村田沙耶香のレビュー一覧
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セックスを自分のものにできない女性たちの話。
フリーターの里帆は、男性に触れられる途端に覚える嫌悪感から自分の性は男性なのではないかと悩む。一方知佳子は、人間としての生命感覚が薄い。椿も、社会で衝突を繰り返して傷ついているからこそ、強く跳ね返すことができるような女性であろうと、やや固執しているようにも見える。
そんな人間世界は、わたしたちをなにかにカテゴライズすることを強いる。しかし、「自分が自分の中に内包している性質としての性」や「自分だけが享受できる快感」などを、言語として情報化しようとすると、「それは間違っている」、「あなたはこのカテゴリのこの定義とは異なるからこのカテゴリではない」などと排除されていく。
性や快感を感覚を誰かに伝える手段として、わたしたちは言語という不完全なモーダルしか持たない。それは不可逆な圧縮をされ、圧縮とは全く違う方式で復号される。悩んでも、自分の性と快感は自分だけのものとして慈しみ、カテゴライズを強いる社会に対抗していくことを、村田沙耶香さんの小説は教えてくれる。 -
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36歳女性、未婚、コンビニアルバイトが主人公の1冊。
小さい頃から「治る」事を周りから切望されている彼女はコンビニ店員として生きている。文字通りコンビニ店員として生まれてからコンビニの中で呼吸し、コンビニの中こそ社会と繋がる。全ての生活はコンビニのために存在しており、眠りにつくまで意識そのものコンビニに向かう。まさに自分にとっての輝く箱。でも世間はそれを異常と扱う。
私も、36歳で結婚もせずにアルバイトだけしている友達がいたらどうするだろう。こういう生き方で自分が納得してるならそれでいいかとも思う反面、やっぱりそれは可笑しいという気持ちはきっと拭えない。
それでも、そこでしか生きられない人もいるからと果たして思えるか。自分と全く違う価値観、普通でない世界をこうもあけすけに見せつけてくると、苦しくなる。 -
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主人公の結佳の小4と中2時代という”女の子”が”少女”へと変化していく時間を描いた作品。村田沙耶香作品はこれまでにも何冊も読んできていますが、他作品のようなぶっ飛んだ切り口の設定や世界観で魅せる作品とは一線を画した一作ですが、だからこそ余計に作家の凄みのようなものを感じました。自身の身体や性格、周囲との関係や環境などままならないものに対しての思春期の痛ましい程の葛藤は読んでいて苦しさを感じる程でしたが、終盤の結佳の自己理解、世界理解の変容は前半の苦しさがあるからこそ鮮やかで美しいカタルシスがありました。素晴らしい点はいくつもある作品ですが、本作の舞台をニュータウンとした点が素晴らしいですね。タイトルにも表れているように変化し、成長していく街と二次性徴期の精神と身体の変容と重ねながら捉え描いている点が秀逸でした。
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最初このタイトルを見た時にあまりイメージが湧かなかった。
実際読んでみると五感を刺激するような音をよく使われており、描写もよく思い浮かぶ読みやすい作品だった。
全体通した話の流れは、昔から社会の一員としてなれず、小学生の頃から喧嘩している人を止めるために道具を使って無理やり制圧するような描写があり、"普通の人"として扱われず、先生からも怒られたり、親からも普通でないと言われていた。
そんな過去もあり、自分は普通でないという自認もしていてカウンセラーに行っても治らなかった。
ただ、そんな中で一番社会に馴染めた、自分が輝ける場所がコンビニだった。
このコンビニは自分を受け入れてくれる。
制服を着るだけでお客んからは店員として受け入れてくれるし、従業員も一員として認めてくれる。
ここについて、僕もここまで拒絶されて生きてはいないものの、一緒に起業した仲間や志が同じ人に出会ったことで一員として認められた感がある。
どうしても一般サラリーマンの家系だと、大丈夫?そんなんで生きていけるの?などなってしまいがちだし、地元の人たちもそういった感情があったのではないかと思う。
この点、父親が社長という立場があったからこそ、僕に関しては助けられている気がする。
作中で「普通の人は、普通でない人を裁判するのが趣味」とあり、これはまさに現代の風刺でもあるように感じた。
ある事件、ニュースに対して、Xなどで一般の人がその人に対してなんでそうなったのか?この人はこういう家庭だったらしい!こんなの間違っているなどだれでも批評できるし、普通でない人を人間じゃないくらいまで否定するなどこういったことは日常的にあるから納得できた。
こういったことを最近では、1億人警察時代などと言われており(確か)時代の変化を感じる。
今まで認められていなかった人が人から好意を求められる、彼氏ができるなどの状況になるだけでも社会に認められたとして、今まで懐疑的な人たちが急に手のひらを返すシーンもあり、普通の人間として認められるかどうかはこの辺りも関係するのかと思い、普通に生きる難しさも感じた。 -
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ネタバレ芥川賞受賞作の本を読むという課題のために、数年前に購入したこの本を、再び読み返してみた。
普通普通というけれど、そもそも『普通』とは何ぞや?ということについて深く考えさせられる作品であった。
個人的には作中の主人公の感覚と白羽さんの感覚のどちらにも共感できる部分が多かった。
正直自分も含め、主人公や白羽さんに共感できる人達は高度で柔軟なコミュニケーションスキルが求められる現代社会において、少なくともうまくやっていける側の人間ではなさそうだ…と思いながら読み進めていた。
主人公が取り憑かれたかのようにコンビニ店員である自分自身に執着心を強めていく姿は、共感したくないけれど胸が痛むほど共感できてしまった。
生きてきた人生のなかで、普通側であると感じられた経験が希薄であればある人間ほど自分が必要とされている感覚が得られる場所に快感を覚えて、自分が生きる合理的な意味を見いだせたような気になって、心踊って、もっと価値のある求められる人間になるぞ!と躍起になっていってしまうものなのだよね…
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これ、こんなお話だったの!?
当時すっごい話題になっていたのは知っていたのですが
機会がなく、ようやく読みました
余計な前知識は入れず
表紙裏のあらすじだけ読んで
様々なお客さんと接する、コンビニ店員さんの人間模様かな?
くらいの想像で読み進めたのですが、、、
開始わずか12ページ目にして、ひっくり返りました
いや、、、人間模様だし、
コンビニ店員さんのお話だし、
裏表紙のあらすじも
なにも間違ってはいないんだけど、、、
普通とは何であるか?
たしかに考えさせられました
でも、社会の歯車でいたい古倉さんと
社会から徹底的に身を隠したい白羽さん
合わないに決まってる
特に古倉さんは歯車でいないといけない人だと思うけど
これも世間の普通に洗脳されてしまってる考え方なのかな?
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Posted by ブクログ
コンビニ人間よりよっぽど腑に落ちた。村田沙耶香さんは頭の中では色々奇抜なことを考えていたかもしれないけど、人間関係では奔放になれる奇天烈っぽい人に憧れてでもそうはなれないみたいな葛藤を抱いてきた人なんじゃないかと思った。
コンビニ人間は主人公が世間から白眼視されている人で、読んでいて特段納得感がないというか何か妄想の域を超えない浮ついた感じを覚えたけど、本作はめちゃくちゃ自然で語りと登場人物に違和感を覚えなかった。
それと社会性をテーマにしたシスターフッド的な話好きだなぁと思った。悩みや本心を赤裸々に共有することは裸を見せるより恥ずかしい、裸程度の度合いで開示しあってそれ以上は察し合う温度が気持ちいい。