村田沙耶香のレビュー一覧

  • 消滅世界
    この本を読んで感じたことは、「私たちの未来はどんな繁殖形態をとっているのだろうか」ということです。
    「子供ちゃん」は幸せなのか?
    私には「生身のアンドロイドを作っている」そんな気がした楽園という場所でした。
  • しろいろの街の、その骨の体温の
    西加奈子さんのおすすめ本だったので
    読んでみた。

    学校、
    クラスメイト、
    友達グループ、
    住んでいる街、
    人によって
    同じものが全く違って見えているんだな、と改めて気付かされた。

    とても繊細で複雑な感情表現しかできない結佳、真っ直ぐで濁りのない伊吹。
    とりまくクラスメイト達。

    村田さんの人間観...続きを読む
  • 殺人出産
    気持ち悪い。良い意味で気持ちが悪い。
    「イキガミ」も若者の命を奪う事で、真面目に生きる人間が増える事を狙っていたが、この世界はもっと狂っている。
    しかし、作中の台詞通り100年後はどうなっているか誰もわからないのだ。
    昆虫食もトリプルも大流行するかもしれない。
    それにしても、トリプルは気持ち悪い話だ...続きを読む
  • 地球星人(新潮文庫)
    虐待された子供の思考の歪みが、ファンタジックに描かれていて、逆に痛々しく恐ろしく、ホラーよりホラーに感じた。
  • 殺人出産
    おもしろかった。
    短編集だったのもあって、読むのが止まらなかった。
    今は異常な価値観が、100年後には正常になっているだろうな。でも、その正常は誰かの異常であることはなくならなそう。
    作中の「あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」にあっと思った。
  • 殺人出産
    村田沙耶香の作品はどれも脳みそをぐちゃぐちゃにかき回されたような気分になる。タイトルからしてぎょっとしてしまうが10人産んだら誰か1人を殺せるという制度ができあがった世界からこちらの世界へ揺さぶりをかけてくる。10人産んでいないのに人を殺してしまうのは罪となり、その拷問にも出産である。妊娠出産って女...続きを読む
  • 地球星人(新潮文庫)
    自分自身が当たり前と思っている価値観を壊す作品。違った角度から世界を見つめ直す物語。

    主人公たちを狂った考えの持ち主だと感じるかもしれないが、その価値観は現代社会の男女の価値観に疑問を呈するものだと感じた。
  • 殺人出産
     著者の作品を読むのは初めてだったが、10人産んだら一人殺せる「殺人出産システム」が確立された世界の『殺人出産』、カップルではなく三人で付き合うのが一般的になった世界の『トリプル』、性欲と出産、もとい家庭が完璧に別れた世界の『清潔な結婚』、病気による死が無くなり好きな形で自殺できる世界の『余命』の四...続きを読む
  • 変半身
    「変半身」「満潮」の2篇収録。村田沙耶香の作品を読むとフィジカルが勝手に反応する。生理的に落ち着かなくなり、いつの間にかやめられなくなってくるから困ったもんだ。
  • 消滅世界
    主人公はちゃんと順応できるのに何が嫌だったのか。
    今の時代晩婚化が増えてるとはいえまだまだ結婚したい!と思って焦っている人が多い仲で
    こういう世界になればそんな悩みが1つなくなるんじゃないか。私自身は自分で独身を選んでるつもりだけど仲良い子が結婚、出産の報告を聞いた瞬間は
    なんとも言えない気持ちにな...続きを読む
  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ
    全話強烈。

    丸の内魔法少女ミラクリーナ
    魔法少女に憧れた経験のある疲れた社会人向け。刺さった。
    秘密の花園
    こわい。なんで初恋を殺す必要があるんだ……
    無性教室
    性をなくすと同性愛も異性愛も気にならなくなるのかな
    変容
    時代に置いていかれる恐怖レベル100 視点が動いて恐怖が伝播するのがうまい……
  • 殺人出産
    衝撃的な内容4遍。性のあり方を考えること作品だった。
    ・10人産んだら1人殺せるシステムがある100年後の世界
    ・カップルで付き合うのではなく、3人で付き合うのが流行りになった世界
    ・子どもを授かる行為と快楽のための行為を分けた世界
    ・自分の寿命をきめ、粋な死に方を考える世界
    どれもが衝撃的です面白...続きを読む
  • 殺人出産
    新しい発見をたくさんもらった。
    倫理観という色眼鏡を外すと10人殺したら1人産めるというのはとても理にかなっている。
    普通だったら考えないような世界線を覗くことができて大満足!
  • マウス
    「何でも話せる間柄」が如何に尊く貴重であるか。系統同じ=居場所とは限らなくて、もっと違う部分で繋がりを持てると良いと思う。
  • 信仰
    ”お姉ちゃんの「現実」って、ほとんどカルトだよね”
    これは真理。何がカルトで何が現実かなんて、主観以外に決めようがない。
    ブランド品に高い金を払うのと、願いが叶う壺に高い金を払うのと、一体何が違うのか。私からするとどちらもお金の無駄。
  • 地球星人(新潮文庫)
    この一冊に、これでもかという程テーマが詰め込まれて、分量はそこそこ多いが、文体は硬くないので簡単に読み進めてしまう。いや、彼女の評価が何故これほど高いか頷ける。何か壮大な伝記、昔話を読んでいるような錯覚に陥る。最後までポハピピンポボピア星人が覚えられずに終わる。既成の概念をひっくり返され、世界が歪む...続きを読む
  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ
    この人の小説の姿勢は常に「何度も『普通』を疑い続ける」ということなんだろう。

    「『常識』を疑う」ことは、大学の初年度で教わった。小中高の、「『正解』に向かって正しい過程で『常識』を導く営み」から脱せないことには、世の中では全く生きていけない。

    大人になっても、世間の『常識』『正解』から脱し切れて...続きを読む
  • 殺人出産
    10人産んだら1人殺せるという「殺人出産システム」で人口を保つ世界の話。「殺人は悪」だという価値観を持って読むと、恐ろしい話。でも昔は生け贄とかで人を殺してたわけだし、価値観も倫理観も時代と共にかわるものだということを思うと、あり得ない話でもないかと思えてきてまた怖い。

    他の短編も強烈で面白かった...続きを読む
  • 信仰
    本屋で見かけて読みたかった本。帯の『俺と新しくカルト始めない?』というのがまさに面白そう。こんな薄い本なのに、8篇も入ってる超短編。初めて読む作家さんだけど、割と読みやすかった。新興宗教と原価を気にするのと何が違うのか。私は原価派だけど、やっぱり自分でもそれに取りつかれてるなとは思う。ケチが抜けない...続きを読む
  • 生命式
    どのお話も「生」にまつわる内容だが、やっぱり表題作の『生命式』に度肝を抜かれた。

    死んだ人間を食べ、次の生命へ繋げていくことこそが弔いで、お葬式ならぬ生命式で男女のマッチングがあればあるほど良いなんて、人間が動物に退化したような不思議な世界。亡くなった家族をつみれにしたり鍋にしたり料理する場面も、...続きを読む