村田沙耶香のレビュー一覧
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タイトルと表紙のポップさからは想像できないような狂気と混沌に満ちた一種のサイコホラーとも捉えられる小説だった。
主人公は魔法少女に憧れる小学生の少女。
その少女が魔法の習得に励むファンタジーものかと思いきや、話が進むにつれ、少女は家庭内で虐待を受けていてる事実や塾講師から性加害を受けていた事実が明らかになり、魔法はそのような辛い現実から逃避するための妄想だという事が分かる。
そのせいか、主人公は人間社会は次の世代の子供を生み出すための大きな工場であり人間はその工場の部品にしかすぎないと、とても冷めた目線で見ている。
工場の部品にはなるまいと、そこから脱出しようとすると周りの大人たちから工場 -
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村田沙耶香さんやっぱり好き。
と思わせられた一冊。
(村田沙耶香さんの作品を読むと毎回言ってる気がする笑)
結婚って何?出産は必要?
子どもを作ることは当たり前なの?
世の中に流されていない?
というわずかな苦しさを
普通なんてないんだよ。
価値観は自分で選ぶんだよ。
って耳元で、いや
大声で伝えてくれるそんな作品。
『どこまでも正常が追いかけてくるの。
ちゃんと異常でいたいのに。
どの世界でも正常な私になってしまう。』
このセリフがすごく好き。
マジョリティでいることの難しさ。
自分を持ってたはずなのに
気づかないうちに世界に溶け込んでしまってる自分。
なんか私自身も感じるところ -
Posted by ブクログ
表題作「信仰」を含むいくつかの短編と、
いくつかのエッセイで構成された作品。
“あの”村田紗耶香が描く“信仰”というタイトルを冠した作品ということで、
単行本が出たときから是非にも読みたかった作品。
やっぱり読むことができてよかった。
均して語ると結局のところ常識と非常識の境界とは、みたいなところに集約してしまいそうな話題ではあるけれど、村田さんにしか抉り出せない凹凸がある。
最後の「いかり」「書かなかった日記」は鬼気迫るエッセイだった。
あまり簡単に共感など示してはいけないとは思うけれど、何かの感情をわざと故障させるというのは、覚えがあった。 -
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ネタバレ全部で4本の短編を収録している短編集。
全部の作品がってわけではないけど、
わりとシリアスな状況なのに傍から見ているこっちとしては笑ってしまう荒唐無稽さがたまらない。
それで、これまた全部の作品ではないけど、
我々人間の中に存在するものを1つ制限するだけで、
これほどのディストピア感を出すことができるなんて、
驚きとともに今の人間社会がたったそれだけのことで
大きく変わってしまうのではないかという恐怖も感じた。
しかも読んでいて段々とそれが正しい形だったかのように思えてくるんですよ。
まさに4本目のタイトル通り、私たち読者はこの本を読んでいる間に『変容』してしまっているという……
全体を -
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心にずしんとくる話だった。
忘れられない本だし、何度も読まないといけないと思わされる本。
カルトと流行に乗っ取った購買・行動、その二つに大きな違いはないのに、前者には当たり前のように嫌悪感を抱き、後者は当たり前のように容認する自分が恐ろしくなった。カルトの教祖になること、ブランドの人気プロデューサーになること、何が違うんだろう。
個性や多様性を尊重することが大事な世の中、でも自分にとって異質で恐ろしく感じるものが身近にあったら尊重できる?と考えると、できない。
様々な短編を通して、いろんなことをいかに自分の都合の良いように、気持ちの良いように考えていたかを痛感させられる本。 -
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ネタバレこの本を通して感じたのは、村田沙耶香という作家に対する印象が変わったということだった。これまで『殺人出産』のイメージが強く、独特で強固な世界観ゆえに、ついていけない、あるいは怖いと感じる作家という印象を持っていた。しかし本書に収められた短編やエッセイは、理解しきれない部分を多く含みながらも、その「わからなさ」自体が面白さとして成立しており、むしろ強く惹かれる読書体験だった。
特に印象に残ったのは、「信仰」や「生存」といった短編である。これらの作品では、現代の日本社会が抱える歪みや息苦しさが、極端な形にまで凝縮され、もしそれを突き詰めていったら、こんなことも起こり得るのかもしれない、という世界 -
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ネタバレ村田沙耶香さんの小説を初めて読んだので、ファンタジーな文に不思議な気持ちになりました。
1番好きなお話は『気持ちよさという罪』でした!
↓↓ネタバレです↓↓
「自分にとって気持ちがいい多様性」が怖い。「自分にとって気持ちが悪い多様性」が何なのか、ちゃんと自分の中で克明に言語化されて辿り着くまで、その言葉を使って快楽に浸るのが怖い。
ここの文が大好きです。自分の受け入れやすいもの、自分を傷つけないもの、自分が嫌がるもの全て含めて多様性という便利な言葉に酔ってしまう怖さ。
正直多様性という言葉を使って、個人個人を見てこなかった私はドキリとしました。
村田さんが思っていることとは受け取り方が -
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忘れかけていたあの頃の未熟さ、情けなさ、残酷さを、ヒリつくような緻密さで正確に表現していて、作者はまさにこの渦中にいる女子中学生かと思うほど。解像度の高さよ。すごすぎる。
主人公の捩れっぷりは相当なもので、伊吹くんがかわいそうでかわいそうで…中学校編からしんどいながらも読み進めていたら、急展開からのエンディング。
村田さんの作品を貫く、暗い肉体的な欲望や手に負えない感情を扱いながらも、これはそこからいくばくかの解脱を遂げた数少ないものなのではないかと。絶望の真ん中にほったらかされなくてよかった…
あまり読み返しはしない方だけど、この作品は珍しく最後のパートを2度読みました。直前まで苦しかったか -
Posted by ブクログ
「私の身体」を「生きる」とは何だろう。いや、「私の身体」とは何だろう。そもそも、「私」とは何だろう。
各作家たちの切り口は様々だが、みな共通しているのが、己という存在を不可欠に構築するこの肉体というものの生物的な役割にも社会からの眼差しにもかなり戸惑い、苦しみ、受け入れたり受け入れられなかったりしながらどうにか生きている点で、強く連帯感を持ちながら読んだ。
痛ましさを感じたのが、執筆陣の女性たちはほぼほぼみな性被害の経験がある点。私にもあるし、私の友人たちもほとんどあると思う(学生の頃、痴漢が話題になったとき、その場にいた10人ぐらいのなかで痴漢に遭ったことがない子は1人しかいなかったことを