花房観音のレビュー一覧
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2017年、5冊目は、既に今年2冊目の花房観音の官能短編集、『~まつり』シリーズの第2段。6編収録。
今回は各々、簡単に触れておきましょう。
「かにかくにまつり」引用登録した冒頭がまずはイイ。花街に生きる女と、お坊っちゃん上がりの約20年の時を経ての再会は……。
「七夕まつり」年に一度の逢瀬を重ねる、W不倫の男女。男の妻にソレがバレてしまう。他とオチの毛色が少し異なる1編。
「義士まつり」かつての職場の先輩であった男の妻であり、同級生で憧れの女性と、40代独身男の物語。様々な点で、このシリーズでは異色。
「節分まつり」小説家の男は、かつての文芸サークルの後輩をモデルに作品を発表してい -
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2016年、39冊目は今年も大活躍だった、花房観音女史の官能短編集「まつり」シリーズの一作目。6編収録。
今回は順を追って、それぞれ簡単な感想を……。
『梅まつり』6編読み通すと、1編目じゃない気もする。中盤の方が生きたような……(理由は後述)。伏線&オチの着地はすごく好み。
『ひいなまつり』コレは途中、オチの予想がついてしまったが、さて、どうなるのだろう。この後を考えさせられる。
『祇園まつり』コレは上手い。解説にもあるが、冒頭と末尾の呼応。男と女、20代学生時代と30代既婚後の対比が絶妙。
『地蔵まつり』1編目と対称的に、並びはココに落ち着く。そしてコレも、いくつかの伏線を含んで -
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2016年、31冊目は、花房観音女史。
私立女子中学校の新任教師、樋口。彼が副担任を受け持つクラスの生徒の母親が自殺してしまう。夏休みで、正担任は旅行中。彼がその対応をすることとなる。それをきっかけに彼の人生は……。
複数女性の視点から、連作短編的に綴られる作品が多い印象の花房観音女史。一方、今回は(終章を除き)樋口という、プチ・モラトリアム的ダメ男の主人公目線で書かれている。しかし、そこに違和感はほとんどありません。
そして、今作も、京都を舞台に、「女」の「業」や「情」をココでは、「母性」を軸に描いている。それも、かなりの高粘度、高湿度で……。
官能場面もあるにはありますが、分量、描 -
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この人は上手いなと改めて思う。
官能モノは読書としては(笑)好みでないから 「寂下の雫」から読んでなかったのだがデビュー前のブログでの作品は歴史あり紀行ありで特に京都を題材としたものは現役バスガイドの本領発揮で実に趣深く楽しめたものだ。
で本作、女を描くことを売りにしているのだからそこが秀逸なのは言うまでもないがそれ以上に鳥辺野、三年坂、幽霊飴など洛東のガイドマップとしても使えるほど京都ネタ満載、ゾッとさせるストーリーと合わせて読みがいのある造り込みには感心した。
せんせぇ…はホテルローヤルを彷彿とさせるのだがたぶん花房さんを読む人は桜木さんも好むはず、怖い女を描くおばさん方であるm(_ _) -
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この『春海さくら』って、あ~、あれか!あの婚活サギ女・・・名前なんだっけ?(とググる)そうそう!これは、あの〈首都圏連続不審死事件〉で4人以上の男性を死に追いやったとされる木嶋佳苗被告に着想を得て書き下ろされた小説なのね~。
著者の花房さんはインタビューで「あの事件を初めて知ったとき、まず『私はこの女よりまし!』と叫びそうになりました」と語ってるけど、私もそんな風に思いました・・・「これなら私もまだまだイケるんじゃん?」とw
花房さんは事件そのものより「これほどまで多くの女性があの事件に夢中になった、という現象のほうに興味をそそられました」とも語っています。
そして、これまた著者自身をモデルと -
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2015年、48冊目はココのところ固め打ちの花房観音。
あらすじ:京都に住む女流作家、鷹村が編集の星野から依頼されたのは「幽霊の話」だった。霊感も何もない鷹村。そんなコトで、二人は霊の世話を生業とする『墓守娘』の取材に出かける。
構成は、奇数章が『墓守娘』の一人語り(京言葉)、偶数章が鷹村の過去の恋愛の思い出語り(標準語)となっている。それを序章と最終章がサンドイッチ。
花房観音、初の怪談ということだったが、個人的見解では「業」「情念」「嫉妬」「執着」渦巻く、ドロッドロ(この「ッ」は大事)の恋愛小説だった。感じたのは、怪談の怖さではなく、女性の暗部の恐ろしさ。しかも、上手いんだよ、描き方 -
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2015年、46冊目は花房観音女史の官能短編集。平家物語とそれにまつわる京都の地を絡めた、全伍編。
序:昭和五十年代のある女性の手記(?)。
そこびえ:男性への従属願望が強い女性の物語。
展開は容易に予想できた。官能度は高め。
滝口入道:年下の男とのフェティッシュな関係に溺れる女性の物語。
いきなりの変化球(?)。でも、このラストは好き。
想夫恋:突然に夫から離婚届を突き付けられた女性の物語。
こんな夫婦は実在しそうな気もする。読者それぞれが、今後の展開を考えるだろうな……。
萌えいづる:不倫の果てに若い女に恋人を奪われた女性の物語。
官能度高め。しかも、濃いめの描写。コレもこの後 -
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2015年、36冊目は花房観音の新刊。
あらすじ:女流官能作家、桜川詩子はフリーライターの木戸アミからの誘いで、婚活連続殺人で死刑判決が出た、春海さくらの取材を始める。
自らも女流官能作家である、花房観音が、木嶋佳苗の婚活連続殺人を下敷きに描いたもの。各章異なる視点で描くのは、『女の庭』にもあったパターン。その六人の女性を通して語られるのは、女の「欲」「嫉妬」「業」。この辺のテーマはこの方が得意とするトコロだろう。そして迎えるのは意外なエピローグ。このエピローグ、キャラ変してるんじゃない(?)的印象もあるが、「一般的価値観とは」みたいでけっこう好き。
性描写、官能場面はそれほどありません -
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京都の住宅街にひっそりと佇む、小さな社。血を捧げると願いを聞き届けてくれるというその社に、女たちは何を願い、何を呪うのか。なんともぞくぞくさせられる嫌な(褒め言葉です)物語です。
自分の幸せを願うことは、たしかに人の不幸に繋がるのかもしれません。だけど人を呪うことが自分の幸せになるのかというと……それこそ「人を呪わば穴二つ」だったりするわけで。神頼みもほどほどにしたいものです。
彼女たちが願うことは、きっと誰もが一度は願ったことであるはずなのだけれど。いったい何のために願うのか、方向性がずれて壊れていくのがなんとも怖いです。ささやかな幸せで満足するべきだよね……。
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