髪:文学同人誌の歪な三角関係。
前作『花びらめくり』が良かったので、予約購入……、のはずが、予約した書店が発売日オーダーかけてなかったと発覚。2日遅れで入手。
今回、気に入った順では「悦楽椅子」『みだら髪」「女禁高野」この3編は文句無し。完全に好みの問題。「愛しの舞姫 -
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2017年、21冊目は、花房観音、「まつりシリーズ」第3段。
今回は平安神宮での、結婚式をきっかけとした、6編の連作短編。今回もタイトルのみ紹介。
帷子ノ辻
安井金比羅宮
随心院
戻り橋
高瀬川
平安神宮
光文社の「まつりシリーズ」となっているが、前2作とはフォーマットが大きく異なる。前2作は京都の実際の「まつり」や、その縁起、行われる場所に絡めた官能小説集だった。それに対して、『まつりのあと』は、まず、官能では括れない。中盤の「随心院」は官能度、激低。「戻り橋」ではよく効くスパイス的。全体としても、官能を期待すると、スライダーでかわされることとなるでしょう。次に、舞台となる、京都の地を
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