村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ村田沙耶香作品5作目。
タイトルを見て、地球人ではない主体からの視点の物語か?と妄想しながらスタート。初めは子供のファンタジー的なストーリーになかなか入り込めなかったが、あの事件の後からはスルスルと読み入ってしまった。お腹が大きくなるという結末に直ぐに飢餓が結び付かず、突然のファンタジー?と思ってしまったのだけど、よくよく考えて飢餓によるものだと分かる。異星人を選んだ彼らの行く末が絶望的過ぎたのだけど、果たしてそう思うのは自分が地球星人だから?
村田沙耶香さんの作品を幾つか読んで、SFタイプと写実タイプがあるように思う。SFの中にメタファーを見出す手法では新たな気付きがあるし、リアリズムを描 -
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ネタバレ
重かった……非常に重い……。
でも読んだことを後悔はしてない。村田の小説はいつも社会の「あたりまえ」に無垢な疑問を投げかけて、読み手に新しい視点をくれる。
自分の中で言語化できていなかった疑問や違和感に、村田はいつも言葉で応えてくれる。その形はちょっと刺激的ではあるけれども。
主人公の奈月の、少女期に置かれている環境が過酷で辛い。
病気がち(?)な姉に依存する母の母子カプセルから放り出されて、言葉と暴力の両方の虐待に晒されながら、自己防衛のため唯々諾々と思考停止してる子供を狙って手を出す塾講師に性的虐待まで受けている、その闇。果ては、その辛い経験を同性に打ち明けた時、地球星人に洗脳された彼 -
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コンビニ人間、しろいろの街の、その骨の体温のを読んだあと3作目の作品です。
あらすじからどんな話なんだと思ってたけど読んでいる間終始眉間に皺がよる‥
私も恋愛という要素が人生の中で不必要でどう頑張っても社会の中にある軸をインプットし切れないなという共感と性被害へのトラウマへの辛さを感じました。
現実逃避の最高レベルというか想像し得い展開と納得できるセリフが入り混じっていて混乱するけど引きつけられる作品で凄い面白かった!
あと、女性間だとセックスしたかどうかみたいな生々しい話が普通にされるのでフィクションだけじゃない気持ち悪さを思い出してゲンナリしました涙 -
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ネタバレ今回も合理的なシステムを用いて、読み手側に是非を問わせないストーリーを巧みに表現されていました。10人子供を産んだら1人殺せるシステム。文章にしても口に出しても端的な構造。その世界には前々から人道なんか存在しなかったように。今作は終始シンプルでした。このシンプルさが余計に登場人物と世界観の狂気ぶりをより際立たせていました。世界99に比べて緩和しましたが、それでも今回もやはり生きた心地がしませんでした。これこそ村田紗耶香さんの力技。タブーやご法度を詰め合わせた鍋をこちらに「はい、どうぞ」と渡してくるのが、自分はいつの間にか中毒になっています。
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最後の展覧会の編がいわゆる児童文学のsf的な要素があった。こういった抽象さは好きなんだろうなと新しい発見があった。
村田沙耶香の切り抜く世界は社会の異様な光景や常識を改めて認識することが出来るところが面白い。彼女の見えている世界はここまで歪なのかと思ってはいたが、作中のエッセイで、小説は小説用の言葉を描いていて私の脳内を晒しているわけではないといっていた。心療内科に20年通い、病と付き合い続けていることを初めて知る。
きっと村田沙耶香は社会とある程度距離を保って保身をしながら生きている人なんだと思った。だからこそ見える俯瞰的な視点に、設定に、私は面白みを感じるんだと思う。 -
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人間は他者との関係の中でしか自己を定義できない側面が強いから、母親の役割を担わない純粋無垢な存在は最早概念に近いのかも。主人公は過剰適応の状態に近くて、慢性的な緊張だったり自己抑圧を強いられている。母親が肯定されなかったことで主人公の胸が躍る場面が印象的だった。ひかりが迫ってくることで高まる閉塞感は、太陽をじかに見た時の目の奥の鈍痛のよう 恐怖を宥めようとする時の手の平の湿り気や指のもつれ、迫る焦燥感の描写がリアルで読んでてしんど楽しい(ひかりのあしおと)
生きづらさの言語化がすごい 周囲との不調和を感じる人間の内面を繊細に丁寧に描いているから主人公の狂気がじわじわ自分に浸食していくのを感 -
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表題作『生命式』を含む12の短編集。
感想を一言で表すと"読む猛毒"だった。
脳みそを鷲掴みにされてぐらぐらと揺さぶられているような感覚で、読んでいるとどこまでが『正常』でどこからが『異常』なのか分からなくなってくる。
死者を火葬する代わりに鍋料理などにして食べて弔う『生命式』、死者の骨や皮膚を衣服や家具などに活用する『素敵な素材』など、ぶっ飛んだ話ばかりで驚きの連続だけれど、この2作は特に面白くて気に入った。
そのほかは奇妙を通り越して(個人的には)若干気持ち悪い話もあり、好みは分かれそうだけど、自分では思いもつかない世界に出会えて良かった。 -
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この世を人間工場という見方でしか見られなくなるくらい、希望や喜びがない状況がどれだけ過酷なことか。その痛切な世界観に圧倒された。
物語の中で繰り返される「何があっても生き延びること」という言葉。命の主導権を大人が握っている以上、極限まで追い詰められた子どもがどうなってしまうのか、その行く末が残酷なまでに描かれていた。
人の肉を食べて主人公が自分を全て取り戻したシーンは、想像するとゾッとする状況であるにもかかわらず、不覚にも感動してしまった。
それは単に恐怖からの解放だけでなく、隣にいる二人が「自分の味方でいてくれた」ことの大きさが、究極の形で表現されたからなのかなと感じた。
作中でピュートの声