村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
名前から惹かれて、表紙もすごく可愛かったから購入した。前回の「コンビニ人間」も面白かったが、「丸の内魔法少女ミラクリーナ」はポップなため、笑いながらも、社会問題を抑えてるなと印象があった。
「人は見た目ではわからない。でも、本当はみんな鞄の中にそんな秘密を潜ませているのかもしれない。つり革につかまってしゃべっている50歳くらいのおじさん二人はほんとはなんとかレンジャーのレッドとブルーで、・・そうだといいな思ってみてると・」が自分たまに考えちゃうなと笑ってしまった。
「それが正義だと思ってた。でもさ、大人になるとわかるけど、正義なんて結局は善意の押し付けでしかないじゃん?」ポップな作品なのに、現実的な発言にたまに面を食らう。わかっているけど、正義を振りかざしてしまう自分にたまに嫌気をさすのを思い出した。
「無性教室」と「変容」は、読みながらこれから社会は同じように動くかもしれないと妙に納得感もありながら、皆が良いと思った世界でも、葛藤する人物は生まれてくるのだなと思った。
「秘密の花園」は、個人的には好きな作品だった。
藤野可織さんの解説の、「小説とはつまり私たち自身の取扱説明書なのだということを思う。それは、処世術とはあまり関係がない。自然がつくりあげた私たちの身体や私たちがつくりあげた社会の仕組みについての共通の認識を確認し直し、微かに入り細に入り検証し直すことによって、私たちにとってどのような生が可能なのか。」にすごい共感した。自分にとって小説は面白いから読むものでもあるが、自分の認識と世界のズレがないかを確認する作業でもあるからだ。
いろんな本を読んで自分とのズレの把握とそれを楽しめる大人になりたいなと感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ村田沙耶香さんの短編、エッセイ。
コンビニ人間しか読めてないけど、この方の感性の鋭さとか、周りに溶け込まない違和の雰囲気は、凄く独特で魅力的です。
標題の「信仰」は特に良かった!
ぼくも、マルチを馬鹿にしている所はあるけど、ブランド物にロマンを感じたり、テーマパークに心踊らせたりは普通にするし、それらに何の違いがあるのかは、確かに分からない。
これらを「信仰」と括って、カルト教団の物語に仕上げるセンスには脱帽するし、ラストのめちゃくちゃな展開には、不気味さ、爽快感、馬鹿馬鹿しさ等いろんな感情を掻き立てられました。
最高に面白かったです。
あとは、「書かなかった小説」も好きだな。
設定の斬新さもさることながら、間のストーリーを全く書かないという斬新な構成。それでいて、話の繋がりは読者側でも何となく描けて、書かれていない話の想像が掻き立てられる。
これ、下手すると、実際に書かれるよりも面白いんじゃないかな…??
他の小説もかなりぶっ飛んでいて、設定について行くのは大変だけど、面白い。
人間が動物になったり、奇妙な世界が当たり前になっている感覚は、映画監督のヨルゴス・ランティモスにも通ずるものを感じました。
こんなに鋭く、痛々しく物事を捉えられる感性に憧れますが、エッセイ部分をみるに、村田さんってめちゃくちゃ繊細な方なんだと感じました。日々生きるのは、凄く大変だろうなと。
ものが見えすぎるのも幸福とは言えないというか、下手に感性に憧れるとか言うのは、村田さんに凄く失礼かもなと感じました。
でも、やっぱり村田さんの考え方、感じ方には惹かれるものがあるし、ほかの作品も読んでいきたいな。ストーリーだけでなく、作家の方のパーソナリティが気になるのは初めての体験ですが、小説という媒体自体、それを通して作家を感じるから、面白いとも言える気がしました。
良い読書体験でした! -
Posted by ブクログ
ネタバレ結局輪廻みたいに回り回っていくんだろうな……
楽園が本当にできても、その中からまた新たな異常が現れて、またアダムとイブみたいに、(今とは違うかもしれないけど)新たなセックスをして追放されていくんだろう。
そうやってまた異端から、小さな世界を作っていくのかもしれないよね、今の地球みたいな。
ダメだと言われたり、こうあるべきだというのを、守れないのも人の姿だと思うから、常に新たな発狂をする個体は、生物である限り生まれうると思う。
そういう意味では、理想のユートピアは人が生物である限り作れないと思う。
村田先生の作品を読むたびに、あらゆるものが相対的なんだなと思わされる。
正常と異常とか、絶対的なものじゃないんだな。
信じてるものがいかに脆いか。
そういうことを考えさせられる。
村田先生は、世界に要素を入れてみて、どうなるか実験している気分と仰っていたことがあるが、読めば読むほど、「どんなに理想的なシステムや進化があっても、人間は不完全なので常に綻びがあり、ユートピアは生まれない」ということの証明が行われてる感じがする。
一見こうなればいいな、と単純に思いつくような状況を実際に作り上げて、本当にそれが成立したらどうなるか、うまくいかないなぁ、という感想。
ユートピアにならないことが、人が不完全であることの証明になってる。
消滅したのは「個」だろうなぁ