村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ殺人出産を読んで疲弊しちゃったので村田沙耶香作品の中で比較的ライトそうだと思って読んだ。SF多めでどの話もシンプルにめちゃくちゃ面白かった!特に「生存」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「彼らの惑星へ帰っていくこと」が好き。エッセイの現実の話なのかフィクションなのか境界がぼやけることがあったけどそれもそれで面白かった。
以下備忘録
■信仰
最後の展開ドキドキした。マルチにはまった同級生のことを散々馬鹿にした直後にハイブラ食器の話で盛り上がってたのがうけた。朝井リョウのインザメガチャーチを読んだ後だったからか、視野を狭めて夢中になるのも一種の幸せみたいな考え方はすんなり入ってきたかも。主 -
Posted by ブクログ
ネタバレ無機質で合理的なはずの主人公に、どこか既視感を覚えてしまうのは、きっと、あちら側は誰にとっても決して遠いものではないからだと思う。
あちら側に留まり続けるには、覚悟がいる。選択しているようで、どこかで強制されてもいる社会の中で、「変わる」ってどういうことか、と考えてしまった。
役割を離れて、一人の人間として見られた瞬間、周囲は急に彼女を理解しようとし始める。その動きは、優しさというより、不確かなものを確定させたい気持ちに近い。
理解できないものは、不安になる。だから距離を取るか、あるいは自分の物差しを当てようとする。それで少し安心してしまうのが、身勝手だけど人間らしいところなのかもしれない -
Posted by ブクログ
ネタバレ単行本で上下巻合わせて900ページ近く、その間ずっと不愉快しかない世界の描写を読まされて、メンタル弱っている時なら発熱しかねないような気持ち悪さ居心地の悪さ…なのに、小説としてはとんでもなく面白い。
なんじゃこれ!
コンビニ人間を読んだ時にもった違和感だけを抽出して、丁寧に培養して大きく育て上げた感じ。
授乳を読んだ時ほど、女性限定感はないが、全ての人間とピョコルンは虐げられるべき存在という世界観は性差抑圧なんだろうなぁ。
村田沙耶香おそるべし、とんでもない小説家に進化している。読者としての俺は果たしてどこまでついていけるのか?もうすでに青息吐息ではあるが…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ自分の意思を持たない空子は常に相手やコミュニティが期待している"自分"に呼応して、その人格を分裂させていく。
次第に自分自身だけでなく、さまざまな世界が並列して存在しており、自分以外の人間もそれぞれの世界が求める姿に呼応して、複数の世界を生きているという認知を持っていく。
この空子の感覚自体は、仏教の空の思想を捉えているように思う。自分自身も空子ほど意識的ではなくても、コミュニティに応じたさまざまな人格を無意識に使い分けている。というか、多分全ての人間がそうなんだろう。
ホモソーシャルな環境に適応した匠くんのような人格もかつての自分のなかには存在していた。この本が読む人の感 -
Posted by ブクログ
ネタバレ普通とは何か?
多様化、男女平等、新自由主義…
様々な時代の流れで、価値観の多様化という言葉とは裏腹に"普通"が押し付けられる世界。それは確かに現代を表している。
主人公のコンビニ人間は無機質で規則・ルールが明確なコンビニで中でのみ生を感じることが出来る。しかし、社会はそれを許さない。
社会の側は社会の側で、大多数の人達の価値観と文書化されていないルールに基づき生きている。本質的にはコンビニのルールに従う主人公と社会のルールに従う周りの人々は変わらない様に思う。
最後のエンドは、ハッピーエンドだったのか。
コンビニ人間として生きていこうとする主人公は前を向いているよう -
Posted by ブクログ
ネタバレ聴いていてここまでこの世界観にどっぷり
浸かるのかと恐ろしくなるほどに
今私が身を置いている世界にも影響が大きい
今の私たちの世の中の汚いものを
全て煮詰めたようなこの世界で
どこか他人事ではないような出来事が
次々へ起こる。
男尊女卑、痴漢、差別、自殺、出産、
ピョコルン。
主人公の空子は名前の通り空っぽで
性格のない人間。
空子は対人関係の中で相手によって
自分を変えて生きている。
そのあまりの極端さに異常だと感じながらも
それを行っていない人間なんていないと
自分自身を振り返ってしまう。
救いのない1冊でありながらも
なぜかこの世界から目を離せなくなっている
自分に恐怖を感じて