村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1月最後の本は、昔に買って途中まで読んでいた本。
とても面白かったけど、途中で気分が悪くなって読むのを中断していた、それ程に自分の中の正常な何かがぐらりと揺れて崩れそうになる一冊でした。
短篇十二篇の中のほとんどが、常識からズレた主人公たちで構成されているのでその都度、色んな自分の中の常識との乖離がすごかった。とても興味深いと思う反面、本能的にすっと受け入れなくて、読んでる途中で吐き気を催したのはこの本が初めてだった。
その世界ひっくるめて常識が改変されていることにに違和感を覚えている主人公のパターンや、それと真逆に主人公だけズレているパターン。読み手としては、世界のズレに対して違和感を覚 -
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ネタバレおもしろかったのは間違いない。
でもおもしろさにはいろいろな方向性があると思う。
スカッとする!……いや違うな。ほっこり、でもないし。ヒヤッとする、近いけどこれでもない。この作品が持っているのは、なんと言い表せばいいのかわからないもやもやとしたおもしろさなのだ。
種の繁栄のために人間は繁殖を続けてきた。繁殖の方法は言わずもがなだが、その方法が不健全とされ、別の方法に移行しつつある世界で、疑問を感じながらも順応しているふりをして生きている主人公。その葛藤を眺めているうちに、今私たちが生きる世界が正しいものなのか段々とわからなくなってきた。
劇中で「妻と近親相姦しようとするような変質者」という言 -
Posted by ブクログ
ネタバレ本作は、性欲や生殖といった「当たり前」とされてきた欲望が失われた社会を描くことで、逆に恋人や家族という関係性の本質を強烈に浮かび上がらせる作品だと感じた。
性欲が消滅したとき、恋人とはどのような存在になるのか。家族であることのメリットは、どこに見出されるのか。
純粋に居心地がいいという感覚だけで、人は誰かと生活を共有し続けられるのか。読み進めるうちに、これまで無自覚に依拠してきた人間関係の判断基準が、少しずつ解体されていく感覚を覚えた。
同時に、自らがいかに異性愛を前提としたイデオロギーに囚われていたかにも気づかされる。
作中の価値観に対して抱いた違和感は、「理解できないもの」への拒否とい -
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ネタバレ小説とエッセイ12篇、文庫化書下ろしあり
村田ワールド炸裂の濃密な1冊。『コンビニ人間』を読んだときの感覚が蘇りました。「もし○○だったら」と若いときに思ったことが村田さんの手によって小説になったら、という作品が複数あってとても面白かった。
個人的にとても心に残った作品→
信仰
読んだ感じは『コンビニ人間』に一番近いかも。原価に対するこだわり、私も小学校高学年~高校生まであったので懐かしい…。
生存
生物的格差が簡単に分かるようになった世界。下のランクに留まることは許されない。なんてしんどいんだろう。
気持ちよさという罪
ニックネームについて考える。
書かなかった小説
昔は「分身が -
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ネタバレ表題作のインパクトが凄すぎて、このお話がトップバッターで大丈夫?他のお話が霞んでしまうのでは?と思いながら読み進めたら、杞憂杞憂。
どのお話もぶっ飛んでる(褒め言葉)
中でも『変容』が自分には身近なテーマだった。○○世代と名付けて、乱暴に一括りにしてレッテル貼りするあの流れがどうしても頭に浮かぶ。
表題作や『無性教室』では、世間という見えない強制力に対してそんなんしらねー‼︎と最終的に自分の感情に正直に行動している。
ところが『変容』では、実は誰かに共感したり同化したかっただけで、「怒り」自体を大切にしていた訳ではなく、まわりに流されるオチになっている。怖くもあるし、理解もできるしで、収録作 -
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『コンビニ人間』などの著書で有名な村田沙耶香さんのエッセイ。
“脳世界”というワードに惹かれ、つい手に取った。
1話が見開き4ページぐらいの量なので、隙間時間にちょこちょこ読みすすめられるのがよい。
勘違いが多い、つい周りを見てから動いてしまう、数字に弱い…など私にとって「それそれ!」と共感できることが多かった。
村田さんは今までの人生エピソードを赤裸々に淡々と書いている。
それは「わたしだったら恥ずかしくて自己開示できないな〜」という内容も含めて。
それだけ小説家という職業は、自分とたくさん向き合い、自己開示できるぐらいまで自己のエピソードを昇華させていくのだろうと思った。