村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ「10人子供を産めば、1人を殺してもよい」という「殺人出産制度」が導入され、100年が経過した日本。少子化対策と殺意の処理を同時に行うこのシステムが、社会の「常識」として定着している世界を描いた作品。
狂っているようで細かい部分が非常に論理的で、面白かった。昔の倫理観を引きずっている同僚は、精神的に可哀想な人のように扱われ、最後は殺されてしまう。正しさってなんなんだろうな。共同体、その世代の倫理が作った箱に過ぎないのかな。
あと、子供を人工的に作ることが可能な時代にはどのような倫理観の変化があるのかなということも考えた。確かに人工子宮とか男性が子供を産むとかそこまでのフィクションはまだ存在 -
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これぞ村田沙耶香ワールド。
家族や恋人や男女関係など、それに基づく世の中は複雑な連立方程式の様に成り立っていると思う。それを因数分解して、小さな要素にした後に新たに効率だけを求めた世界に構成し直したらどうなるか。
今の世界は消滅して新たな世界に移行できるのか。
千葉はそうなるんだなぁ。(笑)
冗談はともかく、ある面で現代は実際にその過渡期にあるのかもしれないと思わされた。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを追い求めるばかりに人間らしさはどこか置いてきぼりにさせられ始めていないだろうか。
家族や恋愛を面倒くさく感じながらも自分の都合にいい部分だけ求めていないだろうか。
それを社会全体 -
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表題作ほか幾つかの作品に強く惹かれました
基本的に人間というものに期待していない作者らしい作品集です
「信仰」はそれに加えて突き抜けたユーモアもあり、Netflixあたりでドラマ化を希望!
本の概要
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」
好きな言葉は「原価いくら?」
現実こそが正しいのだと強く信じる、超・現実主義者の私が、同級生から、カルト商法を始めようと誘われて――。
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の11の短篇+エッセイ。
表題作は2021年シャーリィ・ジャクスン賞(中編小説部門)候補作に選ばれました。
文庫化にあたり、短篇小説「無害ないきもの」「残雪」、エッセイ「いか -
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小説とエッセイが織り交ぜられた作品集です。
小説だけの短編集かと思って読んでいたら急にエッセイが来て少し驚きました。
著者のエッセイを読んだことがある人なら抵抗なく読めますが、初めて読む人には少し取っ付きにくいかもしれません。
私は著者のエッセイ(思考、価値観、物事の捉え方)が大好きなので楽しんで読めました。
小説の短編集はSF的なお話も多く、星新一のショートショートが好きな人が楽しめそうな内容でした。
1番心に残ったのは「いかり」です。
これは戦争に関するエッセイでした。
著者にしてはとても珍しいテーマのエッセイだと思いますが、ものすごく心が揺さぶられたのが伝わってきて鬼気迫る内容でした -
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ネタバレここまでドラスティックに、かつ合理性を突き詰めた社会システムの姿を思考実験として描き切ることができるのか──それが、この作品を読み終えたときの最初の印象だった。
性行為による生殖がタブーとされる世界で起こる、家族や子どもの生育を描いた本作。設定としては極端なのかもしれないが、人口減少や少子高齢化が進む社会において、これは決して完全な空想のディストピアではなく、「起こり得るシナリオのひとつ」として読みたくなる。
特に印象に残ったのは、実験都市エデンの社会システムだ。
生殖は体外受精に固定され、「一人の親に対する一人の子」という概念は消失している。都市は共同体として機能し、子どもは共同体全体の