村田沙耶香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
普通とは
仕事して、結婚して、子供を育てて、たまに友達と遊んで、親孝行をする
これが世間一般でいう普通の人生
これに少しでも適合しない人間は異常者だとみなされる
作中の表現を引用するなら、ムラの役に立たない人間
普通という物差しが絶対的正義でそれを振りかざすことで傷つく人間がいるという想像すらしていない
人類は進化している様で本質的には何も変わっていないのかもしれない
発達障害の脳内思考について、理屈はわかるが論理がわからない感じがリアルだった
一人称で語られるため、主人公は普通の人間になりきれているのだろうと思っていたが、同僚が白羽とお似合いだねとか言ってきてたところで横転
-
Posted by ブクログ
ネタバレこれぞフェミニストの見てる世界
面白かった(趣がある、の方)
この物語に登場する男性は、みんな一目で分かる犯罪者or犯罪者予備軍だった
しかし、女性もパッと見では分からないが、よく見てみるとろくな人が居なかった
結論、登場人物は皆どこかしらヤバい人だった、というのが上での感想
フェミニストの価値観や、男がどんな風に映っているのか大変勉強になった
私は、フェミニストとは恐らく一生分かり合えないんだろうなと感じたし、分かり合おうするのではなく距離を置くのが大正解なのだろうなと思った
蛇足:トレースと呼応は、多かれ少なかれ皆やってるんじゃないかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ<忘備録・ネタバレあり>
現実の倫理観で考えるとあきらかに不気味で残酷な、架空の世界の話。けれどベースには現実の世界線に通じるものがあり、合理性も成立していて「もしかするとこんな未来もありえる?」と思うほど現実味がある。4つの短編すべて、まったくの異世界と思えない恐ろしさを感じた。
・殺人出産
避妊技術が進んだことでセックスは快楽を得るだけの行為となり、子供は人工授精して産むのが主流の世界。偶発的な妊娠がなくなり人口がみるみる減少する中ではじまったのが、殺人出産システム。産み人となり10人産めば1人殺してもよい。男性でも人工子宮を埋め込んで妊娠出産できる。産み人の産んだ子供はセンターに預けら -
Posted by ブクログ
『世界99』を読み終えてまず感じたのは、これはディストピア小説ではないということだった。設定だけを見れば、十分にディストピアだ。人格を使い分ける主人公、生活のあらゆる負担を肩代わりする存在、再構築される社会。しかし本作が描いているのは、崩壊した未来でも管理された社会でもなく、「すでに私たちが生きている世界の延長線」だ。極端に見える構造は、むしろ現実を誇張しただけに過ぎない。
主人公・如月空子は「性格のない人間」として描かれる。彼女は相手や環境に応じて人格を作り替え、「安全」と「楽」を基準に生き延びてきた。コミュニティごとに異なる自分を持ち、それぞれを“世界①”“世界②”と切り分ける。その姿は -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公以外の人たちは、自分が大事にしているものしかこの世に存在していない、他の世界など存在しないと生きている。そこに主人公と同様に世界99の感覚を持った人物・小早川さんが現れる。ピョコルンの実態が世に知られ、主人公以外の人たちは、ほかの世界との境界線を見失っていく。視野狭窄?から広い世界へ
序盤はコンビニ人間の拡大版かーとつまらない話の進行を予想していたけれど、後半の後半で3つぐらい予想外の展開が待っていた。
・世界99の存在を主人公が感じたとき
・同じく世界99の世界観を持っている小早川さんとの出会い
・ピョコルンがリサイクル人間だったこと -
Posted by ブクログ
人間は他者との関係の中でしか自己を定義できない側面が強いから、母親の役割を担わない純粋無垢な存在は最早概念に近いのかも。主人公は過剰適応の状態に近くて、慢性的な緊張だったり自己抑圧を強いられている。母親が肯定されなかったことで主人公の胸が躍る場面が印象的だった。ひかりが迫ってくることで高まる閉塞感は、太陽をじかに見た時の目の奥の鈍痛のよう 恐怖を宥めようとする時の手の平の湿り気や指のもつれ、迫る焦燥感の描写がリアルで読んでてしんど楽しい(ひかりのあしおと)
なかなか感情移入しづらい主人公だったけれど根本にある、誰かに認められたい、求められたい、という欲求自体は純粋で誰にでもあるものだし、 -
Posted by ブクログ
ピョコルンという謎の生き物、差別を受けるラロロリン人、クリーンランド…という定義も曖昧な情報が飛び交う奇妙な世界。
その世界で性格がなく、呼応とトレースを活用して生き抜く主人公。
不可解で気持ち悪さに包まれるのだけど、現代にも共通するところもあって面白かった。
この世界はいろんなコミュニティがあって、そのコミュニティのなかしか通用しない常識や価値観がある。
人は一つのコミュニティに所属しているわけでなく、複数のコミュニティを使い分けて生きている。
だから複数のコミュニティのなかで矛盾したり、別キャラの自分がいたりするけど、器用に使い分けて生きている。
でも時々どれが本当の自分なのか?って疑 -
Posted by ブクログ
とんでもない本。同じ世界でも、見方によってこんなに変わるのか。地球は工場で私たちは働く道具か繁殖のための生殖器のどちらかを目指す。たしかにそうだ、納得。その恐ろしさ、気持ち悪さ、不気味さに気づかず、工場の目的を押し付けている地球星人が自分に重なりゾッとする。私はそれは生き物である以上仕方ないことだと思うし、将来家族を持ちたいとも思うけれど、それを他人に押し付けないようにしようと思った。すごく社会的なテーマを孕みつつも、寓話にせずファンタジーホラーとして描ききっていて凄い。ポハピピンポボピアにとってはハッピーエンドなのかな。性描写が生々しく、飢餓の場面もホラー。正直気持ち悪かった!!けど面白くて