村田沙耶香のレビュー一覧
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【変半身】
信じている物、正しいとされていた物がことごとく崩壊していく。信じていた物が無意味で無価値と知った後、それを嫌悪するか、受け入れていくのか?
最初の4分の1くらいは、孤島の秘祭をぞくっと書き始めて、これはなんかいつもと違うのかと思うまもなく、突如いつもの村田ワールド。全てが無意味になってしまうようなラストに、信じられるものがなくなってしまう。
とはいえ、今の社会の流行等を、シャープで自虐的で、コケティシュに風刺する表現は面白く読んだ。
【満潮】
10年後、ご縁があって再読したら、なんの話かな、やれやれ困ったなってなると思う。今も困っているけど。突き抜けているから、置いてかれた感じ。内 -
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中谷美紀の歌声は透明な呟きという感じで、声の表情は最低限に抑えられている。でも無表情とは違い、その透明な声の奥に、血が流れているのを感じる。内臓のある透明感なのだ。 目は物をみる器官で耳は音を聴く器官だという五感の役割分担が捻じ曲がってしまったとしか思えなかった とても安らかな爆弾だった 私は今でも、音楽というものの中に、異世界への入り口を探しているのかもしれない。 『もう一度アイ・ラブ・ユー』 手で掬って親指で口の中にそっと押し込む けれど、それを冗談にすることで、私はずっと英語を失っていた。 私は副鼻腔炎が脳に達していないか不安でしょうがなかったが 京都で村田さんと師匠の脳が小鼓で繋がった
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ネタバレ傷ついても自分の価値観に責任を持つっていう話。
設計された通り発展していく清潔だけど不自然な新興住宅地が、その後設計図通りではなく自然発生的に街が出来ていく様と、
他人の価値観でぬくぬくと安全に生きている子供が、傷つき笑われながら自分の審美眼を持って大人になる様の対比がわかりやすくて読んでいて気持ち良かった。
ただ、大人になってから読むより中学生くらいの時に読んでいたらもっと感動できただろうな、とは思った。
p. 189
あんたくらいの子は、自分のことを世界で一番醜いと思ってるか、可愛いと思ってるか、どっちかなんだから。白雪姫の魔法の鏡が、故障しているようなもんなのよ。 -
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『ギンイロノウタ 』以来の村田沙耶香san。
小さなころ怖かった古典、過去の嫉妬を思い出す小説、何度も買った作家指南書、そして自身の著書についてー。
村田san初の書評集。村田sanが食べた本の中で、私が既に食べていたのは『にんじん』1本。これから食べたいと思ったのは『少女怪談』と『部屋』の2食です。村田sanが小さい頃の「空想から明朝体」という感覚が、ちょっと不思議で、とっても良いです。
また、芥川賞受賞の日、桃の間に呼ばれた時に”ぜんぶ聞き間違いかもしれないです”という慌てぶりも愛おし過ぎます。
あとがきで紹介されていた、小沢信男sanの「読書は、音楽に譬(たと)えれば、演奏だ」と -
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普段、ほとんど読むことのない現代の日本人作家のアンソロジー。
興味深く読んだ。
もとは、深堀骨 の作品を読んでみたかったから手に取ったが、どれもなかなか良かった。ありそうでない話というファンタジーというか、不気味な話が多い。恋愛要素はどれも少なく見えるが、一応恋愛ものという括りらしい。
一作だけ、多和田葉子の漢字の話はすでに読んでいた。
特に印象的だったのは、
本谷由希子、迫力とリアリティと奇想天外で面白かった。
村田沙耶香、細かく書き連ねて積み上げるのがうまい。
吉田知子、多分この中で一番好きなタイプの作家。
小池昌代、切れ味がよい。
星野智幸、描写がうまい。
というかんじ。
編者は岸 -
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『星が吸う水』以来の村田沙耶香san。
少女の顔をした、化け物が目覚める。私となんの関係もないあなたを、私は殺したい-。
1話目「ひかりのあしおと」は、小学二年生の誉(ほまれ)が<ピンク色の怪人>にトイレに閉じ込められるシーンから始まり、<レンアイ>を経て、呪文と光に苦しめられながら大学生となっていく物語。冒頭から「私」が敬語で語り出す距離感、大学の教室で蛍から声を掛けられた時に、「不意に、とてもきれいな発音の日本語が私に放たれました。」という表現が素敵でした。
2話目は表題作「ギンイロノウタ」。「私が”化け物”だとして、それはある日突然そうなったのか~」から始まる恐ろしさ。主人公の少女 -
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三人の女性達の女性という不確実な性別への懐疑的な思いをのせたハコブネ。
19歳の里帆は、女性である事に自信がない、あるいは懐疑的。今一度、自分の性別について考えようとする。31歳の椿は、女性としての自分磨きを怠らない。同じ31歳の友人の知佳子は、性の対象が宇宙的。彼女らは、有料自習室で出会い、お互いの性に関する認識とその対応を模索する。
ヒトが生きていく上で、性別という区分が必要か否かというところが主題なのかなと思う。肉体と精神の不一致を考えるとしても、性別のどちらかに統一するのではなく、全て自由で良いのではと前向きに終結する感じ。
男女という性別に悩むのは、ヒトのみなのかな。動物の雄雌という -
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〈変半身〉
今回は民俗学かぁ、なんかどろどろしてるなぁ、お、盛り上がってきたぞ、と思ったらあっさりと物語が放棄される。さすが村田沙耶香センセイ。
その後も力士の投げの打ち合いのように、お互いをクルンとひっくり返すような展開にハラハラしてると、最後は観客も一緒に両国国技館ごとひっくり返された感じ。強引な力技で締められました。丸ごとポーポーで埋め尽くされたページには、もう笑ってしまうしかありません。
悪意満載の社会風刺。
〈満潮〉
類型化され、商品化された性に戦いを挑む作品、なのか?
共感する事も多かったけれど、解説の小澤英美さんの「海で出会う三人の老婆たちの、なんと神々しいことだろう」と