村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ私は、基本的に世界を自分が希望を持てるように解釈して生きている人間なので、この本の主人公には感情移入できないかもしれないと思っていましたが杞憂でした。
自分が複数の世界でそれぞれに呼応する顔でなじむのは、誰にでも経験あることだと思いますが、ここまで世界を残酷に俯瞰しているのにはぞっとします。
この現実からすると、自分という存在の価値の軽さ、人種差別、ピョコルンの性的消費は異常とも取れますが、特に私が生きる現実を乖離しすぎているわけでもないなあと思ってしまいます。
私たちも共通の敵を持ち、自分を殺し、周りに毒を吐きながら自分が今いる世界に共感して生きている
世界では残酷なことが起きていて、それを -
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ネタバレ現代の日本とは全く異なる倫理観の4選
主題作のインパクトもすごいけど、他3作も異質すぎる
全部の作品に共通するのが、どれも理解できない感覚の道徳を持ってる人たちが多数を占める世界であるということ
けど、理解できない世界をあたかも普通な感じで語られることで自分の価値観や世界がこうあってほしいと言った倫理観が浮き彫りになるのがすごいと思った
これは消滅世界やコンビニ人間にも共通することだったので他の作品も読みたいと思うと同時に読んだらしんどいだろうな、のせめぎ合いになる
殺人出産で特に印象に残ったのが、
10人産めば1人殺せるという制度が人々が誰かを憎んだ時、最悪殺せばいいじゃんと希望を -
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まずはこの本を読む際は「気分が悪くない時」「朝イチ」「食事した後」という条件が一つでも当てはまっていれば本当におすすめしない。定期的に村田ワールドに触れたくなってしまう私はこの「生命式」も楽しみにしていた。が、朝の電車で読んでいたことと朝食べたものと表題作が強烈だったことが重なり本当に気持ち悪くなった。しかし、村田ワールドは本一つで体の調子を変えることができるので中毒性がある。吐き気を催すような短編も多くあるなか、受け入れがたい世界を淡々と描いている面白い作品も沢山詰まっている。村田さんの作品は常識を覆す作品が多い。個人的には「素晴らしい食卓」が好きだった。笑う描写ではないのかもしれないが、そ
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ネタバレ学生の頃に読んだ。ゼミで扱うというので再読したが、改めて読んでも新鮮に読めた。村田沙耶香の本領といった感じがするが、『コンビニ人間』で村田沙耶香を知った人が読んだら驚くかもしれないとつくづく思う。
夫婦による性行為は「近親相姦」として疎まれるようになり、性行為ではなく、人工授精によって妊娠出産をすることが当たり前になった世界。そんな時代にあって、語り手の雨音は、両親の性行為によって生まれた。小さい頃から母によって性行為で子どもを生むことが「正常」なのだと教え込まれた雨音は、母の意思には反して、世界の常識に染まっていく。
性的な関係と恋愛が切り離された世界においては、ヒトではない二次元のキャラ -
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コンビニ人間に続けて2作目の村田沙耶香さん作品。
この作家さんの作品の傾向が掴めてきた。
丸の内魔法少女ミラクリーナ ★★★★⭐︎
ただ主人公に共感。頭の中で〇〇劇場みたいなのを繰り広げるのって、自分のテンションを上げるために必要なことだと思う。逃げ恥でみくりちゃんもやってたし、自分もたまにやる笑
秘密の花園 ★★★⭐︎⭐︎
なるほど、そういう初恋の終わらせ方もあるのかーと。主人公がこれでようやく新しい一歩が踏み出せるのならハッピーエンドかな。
無性教室 ★★★★⭐︎
すごく透明感があってガラス細工みたいに繊細で好きな世界観だった。中性的な人が癖に刺さるので、セナは文章だけでも魅力的に感 -
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表紙とタイトルに惹かれて購入。
キラキラファンタジーかと思うと、この考え方って今を生き抜くには大事だよなって思わされる部分と、考えを間違えると悪にもなり得るということですし。
4作品の短編が入っていたのですが、どれも世界観がしっかりしてて読み進みが早かったです。
初恋って綺麗な思い出のままで綺麗な偶像でありたいですよね。
性別のない学校、性別とは関係なくその人の魅力に惹かれてしまうその気持ちも分かります。
変容は軽く私からしたらホラーでした笑
もし今の自分が誰かによって形成された流行りの性格なのだったのなら…とか、その時代時代に乗って行かなければ…とはならない性格なので、置いてきぼりで -
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生命式からの地球星人。生命式の中で見られたクレイジーを満遍なく散りばめている。しかし、長編であること、そして特に「今いる社会」の延長に位置している事が大きく異なっていた。
この本は私たちの感覚で異常と思う現象を、異常と思わせない形で表現する。その試みや流れは自然的で、寧ろ周りの【常識】の方がなんだか柔軟性の無い残酷な考え方だ、と感じさせる。ただ、その周りの常識というのは、今私が持っている常識と変わらない。それに気がついた時、如何に自分がこの本の世界とは異なり、ある意味恵まれた世界で洗脳されてきたんだ、と感じた。
異常世界の中での異常よりも、日常の中の異常の方が目立つし違和感が大きい。この本