花房観音のレビュー一覧
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2017年、21冊目は、花房観音、「まつりシリーズ」第3段。
今回は平安神宮での、結婚式をきっかけとした、6編の連作短編。今回もタイトルのみ紹介。
帷子ノ辻
安井金比羅宮
随心院
戻り橋
高瀬川
平安神宮
光文社の「まつりシリーズ」となっているが、前2作とはフォーマットが大きく異なる。前2作は京都の実際の「まつり」や、その縁起、行われる場所に絡めた官能小説集だった。それに対して、『まつりのあと』は、まず、官能では括れない。中盤の「随心院」は官能度、激低。「戻り橋」ではよく効くスパイス的。全体としても、官能を期待すると、スライダーでかわされることとなるでしょう。次に、舞台となる、京都の地を絡めてはあるが、具体的な「まつり」とは切り離されている。今回は「結婚(式)」「恋愛」「性交」が「まつり」として捉えられ、6通りの「まつりのあと」が描かれています。
自分、この方の、時にストレートで押し、大きく落としたり、手元で微妙に変化させたりと、多彩で、繊細な表現と、人物描写は大好物です。幾つかは引用登録しておいたので、ドレがストレートか、フォークか、ツーシームか、感じてみてください。ただし、試合の流れ(本編)とダイジェストの違いはありますよ。 -
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2017年、5冊目は、既に今年2冊目の花房観音の官能短編集、『~まつり』シリーズの第2段。6編収録。
今回は各々、簡単に触れておきましょう。
「かにかくにまつり」引用登録した冒頭がまずはイイ。花街に生きる女と、お坊っちゃん上がりの約20年の時を経ての再会は……。
「七夕まつり」年に一度の逢瀬を重ねる、W不倫の男女。男の妻にソレがバレてしまう。他とオチの毛色が少し異なる1編。
「義士まつり」かつての職場の先輩であった男の妻であり、同級生で憧れの女性と、40代独身男の物語。様々な点で、このシリーズでは異色。
「節分まつり」小説家の男は、かつての文芸サークルの後輩をモデルに作品を発表していた。そして、彼女と再会する。この話の前後の男の作品を、スピンオフで書いてくれないかなぁ。
「あじさいまつり」男と、かつての妻、現在の妻の不可思議な関係とは……。コレはやられた。というコトは、おそらく、自分がこの主人公に近い身勝手&鈍感なのかもしれない。
「時代まつり」亡き父の実家の処分に、京都へ赴いた男は、時代まつりの行列の中、ある女性に見つめられた。ミステリーフレイバーだが、オチは想定内。
全体として、前回の官能場面のヴァリエーションの少なさは、やや解消されているし、並びもシックリ。ただし、官能描写は、更にパターン化され過ぎた印象。コレは「あとがき」からの個人的見解だが、もしかしたら、官能描写をパターン化するコトで、その(官能場面)後のエンディング、オチをより印象付けようとしているのかな(?)。
匂い立つような官能場面は健在も、前述のようにパターン化され過ぎて、やや食傷気味。今回はお得意の情念系も控え目。ただし、男の能天気さ、鈍感さ。女のしたたかさ、狡猾さ。が良く出ている。
総合で、★★★★☆評価はややオマケ。 -
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2016年、39冊目は今年も大活躍だった、花房観音女史の官能短編集「まつり」シリーズの一作目。6編収録。
今回は順を追って、それぞれ簡単な感想を……。
『梅まつり』6編読み通すと、1編目じゃない気もする。中盤の方が生きたような……(理由は後述)。伏線&オチの着地はすごく好み。
『ひいなまつり』コレは途中、オチの予想がついてしまったが、さて、どうなるのだろう。この後を考えさせられる。
『祇園まつり』コレは上手い。解説にもあるが、冒頭と末尾の呼応。男と女、20代学生時代と30代既婚後の対比が絶妙。
『地蔵まつり』1編目と対称的に、並びはココに落ち着く。そしてコレも、いくつかの伏線を含んで、この後の展開を考えてしまう。
『火まつり』花房観音女史、得意のドロドロ系が、後半、5編目にやってきた。短編なので、少し物足りなくはありますが……。
『やすらいまつり』テーマは官能にありがち。展開は想定の範囲内。ただしソコに漂う空気感はジットリと重い。
全編通して、主に40代の男と、20代後半~30代の和装の京美人という共通点。まつりの前後の時期、それが行われる京都の寺社周辺を舞台にして描いている。
個人的に官能シーン、官能描写のバリエーションがもう少し欲しかった。その意味で『梅まつり』は中盤の並びの方が合うような……。
全体的に、情と欲が混然としているのが、男。情と欲が薄く仕切られているのが女。と描かれているように感じるし、男の自分にも大いに思いあたるトコロがある。
もちろん、官能場面は匂いたつ程。でも、ソレだけじゃないのよ。京都のまつりや、その縁起等を絡めつつ、大人の男女の少々イビツな関係。容易にイメージ可能な、描写の丁寧さ。少し甘めだが、★★★★☆。 -
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2016年、31冊目は、花房観音女史。
私立女子中学校の新任教師、樋口。彼が副担任を受け持つクラスの生徒の母親が自殺してしまう。夏休みで、正担任は旅行中。彼がその対応をすることとなる。それをきっかけに彼の人生は……。
複数女性の視点から、連作短編的に綴られる作品が多い印象の花房観音女史。一方、今回は(終章を除き)樋口という、プチ・モラトリアム的ダメ男の主人公目線で書かれている。しかし、そこに違和感はほとんどありません。
そして、今作も、京都を舞台に、「女」の「業」や「情」をココでは、「母性」を軸に描いている。それも、かなりの高粘度、高湿度で……。
官能場面もあるにはありますが、分量、描写ともにネットリ感は軽め。
序章のラストは、最後まで読みきった後、もぅ一度読んでみてください。きっと、印象が変わりますから。自分は「 樋口の…… 」(←ネタバレ的になるので伏せておきます)ととらえてます。 -
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この人は上手いなと改めて思う。
官能モノは読書としては(笑)好みでないから 「寂下の雫」から読んでなかったのだがデビュー前のブログでの作品は歴史あり紀行ありで特に京都を題材としたものは現役バスガイドの本領発揮で実に趣深く楽しめたものだ。
で本作、女を描くことを売りにしているのだからそこが秀逸なのは言うまでもないがそれ以上に鳥辺野、三年坂、幽霊飴など洛東のガイドマップとしても使えるほど京都ネタ満載、ゾッとさせるストーリーと合わせて読みがいのある造り込みには感心した。
せんせぇ…はホテルローヤルを彷彿とさせるのだがたぶん花房さんを読む人は桜木さんも好むはず、怖い女を描くおばさん方であるm(_ _)m -
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この『春海さくら』って、あ~、あれか!あの婚活サギ女・・・名前なんだっけ?(とググる)そうそう!これは、あの〈首都圏連続不審死事件〉で4人以上の男性を死に追いやったとされる木嶋佳苗被告に着想を得て書き下ろされた小説なのね~。
著者の花房さんはインタビューで「あの事件を初めて知ったとき、まず『私はこの女よりまし!』と叫びそうになりました」と語ってるけど、私もそんな風に思いました・・・「これなら私もまだまだイケるんじゃん?」とw
花房さんは事件そのものより「これほどまで多くの女性があの事件に夢中になった、という現象のほうに興味をそそられました」とも語っています。
そして、これまた著者自身をモデルとしたような『桜川詩子』が書き下ろすために、フリーライターの『木戸アミ』と一緒に取材します・・・そんな女たちの内に秘めた嫉妬や欲望、歪みや捩れとは・・・?
女は・・・存在自体がホラー、なのかもw -
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2015年、48冊目はココのところ固め打ちの花房観音。
あらすじ:京都に住む女流作家、鷹村が編集の星野から依頼されたのは「幽霊の話」だった。霊感も何もない鷹村。そんなコトで、二人は霊の世話を生業とする『墓守娘』の取材に出かける。
構成は、奇数章が『墓守娘』の一人語り(京言葉)、偶数章が鷹村の過去の恋愛の思い出語り(標準語)となっている。それを序章と最終章がサンドイッチ。
花房観音、初の怪談ということだったが、個人的見解では「業」「情念」「嫉妬」「執着」渦巻く、ドロッドロ(この「ッ」は大事)の恋愛小説だった。感じたのは、怪談の怖さではなく、女性の暗部の恐ろしさ。しかも、上手いんだよ、描き方が……。
今回、大オチが少しベタかな、という気もするので、少し甘めの★★★★☆。 -
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2015年、46冊目は花房観音女史の官能短編集。平家物語とそれにまつわる京都の地を絡めた、全伍編。
序:昭和五十年代のある女性の手記(?)。
そこびえ:男性への従属願望が強い女性の物語。
展開は容易に予想できた。官能度は高め。
滝口入道:年下の男とのフェティッシュな関係に溺れる女性の物語。
いきなりの変化球(?)。でも、このラストは好き。
想夫恋:突然に夫から離婚届を突き付けられた女性の物語。
こんな夫婦は実在しそうな気もする。読者それぞれが、今後の展開を考えるだろうな……。
萌えいづる:不倫の果てに若い女に恋人を奪われた女性の物語。
官能度高め。しかも、濃いめの描写。コレもこの後を考えてしまうなあ……。
忘れな草:娘の死と、それにより離婚した夫のどちらも忘れられない女性の物語。
全体を締める役割を担った一編。
栄枯盛衰、刹那的な物、過去と現在、等々……。各エピソードも、並びの順も良く出来ている。一編目で、下敷きを踏襲しておいて、いきなり、二編目では変化球投げてくるあたりはしたたかで上手い。官能描写も、濃密に感じるものも、味付け程度に感じるものもあり。単に「官能」と括るには少し惜しい。
読みごたえ的には短編集なので、物足りなさも感じるが、読むコト自体を楽しめる一冊ではあると思う。
京都行きたい。人気の少ない、古寺でボケ~っと、時間の流れ忘れたい。実際は30分として、そうしていられないのだろぅが……。 -
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2015年、36冊目は花房観音の新刊。
あらすじ:女流官能作家、桜川詩子はフリーライターの木戸アミからの誘いで、婚活連続殺人で死刑判決が出た、春海さくらの取材を始める。
自らも女流官能作家である、花房観音が、木嶋佳苗の婚活連続殺人を下敷きに描いたもの。各章異なる視点で描くのは、『女の庭』にもあったパターン。その六人の女性を通して語られるのは、女の「欲」「嫉妬」「業」。この辺のテーマはこの方が得意とするトコロだろう。そして迎えるのは意外なエピローグ。このエピローグ、キャラ変してるんじゃない(?)的印象もあるが、「一般的価値観とは」みたいでけっこう好き。
性描写、官能場面はそれほどありません。二十代後半以上の女性に読んで欲しいかな。
個人的に評価、★★★★☆は妥当。
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