村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ「授乳」
誰が授乳するのかと思ったら、中学生の少女だった・・・。自分も中学生であったからわかるが、まあ普通はこういうことはない。が、体の中から自分の意思とは関係なく湧き出る欲求のようなもの、名前をつければ性欲というのかもしれないがが、それが支配したい気持ちと慈しみたい気持ち、そして自分はちゃんと慈しまれていなかったという怒りも合わせて、すべてがごちゃ混ぜになって、自分の体を操る。そんなぐちゃぐちゃなことってあるじゃないかと思った。変わりつつある身体から発せられるエネルギーそのものは、いろんな形をもって発現するのである。もちろんこういう極端な形をとることは少ないのだろうけど。だから、発現の仕方に -
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気持ちよさという罪、が1番好き
村田さんのエッセイを読むのは初めて
村田さんの物語の主人公たちは異質であることに自覚的で開き直っているというか、現実との接点に関してはそこまで思い悩んでいない感じがしていたから、彼女自身もそうかと思っていたが、村田さん自身は開き直ってあっけらかんというよりは、自分の感情や言葉に対してどこまでも誠実で、誤解されたり、良い感じのものという包装に包まれてしまったり、ズレたラベルを貼られてそれに自分すらも騙されたりするくらいなら、語られない方がまだまし、という風にとことん真摯に外的世界および内的感情に向き合っていると感じた
最後のエッセイ「いかり」の内容がかなり印象的。 -
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なんかよくわからないけどすごかったな。
授乳
思春期 中学生 が容姿、内面共にこの世で一番中途半端で気持ち悪い時期だと思っているから、この主人公はとても気持ち悪くてよかった。
自尊心、自意識が異常に高くて自分は間違いなくて周りがおかしい。
他社への支配欲、両親への嫌悪、憎しみ、加虐心の暴走。
自分が周りと違うということに、殊更にプライドを持っている気すらする。
コイビト
同族嫌悪。
自分自身が隠しているナニか。
脳みそがカッとなるような感覚があった。
私自身にある幼少期のコンプレックスみたいなものが湧き出てきた気がした。
そして、おんなのこはこわいよ。
御伽の部屋
3作の中で一番わからな -
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短編集。表題作は、生き方のひとつの提案にも感じられて、最後ちょっと涙が出てしまった。
というのも、主人公は36歳。ちょうど自分と同じ年齢ということもあって、主人公が過去に執着しながらも、その不気味ささえも内に取り込んで、いびつながらも社会的には至極まっとうに生きている姿に、少し自分を重ねてしまうような思いがしたからなのかもしれない。
自分自身を規定するものって人それぞれだと思うんだけど、それが原体験にかかわっていることであるということは、よくあることなのかなと感じる。
それが、この物語の主人公にとっては魔法少女だったのだと思うし、だからこそ、いろいろな人と魔法少女をキーワードにしてつながるこ -
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全体として、自分が信じていたもの、頑なにしがみついているものなんて、脆くて存在すらしていないものかもしれないと滑稽に思わせてくれる話が寄せ集められていた
もっともらしい概念はそのパッケージが強固なものとして先に作られそこに中身を詰め込んでいるだけなのに、中身が先に存在していたように錯覚してしまっている。概念の生成に精を出し、その消費で束の間の安寧を得る。
意味わかんない短編もいくつかあったけど。
生命式
本当に正しいものなんてなくて常識や倫理なんていとも簡単に変容しうるのに、古来からこれが正解だった、もしくは、今出ている結論が最適解だ、みたいな態度に異議を申し立てたくなる気持ちに大共感
真 -
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この本を読むとだいたいの女性はなんらかの性被害に合ってる、幼い頃から大人になるまでの期間で。
男性も性被害にあうこともあると思うけど、女性の比ではないだろう。
そういう危険にさらされながら生きるってどういことだろう。
そういう話しばかりじゃないけど「私の身体を生きる」というテーマで書くとなったらそこは避けられないことなんだろう。
特に西加奈子、柴崎友香、金原ひとみ、朝吹真理子、藤野可織、藤原麻里菜のは身につまされた。
千早茜の「私は小さくない」は共感。(そこまで激しく大きく強くなりたいとは思わなかったけど)
鈴木涼美の「汚してみたくて仕方なかった」はぶっとんでた。すごいアカデミックな環境だから -
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作者名伏せて読んでもこれは村田沙耶香だね〜ってわかるくらい村田沙耶香。
秘教とか、カルトとか、民間信仰みたいな話大学時代に授業取るくらいは好きだったから興味深く読んだけど、内容としてはめちゃ気持ち悪い。笑
高城くん見てめちゃめちゃもどかしくなった…。
昔から信じてたものが、誰かの手によって作られたものだって知ったら確かに全てのことに疑心暗鬼になるかもしれないね。
後半の潮を吹きたい夫婦の話も、潮吹き成功に向けた部活動みたいな感じで描かれてるのがめっちゃシュールで面白かった。
途中、老婆が海で潮ではなく放尿するシーン、めちゃくちゃ綺麗に描かれてるのもおもろい。
人間の体内に流れる液体だっ -
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ネタバレ自分の身体、この女の身体について色々考えたりすることが最近多くてなんかつらくて手に取った。女性たちが自分たちの身体のことや性のことを話すときなぜだか安心する。わたしもそう思っていると、同じように考えている人がいるというのはそういう安心材料になるんだと思う。どの書き手も性被害を受けている人が多くて本当に社会はクソだ…… 碌でもない人ばかりで、そのせいで自分の体を大切にできない女性がいたりするんだと知った。
わたしはもうずっと女しか子どもを産めないことが本当に許せないので、藤野可織さんの妊娠についてのエッセイは本当に本当にめちゃくちゃ凄いな〜と思った。妊娠出産の機能を持つのが女性だけである時点で