村田沙耶香のレビュー一覧
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村田沙耶香作品の中で1番好きかもしれない。
第二次性徴期を迎える少女の体と心の変化と、開発が止まったニュータウンが対応するメタファーとして描かれる本作。予算が打ち切られ途中で投げ出されたニュータウンと、想像したものとは違う形で突然成長が止まってしまった少女の身体。この秀逸な比喩と対比がこの作品の最大の魅力だ。
また、身体・教室・街が「コントロールの効かない閉じた箱」として紐づいたメタファーとして描かれる。身体は望んだ形でなくても抜け出すことのできない箱であり、教室はどんな居心地であっても卒業まで抜け出すことのできない牢獄であり、少年少女にとっての街も同様だ。
そして、そんな未熟な心と身体に宿ってしまった、恋とも性欲とも呼べない未熟な「熱」をコントロールできない谷沢が、独占欲と好奇心の入り混じった形で伊吹に叩きつけることしかできない。この描写がスリリングで痛々しく、愛おしくも感じた。
スクールカーストの描写も、読者の嫌な記憶を呼び覚ますほどにリアルで鮮明で、地獄だ。小学校まで存在しなかったカーストが中学入学と同時に突然誕生し、目に見えないのに明確に存在している。
そんな環境の中で、少女は自分の輪郭を見つける。それがこの作品の読後感を素晴らしいものにしている。一人の少女が不器用なまま大人になっていくさまを、丁寧に描いた作品だ。 -
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性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
男性作家版も出して欲しい所存です。
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惹き込まれる文章なので一気に読みましたが内容は全く理解できませんでした笑
ものすごく面白かったです!
でも全然共感できませんでした笑笑
女性の性がテーマですが、あまりにも斬新な見方なので読みながら何度も戸惑いました。
それでも時々すごく胸を打つ表現があり、なんとなくその気持ち分かるかも…?ってなる瞬間もありました。
2つの中編小説が収録されています。
1つ目のお話が強烈すぎてやばいです笑
あんな終わり方は初めて見ました笑笑
あんなラストを予測できる人なんて世界のどこにもいない気がします!
さすが村田沙耶香文学です!!笑
2つ目のお話はなんとなく気持ちが分かるような…でもやっぱり分からないような笑
変なお話なのになんとなく読後感が良い気分にさせられます。
それが癖になります笑 -
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村田沙耶香作品の中では比較的クセが少なく、読みやすい印象の作品。
周囲の目が気になり始める思春期の少女たちの日常が描かれるが、その裏ではクラス内のカーストや同調圧力が静かに蔓延しており、登場人物たちは息苦しさを抱えながら生きている。
「一軍」とされる存在が暗黙のルールを作り、周囲が無意識のうちにそれへ従っていく、そんな学生時代特有の空気感が生々しく描かれていて、読んでいて学生時代を思い出し苦々しい気持ちになった。
周囲の価値観に合わせ、自分を押し殺して生きていた主人公が、やがて“自分自身の価値観”を見つけ、その中で生きようとするまでの成長が丁寧に描かれている。
光と闇、陽と陰、上層と下層、正常と異常。
そうした対比構造が印象的で、思春期特有の残酷さと脆さが静かに胸に残る作品だった。 -
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小学3年生の時に始めた魔法少女ごっこを内面化して社会を生き抜く36歳独身女性の話、ほか。タイトルから食わず嫌いしていたけどガチで面白い。やはり冷笑は悪文化。『変容』が好き。作画中村祐介でアニメ化して欲しい。
小学生の頃からの友人レイナはDV男に引っかかっていた。今こそ魔法少女ミラクリーナに変身して彼女を救う時だ、というのは、小学3年生の頃の遊び「魔法少女ごっこ」のやめ時を失った36歳独身女性茅ヶ崎リナが、今も心の中で変身の呪文を唱えているのである。
エクスタシー五十川が好きすぎる。共感できないキャラクターの要素だけ抜き取って視点にするの面白い。『変容』は、川中でなくてエクスタシー五十川が主人公だと思う。終わり方も良かった。
面白かった。 -
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初の村田沙耶香作品。
気持ち悪いのがむしろ気持ちいいというか、清々しい気持ち悪さで良かった。
気持ち悪さとか不快感を感じさせるのがめちゃくちゃ上手くて感動。
『素晴らしい食卓』なんかは読んだ後、食べ物が気持ち悪く感じて食欲が減退した。なので、ダイエットにいい作品かも知れない。
でも、ただ気持ち悪いだけじゃなくてユーモアと温かさがあってほっこりとした気持ちにもさせられる。
常識から少し外れた人物や世界観を正当化して描いていることで、世の中の常識などに対して疑問を持っている人やうまく適合出来ないと思っていたりして生き辛さを感じている人たちに優しく寄り添ってくれるのではないかと思った。
少なくとも自分は、この短編集に入っている作品たちに触れている間は自分の中にある世の中の正解とか人とは違う部分や感覚が許容されているなと思えた。
優しい短編集だと思う。
個人的に好きだなと思った作品は『夏の夜の口付け』と『二人家族』の芳子と菊枝シリーズと『魔法のからだ』、『孵化』。 -
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常識と信仰の違いは何だろう。
常識は正しくて、無害で、基準みたいなもの。様々な共同体の中で絶対的なもの。
信仰も基準となり得るが、個人的なもののように捉えられる。偏りがあったり、他人から見ると間違っていると考えられたり。
本書を通して、同じ信仰を持つ人々が共同体となったとき、信仰は『常識』になるのだろうと思った。
そうであるとすると、常識にどれだけ意味があるだろう。僕が常識だと思っていることは、本当に僕が信仰していることだろうか?常識とされていることをトレースすることにより、信じる事から逸脱してはいないだろうかと不安になる。
僕の『信仰』は何だろう。
あの人の『信仰』は何だろう。
考えていくと、人生豊かになる気がする。
それすらも信仰であると思うのだが。 -
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いつもの村田沙耶香作品といった感じの内容で、相変わらずの面白さだった。
母性がない母親のもとで育った恵奈は「カゾクヨナニー」という行為で抑えきれない家族欲を解消していた。「本当の家」を求めてトビラを探していたが、いざ恋人と同棲を始めてみると、お互いを家族欲の対象にし合う生活だということに気づいてしまう。
小4から高校生までの恵奈の成長過程について、特筆するようなエピソードはない。だけど恵奈自身の感性の鋭さ、物珍しさから面白く読むことができた。高校の夏休みのお試し同棲期間で「本当の家」なんてないのでは?と気づき始めるところが特に面白かった。
それにしても村田沙耶香って本当に月経のことをよく書いてるな……。
「本当の恋」は人生を手術するための麻酔だ、という文章には、たしかにそういう側面があるなと思わされた。「家族」になるための麻酔だ。そういう村田沙耶香独自の視点が本当に面白くて好きだなと思う。