村田沙耶香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
結構前から積読になってたんだけど、読み始めたらあっという間に読み終えた。
誰かの感想で「『イン・ザ・メガチャーチ』を思い出した」と書いてあって、読んでみて「確かに」と思った。
この小説を読んで改めて考えさせられたのが、「普通に生きていくこと」の難しさ。
多様化が進んで、人生の選択肢も一昔前よりずっと増えている。
「普通じゃない」生き方を選んだっていいはずなのに、それでもどこかで「普通であること」を暗黙のうちに求められている気がする。
この小説は、果たしてハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか。
白羽さんのもとで生きていくことと、「コンビニ人間」として生きていくことの対比がすごく印象 -
Posted by ブクログ
気持ち悪かった!!(褒め言葉です!笑)
圧倒的に普通じゃない人たちがコンビニというごく普通の、解説の言葉を借りるなら無機質な環境のなかで
その普通じゃないという属性をコンビニ店員というデフォルメされた属性がカバーする
それは単に社会で生きていくためだけではなくて、どうしようもなく「治らない」自分をコンビニ店員として補うことで、ありふれた普通の人間としての生活を保障する糧になっている
コンビニという場所が、ムラにおいて排除される人間をどうにか世界に留まらせている
強い言葉を使ってしまうけど、
この物語を気持ち悪いと思えることは、最低限普通な人間として生まれて育ってこれたからだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ(再読時の感想)初読 25年10月 再読26年9月8日
冒頭、コンビニ内から鳴り響く様々な「声」を用いて、読者に聴覚的にアプローチを仕掛けてくる。コンビニという世界を構築する上で私達にも語り手が見えている世界を見せてくれるための手助けだけの装置(もちろんこの文章は素晴らしい)に思えていたが、最後のシーンとの対比のように位置づけられていると気がついた。語り手は最後、コンビニの「声」が聞けるようになっているのだ。コンビニから出る音というのは、必ずしもコンビニから出ているわけではないが、コンビニの声というのはコンビニからしか聞こえない。語り手は進化した。コンビニ人間的からコンビニ人間へと進化していた -
Posted by ブクログ
本を読んで気づいたこと
①自分にとって都合のいい道具だと思っていたものも、本当は自分と全く変わりないただの人間である。
②自分が信じていた、こうあってほしいと願った理想の存在は頭の中にだけあって、実在しない。そこには自分と同じように利己的で気味が悪いただの人間がいる。
③みんな自分は搾取される側で、自分を搾取する敵がいると思っている。しかし本当は、搾取されていると思い込んでいる自分自身にも、都合のいい存在を搾取している一面がある。
【感想】
「人間」の気持ち悪さがグロテスクに描き出されている。言葉の通りブラックボックスがむき出しにされていく、最後の展開はリズミカルで読み手を引き込む魔 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本当に面白かったです
10人産んだら一人殺す権利があり、人を殺したら人を産むことで償う。という突飛な設定なのに読み進めて行くうちに違和感が無くなっていくのが本当にすごい。こんな権利があるんだからパワハラとか怖くて出来ないやろなどと思って読んでいると、現実でも別に殺そうと思えば殺せることにはっと気付かされる。理不尽なようで今よりよっぽど素直で理性的な世界なのかもしれない。この制度ができてから生まれ、「産み人」を生命の神秘だという無垢なミサキも印象的。宿題を代行し、レトルトカレーを食べ、流行りのものを欲しがる日常がこんな世界でも流れている。最後の早紀子の胎児と黒百合を重ねて、潰すところはとても鼓動