村田沙耶香のレビュー一覧

  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ

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    ネタバレ

    私たちが当然のように受け入れている社会の仕組みや価値観を、ほんのわずかに傾けることで、その足場の脆さと滑稽さを浮かび上がらせる。

    表題作では、丸の内で働く一人の女性が「魔法少女」という装置を内面に抱え込みながら、過酷で均質化されたビジネス社会を生き抜いていく。だがそれは単なる現実逃避ではない。むしろ彼女にとっての“変身”は、自らを守り、世界に抗うための知的で静かな抵抗である。組織の論理や「普通」の規範に飲み込まれそうになりながらも、彼女は内なる物語を武器に、日常を戦場へと変えていく。その姿は滑稽でありながら、同時に崇高ですらある。

    本書に通底するのは、「適応」と「変容」という主題だ。社会に

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    2026年02月25日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    読み終えて。
    裸族で生活をし、後半の後半は人肉を食べ生きながらえる。なんともすごい作品だなぁ。沙耶香節の効いた1冊でした。最後は男が妊娠で終わりなんてそんなラストあり?と思って考察を読んだり同じ疑問を持った知恵袋を見てしっくりきました。重度の栄養失調になると下腹がポヨンっと出るらしい。それを妊娠と勘違いするなんて。でもこれを読んで親の育て方、生きる環境で誰もが宇宙人になり得ると思うとまた読もうかなぁ…悩むなぁと思う1冊

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    2026年02月24日
  • 信仰

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    小説家の見る世界が、教室なのか、学校なのか、市区町村なのか、社会なのか、(見ている世界観の大きさの比喩として)、そんな部分に差があることに、初めて気付かされた。小説家自身の思想を知ることは、小説を読むことにどう関わるんだろうか、そんなことも気になった。

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    2026年02月23日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    はじめは子どもじみた〇〇星人だからいつか宇宙船に乗って帰るとか、宇宙船が来なくなったけど、この人間社会の罠にハマりたくないとか、冗談じみていましたが、小学生だった奈月さんが34歳になって結婚した旦那の話しも含めて、だんだん正常な人間がおかしいのか、宇宙人と思い込んでいる人がおかしいのか。そもそも地球にいる生き物自体が気持ち悪くも見えてきました。

    その流れの中に、児童性的虐待が盛り込んでくるあたりが、今までにない感覚で、新しい表現で新鮮でした。

    確かに、理解し難い結末で、???がたくさん付くオチになっています。

    しかし、「なにがあっても生き延びる」と誓った、奈月さん、その旦那さん、そして由

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    2026年02月23日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    何の疑いもなく常識に流されて生きるほうがよほど簡単で、奈月たちのように工場から離脱し切ることができる真性側のポハピピンポボピア人が羨ましい。多くの人間は、とはいえ工場の論理で幸せになりたいと思ってしまう苦しみを抱いて生きていくのだと思う。それが大多数の常識で感染するものだから。常識が変わることはないと思うけれど、あえて目を背けてきた苦しみが言語化されたことに救われる。著者がほんとうにかっこいい。

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    2026年02月22日
  • 消滅世界

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    グロい本だったなあ...価値観が変わった世界の中にいるとそれが変だとは実感できないが、外からは変にしか見えないといった内容か。
    恋愛至上主義なのは近年だけの特質的な状況という言説はよく聞くけど、それが変わるとこうなるのかなあという実験として興味深かった。楽園システムがめちゃくちゃ弱くてすぐ崩壊しそうなのが気になった。
    このへんの強度を増して読みやすくしたのが世界99なのかなと思った。

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    2026年02月21日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    恋愛をして、結婚して、子どもを持つことは、多くの人にとって幸せの象徴のひとつだと思う。でも作中では、それは世の中の常識に洗脳されているだけという視点で描かれていて、ハッとさせられた。
    幼少期に十分な愛を受けられなかったことや、大人からの性被害によって生まれた奈月の「普通」に対する嫌悪や拒絶は、読んでいてとても苦しかった。
    一方で、どれほど違和感を抱いていても社会のルールや常識があるからこそ、人はまともに生きていけるのだとも感じた。
    普通に縛られる苦しさと、普通があるからこそ保たれる秩序、その両方を感じる作品だった。

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    2026年02月21日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    価値観を強要する人に読んで欲しい作品。
    前半の毒親描写、性加害描写がとてもリアルなので、苦手な方は読むのを控えた方が良いと思う。

    【ネタバレ注意】

    男と女で子供を作れ、まっとうに働け、それを強要される私たち人間は工場の部品である。そして、工場の部品であることに誇りを持っているのは地球星人であり、地球星人は洗脳されている。

    この言葉選びが素晴らしく、とても腑に落ちた。
    なんでみんな何の躊躇いもなく子供を作るんだろう、と思う私の心の内を言語化してくれた。
    前半から中盤にかけては共感できる点が多く、どんどん読み進める事ができた。

    しかし、後半からは予想外の展開で理解が追いつかないまま読み終わ

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    2026年02月18日
  • 殺人出産

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    ネタバレ

    一冊読み終えてまず強く残ったのは、著者は世の中にあんまり期待してなさそう(?)という感覚だった。人間社会を内側から描いているというより、地球人について学んだ宇宙人が、地球人向けに書いたSFを読んでいるような視点。世界をかなり俯瞰で、少し距離を置いて眺めている感じがする。その距離感が、個人的にはとても心地よかった。

    その感覚をいちばん象徴していると感じたのが、最後の短編『余命』。
    『女子にぴったり!可愛い死に方100選』『男のインパクト死!印象に残る死に方でかっこよく逝く方法』というフレーズが強烈で、今まさに世界中で議論されているジェンダーの問題には一切触れず、「女は可愛いものが好き」「男はか

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    2026年02月20日
  • 殺人出産

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    『コンビニ人間』『地球星人』『消滅世界』と4作続けて読み、村田沙耶香という作家が作る「箱」の面白さに圧倒された。
    また、村田沙耶香は合理性を突き詰めた先での世界を提示し一旦フラットにして、読者に「倫理観」を問うてきているのかなと感じた。
    ここで言う「箱」とは、既存の常識を鮮やかにひっくり返した世界観のことだ。
    例えば『消滅世界』なら「夫婦間のセックスが近親相姦になる世界」、『殺人出産』なら「10人産めば1人を殺せる権利が得られるシステム」。誰にでも共通して伝わる明快な「箱」を作り、その中で物語を動かす手腕が凄まじい。
    キャラクターの背景や心情描写の解像度(あるある!という共感)に依存せず、設定

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    2026年02月16日
  • 信仰

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    村田さんの作品には不思議な言葉がよく出てくる。
    鼻の穴ホワイトニング
    ロンババロンティック
    生存率アドバイザー
    均一
    ぽう などなど。
    聞いた事ないのになんとなく意味がわかる言葉
    聞いた事あるのに全く意味がわからない言葉
    読むたびこちらの想像力が試されているような気がしている。
    最後まで読み、真似したくても真似できないその独特な世界観のルーツを少しだけ知れた気がした。

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    2026年02月16日
  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ

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    冒頭からもう好き!
    今から村田沙耶香ワールドが始まるぞー!って感じ!
    村田沙耶香の作品は本当にぐんぐん読める!
    どういうこと?どうなるの?の連続。
    特に最後の「変容」が好きだった。
    まるで未来を予知しているような話。

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    2026年02月16日
  • 消滅世界

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    ネタバレ

    無量空処食らった。確実に共感できない価値観と状況設定なのに、主人公の目線に毎回トリップできるのは村田沙耶香ワールドという感じがする。今ある当たり前の感覚をひっくり返され、オリジナルワールドを展開されているのに何でこんなに文章が読みやすいんだ...。『家族』という概念に対して信仰と表現しているのが印象に残った。(同じ信仰を信じていたはずじゃなかったの...?というところ)
    村田沙耶香の作品では、恋愛も仕事も家庭など人生自体を"ベルトコンベアに乗せられたモノ達"として、揶揄されている気がする。
    「全ての人類は『途中』である」という箇所も、それに乗っ取られてはダメだ...!雨音.

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    2026年02月13日
  • マウス

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    ありのままでいるだけでうっすら好かれる瀬里奈が羨ましい律の気持ちがわかるなーと思いながら読み進めた。
    本音でいてくれる人の前で本音でいられる。律が瀬里奈の前では本音でいられて、大好きなワンピースを着られるようになってよかった。

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    2026年02月13日
  • 信仰

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    さすがコンビニ人間書いただけある。震える。
    思考実験みたいなお話が延々と繰り広げられてて具体的過ぎて怖い。
    現実がみえます!っていう叫びでげらげらすげぇって思ってたけど、最後の希死念慮を擬人化させてる時点で解像度が高いなぁとさすがだ。顕現させるだなんて...相当な手練だな?!と思った。彼女の念慮はミンチにしてくるらしんだけど、あたいの念慮はささやき系!
    鈍感。忘れることって才能よね。

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    2026年02月12日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    面白くて一気読みしました。村田さんは当たり前を当たり前じゃなく考えさせてくれることが多く、地球星人はこういう生き方を望む人だっているだろうと思いました。

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    2026年02月12日
  • 生命式

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    私たちが生きている世界とはちょっと違う世界。人々の生まれ方、死に方、弔い方が少し違って少し一緒。みんなそれぞれの捉えかたをしていて、現代の文化の多様性(と偏見)にも通じるものを感じた。

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    2026年02月11日
  • 消滅世界

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    性欲が排泄物となる、セックスが不潔なものとなる、家族という繋がりが不要なものとなる、と言った人間らしさのような動物的なものが進化によって手放されていく世界。

    ディストピアにもユートピアにも思えるSF世界のように読んでいたが、今現在進行形で進んでいることではないか、と感じて恐ろしくなった。
    キャラクターを好きになることや「推し活」によって、これまでの当たり前の営みや摩擦が取り払われていっている今現在の世界の延長線上にある世界だと思った。

    概念が一つずつ消滅していく様子は、小川洋子さんの「密やかな結晶」とも個人的にリンクした。

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    2026年02月11日
  • しろいろの街の、その骨の体温の

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    ネタバレ

    教室の歪な空気に合わせる自分から解放され、ようやく本当の自分の価値観を手にすると、不思議と世界が動き出す。

    魔境の学生生活を、私たちにもう一回体験させてくれた。あのとき、当たり前だった価値観や行動を、それがどれほどに息苦しいものだったかを大人になった今、思い出させられた。村田沙耶香さんはそれを、色鉛筆に例えていた。

    この感覚を、ちゃんと理解できている大人になっていて良かった。

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    2026年02月05日
  • 生命式

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    どの話もすごく面白い短編集。
    作者の色々な断片が見れて面白かった。
    村田沙耶香追っかけ中。
    精神の自由。

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    2026年02月05日