あらすじ
クラスでは目立たない存在である小4の結佳。女の子同士の複雑な友達関係をやり過ごしながら、習字教室が一緒の伊吹雄太と仲良くなるが、次第に伊吹を「おもちゃ」にしたいという気持ちが強まり、ある日、結佳は伊吹にキスをする。恋愛とも支配ともつかない関係を続けながら彼らは中学生へと進級するが――野間文芸新人賞受賞、少女の「性」や「欲望」を描くことで評価の高い作家が描く、女の子が少女に変化する時間を切り取り丹念に描いた、静かな衝撃作。
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Posted by ブクログ
小学校時代:生々しい〜!悪い意味でなく、懐かしさもあるこの感じを上手に描けるのがすごいという褒め言葉の意味で
中学校時代:ぐおお、つらい…辛いが懐かしい楽しい思い出
これどうやって着地するやつ?
繋ぎと思って読み始めたのにめちゃハマっちゃった
私の時はこんなにひどくなかったけど…と思ったけどよくよく考えればそれほどひどくないと自分が勝手に考えてるだけで、似たようなことをやってた
小学校の頃はそんなことなかったのに中学になって急に私は地味なんだって恥ずかしくなるの、人間が持って生まれた本能としか思えないんだけどな…
初体験の迎え方うらやまぴい…
主人公が急に達観する所は、これは希望なのだよね、こうあってほしいという
私も人目気にしすぎなのやめたいなー切実に…
思ったままに行動したい
Posted by ブクログ
村田さんの作品は、「わかるわかるー」から「わからない!!!」への飛躍が激しく、その浮遊感が気に入っています。もしかしたらそのぶっ飛び具合がストーリーの破綻に見え、だからこそ西加奈子さんが「村田沙耶香は小説がヘタ」っていうのかもしれないけれど、これはもう唯一無二の才能だなと思う。
スクールカースト(小説内ではピラミッドと呼ばれてますね)をリアルに描いた作品で、私も他の皆さん同様自分の学生時代を思い出して何度も胸がぎゅっとなりました。私も主人公の結佳にちょっと似て、カースト下位のくせに上位の男の子と付き合うようになり、でも小川さんみたいなイケてる女子たちから冷やかされるのが嫌で早々に別れてしまったという過去があります。別れたいって伝えたとき、相手の男の子は伊吹みたいにきょとんとしていて、男子には女子の力関係が本当にわかっていないんだなあと思ったもの。当時はうまく言語化できてなかったけど、自分たちだけの個人的な恋のはずが社会の中で評価されるから嫌だったのだと思う。
私自身はそんなふうに他者から与えられた価値観の中で自分の初恋を葬ってしまったので、そこから出て自分で自分の気持ちに触れられた結佳はすごいなのひと言。
快感を得たあと、星屑のようにキラキラしたものが足の間に残っているのではないかと探すのもいい。若さって、ドロドロ醜い部分もあるけどこんなふうに澄み切った感性もある。あの頃に戻りたいとは欠片も思わないけど、こうして小説で追体験できるのは悪くないな。
Posted by ブクログ
共感しか出来なかった。
村田沙耶香先生の作品を読んだのは3作目ですが、過去一で共感しすぎて最初から最後まで苦しくて苦しくて仕方がなかったです。
主人公が小学生の頃。可愛く賢いオシャレな女の子の取り合いを傍観しつつ、結局は他の子と同じように私が1番の仲良しで彼女のことは私が1番理解しているのに、と思っている姿が、ただ家が近所だったから、という理由で顔が可愛くて賢い女の子と親友だった私を思い出しました。高校で再会した時に彼女はカースト上位に食い込み、私とはもう一切連絡を取り合っていません。私は結婚式に呼んだけど、彼女は結婚したのかどうかさえもわからないな。さてこんな自分語りは置いておき。
小学校での信子への嫌悪感が垣間見える、土の付いた爪で触るとか、べたべたした手で、とかが本当に素晴らしい。ラストの信子への感情とも対比できててもう圧倒されました。
ここからすでに苦しいのに、中学生時代に突入するともう、主人公の息苦しさが自分にも迫ってきて駄目ですね。ただ、現実ではもっと教師が空気じゃないのではと思うし、なんなら伊吹くんも目の前で明らかに悪口言ってる友だちに「クラスを盛り上げてるだけ」とかよく言えるな、と幸せさん通り越してただの無知だよな…なんてモヤモヤしました。毎年転入生が大量に入ってくるわりになんで中学生になってこんなクズの集まりのクラスになるんだ?
女の汚いところを見せつけられているようで、男の卑怯で狡賢くて汚くて無知で最低なところもきちんと描いてくれるのが最高です。全人類読んで欲しいですね。
Posted by ブクログ
主人公と自分が重なった。
ずっと囚われていた考えから解き放たれて、美しいと素直に思えるようになったところは最高だった。
スクールカーストやほぼいじめのいじり、自分の中学生の頃を思い出してかなり辛かった。
信子ちゃんすごい。幸せさんの伊吹に会いたい。カースト上位のやつらはどんな大人になるんだろう。
自分がこの年齢の頃の価値観をまだまだ引きずっていることに気づいた。
追記
主人公の目を通して物語を読んでいたので今まではっきり意識してこなかったが、これは女の子による男の子への性的加害で男の子が傷を負う話でもあった。
伊吹はずっと嫌がっていたのに。
Posted by ブクログ
読むきっかけは、フォロワーさんの本棚。
白く無機質なタイトルと表紙に吸い寄せられてしまった。
最初はイメージ通り。
でもすぐに、繊細で鋭くて生々しい、小学4年生の世界に引きずり込まれてしまった。
女子のグループ内外での会話•駆け引き。
中学に入ってからの、クラスの中での序列•イジメ。
主人公結佳の、友だちへの軽蔑心、劣等感、プライド。自分でも理解•制御できない自分の行動。
人に見せたくない恥部すべてを晒されているようで、読みながら同化している自分に、後ろめたさまで蘇ってきてしまう。
いろいろなマイナス感情でない混ぜにされて、この本は何が伝えたかったのか、と思っていると、
信子ちゃんの「爆発」で気づかされる、1人の少女の成長物語でした。
読み終えてみると「圧巻」。
でも、精神エネルギーをかなり消耗したなぁ。
フォロワーさん、厳しくも良質な作品、ありがとうございました。
Posted by ブクログ
今まで「コンビニ人間」「授乳」「地球星人」「変半身」を読んできたが、この作品は断トツで気に入った作品になった。
中学生といった思春期真っただ中で人目が一番気になるころは、クラス内のカーストや男子の目などがとても嫌だった。だけど、穏やかな学校生活を送るには、それに従順するしかならない。体の変化に伴う見た目の変化は、普段の生活に大きな影響をもたらす。
主人公が、クラスの男子を客観視して馬鹿にしているところが少し自分と重なって読んでいて苦い記憶がよみがえってきて苦しくなった。
主人公の伊吹をはじめとしたクラスカーストに気づいていない人を「幸せさん」と呼ぶのはいいなと思った。幸せさんでいることが一番幸せなのかもしれない。
結末が全く予想できなかった。
伊吹が本当に主人公のことが好きなのかはわからなかったけど、最後はあの終わり方でよかったと思う。これで主人公も自分のことを好きになってくれればいいなと思った。村田さんの作品は、読み終わった後もう一度タイトルを見ると「おお…」となる。とても好きな本になった。
Posted by ブクログ
淡々と…かつどろっとしたものが漂いながら進むストーリーに目が離せなかった。
小学生の頃から曖昧なカースト制度はすでにあるように思う。
ただそれは完成形じゃないから、小学生の頃上位にいた子が中学で目立たなくなったりもある。
自分で言うと恥ずかしいのだけど、私は小中とカーストでいう所の一番上に居て、それは自分が望んでなったものとは少し違っていて…なんだかいつの間にかそんな存在になっていた気がする。
他人に興味を抱かないせいか、自分から話しかけることをしない為、周りにはどことなく気を使わせてしまっていたかもしれない。
けど、私自身は分け隔てなく仲良くしたい気持ちはあった。
大人しい子達から見た私って、こんな風に教室で緊張させる存在だったのかな…って嫌な気持ちになった。
イジメは嫌いだし、もちろん悪口なんて言わなかったけど、存在だけでピリつかせる事はあったのかもしれないなーと悲しくなった。
けど…この本に出てくる男子のように、特定の女子を見て吐くふりしたり容姿を揶揄うような発言なんてする子居たかなー?そんな幼かったかな?
と必死で思い出すも…
そんな事を言って笑う男子生徒の記憶は無い。
けれど、きっと私と違う世界で過ごしていた子達の思い出には、そんな男子が実際に居たのかもしれないんだよね。
立ち位置が変わると、見えてくる世界もきっと180°変わるんだろうから。
もしもあの頃のやり直しができるとしたら
教室の中の一人一人と話がしてみたいかな。
何年間も毎日会っていたのに、私は誰の事も何もしらないままだったなー。
本気で感情をぶつけたり、本気で誰かと向き合ったり、そんな事一度もしたことなかったな。
もしそれができていたら、きっと私の見えた景色も色も変わったのかもね。
Posted by ブクログ
傷ついても自分の価値観に責任を持つっていう話。
設計された通り発展していく清潔だけど不自然な新興住宅地が、その後設計図通りではなく自然発生的に街が出来ていく様と、
他人の価値観でぬくぬくと安全に生きている子供が、傷つき笑われながら自分の審美眼を持って大人になる様の対比がわかりやすくて読んでいて気持ち良かった。
ただ、大人になってから読むより中学生くらいの時に読んでいたらもっと感動できただろうな、とは思った。
p. 189
あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。