村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本を読んで気づいたこと
①自分にとって都合のいい道具だと思っていたものも、本当は自分と全く変わりないただの人間である。
②自分が信じていた、こうあってほしいと願った理想の存在は頭の中にだけあって、実在しない。そこには自分と同じように利己的で気味が悪いただの人間がいる。
③みんな自分は搾取される側で、自分を搾取する敵がいると思っている。しかし本当は、搾取されていると思い込んでいる自分自身にも、都合のいい存在を搾取している一面がある。
【感想】
「人間」の気持ち悪さがグロテスクに描き出されている。言葉の通りブラックボックスがむき出しにされていく、最後の展開はリズミカルで読み手を引き込む魔性があったと思う。
前半の他者をトレースし、今自分が存在している世界の空気を読んで適切に振る舞う空子の行動原理は私の中にも通じるところがあると感じて、「あなたもそうでしょ?」と後ろ指をさされている気がしてならなかった。気持ち悪くて、生々しくて、読み手の心を引っ掻いて傷を残す「とんでもない小説だな」という感想です。好きか嫌いかと言われるとちょっと嫌いなんですが、それは私が目を背けたいところを直視させてくることへの嫌悪感によるものだと思うので、読み手をこのような気持ちにさせ気づきを与えるという点において、文学作品としての評価は高いと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に面白かったです
10人産んだら一人殺す権利があり、人を殺したら人を産むことで償う。という突飛な設定なのに読み進めて行くうちに違和感が無くなっていくのが本当にすごい。こんな権利があるんだからパワハラとか怖くて出来ないやろなどと思って読んでいると、現実でも別に殺そうと思えば殺せることにはっと気付かされる。理不尽なようで今よりよっぽど素直で理性的な世界なのかもしれない。この制度ができてから生まれ、「産み人」を生命の神秘だという無垢なミサキも印象的。宿題を代行し、レトルトカレーを食べ、流行りのものを欲しがる日常がこんな世界でも流れている。最後の早紀子の胎児と黒百合を重ねて、潰すところはとても鼓動がはやまった。
もっと他の作品も読んでみたい。