村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ生や性の価値観が異なる社会を設定した、4つの短編集。不思議な設定だけど、リアルでもあり、面白い作品だった。あと、やっぱり表現が綺麗。
「殺人出産」
10人産むと1人殺せる“産み人”制度が定着したことで、人々の生と性に対する価値観は変容し、殺意が人を産み出す社会。
一見狂った世界に思うが、読んでいるうちに、今の自分にとって当たり前の社会が、100年、200年後、“今”を知らない人々にとって当たり前なのか奇妙なものになっているのか。足下がグラつく感じがした。
「トリプル」
3人での恋人“トリプル”が流行りつつある社会。
2人でのカップルが自然と考える人からは、3Pや乱交のイメージで「厭らしい」、「淫売」と扱われる。
逆に、ただ性器での繋がり、快楽を追求するカップルの性行為を、トリプルの主人公は「おぞましい」と感じてしまう。
“性趣向”ではなく、新しい“性行為”に出会った。その他特段の感想なし。
「清潔な結婚」
家庭に性行為を持ち込まず“仲の良い兄妹”のような関係を望む夫婦が、子どもを授かるために“医療行為としてのセックス”を受ける。
(“医療行為としてのセックス”とは、単に寸前まで看護師がオナホでしごいて、最後だけ挿入する力技だった。)
恋愛から結婚生活へ移行後、共に暮らす場に性を持ち込みたくないという考えに触れ、少し自分の妻の気持ちを理解できた気がした。
「余命」
医療が発達し、老衰も事故も含め、死を克服して人々が自分で死ぬ時期・方法を自由に考えられる社会
こんな社会でも、結局周囲の評価を気にして死に方を選ぶ主人公に共感。選べるって自由だけど不自由なんだな。
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Posted by ブクログ
ネタバレなんだこのラストは…。将来のことを考えると不安が残るものの、主人公にとって、やはりコンビニ店員は天職なのだと再発見するラストは清々しくも見える。天職とも違うのかな、やはりタイトル通り「コンビニ人間」という言葉を使うのが相応しいかもしれない。
彼女の考え方やロジックは理解できる。しかし、自分ならば「そのロジックにならない」という意味で、共感はできなかった。
心の動きに共感ができないからこそ、そんな主人公が「自分とは根本的に違う考え方の人」の中で生活し、「自分とは根本的に違う考え」を押し付けられることのストレスを想像できた、という不思議な読書体験だった。
主人公が変わることに期待していた人には、刺さらないかもしれない。個人的には、変わらなかったところが良かった。
もちろん、彼女なりに学んだこともあると思うが、結果として同じ場所に戻っていくことになりそうだ。
しかし、白羽と一緒にいても、特別幸せそうではないし、そんな心理描写もない。コンビニで働いている時期の方がよっぽど幸せそうだ。
もちろん全く違う解釈もできると思うが、ラストシーンについては「無理して『普通』に迎合する必要はない」というメッセージだと、私は受け取った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分は男子校出身ということもあり、ここまでドロドロとした学生生活を送ってきたわけではない(と思っている)が、そういえばあんなことあったな、と胸がチクチクした。
p.218「あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。」
主人公の性暴力が肯定される点は確かに違和感。伊吹は大人すぎるというか、どこか現実離れした印象はあった。その点で、安易に他人に薦められる小説ではないかも。
ただ、自分の気持ちを丸ごと受け止めて、愛してあげるということに関して、勇気をもらえた。嫌なことを正直に嫌と言うことは悪いことではない。
解説 p.319「
私たちは未だ、価値観の奴隷だ。知らぬうち、誰かに与えられた価値観に寄り添って生きている。
誰かをおかしいと思うとき、それは本当に、自分の気持ちから立ち上がった思いだろうか。美しくなりたいと願うとき、その美しさは本当に、自分が心の底から思った美しさなのだろうか。
私たちは、自分たちを、本当に、心の底から認めてあげられているのだろうか。社会という化け物が作った価値観から外れないように、私たちは自分たちの切実な想いを殺してしまっているのではないだろうか。
私たちはもっと、自分を愛してあげることが出来るのではないか。
自分の中に見つけたもの、それがたとえ醜さだったとしても、私たちはそれすら愛さなければならない。なぜなら、それを含めて大切な大切な私だからだ。
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Posted by ブクログ
学生時代に読んでめっちゃおもしろい!ってなった記憶だけあって読み直した。
おそらく、当時は品出しのやり方とか、コンビニ店員の詳細な描写が新発見でおもしろいと思ったんだと思う(そこ?笑)
社会人になった今読むと着眼点も変わって、無意識のうちに「世間から見て普通であるか?」が自分の判断軸になっているのかも、と思った。
みんなが思う「普通の幸せ」からはみ出すには勇気がいる。普通を選ばない自分を認めるには、他者と比較せずに自分の中の確固たるものを保ち続けることが必要。
主人公と白羽の関係と描写が不気味で、気持ち悪いのに不思議とページをめくる手が止まらなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・105「善意ほどおそろしい監視はない。」
・131 「飢えすぎると喜びは痛みに変わるのだと思う。」
・自分がどうしても空子のように感じられる瞬間が何度もあった。特に、私は最近(てか認めたくないけどいつかからずっと)恋愛について考えることが多く、私が恋愛したいと思うのは、世界が恋愛がいいものかのように語っているからであり、自分がこれまでに経験した恋愛は相手に好意を向けられていると感じた時に始まっているだけなので「トレース」しているだけなのでは?と思ってしまった。
・記憶を共有するようになる世界きもちわるい・・・本当によいことだけだろうか・・・
・「かわいそう」という感情はエンタメ:残念ながら、本当にあると思う。
・私はピョコルンにリサイクルされたいか?されたくない。今の人生に飽きることはある。けど、だからといって、ピョコルンになって誰かに仕えることをしたいとは思わない。自分の死ぬべき時に死んで、それで終わりたい。空子だって長く生きていたくはなかったはず。なんで選んだ?今の生活から逃げたかったのは理解できる。けど、と思ってしまう。
・ピョコルンが出てきた時、とても残酷だと思ったが、同時にこれって実世界でも起きていることだと思う。新しい奴隷(日本では、シタガイコクの人の低賃金労働やセックスワーカーへのコロナ給付金なしなど)がで続けているだけ。新しい奴隷を作って、少しだけ自分は解放された気になる。男性がきもいままの世界の描き方が、実際の世界でもこうだなと思ってきもち悪かった
・嫌だと思っていた明人や匠くんが自分に内在してしまい、それらが話出す感覚、わかるなあ。
・キリンジのメスとコスメ聴いて、あ〜最高だなあ、今更キリンジの良さを知るなんて、この世にはまだまだ知らないたくさんのいいものがあるんだなあなんてうれしいこと、とまでまじで思ってたら、ミスドから出てくる人たちが大揉めして警察呼びます、おい離せよ!みたいな叫び声がして一気にいやな気持ち。やめてーーーdon’t ruin my day please. 今ここまで書いて、あ、これが「汚い感情」出さないでってやつか、と世界99を思い出す。