村田沙耶香のレビュー一覧
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短編集でした。
エッセイのように本人が登場する話もあって、「これはどこまでが現実でどこからがフィクションなんだろう?」と不思議な感覚になりました。
『世界99』に似た世界観の作品もいくつかあり、現実と非現実の境目がゆらぐような読後感。村田さんらしい“異世界のような日常”が堪能できました。
最後に、西加奈子さんと村田さんが友達だと知ってびっくり。
作風の違うお二人がつながっているのが意外で、なんだか嬉しかったです。
「なぜウクライナの戦争は日本で大きく報道されて、ほかの戦争はあまり取り上げられないのか。…白人だからじゃない?」という一文にはハッとしました。
日常の中に鋭い問いが潜んでいて、 -
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ネタバレ「ポーポー」で半ページ埋まった部分見た時は、恐れと驚きで一瞬ゾッとしたけど、その後は可笑しくて笑ってしまった。
読んで、人や歴史は創られるんだなーって思った。「想像の共同体」を思い出した。
これまで信仰してた人間教を脱し、言語を創造し、歴史と人の認識を刷新し、新しいポーポー物語を島の人々に強制することで、人々は自らをポーポーという同じ世界を共有する同族だと信じるようになった。
村田さんは現実世界における、人々の無意識や、社会の当たり前を、小説を通して言葉を与える事で描くことが本当に上手いなと思う。小説の内容は気味が悪いと思われがちだけど、リアルと地続きなフィクションを描く、村田ワールドは結 -
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ネタバレディストピア系を初めて読みました
うちにこの作品を説明出来る語彙力がないことを感じ
ました
殺人出産(表題作)
10人産んだら、1人殺しせる世界では、強い殺意は才能としてる感じや、日常会話で「殺したい人いるー?」が普通に出てくる
あと、セミのスナックと、蟻のサラダも今じゃありえないが、この世界では流行りの食べ物とされてたところとかも変だった
うちの異常は誰かの常識かもしれんと感じた
トリプル
3人はうちには想像がつかない、やはり2人でしょと思うのも先入観みたいなものかもしれない
うちは凝り固まった価値観しか持ってないかもしれない
清潔な結婚
一番現実味がある気がした
今でもこういう人いそうだけ -
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ネタバレ『ひかりのあしおと』
誘拐する側の話はあまり読んだことがなかった。蛍があまりにも純粋なので、どうか傷つけないでほしいと願ってしまった。いわば同意のないまま関係が進んでしまったということだと思うので、後に傷になることもあるだろう。
母と娘の関係もあまりに歪なので、読んでいて苦しかった。母に対する不快感をどうしたらいいのかわからなかった。でも現実にこういう親子って存在していると思うのだ。リアルなフィクションでありあまり他人事とも思えない、その点が一番苦しい。
『ギンイロノウタ』
私が化け物だとして、なんて書き出しの小説、苦しいに決まっていた。ひとり静かに狂気に侵食されていく過程を見せられていたの -
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現実とは真逆と言っていい世界観。さすがにこれはちょっと……と思うのは、それだけ現実の価値観が馴染んでいるってことなんだろう。最初からこの世界を見ていたら、きっと何も思わない。特に「余命」は斬新な視点だった。価値観ってなんだろうね。
表題作。この世界で「産み人になって殺してやる!」と宣言したら、それは脅迫罪になるんだろうか。光栄だと受け止めるべきなんだろうか。産み人の遺伝子は殺意が強く現れるんだろうか。産み人から生まれた子が、また産み人になる確率とか計算したい。わたしの自由研究これにする。とか余計なこと色々考えちゃった笑
トリプルはちょっとええやん、と思ったけど「マウス」で快感を得られる自信 -