村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うーん、変な話を読んだなぁ。
というのが第一の感想でした。
「変半身」
島に伝わるポーポー様とポピ原人の話や、抗えないはずの秘祭、「モドリ」の役目――子どもの頃から叩き込まれた島の教えと、淡い初恋。閉塞感と信仰心に支配された思春期のひりひりした痛み……みたいな青春ものではないです。なぜなら村田作品なので。「はっ?」という展開が次から次に重なり、そして大人になった主人公もやはり「はあぁ…?」という生活をしている状態。そのあたりの不可解さとぶっとんだ設定展開はぜひ読んで楽しんでいただきたい(笑)
ただ、結末はあまりにも「いや、なんでやねん!」と突っ込まずにはいられない締め方で(いや、締めてるのかこれは?)いままでの伏線らしきものは何だったの? となったのが(それが見どころかもしれないですが)、私としてはすこし残念でした。
で、タカヤさんは結局なんだったのか(笑)
私の読みが甘いんでしょうか。
「満潮」
潮を噴きたい気持ち、について真剣に考える夫婦の話。まぁまずもって、そんなテーマを掲げて中編を書こうと思い立って実践しちゃって、しかも最後まで読ませるという才能はさすが人並みはずれている、けれども理解しがたい。主人公がなぜそんなに性的なことをまじめに考え悩んでいるのかについては、きちんと過去の経験をふまえて説明されているのだけど、まぁ……あまり共感はできない。なので、よくわからないまま読み終えてしまった。
ちなみに、他作品と同様、性的な描写を露骨に描いているにもかかわらず、まったく性的な雰囲気はありません。
『コンビニ人間』『殺人出産』で村田沙耶香ワールドに衝撃を受け、『消滅世界』『生命式』『地球星人』など独特の視点で語られるクレイジーな世界観が好きですが、今回の作品は「?」が多すぎてすこしなじめなかったかも。
でも、まだまだ村田作品を読みたいです。 -
Posted by ブクログ
岸本佐知子さんの編んだ書き下ろしアンソロジー、タイトルに惹かれてまず読んだ津島佑子の短編「ニューヨーク、ニューヨーク」が素晴らしかった。読みながら、読み終わってから、幾つものことを思った。
「ニューヨークのことなら、なんでもわたしに聞いて。それがトヨ子の口癖だった、という」冒頭のセンテンスを読んで、わたしも数年前の夏に数冊の本を読むことで行ったことのない「ニューヨークのことはもう分かった」と嘯いたことを思い出す。そこには彼女がニューヨークを思うのと同じように個人的で特別な理由があったのだけど。
その後に元夫と息子がこの世にいない彼女について語り合うことで明らかになり“発見”される、今まで知り得なかった「彼女の孤独や哀しみやささやかな矜持や希望」あきらめ、恨み、失望は、編者あとがきで岸本さんが書いているように「私たちみんなが心の奥に抱えているもの」なのだと思えた。少なくとも、わたしは同じようなものを抱えていた。改めてそれらを見つめることになる。さらにその語り合い、解釈を通して「なにか肝心なものが欠けた存在」では、と思いはじめる元夫、名無しの“男”の人生に自分を省みて、思い出し落ち込み、わたしも「少し涙ぐむ」。
そして、もういない人を語りあうこと、あるいは不在になったときに語られることについても考える。別の方向からの印象を聞き、ぶつかり合いすり合わされることで、新しい印象が浮かび上がる。それは勿論“正解”ではないのだけど、新たな、あなた、わたしが描き出される。何処までいっても憶測でしかないそれを、真実とその人自体だと思い込む、そうせざる得ないことは、実はとても恐ろしいことなのではと思い至る。しかし、人も含めた世界はそうやってしか捉えることが出来ないのなら、それは真摯に語られるべきだ。この小説のように。そんなことを少しこじつけて思う。とても素晴らしかったけれど、予想していなかった怖い思いもした短編小説だった。太宰治の娘だということはさっき知った。「電気馬」も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ムーミンのマグカップ」…デザインにストーリーを感じるところにとても共感した。
「正座が逆の人へ」…書いてある通りに想像してみたがいまいちピンとこなかったので実際に見てみたい。
「「走らせている人」たち」…並走させている人がいるのに驚き。各々どんなキャラクターを走らせているのか聞いてみたい。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」…イベントに参加したことはないが、真っ暗な空間にずっといると次第に慣れてきて、暗闇をてくてく歩く妙な大胆さを感じたことを思い出した。
「港区芝公園界隈」…から始まる4つの話が好きだった。日常と非日常の配分が絶妙で、いくら読んでも苦しくならない。挿絵も文字もホッとするしかわいい。このシリーズの本を読みたいくらい。 -
購入済み
男女の性行為が、古く時代遅れで意味のないものになってしまった世界。いつか人類の価値観が大幅に変わって本当にこんな風になってしまうんじゃないかとすら感じた。実験都市となった千葉で同じような子供が生まれ同じように育って、機械みたいだと思った。少し気味が悪かったけど話としては楽しめた。
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Posted by ブクログ
とても読みやすいエッセイ集です。
村田沙耶香先生らしい独特な視点で描かれています。
1番びっくりしたのは、ぬい活をしていることでした!
私もぬいぐるみやドールが大好きなので、大好きな作家先生も同じような嗜好を持っていることが嬉しかったです。
クスッと笑ってしまったエピソードもあり、ひとつずつのお話がとても短いので読みやすいです。
スキマ時間に少しずつ読むのにちょうど良かったです。
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デビューから現在まで各紙誌に書いてきたエッセイを一冊にまとめた決定版。
小さな頃の思い出から、影響を受けた本や音楽、旅先での出来事、
今まで気づかなかった勘違いに、コンビニバイトのこと。
Twitterで話題の『「走らせている人」たち』も収録! -
匿名
購入済み社会が求める「普通」という名のコードとの距離感の問題はある人にとっては問題とも認識されず、またある人は完全にそれに同化してそのコードを拡大再生産する尖兵ともなり得るが、本作の主人公にとってはそれは対象として認識は出来つつもそのようには振る舞えない。一方で「コンビニ店員」としてのコードは完璧に振る舞うことができる。対して白羽にとってそのコードは自身を攻撃してくるのもでしかなく、と同時にそのコードを使って他者を攻撃してもいる。矛盾しているようでいて実際にはこのような人は多く見かける。
コンビニの他の従業員や地元の旧友、そして主人公の妹などは、彼らの価値体系(と言ってもそれは彼ら自身の頭で作り出されたものではなく社会が求める普通という規範であるが)からすると理解不能な主人公を、自身の理解可能な地平に持ってきてジャッジしようとする。そして「叱って」異物を排除して、内部の、「こちら側」の結束を固めようとする。
理解不可能なものを理解不可能なものとして理解する知性は多くの人には無いのだ。 -
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べないのにどこか似てる。
それでも、男は無言の圧力を与えてる。そして、女性も無言の魅力を巻き散らかしてる(人もいる)
本当に、性というものは複雑で厳しいものだ。
女性の、子を成す性の役目は特権でもあり重しでもある。セックスは多様な価値を持ち、時に持て余し、崇高なものにもなり娯楽にもなりうる。。
そんな世界で、女性は男にどう見られるかに迷い陳腐化する。パンツを売り、安易に自己承認も得ている一部の女性を男が「女はずるい!」と叩く。
でも、そんな事ができる性の生き方は辛いだろうな、とも思う。
男と女、どちらが辛いと比較するものじゃないけど、男よりも女性の辛さは複雑で、どれを選ぶにしても(選ばないにしても)自己責任を押し付けられる生き方は厳しいと思う。男の辛さも簡単ではないけども、女性は年齢とともに役割と身体がめまぐるしく変わり、それにつられて求められ方も変わる。
僕は、見ず知らずの女性に数万円払えるほどお金もないし、あったとしても自分の為か家族の為にお金を使おうと思う人だけど、世の中にはお金で女性を買う事に躊躇のない人がいるのも知ってる。ひょっとすると僕がいつも遊んでいる連中にもいるのかもしれない(彼らがそんなにお金をもってると思えないが)
それだけのお金があるのは一部の男なんだろうけど、多かれ少なかれ男は性の対象として女の人を見てるというのは分かる(逆に比べればその対比のバランスの悪さが本当に悲劇でしかないと思う)。そして、女性は男性の欲望を当たり前として受け止める事に疲れ果てて諦めて、で、今、怒りを示している。
いろんな価値観がアップデートされている。「ねーちゃん、えぇケツしてんな」は失礼な事。
そのアップデートがで -
Posted by ブクログ
ネタバレいやぁ、今回も村田沙耶香さんすごかったなぁ…。
「変半身」は、ミッドサマー的な感じ?と思っていたけど、卵ぽいものを産んだり、ポーポー言い出したり、「ニンゲン」が終わったりともうファンタスティックでした…。
「満潮」はもうね、意味がわからない。旦那が急に潮吹きたいとか正気の沙汰じゃないでしょ。それをなんだかんだ受け止めて、なんなら私も潮吹くことにした。とか言う佳代もすごい。でも、潮吹きたいって言ってからの方がお互いなんとなく分かり合えてる?仲良くなってる?そんな感じになってるからすごいのよ。ほんと、村田沙耶香さんの作品って、唯一無二だよなぁ。