村田沙耶香のレビュー一覧
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ネタバレ自分は男子校出身ということもあり、ここまでドロドロとした学生生活を送ってきたわけではない(と思っている)が、そういえばあんなことあったな、と胸がチクチクした。
p.218「あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。」
主人公の性暴力が肯定される点は確かに違和感。伊吹は大人すぎるというか、どこか現実離れした印象はあった。その点で、安易に他人に薦められる小説ではないかも。
ただ、自分の気持ちを丸ごと受け止めて、愛してあげるということに関して、勇気をもらえた。嫌なことを正直に嫌と言うことは悪いことではない。
解説 p.319「
私たちは未だ、価値観の奴隷だ。知らぬうち、誰かに与えられた価値観に寄り添って生きている。
誰かをおかしいと思うとき、それは本当に、自分の気持ちから立ち上がった思いだろうか。美しくなりたいと願うとき、その美しさは本当に、自分が心の底から思った美しさなのだろうか。
私たちは、自分たちを、本当に、心の底から認めてあげられているのだろうか。社会という化け物が作った価値観から外れないように、私たちは自分たちの切実な想いを殺してしまっているのではないだろうか。
私たちはもっと、自分を愛してあげることが出来るのではないか。
自分の中に見つけたもの、それがたとえ醜さだったとしても、私たちはそれすら愛さなければならない。なぜなら、それを含めて大切な大切な私だからだ。
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ネタバレ・105「善意ほどおそろしい監視はない。」
・131 「飢えすぎると喜びは痛みに変わるのだと思う。」
・自分がどうしても空子のように感じられる瞬間が何度もあった。特に、私は最近(てか認めたくないけどいつかからずっと)恋愛について考えることが多く、私が恋愛したいと思うのは、世界が恋愛がいいものかのように語っているからであり、自分がこれまでに経験した恋愛は相手に好意を向けられていると感じた時に始まっているだけなので「トレース」しているだけなのでは?と思ってしまった。
・記憶を共有するようになる世界きもちわるい・・・本当によいことだけだろうか・・・
・「かわいそう」という感情はエンタメ:残念ながら、本当にあると思う。
・私はピョコルンにリサイクルされたいか?されたくない。今の人生に飽きることはある。けど、だからといって、ピョコルンになって誰かに仕えることをしたいとは思わない。自分の死ぬべき時に死んで、それで終わりたい。空子だって長く生きていたくはなかったはず。なんで選んだ?今の生活から逃げたかったのは理解できる。けど、と思ってしまう。
・ピョコルンが出てきた時、とても残酷だと思ったが、同時にこれって実世界でも起きていることだと思う。新しい奴隷(日本では、シタガイコクの人の低賃金労働やセックスワーカーへのコロナ給付金なしなど)がで続けているだけ。新しい奴隷を作って、少しだけ自分は解放された気になる。男性がきもいままの世界の描き方が、実際の世界でもこうだなと思ってきもち悪かった
・嫌だと思っていた明人や匠くんが自分に内在してしまい、それらが話出す感覚、わかるなあ。
・キリンジのメスとコスメ聴いて、あ〜最高だなあ、今更キリンジの良さを知るなんて、この世にはまだまだ知らないたくさんのいいものがあるんだなあなんてうれしいこと、とまでまじで思ってたら、ミスドから出てくる人たちが大揉めして警察呼びます、おい離せよ!みたいな叫び声がして一気にいやな気持ち。やめてーーーdon’t ruin my day please. 今ここまで書いて、あ、これが「汚い感情」出さないでってやつか、と世界99を思い出す。 -
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丸の内魔法少女ミラクリーナというタイトルに惹かれて、わたしの村田沙耶香さんデビューはこちらに。
読んでいてセーラームーンがだいすきだった幼稚園時代を思い出した。変身魔法少女ものってわくわくする要素が詰まりすぎてる。
魔法少女になりきって、ぬいぐるみと魔法少女用語を駆使して日々のストレスを乗り切って行くその考え方に魅力を感じるのも束の間。その後の展開には「正義」について考えさせられ、まさかこんな到着点があるとは。
4つの短編集それぞれ、なかなかすごい世界観だった。藤野可織さんの解説でより解像度があがった。
パブリック・ネクスト・スピリット・プライオリティ・ホームパーティ、略してパブスピホムパ。パワーワードすぎた。わたしも呪文かと思った。
性や感情への問題定義の切り口が鋭い。これが村田ワールドか、なるほど。
現実にはない、フィクションだけれど、リアリティがあって背筋がぞわっとするような世界観が癖になる。 -
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全体的に気味の悪い作品だった。
文章から気持ち悪く不気味な世界が伝わってきた。
異常を異常と認知している間は同じ人間のように感じるが、異常に馴染んでしまった時に「あちらの世界の住民」になったのだと文章から感じた。
この世界の人間は効率と平等を求める傾向があると感じた。効率が悪いことは不平等なことは変えなくてはならない。非合理的で不平等で、誰かの特別は、求められない。それがこの世界の人間の本能なのかとさえも錯覚した。
ただAI技術の発展により芸術やコミュニケーションも機会が失われつつある我々の世界も同じなのかもしれない。アナログで描き、アナログの本を読む私もいつかは異常な存在になり果て、発狂してしまうかもしれない。
これはSFではない。人類の予言書かもしれない。 -
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「クラス内ヒエラルキー」みたいなものが存在していることはなんとなく理解していたが、俺自身はその体系の中に身を浸していた実感が終ぞない学生時代を送ってきた。あんなに無邪気ではないにせよ、俺も本作の伊吹のような立ち位置にいた気がする。
そういう意味では谷沢の抱える懊悩がそれほどクリティカルなものに感じられず、教室ってそんな嫌な場所だったか?と思った。でもまあ、嫌な場所なんだろうな。俺のクラスにも不登校や相談室登校が何人かいた。相談室にプリントを持って行き、「そろそろ戻ってこいよ」などと無責任なことを言った記憶もある。
最終的に谷沢は出来合いの価値観の網目から逸脱する術を自ら探し出し、それによって自己自身を組織し直す。そしてもともと「クラス内ヒエラルキー」の外側にいた伊吹へアクセスする回路を獲得する。ヘタに自分の領分を守り続けるより、外側に出た方がよっぽど気楽で健康ですからね。
ただ、運良くはじめから外側にいられた人間と、苦痛の中から自分なりのイニシエーションを通じて外側に出てきた人間がまったく同じとは思わない。これから先、人生の過程で何らかの息苦しい体系の中に放り込まれたとき、俺は谷沢のようなレジリエンスを発揮できる気がしない。割と呆気なく死ぬんじゃないかと思う。 -
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ネタバレ小中学生たちの心理描写が巧みだっただけに、主人公の性暴力が残念だった。キスまではまだ分かるけど終盤のアレはやり過ぎ。あのブレーキのかからなさが思春期特有のものであると分かってはいても、ノイズがかかってこの小説をどう評価していいのか悩んだ。
信子は嫌いなタイプだが、彼女を綺麗だと評した主人公の気持ちは分かる。カースト上位の男子に喧嘩を売り醜態を晒しながらもめげない精神は凄い。これができる中学生は中々いない。
もっと嫌いなのは井上。ただただ下品なだけの荒木より「俺面白いこと言ってるでしょ?」が透けてる井上は生理的に無理だ。主人公が殴りかかったものの失敗したのが残念。一発痛い目見て欲しかったな。
主人公はこれからも世間一般の価値観では冴えない学生時代を過ごすのかもしれないけど、ずっと思いを馳せていた伊吹と物語のラストでああいうことできたのは勝ち組なのでは?と思った。伊吹に好意を抱いている小林にざまぁって言いたくなった。 -
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ネタバレ人間が生む醜さを凝縮して描く一方で真っ白なニュータウンと比較して進んでいく物語がずっと奇妙さを孕んでいてその奇妙さがよかったと思う
真っ白なニュータウンが舞台じゃなかったらもう少し味気ない小説だったと思う
舞台って大事だなと思った
相変わらずの表現のグロさに途中諦めようかとも思ったが最後醜い自分と周りを認めた上での立ち直りがよかった。グロい部分ももちろん描くが、ちゃんとそのグロさや醜さも弱さも含めてすごく人間臭い登場人物を真っ直ぐかけるのが村田沙耶香の良さなんだろうなと思った
自分すらも下に見ていた女子生徒がカーストが上の男子に歯向かっていくその姿を初めて自分の感覚で綺麗だと思ったと言った主人公がなにか吹っ切れたようですごく心地よかったこれでいいんだと思えた感覚が今の自分と重なった
以下引用
「その言葉で、私には輪郭ができた。誰かに言葉で触るということは、輪郭ができることなのだと思った。」
「私には値札がついてて、その数字がすごく低いんだ。でも、私、それとは関係なしに、すごく綺麗みたい」
誰かから作られたぼやけた輪郭じゃなくて自分が自分の美学を持てることを輪郭ができると呼ぶ表現が好きなのですごく刺さった
村田沙耶香には珍しく最後明るい終わりだったんじゃないかと思った。
でも村田沙耶香読むのはこれからもきっと勇気がいる。体力がいる。そこが良さかもしれないけれどまた心の準備ができたときに読みたい -
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ネタバレ読み終わっても、「結局これは何を描いた話だったんだろう」と、かなりもやもやが残った。明快な答えがある作品ではないし、自分の中でもうまく整理しきれていない。でも、そのもやもやも含めて、ずっと考えていたくなる面白さがあった。
弱者を救い、暮らしを良くしたはずの世界で、面倒や被害そのものが消えるわけではなく、さらに弱い存在へと押しつけられていく。その構造が怖かった。
しかも読んでいる自分自身も、「人間が被害に遭うよりはましなのでは」とどこかで納得しかけていて、簡単に外側から批判できない。そのことにも少し怖さを感じた。
空子が少しずつ世界に合わせて変わっていく姿も印象に残った。一方で、最後まで世界にあらがい続けていたように見える白藤さんのことは、読み終えるころにはむしろ好きになっていた。
結局、自分なりに何が正しいのか答えは出なかった。でも、簡単に答えが出ないからこそ、読み終わったあとも考え続けたくなる小説だった。