村田沙耶香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ怖いもの見たさで展開が気になり一気読み。読後感は最悪。今まで読んだ中でもトップレベルで主人公の周囲の登場人物が気持ち悪くて嫌な人ばかりだった。
田舎の自然の爽やかさと、田舎特有の文化の不気味さ、じわじわした蒸し暑さが混在してる。内容は置いといて文章は綺麗で読みやすくて好き。
あらすじを読むと消滅世界と似てるのかなと思ってたけど、こっちはディストピア要素なしで今の時代にもありえる話だったからこそ現代の人間社会の気持ち悪さが際立って感じられた。(さすがに母と姉のようなここまでひどい価値観の人はごく少数派と信じたいけど)
これは本人にとってはハッピーエンドなの・・・?家庭や塾の先生や大学時代の友人とか周りの環境のどこかに救いがあれば少なくとも人間を辞めることにはならなかっただろうと思うけど、その場合でも最終的に同じような結末になるような気もする。恐ろしい結末ではあるけど、終盤に引き戻された「工場」の息苦しさからは解放された感じがした。 -
Posted by ブクログ
村田さんワールド全開だった。10人生み出すと1人殺すことが合法的に可能になるという世界線でどういう物語が始まるのか、設定に引き込まれてぐいぐいサクサク読めた作品だった。1人を殺すために10人生むことについて、そんなに殺したいなんて一途だねみたいな表現があって殺意に一途ってすごい形容詞だなと思った。殺しが生産のための行為であり、罪ではあるが悪ではないようなそれを皆が受け入れる不思議な世界。殺意こそが命のきっかけ…ね。個人的に収録されてるなかでは清潔な結婚みたいな、家族に性を求めない結婚に憧れがあるので、いいな…と思ってしまった。「トリプル」は三人交際っていうのの性行為がどう考えてもそれはレイプでは?って感じでキモくて泣きそうだった。あと最後に収録されてた「余命」は寿命がはるかに長くなり、「自然死」がなくなり?どう生きるかではなくどう死ぬかがだいじにされる世界線なんか面白いなと思った。今の社会は死ぬことにとても不寛容だから。
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Posted by ブクログ
上巻については先日書きましたが、空子の一生の物語なので、あらすじをまとめようとすると長くなるのでやめておきます。
空子は状況や相手に合わせて「呼応」し「トレース」しながら色々なキャラを生きている。つまり自分自身がない。空っぽな人間である。名前もそれを暗示している。本人は人間ロボットだという。また話の中ではこれができず怒りを出す人は「かわいそうな人」として不幸になっていく。
また人間は性欲、出産、育児、家事、介護などの「面倒で厄介な重荷」を代わりに受けてくれるピョコルンを手に入れる。会社などでの労働そのものは肩代わりしてくれず、家のこと中心に受けてくれるのは謎なのだが。いずれにせよ面倒な事をなくしたものは人間性を失う。それは「人間」なのか?幸せなのか?
「誰もが、疲れていて、自分が綺麗でいられる言い訳さえあれば、いくらでも人に押し付けて楽に生きたいと思っていますから」
社会の仕組みを考えるような大きな仕事は恵まれた人=ララロリアン人が受け持つ。大半の人間=クリーンな人はどんどん空洞化していく。つまり面倒や厄介ごとから人間を解放していくと人間は空洞化していく。人は自分の楽な方に記憶も修正する。
人間性とは何か。これはヘーゲルの主人と奴隷の弁証法的な話だ。自由とは負荷を引き受ける主体にしか宿らない。負荷を手放した途端に人間は「呼応」と「トレース」しかできない空子のような存在になってしまう。自由は奴隷の思想であるし、奴隷状態こそ自由だという逆説的な話なのだ。
生きる喜び、人間性を感じたいなら面倒や束縛は必要悪なのだ。 -
Posted by ブクログ
沢山の書評+エッセイ集
食べたと表現するのが沙耶香さんらしくて好き
文字通り食して、
ご自身の糧になったであろう作品達
凄く影響を受けてるのがよく分かる
どれも魅力的に語られるから、
欲しい本リストが増える増える 笑
僕が読んだことあったのは2冊
海外アンソロジーの『コドモノセカイ』
カミュの『異邦人』
自分の読書の割合では、
国内作品に比べて海外作品を
あまり読んでいない方だけど、
両方とも海外小説だったのが、かえって面白かった
エッセイの方も、『授乳』『マウス』
『しろいろの街の、その骨の体温の』
『コンビニ人間』といった作品が
できた経緯や反応などが知れて楽しめた
結構、ぶっちゃけて書いてらっしゃって、
そこまで言うんだ?という驚きもあった
非常にお得な本だった -
Posted by ブクログ
性行為が古代の行動と扱われ、繁殖は人口受精は普及されているパラレル世界が背景です。みんなと違って主人公「雨音」はセックスで作られ生まれた子供だった。それを意識しながら「雨音」が成長していく間、正しい人間って疑問したり、愛、結婚、繁殖など人間で作られた社会制度離れを、自分で開き直ったりするという話でした。
この本を読みつつ、同じような疑問を浮かんでしまうのだろう。今まで知ってきた世界は、人間で成り立っていて、全ルール、規制、制度、習慣なども社会で決められたことだ。とはいえ、現在の世界はやたら脆いと感じてしまう。
人工知能といった技術の進化が素早く発展しており、これから人間の形はどう変化・進化していくのか気になります。いつかこの本と同じようになるのだろう。
それはいいかどうか。
備考↘
最後の10ページぐらいがヤバすぎて、びっくりしだ。外国人の俺としては、受け入れがたい部分だった。