村田沙耶香のレビュー一覧

  • 信仰

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     短編&中編小説とエッセイたち。
     エッセイは、村田さんの脆さや繊細さをユーモアや狂気っぽさで覆わずにさらけ出したような言葉でできていて、小説の言葉とエッセイの言葉は違う(と本編でも語られていた)と感じたし、前に読んだ女性誌の連載が書籍化されたエッセイ本ともだいぶ雰囲気が違った。

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    2026年04月13日
  • 殺人出産

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    ネタバレ

    今回も合理的なシステムを用いて、読み手側に是非を問わせないストーリーを巧みに表現されていました。10人子供を産んだら1人殺せるシステム。文章にしても口に出しても端的な構造。その世界に前々から人道なんか存在しなかったように。今作は終始シンプルでした。このシンプルさが余計に登場人物と世界観の狂気ぶりをより際立たせていました。世界99に比べて緩和しましたが、今回もやはり生きた心地がしませんでした。これこそ村田紗耶香さんの力技。タブーやご法度を詰め合わせた鍋をこちらに「はい、どうぞ」と渡してくるのが、自分はいつの間にか中毒になっています。

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    2026年04月13日
  • 信仰

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    最後の展覧会の編がいわゆる児童文学のsf的な要素があった。こういった抽象さは好きなんだろうなと新しい発見があった。

    村田沙耶香の切り抜く世界は社会の異様な光景や常識を改めて認識することが出来るところが面白い。彼女の見えている世界はここまで歪なのかと思ってはいたが、作中のエッセイで、小説は小説用の言葉を描いていて私の脳内を晒しているわけではないといっていた。心療内科に20年通い、病と付き合い続けていることを初めて知る。
    きっと村田沙耶香は社会とある程度距離を保って保身をしながら生きている人なんだと思った。だからこそ見える俯瞰的な視点に、設定に、私は面白みを感じるんだと思う。

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    2026年04月13日
  • 殺人出産

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    ネタバレ

    今の「正常」な価値観は長い目で見るとグラデーションの一部に過ぎないんだなと思った。
    ディストピアな設定や描写がリアルで気分悪くなったけど、根本的な思想には共感できるところもあって、この世界が現実になったら自分もこの世界の人たちと同じように受け入れているのかもしれない。。と怖くなった。それと同時に現実のことも少し気持ち悪く感じてしまった。
    村田沙耶香さんの作品もっと読んでみたい。

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    2026年04月12日
  • 消滅世界

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    世界99を読んだ直後だったので、内容が似ていてサラッとまとめを読んだ感じだった。
    解説の方の、女性にとってのユートピア、男性にとってのディストピア という言葉。これにつきる。いや、女性から見た男性 の、だろうか。
    私は女性なので全ての男性の性欲についての考えを慮ることはできないが、女性から見た男性というのは村田作品で描かれるようなものであると思う。自分の欲のために女性を利用し、搾取し、性欲処理のためなら人間として扱うことすら忘れてしまう。
    村田沙耶香さんはその辺のことをずっと訴えているのだろうな、と個人的に感じているので、好き。
    時代によって社会構造は大きく変わっていくし、今現在だってずっと私

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    2026年04月11日
  • 世界99 上

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    この世の汚いところ、目を背けたくなるところ、嫌のところを濃縮してドリップしたような内容で、こんな世界絶対嫌だよな。と思いながら読んでいた。
    でも、考えてみると、今生きている世の中で十分起こり得ることだし、起こっていることだし、今生きている世の中の残酷さについて考えるきっかけになった。

    そして人格をトレースする空子にも共感する面は多々あり。。

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    2026年04月10日
  • 世界99 下

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    上下巻でなかなかのボリュームで空子の人生に後半はだんだん疲れてきた部分もありましたが、
    差別やピョコルンの存在が時代によって変わるのも優しい人ばっかりの世界みたいな移り変わりも今の社会に通じるものがあって、
    便利だと思って使い出したAIに仕事が奪われるとかそういうのをピョコルンから感じたし
    きもい人をきもいと言えなくなる世の中もどうなのか?とか性格の作られ方とかなるほどなーと思うことばっかりだった。

    作者どんなひとなんだろ

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    2026年04月10日
  • マウス

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    良いアプローチで小説を書いてくれる作家。
    物語に入り込む奇抜なにみえるが、誰しもが経験をするキャラ作りの一環と捉えれば当然の描写なのだ。
    瀬里奈はそのキャラへの入り込みが特殊なため、どの組織に属しても変わらないという我儘さがあり、世間との協和を図る律を含む誰もが羨ましさをみる。
    素晴らしい。

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    2026年04月09日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    常軌を逸してる面と納得感のある面が混在する。
    何を良しとするか、倫理観に対する問いかけ。
    倫理観を固執しすぎる社会への投げかけでもあるのかな。
    今の時代多様性が言われるので、ある種受け入れやすい内容なのかも。いや、それでも結構エグい内容だけど。

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    2026年04月09日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    これぞフェミニストの見てる世界
    面白かった(趣がある、の方)

    この物語に登場する男性は、みんな一目で分かる犯罪者or犯罪者予備軍だった
    しかし、女性もパッと見では分からないが、よく見てみるとろくな人が居なかった
    結論、登場人物は皆どこかしらヤバい人だった、というのが上での感想
    フェミニストの価値観や、男がどんな風に映っているのか大変勉強になった
    私は、フェミニストとは恐らく一生分かり合えないんだろうなと感じたし、分かり合おうするのではなく距離を置くのが大正解なのだろうなと思った

    蛇足:トレースと呼応は、多かれ少なかれ皆やってるんじゃないかな

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    2026年04月07日
  • 殺人出産

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    ネタバレ

    <備忘録・ネタバレあり>
    現実の倫理観で考えるとあきらかに不気味で残酷な、架空の世界の話。けれどベースには現実の世界線に通じるものがあり、合理性も成立していて「もしかするとこんな未来もありえる?」と思うほど現実味がある。4つの短編すべて、まったくの異世界と思えない恐ろしさを感じた。

    ・殺人出産
    避妊技術が進んだことでセックスは快楽を得るだけの行為となり、子供は人工授精して産むのが主流の世界。偶発的な妊娠がなくなり人口がみるみる減少する中ではじまったのが、殺人出産システム。産み人となり10人産めば1人殺してもよい。男性でも人工子宮を埋め込んで妊娠出産できる。産み人の産んだ子供はセンターに預けら

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    2026年04月07日
  • 世界99 下

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    ネタバレ

    49歳の空子の物語。
    世界の崩壊により全ての人が
    世界99に身を投げられてしまったところから物語は始まる。

    世界は必要な形に変容していく。
    人々の価値観も、社会問題も
    目まぐるしく変容していく。

    ピョコルンという生物の正体、
    差別の果ての姿、人間の理想の形…
    様々な価値観が変化していき
    この世界の変容は止まらない。

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    2026年04月07日
  • 世界99 上

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    『世界99』を読み終えてまず感じたのは、これはディストピア小説ではないということだった。設定だけを見れば、十分にディストピアだ。人格を使い分ける主人公、生活のあらゆる負担を肩代わりする存在、再構築される社会。しかし本作が描いているのは、崩壊した未来でも管理された社会でもなく、「すでに私たちが生きている世界の延長線」だ。極端に見える構造は、むしろ現実を誇張しただけに過ぎない。

    主人公・如月空子は「性格のない人間」として描かれる。彼女は相手や環境に応じて人格を作り替え、「安全」と「楽」を基準に生き延びてきた。コミュニティごとに異なる自分を持ち、それぞれを“世界①”“世界②”と切り分ける。その姿は

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    2026年04月05日
  • 世界99 上

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    ネタバレ

    主人公以外の人たちは、自分が大事にしているものしかこの世に存在していない、他の世界など存在しないと生きている。そこに主人公と同様に世界99の感覚を持った人物・小早川さんが現れる。ピョコルンの実態が世に知られ、主人公以外の人たちは、ほかの世界との境界線を見失っていく。視野狭窄?から広い世界へ

    序盤はコンビニ人間の拡大版かーとつまらない話の進行を予想していたけれど、後半の後半で3つぐらい予想外の展開が待っていた。
    ・世界99の存在を主人公が感じたとき
    ・同じく世界99の世界観を持っている小早川さんとの出会い
    ・ピョコルンがリサイクル人間だったこと

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    2026年04月05日
  • 殺人出産

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    衝撃的な作品で驚きました。
    非現実的ですが、何かの変化で起こり得る事かもしれません。
    頭の中が柔軟になりそうで他の作品も読んでみたい。

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    2026年04月05日
  • 消滅世界

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    主人公に共感が全くできないけど設定が斬新すぎて面白い。怖いもの見たさ、というやつだと思う。
    人類みんなで「子どもちゃん」を育てる「お母さん」になるシステムが本当にあったら、自分が受け入れられるだろうか、と心配になったが、結婚もしてないし子どももいない私にとっては楽な世界なのかもしれないと思った。

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    2026年04月05日
  • ギンイロノウタ(新潮文庫)

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    人間は他者との関係の中でしか自己を定義できない側面が強いから、母親の役割を担わない純粋無垢な存在は最早概念に近いのかも。主人公は過剰適応の状態に近くて、慢性的な緊張だったり自己抑圧を強いられている。母親が肯定されなかったことで主人公の胸が躍る場面が印象的だった。ひかりが迫ってくることで高まる閉塞感は、太陽をじかに見た時の目の奥の鈍痛のよう 恐怖を宥めようとする時の手の平の湿り気や指のもつれ、迫る焦燥感の描写がリアルで読んでてしんど楽しい(ひかりのあしおと)


    なかなか感情移入しづらい主人公だったけれど根本にある、誰かに認められたい、求められたい、という欲求自体は純粋で誰にでもあるものだし、

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    2026年04月05日
  • 世界99 上

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    ピョコルンという謎の生き物、差別を受けるラロロリン人、クリーンランド…という定義も曖昧な情報が飛び交う奇妙な世界。
    その世界で性格がなく、呼応とトレースを活用して生き抜く主人公。

    不可解で気持ち悪さに包まれるのだけど、現代にも共通するところもあって面白かった。

    この世界はいろんなコミュニティがあって、そのコミュニティのなかしか通用しない常識や価値観がある。
    人は一つのコミュニティに所属しているわけでなく、複数のコミュニティを使い分けて生きている。
    だから複数のコミュニティのなかで矛盾したり、別キャラの自分がいたりするけど、器用に使い分けて生きている。
    でも時々どれが本当の自分なのか?って疑

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    2026年04月02日
  • 地球星人(新潮文庫)

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    とんでもない本。同じ世界でも、見方によってこんなに変わるのか。地球は工場で私たちは働く道具か繁殖のための生殖器のどちらかを目指す。たしかにそうだ、納得。その恐ろしさ、気持ち悪さ、不気味さに気づかず、工場の目的を押し付けている地球星人が自分に重なりゾッとする。私はそれは生き物である以上仕方ないことだと思うし、将来家族を持ちたいとも思うけれど、それを他人に押し付けないようにしようと思った。すごく社会的なテーマを孕みつつも、寓話にせずファンタジーホラーとして描ききっていて凄い。ポハピピンポボピアにとってはハッピーエンドなのかな。性描写が生々しく、飢餓の場面もホラー。正直気持ち悪かった!!けど面白くて

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    2026年04月01日
  • 信仰

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    ちょっと星新一のショートショートみがある、ありそうななさそうな未来の物語が多かった。
    夏子が家電屋さんで自分のクローンを買う話と、未来の地球で展覧会をする話が特に良かった。
    そして最後のエッセイ。
    テンポよく読めるわくわくする短編の物語を読んだ後の、なんというか、整頓されていない、心からでた考えがそのまんまの文章になったような読みにくく感情を揺らしてくるエッセイ。

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    2026年04月01日