花房観音のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
5人の女と1人の男目線で描かれる情愛を通した「人の弱さ」の話であったように思う。
単純に1〜10で人の心を強弱つけるとしたら、6から上が強いと言うことになるのだろう。
だとするとこの世界の人たちは1か2だと感じた。でもすべての話を通して見上げるように読んでしまった。
嘘の女も、初の女も、悔の女も、買の男も、母の女も、愛の女も。
明らかに少数派の人たちを眩しいと感じた。それが花房観音氏が描く上品な色気やどこか既視感を覚える描写故なのかはわからない。
6人に共通することは、総じて褒められるような人たちではないということ。人格者でもなければおよそ等身大でもない。が、読み終えたときこの6人を責 -
Posted by ブクログ
ネタバレもし、あの夜、あのホテルに泊まらなければーーの冒頭からはじまる短編六つ。
ここでいう、「あのホテル」はラブホテルのことを指している。本編において舞台となるのは、京都の繁華街にあるとあるラブホテル。セックスという、おおっぴらには外でできない行為を、ほかにする場所がないという事情、つまり不倫、援交、未成年といった、さまざまな理由を抱えた人が、それでもセックスをするために利用する場所である。
そこで、ある夜、女が死んでいた。その事情聴取のため、ホテル利用者は全員、翌日夕方までホテルからでられない。
みんな、後ろめたい理由があって、ラブホテルを利用している。配偶者に嘘をついているもの、親に嘘を -
Posted by ブクログ
「近代文学を代表する文豪たちが書いた名作を元に、私の妄想をくわえて官能小説にしたものを集めたのが本書である。」(あとがきより)
芥川の「藪の中」、川端の「片腕」、谷崎の「卍」、漱石の「それから」、三島の「仮面の告白」に材を取った短篇集。
*****
「藪の中の情事」…夫の告白が最も新鮮だった。なぜなら、著者の作品に登場する男は女の手のひらの上で転がされているのが大半だが、この夫はそうではなく、冷淡で支配権を握っているから。
「片腕の恋人」…ある意味最もロマンティックな一篇だが、片腕が万能すぎてついていけない。
「卍の女」…京都弁がたまらない。ただ読むのではもったいなく、声に出して楽しみ -
Posted by ブクログ
『やすらいまつり』の続編とも言うべき、京都を舞台にした六編収録の官能短編集。花房観音の小説は単なる官能小説に留まらず、時に文学の香りが漂い、女性の持つ情念、本質、独特の思考を強く映し出した小説に仕立て上げている。女性が読めば共感し、男性が読めば恐怖を感じるだろう、そんな短編集。
『かにかくまつり』。笠野秀人が京都の学生時代に男女の仲になった色街の女性、雪子…笠野は卒業間際に雪子に捨てられるが、二十年後に京都で雪子と再開する。色街に生きる女の強さと、いつまでも夢を見続けている男の滑稽さ…
『七夕まつり』。笹原は独身時代に知り合い、別れた彩音と結婚しても、なお、年に一度の逢瀬を重ねる。彩音との -
Posted by ブクログ
京都のまつりを舞台に描かれた官能短編六編を収録した作品。六編のいずれも、燃え上がるような男女の性愛が描かれているのだが、いずれの女性も怖く、身勝手にも映る。それだけ、女性の情念が強いということなのだろう。一瞬の快楽のために我を忘れる男が愚かに見えるとともに女性とは強かであり、快楽の中でも強い想いを胸に秘めている生き物なのかも知れない。
花房観音の作品は官能小説というジャンルに分類されるのかも知れないが、単なる官能小説で終わらずに男女の深い部分を描かれているのが面白い。
『梅まつり』『ひいなまつり』『祇園まつり』『地蔵まつり』『火まつり』『やすらいまつり』を収録。表題作の『やすらいまつり』が -
-
-
Posted by ブクログ
51歳で心不全を起こし、救急搬送された筆者のエッセイ。死が目の前に迫ってくる経験を読むのは初めてだ。死後のことはわからないけれど、こうして筆者の死生観や生き方に触れられて良かった。
この作品を読んで気づいたのは、私も作者同様、気づいていないけどセルフネグレクトぎみだということ。まだ30代で更年期障害や生活習慣病とは縁がないかなと思っていたが、ちょっとした不調を放置することは割もあるので気をつけなければいけないなと思った。
いつまでも生きていたいと思う反面、あまり長生きしても大変だとも思う。生きるって面倒くさいことが多くて難しい。それでも、死を目前にした筆者が言うように、生きていることは素晴