村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ私たちが当然のように受け入れている社会の仕組みや価値観を、ほんのわずかに傾けることで、その足場の脆さと滑稽さを浮かび上がらせる。
表題作では、丸の内で働く一人の女性が「魔法少女」という装置を内面に抱え込みながら、過酷で均質化されたビジネス社会を生き抜いていく。だがそれは単なる現実逃避ではない。むしろ彼女にとっての“変身”は、自らを守り、世界に抗うための知的で静かな抵抗である。組織の論理や「普通」の規範に飲み込まれそうになりながらも、彼女は内なる物語を武器に、日常を戦場へと変えていく。その姿は滑稽でありながら、同時に崇高ですらある。
本書に通底するのは、「適応」と「変容」という主題だ。社会に -
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はじめは子どもじみた〇〇星人だからいつか宇宙船に乗って帰るとか、宇宙船が来なくなったけど、この人間社会の罠にハマりたくないとか、冗談じみていましたが、小学生だった奈月さんが34歳になって結婚した旦那の話しも含めて、だんだん正常な人間がおかしいのか、宇宙人と思い込んでいる人がおかしいのか。そもそも地球にいる生き物自体が気持ち悪くも見えてきました。
その流れの中に、児童性的虐待が盛り込んでくるあたりが、今までにない感覚で、新しい表現で新鮮でした。
確かに、理解し難い結末で、???がたくさん付くオチになっています。
しかし、「なにがあっても生き延びる」と誓った、奈月さん、その旦那さん、そして由 -
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価値観を強要する人に読んで欲しい作品。
前半の毒親描写、性加害描写がとてもリアルなので、苦手な方は読むのを控えた方が良いと思う。
【ネタバレ注意】
男と女で子供を作れ、まっとうに働け、それを強要される私たち人間は工場の部品である。そして、工場の部品であることに誇りを持っているのは地球星人であり、地球星人は洗脳されている。
この言葉選びが素晴らしく、とても腑に落ちた。
なんでみんな何の躊躇いもなく子供を作るんだろう、と思う私の心の内を言語化してくれた。
前半から中盤にかけては共感できる点が多く、どんどん読み進める事ができた。
しかし、後半からは予想外の展開で理解が追いつかないまま読み終わ -
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ネタバレ一冊読み終えてまず強く残ったのは、著者は世の中にあんまり期待してなさそう(?)という感覚だった。人間社会を内側から描いているというより、地球人について学んだ宇宙人が、地球人向けに書いたSFを読んでいるような視点。世界をかなり俯瞰で、少し距離を置いて眺めている感じがする。その距離感が、個人的にはとても心地よかった。
その感覚をいちばん象徴していると感じたのが、最後の短編『余命』。
『女子にぴったり!可愛い死に方100選』『男のインパクト死!印象に残る死に方でかっこよく逝く方法』というフレーズが強烈で、今まさに世界中で議論されているジェンダーの問題には一切触れず、「女は可愛いものが好き」「男はか -
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『コンビニ人間』『地球星人』『消滅世界』と4作続けて読み、村田沙耶香という作家が作る「箱」の面白さに圧倒された。
また、村田沙耶香は合理性を突き詰めた先での世界を提示し一旦フラットにして、読者に「倫理観」を問うてきているのかなと感じた。
ここで言う「箱」とは、既存の常識を鮮やかにひっくり返した世界観のことだ。
例えば『消滅世界』なら「夫婦間のセックスが近親相姦になる世界」、『殺人出産』なら「10人産めば1人を殺せる権利が得られるシステム」。誰にでも共通して伝わる明快な「箱」を作り、その中で物語を動かす手腕が凄まじい。
キャラクターの背景や心情描写の解像度(あるある!という共感)に依存せず、設定 -
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ネタバレ無量空処食らった。確実に共感できない価値観と状況設定なのに、主人公の目線に毎回トリップできるのは村田沙耶香ワールドという感じがする。今ある当たり前の感覚をひっくり返され、オリジナルワールドを展開されているのに何でこんなに文章が読みやすいんだ...。『家族』という概念に対して信仰と表現しているのが印象に残った。(同じ信仰を信じていたはずじゃなかったの...?というところ)
村田沙耶香の作品では、恋愛も仕事も家庭など人生自体を"ベルトコンベアに乗せられたモノ達"として、揶揄されている気がする。
「全ての人類は『途中』である」という箇所も、それに乗っ取られてはダメだ...!雨音.