村田沙耶香のレビュー一覧
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コンビニ人間に次いで読んだけれど、改めて凄い作品。
何気ない違和感がさらっと強調されることなく書かれて語りかけてくる。登場人物たちが異常なのか、はたまたこんな違和感を抱えてしまう自分の方が洗脳されているのか、どっちがどっちか分からなくなってしまう。
最後までピュートの正体はわからなかった。主人公にとっての過酷な生活の中で作り上げられたイマジナリーフレンド?なのかなとは思ったけれど、。
いたずら、という安易な言葉で済まされてしまうけど、そのいたずらは主人公を永遠の呪いにかける恐ろしい所業であるにも関わらず、主人公の告解は残酷にもいたずら程度に、軽く流れてしまう社会に少し絶望してしまう。
登場人物 -
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ネタバレ•信仰
「なぁ、俺とカルト始めないか?」
それはカルト信仰の勧誘ではなく、カルトを”創設”する誘いだった…
圧倒的な”現実主義”のミキは、ブランド品や怪しいセミナーにお金を大量に使う周りを酷く軽蔑していたが、”夢”を見ることができない自分が嫌になり…
•生存
生存率とは、65歳まで生きることができる確率を指す。
最上位Aは80%以上から、最下位Dは10%以下まで(野人として、自然で生きていることもある)。
食料が枯渇し、学力•収入が「生存率」として判断される世界では、生存率を上げる事こそが人生よ中心となりつつあった…
幼少期から生存率が「C」だったクミの、「生存率に囚われて生きていく今後はま -
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インパクトあるタイトルですが、中身もかなり斬新です。倫理的なことを無視すれば少子化対策としてはかなり良いシステムだと思います。少なくとも9人ずつは増えていくわけですから。
もし自分が産み人だったら誰を殺すだろうと考える読者は多そうですが、自分が死に人と告げられたら誰に殺されるのだろうと考える人はあまりいないかもしれません。特にラストの実際殺していくシーンを見てしまったら余計に誰を殺そうかになると思います。
主人公たちの視点で進むのでそれは当然です。でも死に人がいないと成り立たないシステムなんです。チカちゃんのお母さんは一体どういう気持ちで参列者に頭を下げたんだろうと思うと、やはり倫理的には肯定 -
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「人間社会」の姿を少しだけ大袈裟にいや、本当の意味ではかなりリアルに表現をしている小説だと思った。
「母」という存在に対して、父や子供の便利な道具として表現したりと残酷的ではあるもののみんながあえて口にしない、けども根底では感じていることを言語化されたような感覚になった。
主人公の如月空子は、自分の感情がなくコミュニティごとに自分の言動や行動を変えている。
あるところでは「姫」と呼ばれていたり「おっさん」と呼ばれていたりと、これも少し大袈裟に書かれていると思いきや、自分たちも同じくらいの規模感でコミュニティごとに性格を変えているなと思う。
例えば親の前と友達の前では、性格が全然違うように -
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村田沙耶香の物語は鈍器で頭を殴られている感覚がする。自分の中の「当たり前」や「常識」がずっと揺さぶられている感覚。
短編でサクサク読めるのに、ひとつひとつの物語に衝撃を受ける。
特に好きな話は「二人家族」
性に奔放な女性と貞淑な女性、正反対の性愛価値観をもつ2人がそれぞれ子供を産み育て家族として暮らした話。
なぜこの話に心打たれているのかはまだ、うまく説明できないけれど、2人の関係性がすごく素敵だと思った。新しい家族の在り方を教えてくれた。
2人は同性愛者ではなく(異性のパートナーがいたこともある)本当に2人で暮らしたいから、一緒にいたいから居る、という描写のされ方をしていて、そこが良かった -
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ネタバレ上巻では、人格の分裂、世界①世界②世界③の誕生、ピョコルンの登場から始まる。
空子の思春期のシーンで印象的なのは消費に対する絶望である。
男性から性を消費されることへの絶望。
母が家族から人生を消費されることへの絶望。
周囲から理想的な体型、キャラとして消費されることへの絶望。
最初二つの絶望に関しては私も共感する部分があった。
特に母の消費は私も近くでよく見ていた。
私は自分の母を「道具としてこき使っている」とは思っていないが、
母はこの本を読んで共感するのだろうか。
空子から見た世界は常に目上、恋人、はたまた正義にさえ媚びていて、
自分が恵まれてもかわいそうでも無いことに安堵しつつ、「クリ -
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ネタバレ私たちが当然のように受け入れている社会の仕組みや価値観を、ほんのわずかに傾けることで、その足場の脆さと滑稽さを浮かび上がらせる。
表題作では、丸の内で働く一人の女性が「魔法少女」という装置を内面に抱え込みながら、過酷で均質化されたビジネス社会を生き抜いていく。だがそれは単なる現実逃避ではない。むしろ彼女にとっての“変身”は、自らを守り、世界に抗うための知的で静かな抵抗である。組織の論理や「普通」の規範に飲み込まれそうになりながらも、彼女は内なる物語を武器に、日常を戦場へと変えていく。その姿は滑稽でありながら、同時に崇高ですらある。
本書に通底するのは、「適応」と「変容」という主題だ。社会に -
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はじめは子どもじみた〇〇星人だからいつか宇宙船に乗って帰るとか、宇宙船が来なくなったけど、この人間社会の罠にハマりたくないとか、冗談じみていましたが、小学生だった奈月さんが34歳になって結婚した旦那の話しも含めて、だんだん正常な人間がおかしいのか、宇宙人と思い込んでいる人がおかしいのか。そもそも地球にいる生き物自体が気持ち悪くも見えてきました。
その流れの中に、児童性的虐待が盛り込んでくるあたりが、今までにない感覚で、新しい表現で新鮮でした。
確かに、理解し難い結末で、???がたくさん付くオチになっています。
しかし、「なにがあっても生き延びる」と誓った、奈月さん、その旦那さん、そして由