村田沙耶香のレビュー一覧
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下巻に入ると、物語は個人の話から世界そのものの変質へと跳ぶ。印象に残ったのは、「世界は粒子である」という価値観だ。輪郭のある「私」など幻で、実際には周囲の粒子と影響を及ぼし合いながら、その都度かたちを与えられているだけではないか。上巻の「呼応」が、ここで世界観のレベルにまで拡張される。
もう一つの軸が記憶の書き換えである。都合の悪い過去は汚れとして洗い流され、書き換えられる。記憶はどこに存在するのか、正しい記憶とは何か、そんなことを考えさせられる。
ジョージ・オーウェルの『一九八四年』が国家の暴力として描いたものを、本作は善意と快適さの顔をして差し出してくるぶん、はるかに逃げ場がない。これ -
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「性格のない人間」如月空子は、相手やコミュニティに応じて自動的に人格を作り替える。彼女はそれを世界1、世界2……と番号で呼ぶ。読みながら落ち着かないのは、これが特殊能力ではなく、程度の差こそあれ誰もがやっていることだからだ。家庭の私、職場の私、SNSの私——どれも自分であり、どれも自分ではない。では全部剥がした先に「本当の自分」は残るのか。本書はその問いを正面から突きつけてくる。
もう一つ怖いのは、消費されることの描かれ方だ。空子の身体も時間も感情も、周囲の都合で値踏みされ、使われ、消耗品として扱われていく。差別が育っていく過程も、日常の温度のまま淡々と積み上がる。
独特の世界観が展開し、 -
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ネタバレ律の気持ち分かるなあ〜と思いながら読んでいたけれど、客観的に見ると律すごく捻くれてるなあ〜と感じた。つまり自分もすごく捻くれてたなと。
小学校の頃から女子にはカーストが存在していること、3人組の中でも必ずといっていいほど分裂が起こるし、内緒話を片方だけにしかしないとか、昔経験したことばかりで嫌な気分になった。(いい意味で)
もう子どもの頃には戻りたくないなとつくづく思った。
その頃の経験から大人になった今でも人の顔色を伺っては疲弊して、そこまでしていても結局何者にもなれずつまらない人間、、、と自分に対して感じることが多かったため、とても刺さった。
絵本の世界に入り込んでマリーになりきって -
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『ひかりのあしおと』
ホラーだった。村田沙耶香作品では、良い人との出会いで自分を成長させていくという展開は期待できないので、普通に良い人っぽい蛍が出てきて逆にドキドキした。蛍にはどうにかなる前に逃げて!と言いたくなった。
「光の人影は、私を狂わせるために追いかけてきていたのではなかったのでした。私の狂気を止めるために、ずっと追いかけてきていたのです。」がよくわからなかった。
『ギンイロノウタ』
凄みのある作品だった。
指示棒のステッキなど、小物遣いが絶妙。最後、有里が銀色の扉を探すために家を出たところからドキドキが止まらなくて、事件が起こるに違いないと思った。サスペンスのようだった。 -
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11編でなる短編集 あらすじ
・信仰) いつも現実を見てしまい、人の夢や楽しみを台無しにする癖のある永岡。石毛と斉川からカルト集団を組まないかと言われる。組むわけないと思いつつ、斉川だけでも、抜けさせたいと思い説得するが、斉川の思いも強く、どこかでその信じる気持ちを羨ましいと思う永岡。10万払って試しに、参加してみた。
しかし、説かれた事は、現実これがあなたの宿命!
意味ない、10万返せ!
・生存)人は生存確率に左右される。本年代では
生存率によりA〜Dに判別され、努力により生存確率を上げる事ができる。
中には、生存確率を上げたくない人間もおり、野人かしていく。AとCが一緒になった場合は、Cが -
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ネタバレピョコルンか便利になって世の中に受け入れられても人間はまだ差別の対象にあった。ピョコルンと2人の人間と子供、という理想像を何度も見せられ徐々に受け入れ始めていたが、完璧にこなすことのできないピョコルンのそばには女性の姿があった。空子がそうだったようにいまだに他人に使われる姿が残っている。性的嗜好がピョコルンに移った世界で女性たちが警戒心を無くして行く様は人がいないと生きて行くことのできない蚕の暗示にも例えられる気がした。
ピョコルンとなった空子がベランダに立つ白藤さんのなかにもはや誰もしないような表情を見つける。それはやはり汚い感情だったのだろう。空子ピョコルンはこの表情をどう思ったのだろうか -
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ああ気持ち悪かった(いい意味で)。
社会の営みを工場と単純化する視野の狭さも、半径5メートルで求められる生き方を実践する流されやすさも、過去の痛み(辛い人生だった)を麻酔して別星人だと信じ切る傲慢さも、全てが気持ち悪かった。でも、人間が繁殖する為の工場というのは共感してしまうし、そういう人間の脆さを無茶苦茶な原始的な強さに変えた物語。あの主人公の生い立ちから始まって、この結末はこの人にしか書けないと思う。主人公のあの生き延びることで生を半分放棄したような無気力感、辛い過去の折り合いの付け方に病気など現実が伴わなかったからこその異常的な発達も見てて味があった。最後らへん、合理性を突き詰めた行動は -
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コンビニ人間以来の村田さん作品。
人間から星人にグレードアップしてた。
内容もグレードアップ、しかし内容も似てるように感じた。主人公は自分が周囲と違うことを明確に認識してて、幼いころからそんなふうに生きられるのだろうか?と疑問に思った。大人になって周囲がクリアになっても環境に馴染めない自分を認識してて...そんな生き方できるか?辛すぎ!と浅い感想をもった。
自分を異星人だと断言したり、フッと笑ってしまいそうな設定だけど、現代社会を別視点で俯瞰で見せられると普通って?常識って?ととめどなく思考がループする。
後半は刺激的すぎる、しかし狂気でなく彼らの普通。