【感想・ネタバレ】しろいろの街の、その骨の体温ののレビュー

あらすじ

クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

忘れかけていたあの頃の未熟さ、情けなさ、残酷さを、ヒリつくような緻密さで正確に表現していて、作者はまさにこの渦中にいる女子中学生かと思うほど。解像度の高さよ。すごすぎる。
主人公の捩れっぷりは相当なもので、伊吹くんがかわいそうでかわいそうで…中学校編からしんどいながらも読み進めていたら、急展開からのエンディング。
村田さんの作品を貫く、暗い肉体的な欲望や手に負えない感情を扱いながらも、これはそこからいくばくかの解脱を遂げた数少ないものなのではないかと。絶望の真ん中にほったらかされなくてよかった…
あまり読み返しはしない方だけど、この作品は珍しく最後のパートを2度読みました。直前まで苦しかったから、清涼剤がほしかったのかな。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

前半…てか3/4きしょって思いながら読んだ。読むの止めようと何度も思うくらいきしょかった。
でも最後まで読んで、よかった。
ちゃんと良かった。
女の子の発情を、こんなに丁寧に描いた作品て他にない気がする。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

主人公の女の子の視点、感覚、考えがありきたりな物語と違って、とても新鮮で引き込まれた。
自分も周りの視線や雰囲気を感じ取るタイプなので主人公の気持ちがよくわかる。
そして後半にかけての心情の変化は人間性が根底から変化するくらい大きなもので!読み終えた時は素晴らしい小説と出会えた感覚を持てた。

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

小学校時代:生々しい〜!悪い意味でなく、懐かしさもあるこの感じを上手に描けるのがすごいという褒め言葉の意味で

中学校時代:ぐおお、つらい…辛いが懐かしい楽しい思い出
これどうやって着地するやつ?

繋ぎと思って読み始めたのにめちゃハマっちゃった
私の時はこんなにひどくなかったけど…と思ったけどよくよく考えればそれほどひどくないと自分が勝手に考えてるだけで、似たようなことをやってた
小学校の頃はそんなことなかったのに中学になって急に私は地味なんだって恥ずかしくなるの、人間が持って生まれた本能としか思えないんだけどな…

初体験の迎え方うらやまぴい…
主人公が急に達観する所は、これは希望なのだよね、こうあってほしいという

私も人目気にしすぎなのやめたいなー切実に…
思ったままに行動したい

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2025年07月12日

Posted by ブクログ

電車の中で読むの緊張した。性的な描写がしばしばあり気になった。悪い意味でないです。惹き込まれている自分を認識していて個人空間に入っちゃって、社会的な立ち振る舞いから精神状態が一歩内側に入っちゃっている感じ。

なんかやらかすんじゃないか、主人公の行動がバレるんじゃないかとヒヤヒヤするミステリー小説感を勝手に感じてました。

で、そんなハラハラ感は主軸ではなく、自己肯定感の低い女子小学校高学年から中学の生きにくさを永遠と描いています。

なんとゆうかな、誰しも自分の居場所を確保するために、自分の見せ方と人の見え方を対人関係により調整します。それは打算的なことやウソだけでなく、本当に素敵と思うことや嫌だと思うことの表裏一体の感情からミックスされていると思うのです。
本作は小説でありますのでこの負の方の感情を際立たせて(というより一方的に)描写することで、思春期のコントロールできない自我を際立たせ、人というものを覗き見せています。
これが、スリリングで怖いもの見たさの快感でした。


伊吹くんは王子様ですよね。これは女性目線での話しですが、こんな王子様は現実にいません。ココだけはおとぎ話です。救われています。
男性の私は視点逆転の都合の良いヒロインでこの話を読んでみたいと思いました。でも成立しない気がする、犯罪として扱われそうです。


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2025年06月25日

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これはすごい本だ。一気読みしてしまった。
大人になると思う、狭い世界で生きていたあの頃はあの頃で、その小さな世界が全てだったんだよな。
懐かしさと恥ずかしさと苦しさでぐちゃぐちゃになる。

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2025年04月04日

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ネタバレ

村田さんの作品は、「わかるわかるー」から「わからない!!!」への飛躍が激しく、その浮遊感が気に入っています。もしかしたらそのぶっ飛び具合がストーリーの破綻に見え、だからこそ西加奈子さんが「村田沙耶香は小説がヘタ」っていうのかもしれないけれど、これはもう唯一無二の才能だなと思う。

スクールカースト(小説内ではピラミッドと呼ばれてますね)をリアルに描いた作品で、私も他の皆さん同様自分の学生時代を思い出して何度も胸がぎゅっとなりました。私も主人公の結佳にちょっと似て、カースト下位のくせに上位の男の子と付き合うようになり、でも小川さんみたいなイケてる女子たちから冷やかされるのが嫌で早々に別れてしまったという過去があります。別れたいって伝えたとき、相手の男の子は伊吹みたいにきょとんとしていて、男子には女子の力関係が本当にわかっていないんだなあと思ったもの。当時はうまく言語化できてなかったけど、自分たちだけの個人的な恋のはずが社会の中で評価されるから嫌だったのだと思う。
私自身はそんなふうに他者から与えられた価値観の中で自分の初恋を葬ってしまったので、そこから出て自分で自分の気持ちに触れられた結佳はすごいなのひと言。
快感を得たあと、星屑のようにキラキラしたものが足の間に残っているのではないかと探すのもいい。若さって、ドロドロ醜い部分もあるけどこんなふうに澄み切った感性もある。あの頃に戻りたいとは欠片も思わないけど、こうして小説で追体験できるのは悪くないな。

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2025年01月03日

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自分に触れて、自分だけの価値観を知り、その言葉で他人に触れることで輪郭をつくる。
自分につけられていると思う値札は、誰の意思でもない。でも、自分が他人に値札をつけているから、きっと他人も自分につけているだろうと思ってしまう。
自分がどこに向かうか分からず、街もどんな形になるのか分からない。何がしたいのか、どうなりたいのかわからない中で必死に軋んでいく。

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2024年04月07日

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 白。

『都合のいいやつ。』

 ってエヴァのマリみたいに言ってしまいました。

 素敵な作品でした。

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2023年08月04日

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ネタバレ

共感しか出来なかった。
村田沙耶香先生の作品を読んだのは3作目ですが、過去一で共感しすぎて最初から最後まで苦しくて苦しくて仕方がなかったです。
主人公が小学生の頃。可愛く賢いオシャレな女の子の取り合いを傍観しつつ、結局は他の子と同じように私が1番の仲良しで彼女のことは私が1番理解しているのに、と思っている姿が、ただ家が近所だったから、という理由で顔が可愛くて賢い女の子と親友だった私を思い出しました。高校で再会した時に彼女はカースト上位に食い込み、私とはもう一切連絡を取り合っていません。私は結婚式に呼んだけど、彼女は結婚したのかどうかさえもわからないな。さてこんな自分語りは置いておき。
小学校での信子への嫌悪感が垣間見える、土の付いた爪で触るとか、べたべたした手で、とかが本当に素晴らしい。ラストの信子への感情とも対比できててもう圧倒されました。
ここからすでに苦しいのに、中学生時代に突入するともう、主人公の息苦しさが自分にも迫ってきて駄目ですね。ただ、現実ではもっと教師が空気じゃないのではと思うし、なんなら伊吹くんも目の前で明らかに悪口言ってる友だちに「クラスを盛り上げてるだけ」とかよく言えるな、と幸せさん通り越してただの無知だよな…なんてモヤモヤしました。毎年転入生が大量に入ってくるわりになんで中学生になってこんなクズの集まりのクラスになるんだ?
女の汚いところを見せつけられているようで、男の卑怯で狡賢くて汚くて無知で最低なところもきちんと描いてくれるのが最高です。全人類読んで欲しいですね。

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2023年06月14日

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ネタバレ

主人公と自分が重なった。
ずっと囚われていた考えから解き放たれて、美しいと素直に思えるようになったところは最高だった。
スクールカーストやほぼいじめのいじり、自分の中学生の頃を思い出してかなり辛かった。
信子ちゃんすごい。幸せさんの伊吹に会いたい。カースト上位のやつらはどんな大人になるんだろう。
分がこの年齢の頃の価値観をまだまだ引きずっていることに気づいた。

追記
主人公の目を通して物語を読んでいたので今まではっきり意識してこなかったが、これは女の子による男の子への性的加害で男の子が傷を負う話でもあった。
伊吹はずっと嫌がっていたのに。

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2023年05月27日

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街が膨れていく音がする
ニュータウンに伸びる白い道は骨のよう
身体の中で骨が伸びて軋む音がする

五感が研ぎ澄まされていくようだ。

小学女子のあるあるや、中学校でのクラスカーストの描写がとてもリアル。自分より"下"がいることに安心するが、"上"の女子から標的にされたら終わりだ。仲の良かった3人に値札がつけられ、
グループ分けされて、次第に距離を置く場面は読んでいて息苦しくなるほどだった。

言葉の選び方がどうしてこれほど上手いのだろう?「女の子の未成熟な身体の中で、エピソードは宗教になり、初恋は化け物になる」「好きな人をもう一目見る放課後」・・etc

結佳は教室から弾かれて初めて気づいた。皆の価値観をバカにしながら、その価値観で裁かれることに怯えていた自分の薄気味悪さに。自分の価値観を持ち言葉にして誰かと触れ合いたい!

中断していたニュータウンの工事が始まり、塞がれていたトンネルが抜けた。見知らぬ真っ白な道をペダルを漕ぎながら進んでいく結佳の姿が一瞬見えた気がした。彼女のこの先の物語も読んでみたい。

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2023年04月21日

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ネタバレ

読むきっかけは、フォロワーさんの本棚。

白く無機質なタイトルと表紙に吸い寄せられてしまった。

最初はイメージ通り。

でもすぐに、繊細で鋭くて生々しい、小学4年生の世界に引きずり込まれてしまった。

女子のグループ内外での会話•駆け引き。

中学に入ってからの、クラスの中での序列•イジメ。

人公結佳の、友だちへの軽蔑心、劣等感、プライド。自分でも理解•制御できない自分の行動。

人に見せたくない恥部すべてを晒されているようで、読みながら同化している自分に、後ろめたさまで蘇ってきてしまう。

いろいろなマイナス感情でない混ぜにされて、この本は何が伝えたかったのか、と思っていると、

信子ちゃんの「爆発」で気づかされる、1人の少女の成長物語でした。

読み終えてみると「圧巻」。

でも、精神エネルギーをかなり消耗したなぁ。

フォロワーさん、厳しくも良質な作品、ありがとうございました。

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今まで「コンビニ人間」「授乳」「地球星人」「変半身」を読んできたが、この作品は断トツで気に入った作品になった。
中学生といった思春期真っただ中で人目が一番気になるころは、クラス内のカーストや男子の目などがとても嫌だった。だけど、穏やかな学校生活を送るには、それに従順するしかならない。体の変化に伴う見た目の変化は、普段の生活に大きな影響をもたらす。
主人公が、クラスの男子を客観視して馬鹿にしているところが少し自分と重なって読んでいて苦い記憶がよみがえってきて苦しくなった。
主人公の伊吹をはじめとしたクラスカーストに気づいていない人を「幸せさん」と呼ぶのはいいなと思った。幸せさんでいることが一番幸せなのかもしれない。
結末が全く予想できなかった。
伊吹が本当に主人公のことが好きなのかはわからなかったけど、最後はあの終わり方でよかったと思う。これで主人公も自分のことを好きになってくれればいいなと思った。村田さんの作品は、読み終わった後もう一度タイトルを見ると「おお…」となる。とても好きな本になった。

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2022年05月20日

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村田沙耶香さんの作品を読み漁り始めて何冊目になるだろうか。1番読後感がスッキリしていて気持ちが良くて美しい感じがした。
きっとそれは村田さんの作品では珍しく未来が見えるというかその先の物語が想像出来るからだと思う。

他の作品の世界観で言うと「ギンイロノウタ」に似ているのかもしれないし、ニュータウンのイメージは「世界99」とも重なる。

性的な描写は多数あったけれど、美しく文学的な表現がその世界へぐっと引き込んでくれた。

少女から女性へ移り変わる、思春期の異性に対する嫌悪は一種の発情であるような、歪んだ初恋と性の芽生えをモヤモヤと抱えながらスクールカーストの中を漂っている主人公。
彼女に自分を照らし合わせることは出来ないけれど、村田沙耶香さんの作品が女性から人気なのは、そういう思春期の過去をモヤモヤ抱えたまま大人になった"少女たち"がどこかで共感しているのかもしれないなぁと思った。

じゃあ自分は村田沙耶香さんの作品たちの何処に共鳴しているのか。その答えを理解したい気もするしわからないままで良い気もする。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

カーストだけで悩むことができるなら、それはいい学生時代だと思った。
彼女の親は、いつも彼女の味方

自分にとって、あの時代は
親から、早く逃げる為の時間だったな。
感想を見ていると、懐かしいとか書いている人が多く、
自分の親との関係性の違和感が多く、うらやましく思ってしまった。

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2025年01月09日

Posted by ブクログ

すごい本だった。思春期辺りの少年少女の日々を描いていた。
しんどい気持ちでいる時に読んだので、本に描かれている、クラスでの見た目で酷いことを言われ続けるところや、クラスカーストの様子など、読んでいて気が滅入った。

でもその長く続く苦しい描写の後だからこそ感じられるものがラストにあったように思う。思春期の恋心や性的な情動を初めて意味のある美しいものと感じることができた。実際は、この話に描かれているほど綺麗なものではないと思っているけれど、稀に見る伊吹くんという好青年の存在のおかげで、美しさが成立していた。

内容がハードで気持ちを持っていかれるので、心が元気な時に読むことをお勧めしたいです。心をざわざわとさせ、エネルギーがある本でした。思春期の少年少女がこれを読んだほうがいいかは、ちょっと私には判断しかねました。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

余りにも極端過ぎる主人公の言動やスクールカーストの描写の数々に、共感と嫌悪の狭間を何度も行き来させられながら最後まで読んだ。でもその分、この小説で初めて触れる感情や「生」が剥き出しになる瞬間の描写も間違いなくあって、不思議な作品。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

西加奈子さんのおすすめ本だったので
読んでみた。

学校、
クラスメイト、
友達グループ、
住んでいる街、
人によって
同じものが全く違って見えているんだな、と改めて気付かされた。

とても繊細で複雑な感情表現しかできない結佳、真っ直ぐで濁りのない伊吹。
とりまくクラスメイト達。

村田さんの人間観察眼と
文学的表現が素晴らしい。

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2024年05月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

淡々と…かつどろっとしたものが漂いながら進むストーリーに目が離せなかった。

小学生の頃から曖昧なカースト制度はすでにあるように思う。
ただそれは完成形じゃないから、小学生の頃上位にいた子が中学で目立たなくなったりもある。

自分で言うと恥ずかしいのだけど、私は小中とカーストでいう所の一番上に居て、それは自分が望んでなったものとは少し違っていて…なんだかいつの間にかそんな存在になっていた気がする。

他人に興味を抱かないせいか、自分から話しかけることをしない為、周りにはどことなく気を使わせてしまっていたかもしれない。
けど、私自身は分け隔てなく仲良くしたい気持ちはあった。

大人しい子達から見た私って、こんな風に教室で緊張させる存在だったのかな…って嫌な気持ちになった。
イジメは嫌いだし、もちろん悪口なんて言わなかったけど、存在だけでピリつかせる事はあったのかもしれないなーと悲しくなった。



けど…この本に出てくる男子のように、特定の女子を見て吐くふりしたり容姿を揶揄うような発言なんてする子居たかなー?そんな幼かったかな?
と必死で思い出すも…
そんな事を言って笑う男子生徒の記憶は無い。

けれど、きっと私と違う世界で過ごしていた子達の思い出には、そんな男子が実際に居たのかもしれないんだよね。
立ち位置が変わると、見えてくる世界もきっと180°変わるんだろうから。

もしもあの頃のやり直しができるとしたら
教室の中の一人一人と話がしてみたいかな。

何年間も毎日会っていたのに、私は誰の事も何もしらないままだったなー。
本気で感情をぶつけたり、本気で誰かと向き合ったり、そんな事一度もしたことなかったな。

もしそれができていたら、きっと私の見えた景色も色も変わったのかもね。



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2023年02月28日

Posted by ブクログ

私は小中高、女子校だったので、共学のスクールカーストの話を読むと、女子校って平和だったんだなって今なら思える。女子特有の面倒くさい人間関係はあったけど。
でも、私が共学に行ってたら、カーストの下の方にいただろうなと思って怖くなった。
女子校は好きな人を一目見て女子で盛り上がるんじゃなくて、好きな芸能人やアニメのキャラで盛り上がってたし、中2とか毎日くだらないことして笑ってた時期だったから、女子校で良かったと思った。共学無理…。

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2022年08月17日

Posted by ブクログ

スクールカーストと思春期の危うい心のバランスを見事にあぶり出した作品。開発途上のままのニュータウンの閉塞感と思春期のクラス内カーストの閉塞感がものの見事にリンクしている。村田沙耶香は苦手なのが多かったけれどこれは素晴らしい。相変わらず性を書いてはいるけれど、その衝動が今作では良い方向に働いている。オススメ。2013/222

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2025年02月19日

Posted by ブクログ

どなたかの作家さんのエッセイに出てきた1冊。小学校高学年から中学生までの、とてもデリケートな思春期の女の子の話。中学2年生の時に度々発せられる「きもちわるい」が苦しく、ヒエラルキーの下層の辛さが苦しく、何度も休憩を入れないと読み進められなかった。いじめとは少し違う、見えない差別。でも、最後に主人公が救われて良かった。伊吹と奏でられて泣けた。救いがある終わり方で本当に良かった。

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

中学時代の鬱屈した女子のカースト制度。懐かしい。めんどくさかったな。
小学生の時仲良かった人が中学で下のグループになるあの気まずさとか、人を見下す感じとか、自分の学生時代を再現されてるかと思った。
あれってカーストの1番上の人はなんにも感じてないのかな。息吹みたいな「幸せさん」ってほんとに気付いてないのか?

私は社会人になってやっと自分の感性のままで判断していいんだ、と実感したけど、ゆかはハブられたことでそれを自覚してちゃんと行動してて、かっこいいと思った。
息吹への衝動だけは強烈だったけど。

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

NHK「理想的本棚」で紹介された1冊

本当に村田沙耶香さんは無機物を有機物として捉える表現が素晴らしい。あるあるの話をしているようで村田世界の人物であるからこその不気味感が醍醐味。

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2024年03月04日

Posted by ブクログ

思春期の女子が主人公になっての異性に対する屈折した複雑な感情を赤裸々に描いている。とても珍しい小説と思った。

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2023年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

傷ついても自分の価値観に責任を持つっていう話。

設計された通り発展していく清潔だけど不自然な新興住宅地が、その後設計図通りではなく自然発生的に街が出来ていく様と、

他人の価値観でぬくぬくと安全に生きている子供が、傷つき笑われながら自分の審美眼を持って大人になる様の対比がわかりやすくて読んでいて気持ち良かった。


ただ、大人になってから読むより中学生くらいの時に読んでいたらもっと感動できただろうな、とは思った。




p. 189

あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。

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2023年04月05日

Posted by ブクログ

前半は淡々と。でも著者の描く世界は絶対何かが起こるはず、と読み進めると…。後半、とんでもない展開に。その昔、誰しも感じたであろう閉塞感や苛立ちや諦めをリアルに表現しすぎていて気持ち悪いくらいだった。後味が悪い訳ではないが、誰にでもお勧めしたいコンビニ人間とは違う、モヤモヤした気分になる話だった

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

「コンビニ人間」以来、著者の本を読んでみた。
小学校高学年~中学校の、まさに思春期真っ只中の男女を描いている。
思春期特有の身体的な変化、気持ちの描写を非常にリアルに、繊細に描いていて、私も読んでいていて昔の自分を思い出した。
小学校、中学校でのクラスの描写も非常に生々しい。私はあまり学生時代対人関係で悩んだことはなかったが、この本で描かれているようなクラスでの序列や暗黙のルール、いやーな雰囲気みたいなものってあったなと。
子供の悩みなんて大人の悩みに比べれば大したことないだろ…と思うこともあったがとんでもない。子供は子供でその世界の中で必死に悩みもがき苦しみ日々葛藤している。
前に読んだ「嫌われる勇気」という本でもあったが、大人も子供関係なく、悩みの全ては「対人関係」であり、そこに大人子供で優劣はない。
その悩みから抜け出すにはいかに自分らしく生きるか、自分を受け入れることが大事である。そのことを改めて教えてくれたような本であった。
もし自分の子供が成長して同じような人間関係で悩むことがあったら、そんな時に見せてあげたい本である。

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2022年12月31日

Posted by ブクログ

結佳は新興住宅街で暮らし、周囲とのつながりと友達関係を差しさわりないように取り繕いながら過ごしている…小学4年の時に同級生の伊吹と会話を交わすようになり、2人の関係が変化していく。中学2年生になったとき、また小学生の時とは違う環境に身を置くことになる…結佳は変わらず自身を取り繕いながら過ごしていたが、伊吹への想いが抑えきれなくなっていた…。
激しく共感できることもあれば、反感を覚えてしまうようなこともあったりと読んでいてほっとできる時間を持てなかった印象で残念かなって感じました。村田沙耶香さんの他の作品は何冊か読んでいて、この作品を絶賛する読書家さんも多いので手に取りましたが…私にはあわなかったのかもしれません。それでも、この作品のことは何年たっても忘れないと思います。

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2022年10月13日

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