村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ村田沙耶香さんの小説を初めて読んだので、ファンタジーな文に不思議な気持ちになりました。
1番好きなお話は『気持ちよさという罪』でした!
↓↓ネタバレです↓↓
「自分にとって気持ちがいい多様性」が怖い。「自分にとって気持ちが悪い多様性」が何なのか、ちゃんと自分の中で克明に言語化されて辿り着くまで、その言葉を使って快楽に浸るのが怖い。
ここの文が大好きです。自分の受け入れやすいもの、自分を傷つけないもの、自分が嫌がるもの全て含めて多様性という便利な言葉に酔ってしまう怖さ。
正直多様性という言葉を使って、個人個人を見てこなかった私はドキリとしました。
村田さんが思っていることとは受け取り方が -
Posted by ブクログ
ネタバレ白羽が繰り返す「縄文時代から変わらないムラ社会」という言葉は、人間という種が持つ排他的な本能を象徴している。役立たずを排除し、異分子を矯正しようとする人間の集団は、恵子のような「コンビニ人間」を許容しない。しかし、恵子が最終的に選んだのは、そのムラに戻ることではなく、24時間365日、一定の光と温度に保たれた「コンビニ」という人工の聖域に帰還することだった。これは古い生命原理と、現代のシステムが生み出した新しい生命原理の対立である。人間が「血」や「性」で繋がるのに対し、コンビニ人間は「機能」と「マニュアル」で繋がる。恵子の決断は、人間としての幸福を捨てた悲劇ではなく、新しい環境に適応した個体の
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Posted by ブクログ
とんでもない作品を読んでしまったな…と感じる小説は年に数回出会うのですが、本作はまさにそれでした。
間違いなく今年ベストです。
村田沙耶香作品が大好きなのでいろいろ読み進めているのですが、これまでの作品の中で最も考えさせられました。
「消費される側」と「消費する側」の立場と思想について、繰り返し読者に投げかけられます。
SFのようでいて現実とリンクしている絶妙な世界観です。
主人公は元々感情のない人物でしたが、成長するにつれて様々な人と出会い共鳴し、感情のような性格のような何かしらの人格形成を果たしていきます。
感情がないとはいえ「嫌なこと」は元からハッキリしています。
そしてそれは女性ならば