村田沙耶香のレビュー一覧

  • 授乳

    Posted by ブクログ

    周りの環境を変えることができないから、自分の中で完全な世界や絶対的な世界を作ることで、心のバランスをとる。
    そうした結果、他者との隔絶、むしろ、他者は人ではない物体としての認識で、世界が作られていく。
    これまでの世界のモラルに当てはまらない人が主人公になっているけど、もしかしたら未来のこの世界の姿かも、とも思った。

    0
    2025年12月16日
  • 世界99 上

    Posted by ブクログ

    主人公は、したたかなのか、はたまたとんでもなく愚かなのか。私だったらとても耐えられそうにない暮らしだけど、彼女はそれほど悲観しているわけでもなさそう。ピョコルンやラロロリン人の存在のせいもあって、ザワザワした気分がとまらない。気持ち悪いけど、読まずにはいられない。この世界、下巻でどうなっていくのか。

    0
    2025年12月15日
  • 信仰

    Posted by ブクログ

    小説とエッセイが織り交ぜられた作品集です。
    小説だけの短編集かと思って読んでいたら急にエッセイが来て少し驚きました。
    著者のエッセイを読んだことがある人なら抵抗なく読めますが、初めて読む人には少し取っ付きにくいかもしれません。
    私は著者のエッセイ(思考、価値観、物事の捉え方)が大好きなので楽しんで読めました。

    小説の短編集はSF的なお話も多く、星新一のショートショートが好きな人が楽しめそうな内容でした。

    1番心に残ったのは「いかり」です。
    これは戦争に関するエッセイでした。
    著者にしてはとても珍しいテーマのエッセイだと思いますが、ものすごく心が揺さぶられたのが伝わってきて鬼気迫る内容でした

    0
    2025年12月15日
  • 世界99 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    上巻からの続きといった感じで、現実がグニャリとする感覚はもう感じられないものの、それが日常になった世界を生きている感じがする。
    どれだけ記載が”わかる”かによって不幸度合いが可視化されているような感覚に陥る。
    エピローグは切ないとともに、気持ちを考えると泣けてくる。

    0
    2025年12月15日
  • 地球星人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    常識とは砂上の楼閣か。必死に繋ぎ止めておかないと、もろくも崩れ去る。人として存在する上で、根底なのあるだろう常識さえも、存亡の危機に陥る。

    0
    2025年12月15日
  • コンビニ人間

    Posted by ブクログ

    「普通」についての物語。自身は主人公に近いところがあるかもしれない。あちら側として。でも、「自身は違う」と心で叫びながら読んでいたかもしれない。物語だと思って距離を置いて読んでいが、たまたま主人公にとって「コンビニ」だっただけで、自身にとっては「勤めている会社」がある種の隠れ蓑的になってはないかと思ったらヒヤッとした。仕事で一時期ご一緒した文学関係の方々が、村田沙耶香作品を称賛していたような記憶があって手に取った。巻末の解説が中村文則さんというのも乙な感じ。

    0
    2025年12月15日
  • コンビニ人間

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    12/14Audibleにて再読。夜更かしの読み明かしきっかけ。コンビニにここまで命かけて働いている人はいるのだろうか。

    0
    2025年12月16日
  • 消滅世界

    Posted by ブクログ

    千葉で描かれる、おかあさんと子供ちゃんの描かれ方が本当に気持ち悪かった。けど、私がいざ千葉にいったら嬉々として子供ちゃんのおかあさんになっているような気もする。最後雨音がいう、世界に適した狂い方が1番楽だ、という発言は正しいと思うが、何かが違うような気もする。一方、昔の価値観を雨音に押しつけるお母さんもちょっと違うような気がする。この世の善悪はその時の流行によるのではと思うことが多いが、自分にとっての善悪とは何かはきちんと考えておく必要があるなあ、まだ何かはわからないけど。

    0
    2025年12月14日
  • コンビニ人間

    Posted by ブクログ

    きっと多くの人が、自分の「コンビニ」の中で、誰かに合わせて愛想笑いをしたり、共感した(フリをした)り、その場にふさわしい「私」を演じたり、流行りの服を着て曖昧にやり過ごして生きている。この物語の主人公のように特別意識せずとも、それがこの世界を生き抜く術だと心得ている。改めてムズカシク考える必要なんてないのだ。そしてその大多数の人たちにとって「コンビニ」はひとつではない。「私」は一日の中でくるくると変化する。

    作中説明はないので想像でしかないけれど、脳の発達過程での問題を抱え、そのために思考が大多数とはズレてしまうのだと思われる主人公。彼女の「コンビニ」はひとつだけ。失敗を重ねながら作られるマ

    0
    2025年12月14日
  • 世界99 上

    Posted by ブクログ

    媚びるという事について、痛いとこを疲れてると思った。あえて設定を突飛にして、ダメージが軽減されているが男性のおぞましさや、対人関係などはリアル度が高い。何種類の世界が自分にあるだろうと考えてしまった。加えて、本当の自分は何かと考えさせられた

    0
    2025年12月13日
  • 地球星人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    【忙しいものがたり】

    かわいそう
    気持ち悪い
    かわいそう
    不憫

    …おや?

    すこしあぶない
    いや、あぶなくない
    かなりあぶない
    一周回って愉快
    吹き出しそうになる。

    ただし、
    地球星人の異常なまでの「つがい」への執着の描写には少し疑問が残った。
    そこまで振り切らないとこの物語は成立しなかったのだろうけど。

    とにかくいい意味でインパクト強すぎ。

    父親の実家の
    花柄の入ったコップとか
    自分が使っていい茶碗とか
    すごい生々しく思い出したし
    ずっとなんかのときにそういうのを思い出したタイミングでこの小説のことも思い出しそう

    0
    2025年12月13日
  • コンビニ人間

    Posted by ブクログ

    村田沙耶香さんの作品、初読みです!
    2025年初作家、59人目です。

    芥川賞を取った作品で、作品も作家さんも有名だけど、読んだことがなかったんですよね〜。

    読みにくいのかなぁとか思っていましたが、めっちゃ読みやすかったですね!

    普通とは何か?普通に生きられない人は疎外されなきゃならないのか?

    主人公はアルバイトとはいえ、ちゃんと仕事をして一人暮らしもしてるんだし、いいんじゃないのって思っちゃいました。

    白羽はシェアハウスの家賃は踏み倒すし、気に入った女性にストーカーするし、仕事はサボるし、真面目に働いている人をバカにするし、悪いと思うけど。

    もっと深く読まないとダメなのかなぁ(^^

    0
    2025年12月13日
  • 消滅世界

    Posted by ブクログ

    周りに合わせているうちに自分がわからなくなることがある。
    時には自分の価値観を振り返る必要があるなぁ。

    0
    2025年12月13日
  • 世界99 下

    Posted by ブクログ

    上巻に続き、わからなさと違和感を抱えながら読んだ。

    人間のリサイクルとわかっていても求められるピョコルンに、人はどれほどのしんどさを抱えながら生きているのだろうと心がざわつく。

    ピョコルンになりたいという気持ちは、どうしても理解できない。
    それで、すべてから解き放たれるのだろうか。
    人間をやめたくなるほどの苦しみを想像して、ゾッとした。

    汚い感情を持たずに、みんなが同じ記憶を共有し、同じように考える世界は本当に楽なのか。
    幸福とは何か…そんな問いが浮かぶ。

    自分の中の何かが見透かされたような怖さと、それでも読むのをやめられない面白さがあった。

    0
    2025年12月13日
  • 地球星人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     村田ワールド全開の衝撃作。普通の人間に擬態しようとする、世間から弾かれた主人公は『コンビニ人間』と同じながら、周りの人も可笑しく、終盤からどんどんぶっ壊れていく世界観がすごい。

    0
    2025年12月11日
  • 変半身

    Posted by ブクログ

    表題作の「変半身」はとてもエキサイティングかつグロテスク。傑作だと思う。
    「満潮」の方は、規範の反転という著者お決まりの設定であり、新鮮味はない。

    0
    2025年12月11日
  • 世界99 下

    Posted by ブクログ

    上巻のなんだこれー!!って世界に惹き込まれる没入感は、下巻だと少し薄れてしまったけどものすごい世界を見てしまった感はある。

    0
    2025年12月10日
  • 地球星人(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    村田さんの本はとても読みやすいのだけれど、内容はあまりの凄まじさに言葉を失う

    私たちが当たり前に生きている世界が必ずしも常識で普通のことではないというメッセージを感じる
    他人と同じように生き、決められたレールの上にいるとと安心するけれど、それは洗脳なのか

    大切なことは既成概念にとらわれるのではなく、自分がどうしたいかということ考えることだ
    ただそうすると自分の心は自由になるけど、この世では生きにくくなるだろうな

    0
    2025年12月10日
  • 消滅世界

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ここまでドラスティックに、かつ合理性を突き詰めた社会システムの姿を思考実験として描き切ることができるのか──それが、この作品を読み終えたときの最初の印象だった。

    性行為による生殖がタブーとされる世界で起こる、家族や子どもの生育を描いた本作。設定としては極端なのかもしれないが、人口減少や少子高齢化が進む社会において、これは決して完全な空想のディストピアではなく、「起こり得るシナリオのひとつ」として読みたくなる。

    特に印象に残ったのは、実験都市エデンの社会システムだ。
    生殖は体外受精に固定され、「一人の親に対する一人の子」という概念は消失している。都市は共同体として機能し、子どもは共同体全体の

    0
    2025年12月09日
  • 生命式

    Posted by ブクログ

    毎回、村田沙耶香の物語を読むと自分の発想の乏しさに絶望する。正しいとか常識だとか思っているものが実はとても脆い基盤の上に成り立っているものなのかもしれないと。そしてそれをここまで面白く物語として組み立てられることにも驚く。
    近未来の日常SFと言った感じで、こんな未来が来るかもしれない、もうそこまで来ているかもしれないと怖くなる。でも、案外今と変わらずそれなりに受け止められるのかもと希望も感じられるのが、なんだかよくわからない。

    0
    2025年12月08日