村田沙耶香のレビュー一覧

  • ギンイロノウタ(新潮文庫)

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    表題作とひかりのあしおとの2作。独特な表現が物語の世界観をより引き立てている。いずれの作品も歪みから歪みが生まれその環境から脱する事ができない…そんな話。考えるのではなく、感じる一冊。

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    2025年01月22日
  • 変半身(かわりみ)

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    一つの島を舞台に陰謀論を嘲笑う、村田沙耶香流フィクション。いつも予期せぬ方向から槍が飛んでくるような奇抜な小説を書く彼女ですが、今回はオマージュにしたあれこれが見える。彼女の作品にしては読みやすい。置いていかれないというか、ああ そういう文脈の話ね、となる。

    「新しい真実を知るとき、人間の頭はクラッシュする。その瞬間だけが、本当に「無」になれるときなのよ」。

    「知る」から「信仰する」に至るまでに流れる「無」。この一瞬って超心地よい。目の前のすべてが煌めいて見える。自由が雪崩のように流れ込んでくる。そう、真実は存在しないのだから、信じたいものを信じればいい。信じていたものが消えたのなら、新し

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    2025年01月10日
  • ギンイロノウタ(新潮文庫)

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    この世に同じ感情や興奮なんて1つもないはずなのに、恋とか愛とか言葉が先行してしまっているから、私たちは無意識にそこに当てはまるように軌道修正しているんだろうなと気付かされた。

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    2024年12月31日
  • ハコブネ

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    村田ワールド全開。
    これは特に難しい、助けてくれ。笑
    アースとセックス…?
    朝井リョウの正欲じゃないけど、色んな性的志向やセクシャリティを持つ人がいるんだなということを改めて考えさせられる話
    こんな進んだ(?)ジェンダーの考えを2011年時点で書いていることがまずすごい

    超メタ思考というか神様的な視点を持ってる知佳子、現実にいたらめちゃめちゃ不思議ちゃんだと思うけど、こういう人は里帆みたいにだる絡みしたり追いかけちゃいそう

    私は完全に性自認女、生物学上女だと思うけど、自分の性自認が分からないとアイデンティティが定まらず、里帆みたいに苦しむんだろうな。。
    あと、普段私も女性らしく振る舞えない

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    2024年12月29日
  • きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

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    ananに連載していたものをまとめたエッセイ。
    ちょうど自分と同じ年頃だった著者が書いているので、読んでいて旧友達と会って駄弁っているような気分になれた。
    「大人のパンチラ考」はじめ、そんなこと考えたことも無かった!と笑えるものや、「「年齢に合ったいいもの」の謎」などではあるある!と共感したり、色々な話題が短く詰まっているので楽しかった。
    今は分からないけど、コンビニでバイトしていることには驚いた。

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    2024年12月17日
  • 授乳

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    まだ未完成の荒々しい生々しさがあった。村田さんがたくさん小学生の頃から生きづらさを感じていたことがわかる。

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    2024年12月16日
  • 絶縁

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    様々な縁切り。
    人と人であったり社会であったり或いは自分であったり。
    物語の背景に其々のお国柄が透けて見えるようで興味深く読めました。
    ただやっぱり翻訳モノはちょい苦手、、、

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    2024年12月16日
  • となりの脳世界

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    ネタバレ

    ・人の脳の数だけ世界があることを考えると、なんて豊かで、奇妙で、素敵なんだろう、と胸が高鳴ります。誰もが、自分だけの奇妙で愛おしい脳を通して、世界を見ているということが、とても素晴らしいことに感じられるのです。

    ・私は歩く時、音楽を聴くのではなく、どちらかというと観ている。音楽から浮かんでくる映像を観るのが好きなのだ。

    ・毎日の生活の中で必死に大人を演じ、真面目に、まともに、常識的に、ルールを守って生きなくては、と肩に力が入って、いつの間にか心がガチガチになってしまっているとき。歌いながら、踊りながら、キスしながら、「それじゃもったいないよ。人生を、生きていることを、楽しもうよ」とおどけな

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    2024年12月05日
  • きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

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    村田沙耶香さんのエッセイ。
    めちゃくちゃ等身大の村田沙耶香さんの素が満載、
    自分もあえて人には言えないけど、あーこういう事思ったりすることあるなぁ…みたいな些細な事が赤裸々に繊細に書かれていて親しみを感じました。

    ぶっ飛んだ内容の本を沢山書かれてるけど、
    本当に繊細で人に気を使いすぎる性格の良い人なんだろうなぁと思っていたがその通りのお人柄だった。

    ご自身のことを自意識過剰と自負しており、
    すごく人に気を使う人だからこそ、あんなにいろんな多方面からの人の狂気じみた感情を面白く書けるんだなぁと思った。

    「活の怖さ。女をさぼるな、さもないと不幸になるぞと脅されている気持ちになる」

    笑。世の

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    2024年12月03日
  • 変半身(かわりみ)

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    表題作、変半身。中編なので、すぐに読めるは読めるけれども、別世界へ行って帰ってきたことへの疲労感が凄まじい。私の知っている人間の話ではなかった。

    満潮。変わった夫婦の話。性欲は自分のもので、相手から引きずり出されるものでも、無理に絞り出すものでもない。自ら追い求めてもいいし、しなくてもいい。だからって、こんな方向性にいくことは変わってるなと思うけれども、それも他人が言うことではないんだろうな。愛の形はそれぞれ。

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    2024年12月03日
  • タダイマトビラ

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    ネタバレ

    主人公が人間は入れ替わりでその存在を繋いでいく生命体にすぎないと気づいたのは理解ができるが、それを他者(家族)に強要したがる理由がわからなかった。ただ家族に対してカゾクヨナニーを各々楽しんでるんだなーと嘲っとくだけでよかったのでは?本書を読む限り主人公は他者を説得するより自己解決で満足できる性格に感じた。
    あと瑞稀の存在がわからない。ただ渚さんに会わせるため?独り立ちに強い意志を持っている性格がどう主人公に影響したのかがも謎。
    ラストの壮大な映画を観ているような気持ちにさせてくれる描写が好きです。

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    2024年11月21日
  • きれいなシワの作り方~淑女の思春期病

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    村田さんは、美を気にする女性の典型の一人でありながら、そのなかでも自分とちゃんと向き合って、考えを言語化し、整理してきた方なのだろうなと思う。
    ただ、綺麗になりたい、女らしく、女ならではの幸せを...なんて言う人は、多くいると思うけど、自分が女性であることと真剣に向き合い対話してきた人はそう多くはないのではないかと思う。

    また、個人的には、村田さんは庶民派っぽいところがあり、かつ、陰の気持ちも分かられてる方で、親しみやすさを感じた。小説家でありながらも、コンビニでアルバイトされてるところも好きだなと思いました。

    p.117 ・高性能恋愛ブレーキ
    p.123・人見知りの合コン作法
    p.131

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    2024年11月16日
  • 絶縁

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    感想
    他人との溝。どれだけ近付いても、結婚しても。所詮は他人。本当にしてほしい肝心なことはしてもらえない。歪みはいかに解消するべきか。

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    2024年10月25日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには

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    2024年10月10日
  • 絶縁

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    社会情勢が個人に与える影響は大きい。それをそのまま写し出すのか、ほんのり匂わせるのか、全く別の形として書き出すのか、作品ごとに異なる。
    「穴の中には雪蓮花が咲いている」青年の現在と過去の、寂しさ、微笑ましさ、やるせなさが牧歌的な映像を通して感じられる。幼い2人のやりとりが可愛くて切なかった。

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    2024年09月22日
  • ハコブネ

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    浅井リョウさんの『生欲』と同じかといえば違う
    村田沙耶香さんなかなかの難しさ
    理解できない性に理解できないでしょ?って言われてるみたい

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    2024年09月21日
  • ハコブネ

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    3人の主人公の女性がそれぞれに生きることに葛藤を抱えていて、三者三様の悩みが絡みながら話が進んでいきます。リコ……、ツバキ……、と思いながら読んでたけど、最終的にチカコ!1番村田沙耶香みが強くてクセつよ!私たちは女である前に人間である前に生物である前に物質…なのか…?
    村田沙耶香さんの刺激に慣れると、他の作家さんの本で物足りなく感じてしまうのが困りものです。

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    2024年09月16日
  • ハコブネ

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    いつものように村田沙耶香ワールド全開で、「私はこの社会で女として生きていくことに強烈な違和感がありまぁす!」と終始訴えている。

    他の作品と比べても、その主張の仕方が直接的(隠喩とかもないし、ハッキリそう述べてるセリフがとても多い)なので、言いたいことはわかりやすい。ただ、すでに村田沙耶香ワールドが好きな人にとってはほとんどのパートが前提の確認みたいな作品なので、少し退屈かも。親切なぶんくどく感じるって言うか。「うん、あなたたちがそう思ってるのはじゅうぶん分かったし、そこが私は好きなんだから、早くあなたたちにとっての正解と破滅を見せて」とじれったく思ってしまった。
    …こう言葉にしてみると、私は

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    2024年09月07日
  • 変半身(かわりみ)

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    読むと、みんななにかを信仰していて、自分にとって都合のいい解釈をしたくなる生き物なのかな、と思う話。
    真実はどこにあるのか、最終的に「ポーポー」と皆がなってしまう狂気じみた設定は世離れしていた。まさに村田さんの世界観が全面に出ていた。
    二章の満潮も、言っていることの意味などは理解できても共感には程遠く、ただどうなっていくのか話を読み進めたくなってしまう要素はたくさんあったので、最後までサクサク読めた。
    物語の概念自体が現実とフィクションが織り混ざった独特の世界観を味わえた一冊。

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    2024年08月29日
  • となりの脳世界

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    村田さん作品はコンビニ人間以来かな。

    今回は村田さんの素の部分が見られる作品で楽しく読めました。読んでいて思わず吹き出してしまう箇所もありました。

    村田さんは飄々とした感じなんですが、素直でお茶目な、周りの人がほっとけない人という印象でした。

    どのエピソードも私にはない視点が多くて楽しめましたが、村田さんがスリランカでアーユルヴェーダを体験し、大切な変化を得たことが印象的でした。いつかアーユルヴェーダを私も体験したいと思いました。

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    2024年08月19日