村田沙耶香のレビュー一覧
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めっちゃいいね。この世界と限りなく近い。
ピョコルンとかラロロリン人とか、そういう作中独自の象徴はこの世にあるけど固有名詞として明言していないだけで、普通に色んなものに置き換えることができるよね。「Aさん(仮名)」みたいな感じ。
主人公の言っている「呼応」みたいなのもすんなり理解できる……というかまあ人間ならみんなそうだし特にその感覚が強い人ね、みたいなとっつき易さがある。性的、社会的な役割の割り振りっていうのはこの作者の物語によく出てくる概念だしね。
なんならこれ一冊でも話としていい感じな気もするんだけど、ここからどうやって下巻の話が展開されるのか楽しみ。 -
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ネタバレ誤解されそうであんまり言いたく無いけど、私はどちらかと言うと白羽寄りの人間かもしれないと思った。社会に馴染めない主人公と白羽という人間(?)。2人の都合で同じ家に住むことになるけど、2人の本質は全く違う。主人公は徹底して宇宙人とかロボっぽい人外じみたものを感じさせるし、白羽は痛みに怯えて成長できなかった子供のように感じた。白羽は最低なやつだけどあくまで人間のままだった。
白羽の持つ思想や価値観男女間には全く共感できないし、きしょ!!ってかんじの人物像だけど、彼がいう「隠して欲しい」というのにはなぜかものすごく共感してしまった。だからこそ、ある意味で社会不適合の仲間を見つけた彼にとってあのラスト -
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常識と信仰の違いは何だろう。
常識は正しくて、無害で、基準みたいなもの。様々な共同体の中で絶対的なもの。
信仰も基準となり得るが、個人的なもののように捉えられる。偏りがあったり、他人から見ると間違っていると考えられたり。
本書を通して、同じ信仰を持つ人々が共同体となったとき、信仰は『常識』になるのだろうと思った。
そうであるとすると、常識にどれだけ意味があるだろう。僕が常識だと思っていることは、本当に僕が信仰していることだろうか?常識とされていることをトレースすることにより、信じる事から逸脱してはいないだろうかと不安になる。
僕の『信仰』は何だろう。
あの人の『信仰』は何だろう。
考え -
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4つの中編集で構成されているが、「丸の内魔法少女ミラクリーナ 」は特に楽しく読むことができた。最後のレイコと正志の戦いは声がでそうになるほど面白かった。典型的な話だと思いきややはり着地点がまったく見えないのが村田ワールドのとても良いところ。また、「秘密の花園」も印象的で自分の理想彼を現実にいる同じ彼で破壊するという予想外の展開には驚いたが、私も美化されている人間は沢山いるので実際に会ってその理想を壊したらまた新たな発見があるのかと思いながら読んでいた。村田ワールド作品はいい意味で気持ち悪くなる作品が多いなかで、この作品はライトに読めるので村田作品初心者には是非オススメしたい1冊である。
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・村田沙耶香の文章はどれも凄みがある。数行読むだけでも身体が強張って、胸の奥のほうがずっしり重くなるような感覚がある。
・短編を読むのは初めてだった。村田沙耶香の文章と短編はすごく相性が良いものに感じられた。一つひとつはとても短いのに、毎度ぶん殴られるような重みがある。
・世界への皮肉がすごい。よくこんな世界が創れるな、どう見えてるんだ、世界!となる。鼻の穴のホワイトニングは『世界99』でも出てきて顔を顰めながら声に出して笑った記憶がある。おもしろいのに引いてるから端から見たら奇妙な顔をになっていたと思う。『カルチャーショック』での均一化された街も、何もかもが皮肉に溢れていて、だけどそ -
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コンビニという無機質・無個性の中でのみ発揮される個性という矛盾に虚しくなりました。
なぜ虚しさを感じたのか。
まさに自分もその1人だからである。
この作品ほど極端ではないにしろ、現代人なら誰しもが感じたことがあるんではなかろうか。
AI化や経済合理性だけが独り歩きしている現代において、誰もが歯車であり代替可能なのだ。
この事実に本気で向き合った時、とてつもない虚無感に襲われる。
作中で主人公は世の矛盾に誰よりも向き合い、自分に正直であった。
毎日当たり前に食べている鳥の死骸ためにお墓をつくり、生きている花を供えた人々に対して疑問を覚えた幼少期のシーンが最たる例であろう。
いつまでも、このような -
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今になったからこそ学生時代の出来事は『 思い出』として1つの言葉にできますが、当時は様々な感情と戦いながら過ごしていたことを、過去にタイムスリップしてみたかのように鮮明に思い出しました。
当時ぐるぐるモヤモヤと彷徨っていた気持ちは、解決や達成感を見出すことはできなかったとしても、今の自分の考え方や過ごし方へと生かされていることが少しでもあると思うと今の自分の行動に自信を持ってみようかなと前向きになれました。
自分の中ではどうしようもできない事+こうでなければいけないという気持ちがあっても、自分に寄り添えられない寄り添い方が分からない葛藤に、読んでいて古傷がちょっぴり痛むような気持ちになりま -
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この本を読んだやすこ的解釈と致しましては普通とは何かを考えさせられたのであります。(ありきたりで申し訳ないw 私は少しばかり考え事が多いただの男性なのですが、如何に人間社会が創り出した「普通」や「常識」といった病に冒されているかを思い知ったのであります。
この世界というものは実は平等で平和のではなく、ひょっとしたら気づかぬうちに誰かのためにデザインされたものであるのかと少しばかり考えてしまったのであります。
そしてわたくしやすこは人生を幸福に生きるための手がかりを本書から享受することができたのです。それをここへ発露させていただきたい。
本書の主人公はコンビニバイトというものに魅せられているわけ -
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ネタバレ面白かった〜〜〜!
パワフルでコミカルでテンポがいい。
これまで読んできた村田作品の中では一番ライトで、たびたび声出して笑いながら読んだ。
表題作『丸の内魔法少女ミラクリーナ』そして『秘密の花園』『無性教室』『変容』の4篇を収録。
ダントツで面白かったのは表題作。
ストレス社会を"キュートな妄想"でやり過ごしている、自認・ベテラン魔法少女の茅ヶ崎リナ(36)が可笑しくも愛おしいキャラクター。
世間的にはいい大人とされる年齢の人間(たち)が、子供の頃の無垢をそのまま大事に胸に抱いて、真剣に再現し続けているちぐはぐさが絶妙で面白い。
漫才とかコントとかで演ってもきっと真っ直