村田沙耶香のレビュー一覧

  • 世界99 下

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    女性にとって読むのがかなり辛い本では。逆に男性が読んだ感想を知りたい。
    途方もなくぶっ飛んだ話なのに、人間同士のやり取りが生々しくリアリティ溢れている。
    読んでいる期間、実生活に侵食してきて困った。

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    2025年11月25日
  • 授乳

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    三つの短編から成る作品集で、どの物語にも驚くほどドロドロした感情が渦巻いている。読んでいて胸が重くなるほど辛い描写も多いのに、読み進めてしまう。

    これが村田さんのデビュー作であり、発表は2003年。当時からすでに村田作品らしい異物感、人間関係の歪さ、そして「普通」を揺さぶる視点がぎゅっと詰まっていたのだと驚いた。

    まさに“the 純文学”という重さと余韻。世の中のほんわかした物語にお腹いっぱいになったとき、またこの本を手に取りたくなるような一冊だった

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    2025年11月25日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    置かれた環境によって自分を変えられる特技を持った空子の話。そして常に空子の意思はない。
    私も空子程じゃないけどいる人によって少しは自分が違うと思うからこそ、何となく分かる〜って部分が少なからずあった!
    でもそれも偽りではなく本当の自分だし、一体なんなんだろうとモヤモヤ。
    ラロロリン人と呼ばれる、世間の多数から嫌がられる存在の彼らの話も同時に進む。
    そして皆から羨ましがられるペットのピョコルン。上巻の最後はかなり驚いた…。
    ピョコルンにラロロリン人に空子…これからどうなっていくのだろうか。

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    2025年11月24日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    私は、基本的に世界を自分が希望を持てるように解釈して生きている人間なので、この本の主人公には感情移入できないかもしれないと思っていましたが杞憂でした。
    自分が複数の世界でそれぞれに呼応する顔でなじむのは、誰にでも経験あることだと思いますが、ここまで世界を残酷に俯瞰しているのにはぞっとします。
    この現実からすると、自分という存在の価値の軽さ、人種差別、ピョコルンの性的消費は異常とも取れますが、特に私が生きる現実を乖離しすぎているわけでもないなあと思ってしまいます。
    私たちも共通の敵を持ち、自分を殺し、周りに毒を吐きながら自分が今いる世界に共感して生きている
    世界では残酷なことが起きていて、それを

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    2025年11月22日
  • 世界99 上

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    いいね.
    人がペルソナを作る過程,作りそこねて作る機能を失った主人公が歪んだ作り方をするその過程,美しい醜悪でいいね.
    ロボットに人工知能を搭載し,不完全なまま動かしたらこうなる,みたいな感じが興味深い.

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    2025年11月21日
  • 殺人出産

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    ネタバレ

    現代の日本とは全く異なる倫理観の4選

    主題作のインパクトもすごいけど、他3作も異質すぎる

    全部の作品に共通するのが、どれも理解できない感覚の道徳を持ってる人たちが多数を占める世界であるということ

    けど、理解できない世界をあたかも普通な感じで語られることで自分の価値観や世界がこうあってほしいと言った倫理観が浮き彫りになるのがすごいと思った

    これは消滅世界やコンビニ人間にも共通することだったので他の作品も読みたいと思うと同時に読んだらしんどいだろうな、のせめぎ合いになる

    殺人出産で特に印象に残ったのが、
    10人産めば1人殺せるという制度が人々が誰かを憎んだ時、最悪殺せばいいじゃんと希望を

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    2025年11月20日
  • 信仰

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    短編小説・エッセイ集。小説パートは期待通りの村田沙耶香ワールド全開で最高。読むと頭がおかしくなりそうになる。自分の中の常識や前提が揺さぶられる。足場がぐらつく感覚が堪らない。一方エッセイでは著者に対する自分の捉え方が大きく誤っていたことに気づかされた。あの世界観はヘルシーな著者が嬉々として創り出しているのだと思い込んでいた。だが実際はむしろ生きるために書く作家なのだと知り衝撃を受けた。自分の浅い捉え方が恥ずかしい。いっそう村田沙耶香が好きになり、これからは彼女の小説をより真摯に読みたいと思うようになった。

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    2025年11月20日
  • 信仰

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    何かにハマる心理状態を知りたい。
    誰かを騙してでも稼ぎたい。
    そんな悪意と興味がリンクする。

    どんな話にもない独特な世界観の中で、
    何かから必死に逃げ自分を守りたいそんな人達の悲痛の叫びが聞こえるようなお話だった。

    信じるが故に、正常な判断を拒んでしまう怖さや
    騙そうとするが故に、自分を過信してしまう怖さを痛感させられた。

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    2025年11月19日
  • 生命式

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    まずはこの本を読む際は「気分が悪くない時」「朝イチ」「食事した後」という条件が一つでも当てはまっていれば本当におすすめしない。定期的に村田ワールドに触れたくなってしまう私はこの「生命式」も楽しみにしていた。が、朝の電車で読んでいたことと朝食べたものと表題作が強烈だったことが重なり本当に気持ち悪くなった。しかし、村田ワールドは本一つで体の調子を変えることができるので中毒性がある。吐き気を催すような短編も多くあるなか、受け入れがたい世界を淡々と描いている面白い作品も沢山詰まっている。村田さんの作品は常識を覆す作品が多い。個人的には「素晴らしい食卓」が好きだった。笑う描写ではないのかもしれないが、そ

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    2025年11月17日
  • 消滅世界

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    技術の進歩により、人工授精で子供を出産することが自由自在のとなれば、必然的に恋愛によるセックスは必要なくなっていくのだろうか。そしてその行為自体が異常なことということが常識となる。

    現在の自分の思想も、世間の常識の中に取り込まれている結果なのかも知れない。生きている時代によって常識とは変化するものである。

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    2025年11月14日
  • 消滅世界

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    ネタバレ

    学生の頃に読んだ。ゼミで扱うというので再読したが、改めて読んでも新鮮に読めた。村田沙耶香の本領といった感じがするが、『コンビニ人間』で村田沙耶香を知った人が読んだら驚くかもしれないとつくづく思う。

    夫婦による性行為は「近親相姦」として疎まれるようになり、性行為ではなく、人工授精によって妊娠出産をすることが当たり前になった世界。そんな時代にあって、語り手の雨音は、両親の性行為によって生まれた。小さい頃から母によって性行為で子どもを生むことが「正常」なのだと教え込まれた雨音は、母の意思には反して、世界の常識に染まっていく。
    性的な関係と恋愛が切り離された世界においては、ヒトではない二次元のキャラ

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    2025年11月13日
  • 消滅世界

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    村田沙耶香さんはいつも“当たり前”に疑問を投げかけてそれでいいの?と問いかけてくる。
    本作もすごくディープでグロテスクでとても良かった。

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    2025年11月13日
  • 信仰

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    以前コンビニ人間を学生の時に読み衝撃を受けたことを思い出しました。
    どの作品もこれで終わってしまうのか。いやこれが良いのか。まだ感性が足りないのか。頭の中でぐるぐる考え巡らせたまま読み終えていきました。

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    2025年11月11日
  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ

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    コンビニ人間に続けて2作目の村田沙耶香さん作品。
    この作家さんの作品の傾向が掴めてきた。

    丸の内魔法少女ミラクリーナ ★★★★⭐︎
    ただ主人公に共感。頭の中で〇〇劇場みたいなのを繰り広げるのって、自分のテンションを上げるために必要なことだと思う。逃げ恥でみくりちゃんもやってたし、自分もたまにやる笑

    秘密の花園 ★★★⭐︎⭐︎
    なるほど、そういう初恋の終わらせ方もあるのかーと。主人公がこれでようやく新しい一歩が踏み出せるのならハッピーエンドかな。

    無性教室 ★★★★⭐︎
    すごく透明感があってガラス細工みたいに繊細で好きな世界観だった。中性的な人が癖に刺さるので、セナは文章だけでも魅力的に感

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    2025年11月10日
  • 丸の内魔法少女ミラクリーナ

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    表紙とタイトルに惹かれて購入。
    キラキラファンタジーかと思うと、この考え方って今を生き抜くには大事だよなって思わされる部分と、考えを間違えると悪にもなり得るということですし。

    4作品の短編が入っていたのですが、どれも世界観がしっかりしてて読み進みが早かったです。

    初恋って綺麗な思い出のままで綺麗な偶像でありたいですよね。

    性別のない学校、性別とは関係なくその人の魅力に惹かれてしまうその気持ちも分かります。

    変容は軽く私からしたらホラーでした笑
    もし今の自分が誰かによって形成された流行りの性格なのだったのなら…とか、その時代時代に乗って行かなければ…とはならない性格なので、置いてきぼりで

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    2025年11月09日
  • 殺人出産

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    正しい正義は時代と共に変わる

    歴史上沢山人を殺して英雄と呼ばれた
    人がいるのだから、
    【10人産めば1人殺せる】
    それは狂った考えでは無いのでは…。
    と読んでる内に思わされた。
    しっかりと村田ワールドに引き込まれた。

    最後の短編「余命」
    でこの本を締めくくる所が好きだった。

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    2025年11月08日
  • 信仰

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    世界で起こる出来事を、どのような視点で眺めるのか。あり得ない設定でありながらも、どこかリアルな一面が顔をのぞかせる。作者の違う一面が垣間見られた作品の数々。

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    2025年11月07日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    生命式からの地球星人。生命式の中で見られたクレイジーを満遍なく散りばめている。しかし、長編であること、そして特に「今いる社会」の延長に位置している事が大きく異なっていた。

    この本は私たちの感覚で異常と思う現象を、異常と思わせない形で表現する。その試みや流れは自然的で、寧ろ周りの【常識】の方がなんだか柔軟性の無い残酷な考え方だ、と感じさせる。ただ、その周りの常識というのは、今私が持っている常識と変わらない。それに気がついた時、如何に自分がこの本の世界とは異なり、ある意味恵まれた世界で洗脳されてきたんだ、と感じた。

    異常世界の中での異常よりも、日常の中の異常の方が目立つし違和感が大きい。この本

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    2025年11月06日
  • 殺人出産

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    「子どもを10人産めば、合法的に人を1人殺せる」
    突飛なはずの設定なのに、世界観に無理がない。
    こういったディストピア系(という表現で合ってるかな?)の作品では、「いや流石にそれはないだろ」と思ってしまうような登場人物の行動が見られがちだが、この話の中の登場人物の行動には、みんな矛盾もなく、自然体のように思えた。
    人が生まれること、そして殺意について。改めて考えさせられたし、読んでいて面白かった!

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    2025年11月02日
  • 消滅世界

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    その世界に適した狂い方で、発狂するのが一番楽なのに

    今の世界が良いとか悪いとかって話じゃない
    ただ少なくとも、ここで描かれたエデンを「そんな世界ありえねえだろ」と笑ったり嫌悪したりするやつはちゃんと正しく狂えてるってことだよ
    その認識からスタートだ、俺は確実に狂ってるぜ

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    2025年11月01日