村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ昔読んだコンビニ人間を彷彿とさせる良作。
主人公が幼少期から自認宇宙人なので、終始人間に擬態している何かからの視点のような書き方なのだが、実は読み進めると、地球人ではないと暗示をかけることによって自我を保っている人間の主人公ということが分かる。
現代社会が異性愛規範をもとに成り立っていることを、その規範に染まれない側から描いた作品。主人公が自認する宇宙人=規範に染まれない人間、という図式で解釈した。
女性が「見初められる」ことが基本的には喜ばしいこととされる(男性が女性を眼差すことを当然視する)現象への不可思議さについても、浮き彫りにしようとしているように感じた。
主人公の幼少期に虐待を受けている描写がかなり胸を抉られるが、その背景をもって成長した後に「気にしすぎだ」的なセカンドレイプを受ける描写のインパクトがあり、よりグロテスクな印象を与えた。
魔法を使っているという自己洗脳によって塾講師を殺害するシーンの情景描写や心理描写が見事。心理的な防衛機制によってアドレナリンが出まくっていることが分かり、思わず「殺れー!」と思いながら読んでしまった。ポップでリリカルな文体が逆に残酷。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ──命を奪ったものは、命を産みだす刑に処される。こちらのほうがずっと知的であり、生命の流れとしても自然なことなのです、と教師は言い、授業を締めくくった。(「殺人出産」)
10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。
重罪を犯せば、死刑ではなく産刑。10人産めば1人殺せる(男性も人工子宮で可能)。
そして、それで殺された人は皆に選ばれた素晴らしい人として送り出される。
突飛ないけどおもしろい発想だなあと楽しく読んだ。
あと最後に収録されている「余命」にでてきた、『女子にぴったり! 可愛い死に方100選』『男のインパクト死! 印象に残る死に方でかっこよく逝く方法』『愛される死に方ランキング☆図解説明付き』どれも読みたいなあとおもった。気になるね。 -
Posted by ブクログ
他の著作もそうですが今ある「当たり前」からは倫理的に反した常識の世界をその世界の住人の目を通して語られることで、本当に今の倫理観も脆く崩れゆくものなのだろうと強く意識させられます。
表題作はじめ、生・生殖・死の倫理観がそれぞれ異なった世界が描かれています。
個人的なお気に入りは「トリプル」です。付き合うことや生殖としてのセックスの見方が違くて、こんな世界で生まれていたら私もきっと3人で付き合って一般的とされる繋がり方をして、カップルや生殖としてのセックスに嫌悪感を抱くかもしれません。まるで現代はカップル・モノガミーが当たり前でポリガミー・3Pと呼ばれ嫌悪されている概念のように扱っていると思います。そう言った意味では私達が生まれた世界の当たり前は本当にたまたま、資本主義や生殖、工業社会において都合がいいようにできただけの蜃気楼のようなものなんだと思います。当たり前の生・生殖・死を考えたいとき、ぼーっと現代の当たり前について疑いたい時におすすめです -
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんが好きです。
上巻では空子ただ1人が異分子かと思いきや、下巻にかけて音ちゃんを始めとする上位階級が登場するのが良い。
年齢と共に視点も拡がり経験から悟っていく。本物の1人の人間の頭脳に入りこまされる。
でもあくまで空子視点で。それがもどかしくもあり、世界を俯瞰しようとするのにすごい頭使う。空子自身は馬鹿だと諦めちゃってるから読者の私が考えないといけなくて大変!
この世界はどこまでも「均一」「不快の排除」を目指すから。
すごく合理的で理想郷のよう。
私は4章の世界線に生まれたかったなぁ。生きづらい現代、そういう人多いのではないですか?