村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ淡々と…かつどろっとしたものが漂いながら進むストーリーに目が離せなかった。
小学生の頃から曖昧なカースト制度はすでにあるように思う。
ただそれは完成形じゃないから、小学生の頃上位にいた子が中学で目立たなくなったりもある。
自分で言うと恥ずかしいのだけど、私は小中とカーストでいう所の一番上に居て、それは自分が望んでなったものとは少し違っていて…なんだかいつの間にかそんな存在になっていた気がする。
他人に興味を抱かないせいか、自分から話しかけることをしない為、周りにはどことなく気を使わせてしまっていたかもしれない。
けど、私自身は分け隔てなく仲良くしたい気持ちはあった。
大人しい子達から見 -
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ネタバレ村田さんの作品は「生きづらさ」という日々のもやもやを的確に言語化してくれる気がします。結末は突飛に感じることもありますが、そこに至るまでの経緯や登場人物たちの感情・言動には共感できることも多いです。
「ギンイロノウタ」でうわぁ分かる…!となったのが、花いちもんめのシーン。
「私の体は強ばっていた。この遊びで私は、いつも最後の方まで残ってしまうからだ。人気のある女の子は何度も名前を呼ばれ、いったりきたりの取り合いになっていた。(略)私はいつまでも名前を呼ばれないまま、細い声で歌いながら前後に動いていた。」
何て緻密に文章化するんだろうと思いました。
他にも「失敗してはいけないと思えば思う -
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ネタバレ変半身、島で行われる変な伝統儀式の話かと思っていたら、そこで終わらせないのが村田沙耶香だった。人の信仰なんてこんな簡単に変わっちゃうでしょ、歴史なんてこんな簡単に改編できてしまうんだよ、というような嫌味をビシビシ感じた。現代の「普通」「常識」によくもこんな疑問を投げかけられるな……と毎度驚かされる。そんなところが大好き。そして最後は村田沙耶香らしい気持ち悪さで終わる。
満潮は潮を噴くために切磋琢磨する夫婦の話。膣の描写が丹念で、めちゃくちゃわかる〜それそれ!と思うようなリアリティだった。村田沙耶香の書く“性”、絶妙に生々しく気持ち悪いのが大好き。2篇とも面白かった。 -
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ネタバレ歪な家庭環境で育てられた主人公がその呪縛から逃れるために、いろいろともがく話。短編が二編収められているが、状況設定はとてもよく似ていると感じた。ただ解釈が様々になるように描写されていることも多く、私の読み取り不足によるところもあるかもしれない。
似ている点としては、主人公は両方とも親から何かを押し付けられるというところが挙げられ、「ひかりのあしおと」では、大人っぽくあることを、「ギンイロノウタ」では臆病であることを押し付けられて、そのせいで孤独を強いられていた。
大きな違いとして「ひかりのあしおと」では、主人公は自分の家庭や自身についての異常性を認識しており、それ故に普通になることを目指 -
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最初、里帆に感情移入して読んでたけれど、だんだんアレ?違うぞ?ってなった。
逆に知佳子になんだこの人は?って読んでたけれど、なんだかわかるになった。
第二次性徴のやり直し、なんだか響きが良いというか、誇らしい何かに思えたけれど、そんなもんじゃなかった。
もっとぐちゃぐちゃでわけのわからない感情。
でも、よくある感情。
若い頃の何かになりたくて、その何かがわからないあの感情を思い出した。
ソルという言葉に驚いたけれど、その生き方の美しさが素敵だった。
私がよく通る道やよく行く建物と重ねながら読み進めていたけれど、その見方が一気に変わって、なんだかつやつやしたものに見えた。
不思議な感覚。