村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ本作は、性欲や生殖といった「当たり前」とされてきた欲望が失われた社会を描くことで、逆に恋人や家族という関係性の本質を強烈に浮かび上がらせる作品だと感じた。
性欲が消滅したとき、恋人とはどのような存在になるのか。家族であることのメリットは、どこに見出されるのか。
純粋に居心地がいいという感覚だけで、人は誰かと生活を共有し続けられるのか。読み進めるうちに、これまで無自覚に依拠してきた人間関係の判断基準が、少しずつ解体されていく感覚を覚えた。
同時に、自らがいかに異性愛を前提としたイデオロギーに囚われていたかにも気づかされる。
作中の価値観に対して抱いた違和感は、「理解できないもの」への拒否とい -
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ネタバレ他人に迎合しながら生きている人が多数だと思うけど、それは他人に良く思われたいとか他人から嫌われたくないといった感情から起こされるものと自分は認識している。
空子に関していえば自分の感情がないとは言うけど、相手をトレースしてそれぞれの人に対してどう立ち回れば良いか理解しているわけだからそれは実はすごい武器なのではないかと思う。俺みたいな自尊心が低い人や自信がない人は相手に迎合した方が楽に生きられたりするから少し羨ましかったりする。
それにしてもピョコルンに隠された真実が世界を一つにするとは。この中々に狂った世界観をどうやったら思いつくのだろう。これからどうなっていくのか続編を楽しみにしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後はなぜか清々しい終わり方だった。
ピョコルンが世界を変えた。キャラを自在に操り、どんな世界にもその世界に応じた生き方をした空子。明人と結婚し、道具として使われて続ける人生。それは、今の社会を象徴していて、誰かに使われ、酷使されて、つぶれていく。でも、その生活もピョコルンによって終わり、空子とは、逆に自分の正義を貫き、世の中に抗い続けた白藤さんの生活もどんどん破綻していく。
その2人が歪な家族のようになり、その子どもたちもまた歪んだような人生をおくる。
最後は、空子は集団でピョコルンになる儀式に参加し、今までの人生を自分の手で終わりにする。
自分もまだ、常に世界に所属し誰かしらに媚びながら生 -
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ネタバレ展開が気になり一気に読み終えました。
終盤の展開はグロテスクなので誰にでも薦められる
わけではないですが個人的には面白かったです。
主人公は世間とのズレを、自分は宇宙人だと思い込み、この世界のことを、地球人、工場と呼ぶことで何とか埋め合わせている。
周りの大人達が、主人公達に普通の人生を送らせようとしてくる中で、何とか地球人の生活に合わせて誤魔化しながら生きているが、後半、地球人達が、その誤魔化しに気づき、真っ当な生活に引き戻そうとしてきて、どんどん追い詰められていく。
物語では、主人公目線で進められているので、周囲の地球人は、押し付けがましい醜悪な人たちとして描かれているけれど、本人達は -
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面白すぎて一気に読めた。
消滅世界を読んだときにも感じたような、恋愛結婚出産みたいな世の中の人々が当たり前のようにしている行為を、逆に異常に感じている主人公の視点が面白くて
私たちが当たり前のようにしていることを、なぜそれが当たり前のように行われ、同じようにしないと異常者のように扱われるのか疑問に感じることが
私には(洗脳された地球星人の一人)新たな視点過ぎてとっても面白かった。
あー私も洗脳されてる側なんだって思った。
たしかに異常と言われれば異常なのかもしれない。
ただ読んでいくうちに、自分のなかにも奈月と似たような考え、感覚が少しあるなと思った。
「工場は恋愛がどんなに素晴らしいか、 -
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ネタバレ小説とエッセイ12篇、文庫化書下ろしあり
村田ワールド炸裂の濃密な1冊。『コンビニ人間』を読んだときの感覚が蘇りました。「もし○○だったら」と若いときに思ったことが村田さんの手によって小説になったら、という作品が複数あってとても面白かった。
個人的にとても心に残った作品→
信仰
読んだ感じは『コンビニ人間』に一番近いかも。原価に対するこだわり、私も小学校高学年~高校生まであったので懐かしい…。
生存
生物的格差が簡単に分かるようになった世界。下のランクに留まることは許されない。なんてしんどいんだろう。
気持ちよさという罪
ニックネームについて考える。
書かなかった小説
昔は「分身が -
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ネタバレ表題作のインパクトが凄すぎて、このお話がトップバッターで大丈夫?他のお話が霞んでしまうのでは?と思いながら読み進めたら、杞憂杞憂。
どのお話もぶっ飛んでる(褒め言葉)
中でも『変容』が自分には身近なテーマだった。○○世代と名付けて、乱暴に一括りにしてレッテル貼りするあの流れがどうしても頭に浮かぶ。
表題作や『無性教室』では、世間という見えない強制力に対してそんなんしらねー‼︎と最終的に自分の感情に正直に行動している。
ところが『変容』では、実は誰かに共感したり同化したかっただけで、「怒り」自体を大切にしていた訳ではなく、まわりに流されるオチになっている。怖くもあるし、理解もできるしで、収録作 -