村田沙耶香のレビュー一覧
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一つの島を舞台に陰謀論を嘲笑う、村田沙耶香流フィクション。いつも予期せぬ方向から槍が飛んでくるような奇抜な小説を書く彼女ですが、今回はオマージュにしたあれこれが見える。彼女の作品にしては読みやすい。置いていかれないというか、ああ そういう文脈の話ね、となる。
「新しい真実を知るとき、人間の頭はクラッシュする。その瞬間だけが、本当に「無」になれるときなのよ」。
「知る」から「信仰する」に至るまでに流れる「無」。この一瞬って超心地よい。目の前のすべてが煌めいて見える。自由が雪崩のように流れ込んでくる。そう、真実は存在しないのだから、信じたいものを信じればいい。信じていたものが消えたのなら、新し -
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村田ワールド全開。
これは特に難しい、助けてくれ。笑
アースとセックス…?
朝井リョウの正欲じゃないけど、色んな性的志向やセクシャリティを持つ人がいるんだなということを改めて考えさせられる話
こんな進んだ(?)ジェンダーの考えを2011年時点で書いていることがまずすごい
超メタ思考というか神様的な視点を持ってる知佳子、現実にいたらめちゃめちゃ不思議ちゃんだと思うけど、こういう人は里帆みたいにだる絡みしたり追いかけちゃいそう
私は完全に性自認女、生物学上女だと思うけど、自分の性自認が分からないとアイデンティティが定まらず、里帆みたいに苦しむんだろうな。。
あと、普段私も女性らしく振る舞えない -
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ネタバレ・人の脳の数だけ世界があることを考えると、なんて豊かで、奇妙で、素敵なんだろう、と胸が高鳴ります。誰もが、自分だけの奇妙で愛おしい脳を通して、世界を見ているということが、とても素晴らしいことに感じられるのです。
・私は歩く時、音楽を聴くのではなく、どちらかというと観ている。音楽から浮かんでくる映像を観るのが好きなのだ。
・毎日の生活の中で必死に大人を演じ、真面目に、まともに、常識的に、ルールを守って生きなくては、と肩に力が入って、いつの間にか心がガチガチになってしまっているとき。歌いながら、踊りながら、キスしながら、「それじゃもったいないよ。人生を、生きていることを、楽しもうよ」とおどけな -
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村田沙耶香さんのエッセイ。
めちゃくちゃ等身大の村田沙耶香さんの素が満載、
自分もあえて人には言えないけど、あーこういう事思ったりすることあるなぁ…みたいな些細な事が赤裸々に繊細に書かれていて親しみを感じました。
ぶっ飛んだ内容の本を沢山書かれてるけど、
本当に繊細で人に気を使いすぎる性格の良い人なんだろうなぁと思っていたがその通りのお人柄だった。
ご自身のことを自意識過剰と自負しており、
すごく人に気を使う人だからこそ、あんなにいろんな多方面からの人の狂気じみた感情を面白く書けるんだなぁと思った。
「活の怖さ。女をさぼるな、さもないと不幸になるぞと脅されている気持ちになる」
笑。世の -
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村田さんは、美を気にする女性の典型の一人でありながら、そのなかでも自分とちゃんと向き合って、考えを言語化し、整理してきた方なのだろうなと思う。
ただ、綺麗になりたい、女らしく、女ならではの幸せを...なんて言う人は、多くいると思うけど、自分が女性であることと真剣に向き合い対話してきた人はそう多くはないのではないかと思う。
また、個人的には、村田さんは庶民派っぽいところがあり、かつ、陰の気持ちも分かられてる方で、親しみやすさを感じた。小説家でありながらも、コンビニでアルバイトされてるところも好きだなと思いました。
p.117 ・高性能恋愛ブレーキ
p.123・人見知りの合コン作法
p.131 -
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純文学作家の発想
ひとつづつ評していく。
川上弘美。未来SF。
発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
妙にSFが現実路線のわりには -
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いつものように村田沙耶香ワールド全開で、「私はこの社会で女として生きていくことに強烈な違和感がありまぁす!」と終始訴えている。
他の作品と比べても、その主張の仕方が直接的(隠喩とかもないし、ハッキリそう述べてるセリフがとても多い)なので、言いたいことはわかりやすい。ただ、すでに村田沙耶香ワールドが好きな人にとってはほとんどのパートが前提の確認みたいな作品なので、少し退屈かも。親切なぶんくどく感じるって言うか。「うん、あなたたちがそう思ってるのはじゅうぶん分かったし、そこが私は好きなんだから、早くあなたたちにとっての正解と破滅を見せて」とじれったく思ってしまった。
…こう言葉にしてみると、私は