村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
友達から、好きだと思うとおすすめされて借りた本。正直自分から手に取ったものではなかったし、村田沙耶香の他の作品を読んで想像していたものは、生や性に関するパラレルワールドみたいな世界だったので気は進みませんでした。借り物だし、早く読んで返さなきゃという気持ちと、タイミング(私は積読が多すぎてどれも読みたいので決めるのが難しいのでルーレットアプリに積読本のタイトルを入力してルーレットを回して決めています)が重ならなければ一生読むことはなかったかもしれないと感じています。これまでの村田さんの作風とはだいぶ違っていて、瀬里奈の不思議な雰囲気と主人公の律に部分的に親近感を覚えてすらすらと読んでしまいまし
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Posted by ブクログ
この物語は何を表現しているのかと、この先も考え続けていく気がする。様々な問題を切り取っているがそれが気持ち悪い感じでつながって、架空のものに喩えられ、物語が進んでいく感じがすごかった。
人間はみんないろんな世界で生きていて、それぞれの世界の人たちの価値観がある。自分の考えを話すこともあれば、波風を立てないように相手に話を合わせたり、なんか違うなと思ってもなんとなく全体の雰囲気に合わせたりすることもある。そもそも、完全な自分の考えなどなくて、誰かの影響や社会の影響を受けて生きているのだろう。
生きていると自分の意志ではなく、仕事や性別、経済システムなど何かに支配されていると感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中学生の時まさしく「オタク」と呼ばれて冷笑されていました。しかし、近年社会経済がオタクの価値を見出してこちら側に縋り付いて全員が何かのオタクであることを許容しています。それが私には本当に許せないことで、その経験があったので生命式の主人公には共感できるところがありました。昔の痛い経験が今は当たり前で、ただその今の文化にもちゃんと恩恵があるし共感できるところもある。少数派が急に多数派に連れてこられたら動揺しますが、社会は常に流動的なので、私も受け入れられるようにしていきたいなと思いました。
互いに人の価値観を受け入れはしなくても、理解し合える仲になれれば理想的です。