あらすじ
「女の匂いをさせては、獣が来ます」山奥の宿坊。妖艶な僧が、手で舌で、私の体を清めていく――(「女禁高野」) 妻よ、俺の顔に跨(またが)ってくれ。潤みに塗(まみ)れたその尻で、潰してくれ(「悦楽椅子」) 先生は、私の髪で先をくすぐられるのが、たまらなく好きでしょう?(「みだら髪」) 狂おしいほどに疼(うず)き、したたり、吐息が漏れる。団鬼六賞作家が男と女の心の秘部を押しひらく、欲情短編集。
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Posted by ブクログ
久々の花房作品。文豪シリーズ第二弾。『女禁高野』神聖な高野山と妖艶な雰囲気を醸し出す宿坊、美しい僧侶と官能的な行為、それらのギャップが何とも言えないエロスを増幅させる。舌を絡めるキスで「口の中でも、感じてしまうなんて初めて知りました」『悦楽椅子』は乱歩の良さに官能増し増しって感じで、理解し難かった変態性欲もありなのかなぁと思わせる。ラストの一言は秀逸。あとがきで「乱歩と谷崎潤一郎の小説は挿入だけがセックスじゃないのだと教えてくれる」と。歳を重ねた今、その通りだと思う。
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文豪官能シリーズ第2段!ww
若干、ホラーとかブラックコメディの要素を含んでいるような?w
男の嫉妬、コワイわー。ま、女の嫉妬もコワイですけどwww
肝心のエロは・・・ま、お楽しみくださいww
Posted by ブクログ
花房観音『くちびる遊び』新潮文庫。
『花びらめぐり』に続く文豪の近代文学をテーマにした官能短編小説集の第2弾。いずれの短編も元ネタを連想させながら、花房観音の独特の雰囲気を表現しており、面白い。
『愛しの舞姫』。森鴎外の『秋の舞姫』が元ネタ。美貌のドイツ女性エリスと結婚間近の友人への嫉妬の行方は…
『女禁高野』。泉鏡花の『高野聖』が元ネタ。傷心の女性が高野山の宿坊で体験した耽美的な官能の世界。夢か幻か。
『タレコミ訴え』。太宰治の『駈込み訴え』が元ネタ。政治家と秘書の禁断の関係とマスコミへのタレコミ。さもありなん。
『悦楽椅子』。江戸川乱歩の『人間椅子』が元ネタ。江戸川乱歩には及ばないが、妖しくも官能的な世界を表現している。
『みだら髪』。与謝野晶子の『みだれ髪』が元ネタ。文学界を舞台にした不倫劇の行方は…
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2017年、41冊目は花房観音、近代文学を、現代官能にアレンジ、remixさせた、文豪官能シリーズ、第二弾。
今回はタイトルと一言紹介を。
愛しの舞姫:男の嫉妬話、その①。
女禁高野:孤独の都会と滾る山野。
タレコミ訴え:男の嫉妬話、その②、BL編 with 言葉遊び。
悦楽椅子:性癖話、素晴らしいオチ付。
みだら髪:文学同人誌の歪な三角関係。
前作『花びらめくり』が良かったので、予約購入……、のはずが、予約した書店が発売日オーダーかけてなかったと発覚。2日遅れで入手。
今回、気に入った順では「悦楽椅子」『みだら髪」「女禁高野」この3編は文句無し。完全に好みの問題。「愛しの舞姫」「タレコミ訴え」が続く感じ。 久々の1日、一気読み。元ネタ知らずの文学音痴でも楽しめる、面白さ。評価★★★★☆の価値は充分。
Posted by ブクログ
こういうのを初めて読んだ。女性作家さんとは知らなかった。
どこか劣等感を抱えている登場人物たちの鬱屈して歪んだ心の描写がいい。「愛しの舞姫」で罵倒されてるところとかがいい。
背徳感とか破滅の予感とか、そういうのがもっとあるとよかったかなあ。わりと纏まりのよい結末が多い感じ。