村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4つのディストピア小説による短編集。
表題作『殺人出産』の10人産めば1人殺せるシステムになり「産み人」が崇められる世界観が、一番独特で好きな作品だった。
今は受け入れられない考えやシステムも、慣れてしまえば常識となってしまう。
村田沙耶香作品は、いつも常識とは何か?を突き付けてくる。
とはいえ、どの作品も「こんな未来にならない」とは言い切れない。(『トリプル』『清潔な結婚』あたりは、もう一部ではあるだろう)
殺人欲求を出産の動機とすることで人工の均衡を保つ世界。
「センスのいい死に方」をまるでファッションのように選択し死ぬ世界。
生と死にまつわる思いもつかない設定を考えられる村田沙 -
Posted by ブクログ
ネタバレコンビニ人間が面白かったので村田さんの本を読んでみたが…いやあちょっと、ついていけないほどおかしい、、
はじめから苦しすぎたけれど、最後どう終わるのかが気になって、なんとか読んだけれども…
すごい話すぎて、くらくらする。
うーーん
冷静さを取り戻して考えると、深刻なトラウマを負った子ども、過酷な家庭環境の子どもはどうやって生き延びるのかという話、(空想したり、解離したり、いろんなことをあきらためり)と思いながら読んだけれども、(途中まで、)最後は違う。性虐待の要素もあるし、猟奇的要素もあるし本当にしんどい小説だった。
R指定した方が良いのではないか?
でも、「エイリアン性は伝染病」と -
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Posted by ブクログ
ネタバレ本の口コミが 絶賛か気持ち悪いの2択に分かれがちなのに
どちらからも「村田ワールド」と評されていたのが気になって、初めて村田沙耶香を読んだ。
トリプルや清潔な結婚はともかくとして、
本タイトルの【殺人出産】。
これを「もしかしたら未来にあり得るかもと思わせる…」と書く人が少なくなかったので どんなものかとわくわくして読んだけれど…
いや、これは 無い。
倫理観とかそういう観点からではなく、
そもそも帝王切開って回数制限があるし、
仮にこの出産できるような仕様にしたとしても
男性という生物体は「産み出す性」としてはできていないから
とても産前産後の諸々には耐えられない作りだと思ってる。
1人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
セリフばかりで構成されており非常にエンタメだったのでテンポよく読めた。でも正直、もう少し純文学的にゆっくり描いてくれたほうが僕は没入できた気がする。
僕はロマンティック・ラブ・イデオロギーに懐疑的なのでかなり共感して読めた。
これをディストピアと評する気は、僕にはない。
世界は常に「途中」であり、どんな世界であってもそこには大半の正常者と一部の異常者がいる。無理に自分の異常を守る必要はない。世界に迎合することを否定するのであれば、そもそも今の自分だって幼少期からの世界へ迎合により構築されているのだから自分自信を否定することになる。本当の自分などない。
あなたも、生きづらさを感じる -
Posted by ブクログ
身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ変半身
要素が多すぎて、圧倒されてる間に終わっていった。p107「目の前の生き物たちは、いつでも、新しい「真実」を喜んで受け取る。それに飽きてくると、今度は次の新しい真実を受け取る。まるで、真実を食べ続ける化け物みたいに。」
結局これが言いたかったことなのだろうか…?
満潮
自分の体を、大事にしたい話だと受け取った。潮を笑う人達を許せない。友人の雪子のように、「男が潮を出したいなんて許せない!」とも思わない。ただ男女関係なく、自分の体にある、まだ見たことない神秘みたいなものを見てみたい。要求されても液体を出せない夫と一緒に、それを主人公は体験してみたい。
変半身あらすじ
島の奇祭「モドリ