村田沙耶香のレビュー一覧

  • 世界99 下

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    ネタバレ

    この物語の主要人物は空子、白藤、音の3人。
    空っぽな空子と、信念に頑なな白藤の対比が印象的で、面白い。

    音は空子をさらに上回る「世界99」の人物で、空子にとっては唯一の理解者なのだろう。物語が進むにつれて、空子や白藤を上から見下ろす「神」のような存在に感じられた。

    随所に「わかる!」と思えることが多々あった。感動は娯楽、悲劇も娯楽。差別者じゃない人間はいない。事実は歪曲され、記憶は変わる。感動は視野を狭くし、中毒性もある――そのような「真実」が言語化され、突きつけられる。

    後半、空子は自分の「記憶」を差し出し、ピョコルンになる「儀式」に向かう。自殺に近い行為なのに、描かれ方は晴れやかだ。

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    2026年01月26日
  • 世界99 下

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    ネタバレ

    強烈な近代dystopia小説でした。
    主人公の空子が現代の分人主義的な立ち回りをしており、ちょっと分かるなーという場面もあり、強制的に世界観に移入させられる場面が個人的にすごく心地よかったです。

    上巻では人間の穢れが強く前に出されているように感じたが、下巻では人間らしさを排除していくことを前に出されていき、それに抗う人間白ちゃんに少し感情移入もいたが、もはや登場人物も設定も全て狂っているのでもはや感情移入ではなく、自分の世界(価値観や思考)が一つ拡張される読後感でした。

    これを機に村田さんの作品を色々読んでみようと思います。

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    2026年01月25日
  • 世界99 下

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    ネタバレ

    『村上春樹の読みかた』で石原千秋氏が提示した「二人の村上春樹」という切り口を携え、上巻で感じたあの奇妙な違和感の正体を突き止めるべく下巻へ飛び込んだ。読み終えた今、私の脳内には「もやっとした霧」ではなく、作品の構造を多角的に解剖したあとのような、冷静でいてリアルな手触りが残っている。
     上巻で抱いた最大の違和感は、カオスであるはずの子供の心理が、あまりに理路整然と、かつ冷徹に分析・言語化されている点だった。賢くないはずの設定なのに、瞬時の判断で困難を乗り切る子供たち。その姿は伊坂幸太郎作品の寓話的なキャラクターのようでもあった。しかし、下巻を読み進めるうちに、この「違和感」こそが村田氏の仕掛け

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    2026年01月25日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ・当たり前を疑うということ。それを促すのではなく、我に返って「宇宙人の目」を持ってしまうことの不幸を描いていると思った。主人公の言うように、地球星人に洗脳されてしまったほうが絶対にラクだ。我に返ってしまうと生き延びるのって難しい。我に返ってしまった三匹の苦しみを容赦なく描いた作品だと思った。

    ・とてもえげつないラストだったが、何故だか読み終わってスカッとした。間抜けな地球星人が、あの三匹をみて狼狽えている不様さに、ざまあみろと、そう思ったのかもしれない。

    ・宇宙人の目=自分の目なんだと思う。自分の目で世界を見ると、その歪さや理不尽さ、非合理さにどうしても気づいてしまう。そうすると簡単には周

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    2026年01月23日
  • 殺人出産

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    発想がとてもいい、今と100年後で大きく変わっていくんだろうなと思うから気楽に考えていこうと思った。

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    2026年01月23日
  • 世界99 下

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    読み終わったあと、何だか体の力が抜けて心地よさもありました。
    『生命式』に収録されていた短編の「孵化」が好きだったので、長編として『世界99』を生み出してくださり感謝の気持ちでいっぱいです!
    それぞれの環境で『呼応』していく主人公の空子に共感するところは多くの人が当てはまるのではないでしょうか?
    私も『トレース』+『呼応』してきたことが多々ありました。
    現在仕事でも、一対一の接客業をしているので日々多少なり行なっている行為です。
    ただ、こうしてると本当の私はどんな人間なんだと考えることもあり、また、『呼応』が下手な人は苦手というか、そういう面が過敏なんだろう、空子のような人が身近にいれば私は生

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    2026年01月22日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    自分が人間ロボットだったら。自分以外もみんな人間ロボットだったら。誰が人間を始めたのだろうか。私たち全員が互いをトレースしているとしたら、最初に人間を始めたのは誰なのだろうか。私だけが人間ロボットなのだろうか。

    私は思わず笑ってしまった。私達はこの瞬間、全員がそれぞれの世界に媚びていた。これは世界に媚びるための祭りなのだった。

    いやいや、いやいや、世界凄すぎて。スゴすぎてずっと読んでました。

    いつの間にか、私はきちんと世界に教育されていた。

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    2026年01月21日
  • 世界99 上

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    気持ち悪い、不快、おぞましい、怖い…と思いながらもずっと読み進めてしまう謎の力を持った本。こんな不愉快な将来は嫌だと思いつつも、あり得るとも思うし、今すでにこんな感じになっている気もする。

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    2026年01月20日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    強烈である。どうすればここまでたどり着けるのか。
    宇宙人って感染症なんだ、と笑えた。
    世間とのズレに自分を閉じ込めて
    魔法で蓋さえしてしまえば、
    そこはもう完璧な宇宙なのだろう。

    主人公の生い立ちのようなものに
    少し自分と重なる部分を感じて苦しくなった。
    この苦しみがわかってしまうと、
    もう彼女を否定することなんて
    私にはとても出来ない。
    生き延びなくてはならない。

    女としても働く道具としても、
    完璧になれないとわかった時、
    その中途半端な全てを損ないたくなってしまう衝動。
    どこまでも前を走ってくれて、
    手を引いてくれて、
    こうやって生き延びて行くんだなと思った。

    人生に思い悩んでしまっ

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    2026年01月19日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    コンビニ人間を読んだからこの作品も読んでみようと思ったら、当時の読後感の数倍の衝撃を喰らった。
    この世界に生きづらさを抱えて「生き延びている」人にとても刺さる言葉が多いなと思いながら読んでいたら、後半はそう言った世界の概念に囚われていることすら可笑しい感情であると感じる展開でした。
    村田さんは「概念破壊」のプロであると改めて感じた。しかもそれを前もって「壊すよ?」と聞いてくるのではなく、読んでいるうちに気付いたら、既に、壊されていると言うのが恐ろしい。
    それでも私は、地球星人になれるように頑張ります。

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    2026年01月18日
  • 世界99 上

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    誰でも「私」はひとりじゃないと思う。
    会社にいる時の私、友人と会う時の私、恋人といる時の私、きっとその時々で違う私を見せて、相手の望む私でいる。それがきっと求められている。
    でもこんな極端にできる主人公と、私に求めすぎる世界。
    果たしてその先には一体何が待っているのだろう。
    下巻が楽しみ。

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    2026年01月17日
  • 世界99 下

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    認識の枠の描写が凄まじく、どこか近くて遠いところの本当の話だった、そして起きつつあるのかもしれないしもう起きているのかもしれない、記憶の混濁、過去の改竄、漂白された未来。

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    2026年01月17日
  • 世界99 上

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    小説では、嘘みたいに目を背けたくなるような醜悪な世界が描かれているのに、実際SNSを見ているとリアルに存在する。
    そんな世界に生きる人間が怖くなる。

    この世界の人があまりにも醜くて怖い、でも物語から脱して現実世界に戻っても実は同じと気付かされる。そこに絶望する。
    その繰り返しで読み進めるのがとてもとても苦しかった。

    村田さんの本を読むのはコンビニ人間に続き二作目となるが、圧倒的に異質な存在を主人公に据えて世界を眺めたときに、最初は主人公の異質さに気を取られて気づかないけど、世界の方が随分と歪んでることに徐々に気付かされる。

    下巻も気合いを入れて読みたいと思います!

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    2026年01月17日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    石原千秋氏が『村上春樹の読みかた』で提唱した「二人の村上春樹」という視点を補助線に、本書を「二人の村田沙耶香」がせめぎ合う物語として読んでいる。

    上巻を読み終えて抱くのは、強烈な違和感だ。混沌としているはずの子供の心理が、あまりに理路整然と、冷徹に分析され、言語化されている。瞬時の判断で困難を乗り切るその様子は、作中で「賢くない」とされる設定と矛盾し、伊坂幸太郎作品のキャラクターにも通じる寓話的な不気味さを放っている。

    だが、この矛盾こそが村田氏の「作戦」ではないか。本音を封じ、生き残るための「術」だけを磨かざるを得なかった子供の末路――内面を大人のシステムに侵食され、思考回路まで「翻訳」

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    2026年01月17日
  • 消滅世界

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    読みやすい文章で、どんどんページをめくる手は止まらないのに、面白いと言うわけではなくて、いや、面白いんだけど、面白いという簡単な言葉では表されない何かがあって、最後まであっという間に読んでしまいました。
    この作者が何を考えて、この作品を書いているのか、そんな、謎解きをしたいと思いながら、結局わからなかったり、自分勝手な解答を導き出してみたり。
    芥川賞受賞作家というのは伊達じゃないなと改めて思いました。

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    2026年01月18日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    コンビニ人間よりも鋭利な感じで良い。
    地球星人として「工場」の中で生きていくのが難しければ、自分をポハピピンポボピア星人と思い込んでこの世の中を生きていかなければならないのかもしれない。

    自分も地球星人とポハピピンポボピア星人の間で常に葛藤している。自分は後者の人間であるものの、それは危うさでもある。

    かつての非合理的なルール、タブーなどを全く理解もできなかったし、今でもわからないことは多い。ただし、一見すると非合理的に見えることは、地球星人の社会を維持する上で実は合理的なこともある。

    近親相姦、カニバリズムといったタブーが、なぜタブーとして機能しているのかを考えるきっかけにもなるなと。

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    2026年01月15日
  • 世界99 上

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    高熱が出てる時に見る悪夢の様な、終わりの見えない世界観。怖さではなく、理解できないものに対する気持ち悪さ。
    ちょっと体調が悪いときの寝る前に読むと、読後の感覚が夢に出てきそう。

    自分の意志は伝わらないのに世界はどんどん進んで行くような感覚。

    誰もが持っているであろう多面性を、これでもかと言う解像度の高さで突きつけてくる。

    主人公が1番異常なはずのに、他の登場人物みんなが異常な面を持ちすぎてて主人公が何故か1番まともに見えてくる。

    一体この物語はどこに向かっていくのかという衝動でページをめくる手が止まらない。

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    2026年01月15日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    こういうのでいいんだよ、こういうので。
    まさに自分が求めている物語でした。

    自分の中にポハピピンポボピア星人を住まわせることが出来れば、少しはこの社会を宇宙人の目を通して、自分らしく生きれるかもしれない。

    また、他では経験できないゾクゾクを味わえるから村田沙耶香さんの著書が大好きです。

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    2026年01月14日
  • 世界99 上

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    ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』じゃないが、一つの世界、一つの時代精神をまるごと再現しようとする小説。2026年も早々だが、今年ベスト級の本になる予感がする。

    僕自身の感想はもちろん山ほどあるが、それを書くのが怖くなるほどに、読む人ごとにこの本の読み方は違うのだろうなと感じた。不用意な感想でも書こうもんなら、僕が世界マル何番の住人なのか透けてしまいそうだ。

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    2026年01月13日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    飽きが来なかったという点で⭐︎5
    中盤で飽きるということがなかった

    ただ、ミステリーのような、怖いもの見たさの好奇心で読めてしまったような、これを好奇心と思う自分を後ろめたくなるような物語

    主人公は、人間関係をグルーピングして役割を持たせて、自分をそれに合わせるようなコミュニケーションを無意識にしていた。次第に、それぞれの世界の自分を客観視するようになる。
    一方、ペットのような立場の、ピョコルンが、生殖能力を持つようになる。それが実は、リサイクル人間だった(最後)

    下巻は、この調子でどういう方向に話が向くのか。

    予想外の流れしかないです。

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    2026年01月12日