村田沙耶香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレよかった。
実験都市に移住してから彩度が下がってぐっと洗練される生き方になる。
誰もがお母さん、子供はみんなの子供ちゃん、性欲はクリーンルームで排泄しよう、というあり方いいなと思った。
だんだん恋愛感情も、家族制度への執着も消えて、自分の感情を自分で管理する、個、として人間の生き方の分業が進んでいていいな。
解説として寄せられている文章も本文の理解を助けてくれる。が、子供のまっすぐさを兼ねた疑問の提示方を発達障害的と言うのは攻めすぎなのでは。
性行為はなんのためにするのか?
村田沙耶香はあらゆる小説でこれをテーマにしている。女性の妊娠、性行為、恋愛、家族、性的価値の消費からの解放が待ち遠し -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近「人間になろう」と努力しているという友人と、いっしょに読もうということで読んだ本作の下巻。衝撃的なラストだった。
女性の出産・育児の機能を外部化した存在、ピョコルンの登場によって、主人公の空子の感覚自体も、家父長的な男性の感覚になっていく。こちらは養ってあげているのに、この程度のクオリティの家事しかできないのか。
その感覚は、元々は、父から母に向けられ、空子自身の中にも内面化されていた男の視点だった。しかし、ピョコルンの登場によって、その眼差しは自分たち女性に向けられるものではなくて、女性もピョコルンに対して向けるものに変わっていく。それは、明人や匠くんといった男性キャラに対する空子の「ト -
Posted by ブクログ
大学生時代にいっしょによく本を読んでいた友達と数年ぶりに会ったところ、公立高校の先生になり、色々と職場の人たちの普通に馴染めずにいるとのことであった。そういったコミュニティへの馴染めなさに対して、何かヒントになる本はないかと思い『世界99』をいっしょに読むことになったのだが、ある意味ぴったりの本だったと思う。
私はだいたい何か褒められると、「そんなことないよ!」と謙遜する。それに深い意味はなく、周りの子の平均的な「リアクション」を真似ているだけだ。集団の中で、常に典型的な人間であるよう、私はいつも心がけていた。(p14)
語り手の如月空子は、性格のない少女であった。周囲の人間の言動に「呼応 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭から終わりにかけての展開が想像以上に広くて凄い!!
途中グロくてしんどかったけど、そこ超えたらずっとおもろい。
途中まで空子が勉強できないせいで騙されやすかったり、親の影響でお母さんと同じような生活を自分の夫とも送ることになってるのか…と思ってたけど、
空子がいる世界が男尊女卑が当たり前でセクハラモラハラ当たり前っていうことがわかってから一気に見え方変わったかも。あの環境なら空子のようになるのは当たり前なのでは?周りの環境が大変で、自分には意思がないって感じるの、わかるわぁとも思う。白藤さんによる空子の性格分析は間違ってないと思った。でも空子本人としては、自分を可哀想と思いたくないという -
Posted by ブクログ
消滅世界は、当たり前とされてきた価値観を根本から揺さぶる一冊。
セックスが当たり前ではない世界、家族が当たり前ではない世界。この物語で描かれるのは、現代の常識が未来には旧時代の奇習として扱われるかもしれない、という大胆な発想。
思い返せばコンビニ人間では、社会の普通から外れた主人公がマイノリティ側から疑問を投げかけていた。
しかし消滅世界では構図が反転する。現代社会ではごく自然とされるセックスや家族という仕組みが、実験都市ではむしろ異常で、古く非合理的な風習として切り捨てられる。主人公は、そんな旧時代的な習慣に固執する側に位置づけられ、自身がマイノリティとなっていく。
作者は、セックスも家 -
Posted by ブクログ
インパクトのあるタイトルに惹かれて思わず手に取った4作目の村田 沙耶香作品。
いつもながら星 新一さんのような世界観だなぁと気になって調べたら、村田さん自身幼少期に星 新一作品を読んでいたとのことで、大変納得しました❗️
さて、本書『殺人出産』ですが、110ページ足らずの作品ですが、タイトル同様に中身も中々インパクトがありました❗️特に物語の終盤のあるシーンはとてもリアルで、ちょっと背筋が寒くなります。
また『トリプル』という作品では、3P(?)の性描写があり、下手なラブシーンよりも凄く淫靡な世界で、とても印象深い作品でした❗️
また、最後の『余命』では、理想的な死に方について描かれて -
Posted by ブクログ
ネタバレ上から世界やピョコルン、空子の生き方が変わった。
あらゆる世界に呼応していった空子がひとつの世界にだけいて、クリーンな考えになった時、こんなにも変わるのかと驚いた。
ピョコルンやラロロリン人も現代の世界や若い世代にとって尊重される存在になっていて、人の価値観は時代によってすごく変わるなと思った。
ピョコルンは人間によって生み出された人間にとって便利な人間の生き物だなと思っていた。
けれど生み出す側も生み出されてしまった側でさえもが自ら希望してなる存在になった。
うーん、、ピョコルン、、何なんだろうか、、
難しい世界について考えさせられた作品。