【感想・ネタバレ】ハコブネのレビュー

あらすじ

十九歳の里帆は男性とのセックスが辛い。自分の性に自信が持てない彼女は、第二次性徴をやり直そうと、男装をして知り合いの少なそうな自習室に通い始める。そこで出会ったのは、女であることに固執する三十一歳の椿と、生身の男性と寝ても実感が持てない知佳子だった。それぞれに悩みを抱える三人は、衝突しあいながらも、自らの性と生き方を模索していく。芥川賞作家が赤裸々に紡いだ話題作。

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ネタバレ

男女という性を受け止めて生きる人、自分にしかない性を見つけようとする人、万物を宇宙の一つとして捉える人のそれぞれの生き方を描いた作品。私たちが生きている社会は所詮人間が生きやすいように作ったルールなだけ。誰しもが少数派でもはみ出し者でもない。どんな生き方を選択しても、ただその人が生きやすいような道を見つけただけ。

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2025年07月28日

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性と日々の営みに疑問を持つ2人の女性の視点が交互に描かれます。
里帆は思春期から抜け出せない未成年の女の子で、千佳子は自分を人間と感じることの出来ない感覚の持ち主です。
千佳子の視点が非常に面白いです。
コンビニ人間を彷彿とさせる視点です。
とても哲学的な作品でした。
他の作品に比べると優しく温かい物語に感じます。
やっぱり村田沙耶香作品は面白いです。

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どうしてこんなにセックスが辛いのだろう……。
自らの性別を脱ぎ捨てたセックスを求める里帆。女であることに必要以上に固執する椿。生身の男性と寝ても人間としての肉体感覚を持てない千佳子。交差しない3人の女性達の性の行方は……。

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2024年07月30日

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おもしろかった

自分もどちらかと言うと、自分の中の常識に勝手に雁字搦めになって身動き取れなくなるタイプだから、そう思ってるの自分だけじゃない?って自問自答してみてもいいかも。と思いました。

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2024年05月06日

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この本を手に取ったきっかけは、村田さんの作品が好きで、ハコブネは読んだことがなかったので、読んでみたいなと思ったのと、村田さんがジェンダーに関してどう書くのだろうと気になったのがキッカケ。

ないものねだりだが、子供の頃から女性という性で生きて、それを全うしてきた椿視点のエピソードも読んでみたいなと思った。


性の対象が大きすぎるといろんな苦しみや悩みがちっぽけに感じるのかな〜とか、ハコブネからはジェンダーに関して色んなことを考えるきっかけを与えてくた。

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2023年09月17日

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女性3人の性と生き方の模索。
自分が自分でわからないから、既存の型に当てはめようとする。でもぴったりとはならないから、また苦しい。
性別を脇において、人間として惹かれるかどうかを考えたら楽になりそうだなーと考えてたら、人間を物体として見る、かー。
いろんな人がいるもんだなー。

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2025年02月26日

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3人のうちの2人の女性についてのお話でした
それぞれに性についての思いや悩みがありながら
生きてる女性の物語でした
著者独特の世界観で性についてのお話が展開していった
その世界になぜかよく引き込まれます

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2023年09月27日

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ジェンダーの問題は、性自認のカテゴライズを細分化すればするほど本質が見えづらくなるという構造的な矛盾があることを作者は本能的に知っているし、それを言葉にして強く発信する力も持っている。本書は希望だと思う。

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2023年07月23日

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村田沙耶香さんの他の作品と通底するものがあります。特にガマズミ航路(星が吸う水)。
登場人物3人とも全然違う性への向き合い方。私はまたその3人とも別の向き合い方。
面白かったです。
性を茶化したり神聖なものとしたり卑下したりしない、村田沙耶香さんの書き方が好きです。
あと伊勢崎さんみたいな人が好きなので実写で見てみたいと思いました。

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2023年06月26日

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それぞれに性の悩みを抱える10代の里帆と、30代の椿、知佳子。たまたま申し込んだ有料の自習室で会い、交流を重ねるが。

芥川賞受賞前の作品。さすがです。ぶっ飛んでていいですね。巨大な「おままごと」の世界。みんなで「やーめた」と言いましょう。

村田ワールドがいかんなく発揮された作品。常識?ふつう?〜らしさ?そんなものはすべて幻想。

この物語は全編、性を語っているが、それは単に読者に伝わりやすいからだと思う。本質的には「生」の話です。椿の話はもう少し読みたかったなぁ。

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2023年06月09日

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 ジェンダーと多様性と東洋的思想の融合みたいな。


 何者かであろうとして藻掻き苦しむ十九才。

 一方、恋に落ちて何者でもないことを辞めようとする三十一歳。


 救いを求める箱舟は、しかしその実、何処にも行けず誰にも乗れない。


 変な女じゃなくて、妙好人。
 これこそまさに無為自然。


 

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2023年05月05日

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世界は点と線で出来ていてそこに「意味」という絵の具が幾層にも塗り重ねられているという認識は非常にうつ病的認識で、そんな世界に生きながらも「おままごと」を追い求める人間というのは大きな嘘だなと感じた。 物質の世界には何一つ意味がなく、だからおままごとに対する欲求も生じえないはずだ。 知佳子、里帆、椿は一見して対照的な人物に見えるけれど、本質的には、みな物質であるという本質から目をそらしおままごとに救いを求めようとしている同じ穴の狢なのだと思う。 人間が本当に地球の欠片になれるのは、きっと死んでからだろう。

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2022年12月20日

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ネタバレ

普通ってなんだろう、とつくづく思う村田さんの本です。
主要な登場人物のなかでは、椿が「普通」で、知佳子が対極の「普通でない」のだろうけど、だんだん知佳子でなく椿のことがわからなくなっていきました。
里帆が枠に囚われてしまっているのはそう思います。自分で自分を苦しめてるんだろうな…だけどそれも若気の至りのような気がします。真面目なんだろうな。
知佳子のおままごとも、「灰色の突起」も良かったです。知佳子さんの目で世界を見てみたい。村田さんの感覚なんだろうか…。。

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2022年11月01日

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主に3人のどこにでもいる普通の人間の心情が、2人の視点から描かれている。
村田沙耶香さんは、奇妙だ奇妙だと言われがちですが、皆の"普通"を論理的にかつ感情的に言語化がものすごく上手いなと思います。
今作品もそのような作品の一つです。
3人のセンシティブでかつ普通な感情の揺れ動きには、とても親近感が湧きました。

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2022年10月26日

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最初、里帆に感情移入して読んでたけれど、だんだんアレ?違うぞ?ってなった。
逆に知佳子になんだこの人は?って読んでたけれど、なんだかわかるになった。

第二次性徴のやり直し、なんだか響きが良いというか、誇らしい何かに思えたけれど、そんなもんじゃなかった。
もっとぐちゃぐちゃでわけのわからない感情。
でも、よくある感情。
若い頃の何かになりたくて、その何かがわからないあの感情を思い出した。

ソルという言葉に驚いたけれど、その生き方の美しさが素敵だった。
私がよく通る道やよく行く建物と重ねながら読み進めていたけれど、その見方が一気に変わって、なんだかつやつやしたものに見えた。
不思議な感覚。

セックスってなんだったっけ?
と立ち止まってしまう作品だった。
結局答えはよくわからない、それが答えなのだと思う。

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2022年09月11日

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内容は全然覚えてませんが、「コンビニ人間」を読んで読みたいなと思ったけど、あんまりおもしろくなかった記憶です。

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2025年12月19日

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コンビニ人間に続き2つ目の村田沙耶香さん作品。大多数の当たり前の中で外れて漏れて苦しくなってしまう人の心を書かせたらピカイチだなぁと毎回思う。

知佳子の悩みのどうしようもなさよ。
相手が地球じゃ伊勢崎さんもどうしようもない!むしろ相手が地球である事を言ってあげて欲しかった!!理解されないだろうけど、伊勢崎さんとなら一緒にいれたんじゃないかな?と思わせる包容力だったのに…知佳子には、それが生きてる人間にとっては失礼なことになってしまうのを感じたんだろうな

「ハコブネ」は救われたいと思う人が勝手に期待を持って次々と乗ってくるだけで、どこにもいかずにそこに佇んでいるものだった。ハコブネ自体に何者かを救おうとする心がある訳じゃなくて、何かに縋りたい思いが作り上げたただの丘だったのだ。

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2025年07月19日

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村田ワールド全開。
これは特に難しい、助けてくれ。笑
アースとセックス…?
朝井リョウの正欲じゃないけど、色んな性的志向やセクシャリティを持つ人がいるんだなということを改めて考えさせられる話
こんな進んだ(?)ジェンダーの考えを2011年時点で書いていることがまずすごい

超メタ思考というか神様的な視点を持ってる知佳子、現実にいたらめちゃめちゃ不思議ちゃんだと思うけど、こういう人は里帆みたいにだる絡みしたり追いかけちゃいそう

私は完全に性自認女、生物学上女だと思うけど、自分の性自認が分からないとアイデンティティが定まらず、里帆みたいに苦しむんだろうな。。
あと、普段私も女性らしく振る舞えないから、周りの環境とか扱われ方によって自分が女だと認識させられる瞬間に若干の抵抗あるのはめちゃくちゃ分かる〜!

トランスジェンダーの方の気持ちが分からないから、知佳子とは違う角度ではあるけど同意見で、わざわざ性別定める必要ある?って思っちゃった

昔大学の講義でセクシャリティは無限にあるということを習ったことがあるので、世の中にはまだまだ自分の知らない世界があるんだろうなと思う



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2024年12月29日

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浅井リョウさんの『生欲』と同じかといえば違う
村田沙耶香さんなかなかの難しさ
理解できない性に理解できないでしょ?って言われてるみたい

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2024年09月21日

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3人の主人公の女性がそれぞれに生きることに葛藤を抱えていて、三者三様の悩みが絡みながら話が進んでいきます。リコ……、ツバキ……、と思いながら読んでたけど、最終的にチカコ!1番村田沙耶香みが強くてクセつよ!私たちは女である前に人間である前に生物である前に物質…なのか…?
村田沙耶香さんの刺激に慣れると、他の作家さんの本で物足りなく感じてしまうのが困りものです。

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2024年09月16日

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いつものように村田沙耶香ワールド全開で、「私はこの社会で女として生きていくことに強烈な違和感がありまぁす!」と終始訴えている。

他の作品と比べても、その主張の仕方が直接的(隠喩とかもないし、ハッキリそう述べてるセリフがとても多い)なので、言いたいことはわかりやすい。ただ、すでに村田沙耶香ワールドが好きな人にとってはほとんどのパートが前提の確認みたいな作品なので、少し退屈かも。親切なぶんくどく感じるって言うか。「うん、あなたたちがそう思ってるのはじゅうぶん分かったし、そこが私は好きなんだから、早くあなたたちにとっての正解と破滅を見せて」とじれったく思ってしまった。
…こう言葉にしてみると、私は村田沙耶香を構成する要素のうち、女性性に対する違和ではなく、破滅を避けない純文気質なところが好きなだけかもしれんね。芥川賞作家っぽいところっていうか。

ちなみに、コンビニ人間が気に入って著者の同じ作品を読んでみようかな〜って思ってる人には、この小説より地球星人をおすすめしたい。そっちの方が読後感は似てる。

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2024年09月07日

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ネタバレ

地球と交わろうとする話で、朝井リョウさんの正欲のことを思い出した。三人の女性が登場するが、そのうち二人の視点で展開されていく。残された椿の視点が描かれていないためか、最初は好印象だったのがだんだん嫌な人間に見えてきてしまった。

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2024年04月09日

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ネタバレ

雨の中の公園のベンチで傘をさしたまま飲むお酒、あてのない電車の旅、夜の屋上で食べる夕食、忍び込んだ自習室で過ごす夜。こうして並べてみるとなんだか青春っぽくて、生々しい描写も多いのに全てが水のようでサラッとしていて、不思議なアンバランスが面白い。

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2024年01月26日

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性別に違和感を抱く女性を描いた作品。
著者の村田紗耶香さんがデビュー作から女性の性に関して、
様々書いてきていますが、今作は、発表当時(2010年)よりも
今(2023年)のほうが議論されることが多い、LGBTQを取り上げている
作品である。

主だった女性は3人だが、視点としては、2人の視点から交互に
物語は進んでいくのだが、最後はどうも読解力がかなり必要な感じがして、
理解するのは難しかった。

1人目の視点は、19歳のフリーターの里帆。
里帆は、セックスをした際の嫌悪感によって、自分は男性なのか、
それとも・・・と言う葛藤が始まる。
2人目の視点は、31歳の社会人の知佳子。
知佳子は、何とも理解が難しいので、読んで確認してほしい。

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2023年10月08日

Posted by ブクログ

19歳の里帆はセックスが辛くなってきた。自分は女にのだろうか?一度、無の状態となって自問自答する日々。出会った31歳の椿と千佳子の三人は性の悩みを抱えながら生き方を模索しているのが大変であると思う。

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2023年06月18日

Posted by ブクログ

性で悩み「第二次性徴のやり直し」をする19歳女と31歳女2人。
女性3人の衝突と模索を書いた作品。

いくつか読んだ中で1番共感できなかった。
私の身体の中にこの作品の要素がなかった。

ただ理解はできた気がする。
他人が他人として生きていくための第一歩。
型にはめたいし、仲間を作りたいから多少無理してでも合わせてしまうけれども、1番自分が心地よい範囲内でグラデーションの中をゆらゆらしながら生きていきたい。
真面目と素直の間を行ったり来たりしたい。

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2023年05月09日

Posted by ブクログ

三人の女性達の女性という不確実な性別への懐疑的な思いをのせたハコブネ。
19歳の里帆は、女性である事に自信がない、あるいは懐疑的。今一度、自分の性別について考えようとする。31歳の椿は、女性としての自分磨きを怠らない。同じ31歳の友人の知佳子は、性の対象が宇宙的。彼女らは、有料自習室で出会い、お互いの性に関する認識とその対応を模索する。
ヒトが生きていく上で、性別という区分が必要か否かというところが主題なのかなと思う。肉体と精神の不一致を考えるとしても、性別のどちらかに統一するのではなく、全て自由で良いのではと前向きに終結する感じ。
男女という性別に悩むのは、ヒトのみなのかな。動物の雄雌という範疇から外れる事で、自由な生き方を得る?それは自由そうだけど、滅亡しそうかなぁ。

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2023年03月21日

Posted by ブクログ

『丸の内魔法少女ミラクリーナ』以来の村田沙耶香san。

無性別を求める里帆、女であることに固執する椿、物体として生きることを選んだ知佳子。三人が乗った見えない「ハコブネ」とはー。

自分のセクシャリティーに疑問を持つ里帆から始まる物語。正直、よくある展開かな と思っていたら、第2章では知佳子からの視点に変わり、世の中の皆が壮大な「おままごと」をしているみたい という捉え方がとても新鮮でした。私も少し解るから。

また、随所に私の好きなフレーズが散りばめられていました。
・声の温度が低くなったような気がして
・痛みを慈しむように、服の上から心臓を撫でた などなど。

誰かがいつか「やーめた」と言ったら、本当にいまの世界が消えてなくなり、皆、ただの星の欠片に戻っていくのかもしれません。それぞれのハコブネに乗って。

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2023年01月22日

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里帆と千佳子、2人の視点から描かれる描写はすごく複雑で、その複雑さがそれぞれの悩みの大きさなのかと思った。

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2022年12月29日

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千佳子と里帆の心情、一生懸命説明してくれてるけど結局よく分かってあげられなかった。
人の気持ちを汲み取るのが上手いと自負してたけど
こんだけ説明されて分からないのに少し知っただけでその人全部を分かった気になるなよと言われた気がした。

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2022年11月06日

Posted by ブクログ

たぶん椿がいちばん「普通」の女性
だけど、椿がいちばん自分には理解できない存在だった不思議

村田先生の作品は4冊目くらいですがどれも「普通」の枠を考えさせられる
「普通」の枠の飛び出し方がすごい
惑星を相手にする知佳子の見ているものはすごい

自分にも人と違う、変わってる、みんなが普通にすることができないとか不自由なところを持ってて、マイナスに感じることもあるのだけど、村田先生の作品を読むと、殻のぶち破り方のレベルがとんでもなく、なんだか漠然と元気が出てしまってすきです

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2022年10月07日

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