村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
変わった、不思議な小説を書く印象のある村田沙耶香さん。
〝私の文章の読み方には二種類あり、一つは「ひたすら読み進む」という普通の読み方。
もう一つは、「一節を何度もいったりきたりしながら繰り返し味わい、頭の中で執拗に嘗めまわし続ける」という少し変質的な読み方”
と、村田ワールド炸裂な表現の仕方に笑ってしまう箇所が多かった。
これまで沢山読んで吸収してきた本たちを〝私が食べた本”と表現しているのも面白いと思ったし、人生における性と生死について深く考える方なんだな〜と思った。
私も大好きな小説家の島本理生さんや、西加奈子さんについてのエッセイも読めて大満足。
西加奈子さんについての話は鳥肌が立ったし、西さんの愛に溢れる人間性を少し知れて嬉しかったし、だからあんなに愛に溢れた小説が書ける方なんだなぁ〜と、なんだかとっても嬉しくなった。
紹介されていた本も興味深いものが沢山あったし、山田詠美さんの本も1冊しか読んだことがないので早速他のものも読んでみようと思う!
2022年、15冊目。 -
ネタバレ
おもしろい
読後の最初の感想は、「今っぽい話だなぁ」でした。
私は小説を頭の中でしっかりと映像化する癖があり、俳優さんや女優さんを当てて読みます。そうすることでより入り込めます。
今回の主人公は黒木華さん、店長は長谷川博己さん、など。
主人公は周りとは少し"違う"という幼少期をすごし、極力自分から何かを発さないように過ごします。
ゆくゆく自分が"違う"部分を治すのではなく、周りの"普通"な人を真似てあたかも同じかのように振る舞い生きていく。
それが非常にスムーズでやりやすいと感じたのが、コンビニ。
"古倉さん"という店員として存在し、幼少期がどうだとか考え方がどうだとか、主人公の感情や生き方など誰も気にしない。
品出し・レジ・掃除など必要とされていることを必要な分こなすという生活を35歳まで、アルバイトのまま、未婚で、続けます。
そもそも、この「誰も気にしない」というのは"普通"の人なら寂しく感じることだろうと思うけれど、主人公はその環境が心地よく感じています。
今まで"違う"ということを押し付けられていたがために、コンビニの一部になれていることに幸福を感じている。
正直、今は社会でもプライベートにまったく介入しないというのがむしろ良しとされる風潮がありますよね。
若者に多いのが
有給を取る理由を言う必要があるか?
恋人の有無を教える必要があるか?
オンライン会議では部屋を映さない とか。
何かとハラスメントでネーミングされます。
主人公のと訳が違うのは大前提ですが、
「迷惑をかけているわけではないのだから放っておいてくれ」というのは、今っぽいですよね。
白羽は迷惑かけまくってましたけど。
といった感じで、そのリアルな社会の感じが気分を暗くさせます。
それだけ入り込めるということだと思います。
いくらでも書けそうなので強引に締めました。
あと書いておきたかったのは途中で一瞬出てきた"主人公の成れの果て"の男性です。
お客の癖に商品を整理したり客の列を正したり。
白羽に促されるまま就職してしまったら、ああなっていた。
だから主人公の判断は正解で、ハッピーエンドだと思います。 -
購入済み
すごい!
普段読書などはしませんが、何かでおすすめされていて気になって読んでみました。
そんな自分にもスラスラと読めて、とても楽しめる作品でした。
そしてたまには読書もいいなと思えさせてくれました!
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マイノリティな人の生きづらさ
私はこの本の登場人物とそっくりで、冒頭から自分に落とし込んで読んでいました。
学校で目立たない律は社会に出てもその生きづらさを感じていた。そのとき、やっぱり一緒にいて瀬里菜は唯一の居場所だったんだと思いました。最初、瀬里菜を拒絶していた律は、自分自身の嫌いな部分だったんだろーなって。でも瀬里菜に付き合わされていくうちに、ちょっとずつありのままで生きていてもいいって風に律も気持ちが変わっていった。
私自身何故か励まされたし、生きずらいまま自分を好きになれればとりあえず生きていけそうかも。そんな風に思えた作品でした。 -
購入済み
面白かった
面白かったです。
ただ、この話をどうとらえたら良いのかは難しいですね。
読んだひとそれぞれに思うところがあるでしょう。
良いとか悪いとかの話ではないでし。
ともかく、できるだけ多くのひとが下記のことに気づいて欲しいものです。
絶対的な善悪は存在しないこと。
生きることに意味は存在しないこと。
人間の行動はすべて自分のためであること。
(人のためにしていることであっても、
その人が心のそこから相手のためだと思っていたとしても)
世界中の人間はすべて別の生き物だということ。
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購入済み
沙耶香ワールドの虜
この文章だけでも村田沙耶香という作家の個性がわかる。まずそこがすごい。また「穏やかに狂っている」というなんとも曖昧で捉えにくいものを持っている。そこが魅力でもあるのだろうと思う。
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購入済み
擬人化の匠
コンビニ人間を読んでいたので、スッと入る内容。普通の人が読んだら狂気じみてると思う。
短いエッセイだけど、言葉を難しく表現するのがカッコいいと陶酔してる人には、ストレートな表現で
ビックリするはず。作者の処女作から読み始めようと思います。 -
購入済み
共感しかない
冒頭から難しい描写が一切なく、
全ての言葉、文章が読みこめ、コンビニで働く自分を見ているようでした。
幼少期から周りと同じでなければいけないという
呪縛、皆と違うと変わった人と思われ、削除される「村社会」をストレートに描かれています。自分の思いを発言し皆に驚かれる描写は、私自身がいつも感じている違和感を具現化してくれました。ストーリーもこちら側の人間には「わかるわかる」と頷ける事ばかりで、普通に生きている人には衝撃かもしれません。賞を取るにふさわしい作品でした。1時間で完読しました。
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Posted by ブクログ
『もっと世界が不便だった子供のころ、電車を乗り継いで憧れのお店へ行って、手にとって自分の目で見て、悩みに悩んで買うということのほうがずっと豊かで素敵だったと、大人になって思い知らされる』―『通販の誘惑』
作家の言葉の生まれる根源にあるのは「小さな違和感」に違いないが、そのことを大袈裟に飾り立てたり騒ぎ立てたりせずに(結果として極端な選択により大袈裟な仕掛けに見えてしまうこともあるが)等身大の問題として正面から向き合うというのがこの作家の特徴だと、このエッセイを読むとよく判る。
人は誰しも常に変化のただなかにいる。経時変化しないものなど厳密に言えば存在しないけれど、無機質な物質と比べて生物の変わっていく速度は速い。なのに人は何故か自分は変わっていないという。あるいは変化を拒もうとする。アンチエイジングで5年前の自分よりも若く見えることを誇り、見た目が変わったとしても内面は若い時から変わっていないなどと言う。あるいは、世の流れに掉さすように突っ張り、俺は世間の流れには押し流されないぜ、などとうそぶく。そんな風に色々なものに突っかかるようにしていても、全ての人は、やっぱり変化している。そしてある日つぶやく、あの頃は若かったな、と。その間の変化の責任はすべて放り出して。
村田沙耶香はとても変わっている。作品もそうだけれど、コンビニでのバイト生活を続けていることや(その理由や)、インタビューやメディアでの発言を見ていても、その異色ぶりは鮮やか過ぎる。しかし、ひょっとするとこの作家は多くの人が投げ出してしまいがちな全ての変化に対する責任感が異常に強いというだけなのかも知れない、とエッセイを読みながら思う。クローゼットの中の黒歴史を単に断捨離するだけでは問題の本質は解決しない。少なくとも、そのことを直観的に理解しているように思う。
断捨離はプロセスを重視しない。結果だけにこだわる。その正しい結果とは、言ってみれば、リセットに他ならず、再び断捨離のプロセスが必要とされる次の過程を生み出す余地を生むだけのことになりかねない。難しいのは「断」だ。何故なら人は思った以上に慣性に従って生きているから。最も、寝る前の昨晩の自分と起きた今朝の自分を「同一」と結論付ける為に、その原理はどうしても必要であるのかも知れない。しかし自分が知らぬ間に従っている慣性にじっくり目を凝らして、身悶えすること。そして少しずつ変化してきた己の軌道を理解しようとすること。村田沙耶香は、それが出来る人であるのかと思う。但しそれは同じような慣性の動きの中にいる人々との「ずれ」を生み出すことだろう。思考すべきことが多過ぎて、時間の流れが遅くなる。まるで高速で移動する宇宙船の中で時間の流れがゆっくりと進むように。
『「村田さんはどういう人がタイプなの?」と聞かれ、「壁を殴らなくて、束縛が異常ではなくて、部屋の中で全裸を強制したりしてこない人かな?」ざっくり説明したところ、場の空気が凍った』―『後ろ向き恋バナ』
そういうセリフを、他人を面白がらせる為ではなく率直な思いとして吐いているのだとしたら、村田沙耶香の重力場は想像以上に強い。レジ打ちをしているだけで多くの怪しい人を引き付けてしまうのも無理からぬことのように思えてならない。時間の流れがゆったりとするのも相対性理論の指し示すことわりの如し。