村田沙耶香のレビュー一覧
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面白い本に出会うと、終わってしまうのが勿体無くなりちょこちょこ閉じながら読むのに、この本は一気に読み進めてしまった。
今迄読んだTheムラサヤワールド感を期待して読み始めたが、そうではないが、やっぱりムラサヤさんは凄いわ… 小説を書いてくれてありがとう。
西加奈子さんの解説も良かった。「価値観の奴隷」「それは本当に自分の気持ちから立ち上がった思いだろうか」「殺してないか」「たとえ醜さでも」
もっと早くに、学生時代に、気付いていたら良かった。けど今が一番若いのだ社会人になったって人間が集まるコミュニティでは往々だ。「勇気をくれたこの物語を忘れない」 -
Posted by ブクログ
初の村田沙耶香作品。
気持ち悪いのがむしろ気持ちいいというか、清々しい気持ち悪さで良かった。
気持ち悪さとか不快感を感じさせるのがめちゃくちゃ上手くて感動。
『素晴らしい食卓』なんかは読んだ後、食べ物が気持ち悪く感じて食欲が減退した。なので、ダイエットにいい作品かも知れない。
でも、ただ気持ち悪いだけじゃなくてユーモアと温かさがあってほっこりとした気持ちにもさせられる。
常識から少し外れた人物や世界観を正当化して描いていることで、世の中の常識などに対して疑問を持っている人やうまく適合出来ないと思っていたりして生き辛さを感じている人たちに優しく寄り添ってくれるのではないかと思った。
少なくとも自分は、この短編集に入っている作品たちに触れている間は自分の中にある世の中の正解とか人とは違う部分や感覚が許容されているなと思えた。
優しい短編集だと思う。
個人的に好きだなと思った作品は『夏の夜の口付け』と『二人家族』の芳子と菊枝シリーズと『魔法のからだ』、『孵化』。 -
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常識と信仰の違いは何だろう。
常識は正しくて、無害で、基準みたいなもの。様々な共同体の中で絶対的なもの。
信仰も基準となり得るが、個人的なもののように捉えられる。偏りがあったり、他人から見ると間違っていると考えられたり。
本書を通して、同じ信仰を持つ人々が共同体となったとき、信仰は『常識』になるのだろうと思った。
そうであるとすると、常識にどれだけ意味があるだろう。僕が常識だと思っていることは、本当に僕が信仰していることだろうか?常識とされていることをトレースすることにより、信じる事から逸脱してはいないだろうかと不安になる。
僕の『信仰』は何だろう。
あの人の『信仰』は何だろう。
考えていくと、人生豊かになる気がする。
それすらも信仰であると思うのだが。 -
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いつもの村田沙耶香作品といった感じの内容で、相変わらずの面白さだった。
母性がない母親のもとで育った恵奈は「カゾクヨナニー」という行為で抑えきれない家族欲を解消していた。「本当の家」を求めてトビラを探していたが、いざ恋人と同棲を始めてみると、お互いを家族欲の対象にし合う生活だということに気づいてしまう。
小4から高校生までの恵奈の成長過程について、特筆するようなエピソードはない。だけど恵奈自身の感性の鋭さ、物珍しさから面白く読むことができた。高校の夏休みのお試し同棲期間で「本当の家」なんてないのでは?と気づき始めるところが特に面白かった。
それにしても村田沙耶香って本当に月経のことをよく書いてるな……。
「本当の恋」は人生を手術するための麻酔だ、という文章には、たしかにそういう側面があるなと思わされた。「家族」になるための麻酔だ。そういう村田沙耶香独自の視点が本当に面白くて好きだなと思う。 -
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授乳:母性、みたいなものが描かれていて、先生には申し訳ないが(とはいえ先生も享受できてたか)母の愛がおもいのほか全うだった。
先に読んでいたタダイマトビラと比較して考えた。
コイビト:美佐子は幻想幻覚なのかと思いきやそうではなかった。幻想なのはホシオのほうなのか。でもまたきっと生えてくる?ぶん投げたのはよっぽどのことだと思うよ。
御伽の部屋: 要ニが謎。要ニ側からの物語も読みたい。
ムラサヤさん8冊目に読んだデビュー作、全作読んでないから何とも言えないし、上手く言語化できないが、、なんて言ったら良いのかなぁ、オブラート感。だから全部読みたい。一回読んだやつもまた読みたい。凄いなぁムラサヤさん。
とりあえずこれは2005年に書いてたのかぁ、凄いなぁ、、尊敬しかないわ。。 -
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人間は他者との関係の中でしか自己を定義できない側面が強いから、母親の役割を担わない純粋無垢な存在は最早概念に近いのかも。主人公は過剰適応の状態に近くて、慢性的な緊張だったり自己抑圧を強いられている。母親が肯定されなかったことで主人公の胸が躍る場面が印象的だった。ひかりが迫ってくることで高まる閉塞感は、太陽をじかに見た時の目の奥の鈍痛のよう 恐怖を宥めようとする時の手の平の湿り気や指のもつれ、迫る焦燥感の描写がリアルで読んでてしんど楽しい(ひかりのあしおと)
生きづらさの言語化がすごい 周囲との不調和を感じる人間の内面を繊細に丁寧に描いているから主人公の狂気がじわじわ自分に浸食していくのを感じた。
誰にでもその人自身の閉じられた世界があって、ひとりよがりに踠いては蹲って生きているんだなあ
多くの人が白を切る部分に対して忠実すぎた主人公が様々な道具に縋って自分の居場所を模索し続けるその一貫性に惹かれる部分もある(ギンイロノウタ) -
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表題作『生命式』を含む12の短編集。
感想を一言で表すと"読む猛毒"だった。
脳みそを鷲掴みにされてぐらぐらと揺さぶられているような感覚で、読んでいるとどこまでが『正常』でどこからが『異常』なのか分からなくなってくる。
死者を火葬する代わりに鍋料理などにして食べて弔う『生命式』、死者の骨や皮膚を衣服や家具などに活用する『素敵な素材』など、ぶっ飛んだ話ばかりで驚きの連続だけれど、この2作は特に面白くて気に入った。
そのほかは奇妙を通り越して(個人的には)若干気持ち悪い話もあり、好みは分かれそうだけど、自分では思いもつかない世界に出会えて良かった。 -
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村田沙耶香の物語は鈍器で頭を殴られている感覚がする。自分の中の「当たり前」や「常識」がずっと揺さぶられている感覚。
短編でサクサク読めるのに、ひとつひとつの物語に衝撃を受ける。
特に好きな話は「二人家族」
性に奔放な女性と貞淑な女性、正反対の性愛価値観をもつ2人がそれぞれ子供を産み育て家族として暮らした話。
なぜこの話に心打たれているのかはまだ、うまく説明できないけれど、2人の関係性がすごく素敵だと思った。新しい家族の在り方を教えてくれた。
2人は同性愛者ではなく(異性のパートナーがいたこともある)本当に2人で暮らしたいから、一緒にいたいから居る、という描写のされ方をしていて、そこが良かった。周囲は2人を偏見の目で見ていて「変な人達」と言われても本人たちは毅然とした態度で「私たちは学生時代の約束を実行しているだけ」と明言していた。恋愛や性的指向を理由にしないで、彼女たちを「普通の人」として描写していたことがとても嬉しく、勇気をもらえた。実際にこのような家族の在り方や暮らしをしている方もきっと世界のどこかには居るのだと思うけど、こういう形で「こういう関係性もあってもいいんじゃない」と新しい生き方と出会えたことはいいことだなと思った。