村田沙耶香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
アラサーのあるあるがおもしろかった。
結婚したいと思ったそばから、やっぱり結婚したくないと思ったり、結婚するしかないと急に焦ったり、結婚なんてできないと落ち込んだり。
ほかにも出産、キャリア、恋愛、おひとりさま、老化、健康、おばさん化、セクハラ問題、似合う色問題、「パリに行ってきました」って言ったらウザいんじゃないか問題……自意識に苛まれたアラサー女子の悩みはまるで思春期のように次から次に生まれくるくると変わっていく。
村田さんのちょっと自虐的な発言や、一風変わった思考、性格もふくめて面白い。
可愛らしくて何度もクスッと笑っちゃいました。アラサーもなかなか楽しそう。 -
-
Posted by ブクログ
コミュニティごとに人格を切り替えるのって、程度の差はあれど大勢がやってることだと思う。表の顔と裏の顔みたいなことじゃなく、もっと複雑で曖昧で保守的に。空子が世界を振り分けたように、それぞれの世界の住民もまた分岐した世界を持ってるはずで、そこに想像があまり及んでないのがいかにも村田沙耶香の主人公だった。共感性が明らかに欠け、それを補うためにひたすら観察し模倣し調和する。けど本当はみんな空子が思うほど一面的じゃない。心というものに形があるなら、それはハート型じゃなく多面体なんだろう。
あまりに低俗な人間ばかり出てきて(特に男は全員終わってる)、この内容でこの分量はストレスだし下巻は読まないかな〜と -
Posted by ブクログ
ネタバレ所謂「純文学」に括られる作品って自分の感性がそれ用に磨かれていないからか、評価が難しい。
この本も「面白い」とか「楽しかった」では無く、「興味深い」という感想が適している。
テーマとしてはネット等を見る限り「普通とは何か?」。
確かに、個人的な視点で端的に言うと、この作品の主人公は普通ではない。
泣いている姪の姿を見た後に、ケーキ用のナイフを見て、「静かにさせるだけなら簡単」と感じたり、妹が主人公の生き方に嘆いているときに、手持ち無沙汰だからプリンを食べ始める等の行為は、少し人間離れした、そこはかとない恐怖を感じた。
しかし、本作はその主人公目線の一人称で書かれる為、「普通」とされている主人公