花房観音のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ『女が女を悪く言うと、男たちはすぐに「嫉妬」と言うが、そんな単純な話じゃないのだ』…自覚したくはないけれど、どうしても抱かずにはいられない感情をまざまざと見せつけられた作品でした。
木嶋佳苗の事件をモチーフにした話とは知らずに読み始め、比較しまくりドロドロするのかと思いきや…ホラーでした。
女性たちの、「モテ」まで行かずとも、周囲の人間関係に波風立てないくらいな最適レベルの生き方すら否定されてしまう春海さくらの存在は脅威です。
あんな存在もあって、しかもかなり成功している…というのを視界の片隅に置いたり置かなかったりして、自分は自分のやり方を信じて貫くしかない。ないけれど。
それに疲れてしまったときに、隣に桜川詩子のような人がいたら。桜川詩子は春海さくらと違って、女性も喰い物にするので……こわい。
「わたしが可愛くてモテてたから嫉妬されていじめられてた」という言い方する人に接したことあります。いじめられてたのは学生時代のようで話を聞くに、たぶん彼女の距離感がかなりおかしかったのだろうと推測しましたが、嫉妬されてると思ってたのか…ととても驚きました。(付き合いのあった当時も、他者との境界線の引き方が上手くなかったので)
自意識過剰で失敗すると周囲から笑われると思っていたらしく、知り合った時点(お互いに30代)で彼女の方は仕事も恋愛も未経験でした。今はどうだろう?
春海さくらに失敗や羞恥という概念は無さそう。そこも人間離れしてるところです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ51歳の作者が、体調不良を更年期のせいだと思いほぼ放置していたため(着圧ソックス、更年期障害の薬、血圧の下がるお茶と対策していたが)心不全で倒れ、緊急入院やICUを経て退院。そしてその後の生活を語る。まさに『シニカケ日記』
倒れる前の生活が、加齢に対する、生きることに対する心持ちが、他人事とは思えない。
そして、入院中の食事についてやシャワーへの欲求、必要な物、同室の人の声などが赤裸々に書かれていて、ちょっと笑ってしまったり感心したりしたが、何より、死を身近に感じてしまった人の心の揺れが、実際に体験してしまったからこそ生まれる生々しさを感じた。
同年代としては、気づかされることが多かった。中年である自分を大切に生きていかないと。
『「死」は、もっとふつうで、もっと地味で、ある日突然やってくる。あなたのところにも。私のところにも。』
『「心配」という名目で、余計なことを言ってくる人間たちに攻撃されるのは避けたかった。心身共に守るためには「元気です」と言うしかなかった。』
『入院中は、本当に、希望しかいらない。』 -
Posted by ブクログ
ネタバレテーマに惹かれたのと、澤村作品目当てと、ホラー作家を発掘したくて手に取った。
イマイチなものもあったが、いくつか好きな話が読めたのでトータルでは良かった。
芦花公園先生の「終の棲家」がとても良かった。この人の作品は他にも読んでみようと思った。
①氷室
家のつくりはワクワクしたが、主人公の罪は余計だった気がする。地域活性化おばちゃん大暴走のサスペンス仕立てで最後に元住人に殺されるの方が良かった。途中からカラクリが見えてしまったし、おじいちゃんが普通に話し始めた時点でちょっと冷めちゃった(笑)
②倒福
軽い読み物としてはギリギリ許せるけど、詮の文字を小さくしてほしかった。読むのに邪魔過ぎた。倒福の意味を調べたけど、この手紙にこのタイトルをつけた意味はよく分からなかった。
③旧家の記憶
自著の宣伝とおじちゃんの思い出話。これはテーマに沿わないし、バラバラとまとまりがない上に、時々下ネタを挟まずにはいられないらしく不快。我慢して読んだが全然面白くなかった。私がスナックの従業員でお金貰ってるなら聞いてやってもいいというレベルの内容。
④やなぎっ記
自動餃子焼きマンに和んでたのに最後怖かった。この女性の襲撃は本当にあったのか教えてほしいです。怪談系っておかしな人も寄ってくるよな〜と思いつつ、順不同で読んでいたので恐ろしい話の後だと人の日々の営みを感じていくらか癒された。創作だとしてもよく出来てる。こういう顔文字使いまくるヤバ過ぎるおばさんは実在する。
⑤たかむらの家
匂いが漂ってきそうな良さがあった。雰囲気があったし、花の腐った匂いというのが良かった。ただ最後の殺人は絶対バレると思う。そしてこの妹は牢屋に入っても生き霊飛ばしてきそうなので、捕まる前に兄に殺されるのではと思う。でも死んでも会いに来そう。家を処分して引っ越したらワンチャン助かるかも。
⑥妹の部屋
元々の家族が異常過ぎて、殺された妹にも同情が湧かない。彼氏も揃っておかしくなるのはちょっと都合が良過ぎるし、最後の方の描写は中高生が書いているように稚拙なヒトコワに感じた。異常な家族で終わらせた方が味わいがあったかも。
⑦笛を吹く家
シンプルに笛吹家が怖かったので、霊的ホラーなままにしてほしかった感がある。オチで冷めちゃったが、家の描写は流石だった。だからこそちゃんとホラーとして、もっと読みたかった。
⑧牢家
なぞなぞみたいで面白かったが、大量行方不明事件の時はごっそり食べ切って、前2つの事件では食べ残しがあったのは何故なんだろう。
⑨トガハラミ
一番描写がグロかったので二度目はもう読みたくない。話は面白かった。性をこじらせると殺人衝動になりやすい、みたいな話は聞いた事があるけど、主人公はなんだか気の毒だったな。相手の男の子ももっと可哀想。セックスは第三者目線で見るもんではないよなぁ。トガハラミの場合は、性的本能が食欲に結びついちゃう感じだったな。
毎夜仏壇の果物をくすねて外に出てる娘に母親が気付かないはずないと思うので、姉()の元に通ってたのは夢の中だったかもしれないな。
⑩終の棲家
怖かったし面白かった。女医さんが統合失調症のおばあちゃんの話を冷静に分析しながら、少し面白がって聞いていたらそれは死の呪いだった…というのがいいし、もっていき方も鮮やか。ゾッとする描写が多くて頭に残った。なにより読みやすかった。
⑪ろろるいの家
海外の悪魔ものに近い印象を受けた。あまりに絶望的でこれはちょっとしんどい。インパクトはあるが。子供や犬を平気で殺すところが容赦なかった。改行もせずに書き切っているところに自信を感じるが、そこまで魅力は感じなかった。もう少しこう…希望がほしい。最後の儀式のくだりで何故そうなったのか答えが欲しかった。家庭教師は話さえしなければ逃れられたのか。なにもかも幻覚にして、一瞬助かりそうな気配を見せておいて「どう足掻いても逃げられないよ」と落とす展開は一周回ってB級ホラー映画でよくあるので、好きじゃないな。
そもそも主人公がこの女性から電話を受けて、詳しくは他の者に連絡させる…と始まって、昔大学生の頃話を伺った回想が入って、最後また電話で終わるのがよく分からなかった。結局詳細を電話で聞いたという事でいいのか?最後の方は話してたよな。 -
Posted by ブクログ
花房観音『果ての海』新潮文庫。
逃げる女を描いたサスペンス小説。既視感があると思ったのは、『福田和子事件』と酷似した設定のためか。
真相が明らかになる結末は有りがちなもので、何故、整形した圭子が逃亡犯と見破られたのか疑問が残る。
愛人の糸井慎吾を階段から突き落して殺害した鶴野圭子は、全てを捨てて逃げることを決めた。圭子は出会い系サイトで知り合い、何度か肌を合わせた自称元ホストと言う怪しげな男の鈴木太郎に逃亡の手助けを頼る。鈴木の紹介でモグリの医者で整形した圭子は、さらに鈴木から倉田沙世という偽名で身分証明書まで準備してもらう。
新たな身分を手に入れた圭子は福井の芦原温泉へと向かい、住込みの仲居仕事に加え、宴会コンパニオンの仕事にも就く。
芦原温泉で圭子は、あわらミュージック劇場のストリッパー・雪レイラと親しくなるなど、少しずつここでの人間関係を築いていくが、逃亡犯としての不安も芽生えていく。
そして、圭子の逃亡も突然、終わりの時を迎える。
本体価格670円
★★★★
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