あらすじ
中学校教師の樋口は、ある女生徒の母の死をきっかけに、彼女と急接近をし、やがて愛を告白される。
その思いを拒みきれずにいた樋口だったが、周囲に流されるまま同年代の女性と見合い結婚をする。
女生徒とは関係が途絶えたはずだったが……。
京都・鳥辺野を舞台にあぶり出される男と女の業を描いた傑作長編。
〈解説〉角田龍平
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産寧坂(さんねいざか)は京都市にある坂。三年坂(さんねんざか)とも呼ばれる。 東山の観光地として有名である。狭義には音羽山清水寺の参道である清水坂から北へ石段で降りる坂道をいうが、公式には北に二年坂までの緩い起伏の石畳の道も含む。
わが恋は松を時雨の染めかねて真葛が原に風騒ぐなり――。
「ほんまやで、一か月ほど前や。転んで足をくじいたって、片足引きずりながら帰ってきたわ。三年以内に私は死ぬんやって、自分で言うとった。そやから、早かったんやな」
わが恋は松を時雨の染めかねて真葛が原に風騒ぐなり――。
「せんせぇ、三年坂はな、産寧坂とも言うんやで」
中学校教師の樋口は、ある女生徒の母の死をきっかけに、
彼女と急接近をし、やがて愛を告白される。
その思いを拒みきれずにいた樋口だったが、
周囲に流されるまま同年代の女性と見合い結婚をする。
女生徒とは関係が途絶えたはずだったが……。
京都・鳥辺野を舞台にあぶり出される男と女の業を描いた傑作長編。
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中学教師の樋口は、母を亡くした女生徒に同情から特別な感情を抱きながら、教頭の紹介で見合いをした女性と結婚をする。周りに流されふらふらする樋口にイライラしながらも、なぜか憎めない。角田龍平氏は解説で「樋口に引き寄せられた人間は、作中の登場人物だけではない。」と。その言葉にドキッとした。私も樋口のような男性を欲しているのかもしれないと…。
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花房観音『鳥辺野心中』コスミック文庫。
珍しくコスミック文庫からの刊行。来月も1冊刊行されるようだ。
京都の鳥辺野を舞台に男女の恋愛模様が描かれる。既婚の教師と生徒の越えてはいけない一線を越えたがために家族との間に溝を作り、孤立していく愚かで可哀想な男。最近よく耳にするような芸能界のゲス不倫のようで、余り目新しさはない。
ある日、女子中学校教師の樋口は副担任を務めるクラスの女生徒・志水音葉の母親の葬儀に出席する。音葉は母親の死に悲しむ中、樋口に励まされたことで樋口に好意を抱くが、樋口は教師としての立場から必死に気持ちを抑える。
毎日変わりばえのしない独身生活を続ける樋口はパチンコにハマり、サラ金に百万円の借金を作る。やがて、同年代の小学校教師と見合いをした樋口は彼女との結婚を決意する。結婚前に借金を精算したいと願う樋口に音葉が母親の死で手にした百万円を差し出す。欲望に負けて音葉を抱いた樋口が堕ちていく泥沼は……
本体価格630円
★★★