村田沙耶香のレビュー一覧
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思ってたんと違った‥
というのがまず第一印象。
タイトルから「生」の話だと思っていた。
それぞれ病気や障害、特性などを抱えながら「私の身体を生きる」というような内容だと思っていたし、そういう内容が読みたかった。
‥それはそれとして、読み進めると
こんなに明け透けに自分の体験や性被害や性癖や生き方を世間に曝け出して大丈夫なのか?と心配になるような内容が多くて驚いた。
そして、みんな色々な事を抱え、考え生きているんだな‥と改めて考えさせられた。
普通に見えるあの人も、幸せそうだと感じるあの人も本当は色々な事情を抱えているのかもしれないと。
「性」に対する考え方・感じ方・捉え方も本当に様々で -
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生きる上では真実らしい信念で脳が薄く飽和しているくらいがちょうどよいのでは。
自分たちが真実だと確信できるもっともらしいストーリーを吸収し続けている人間教。その外に出て無になろうとしても、余計に存在の不確かさに怯えて、その不安から、それらしい物語の吸収率が高くなるだけな気がする。もしくは、その反動で無になる宗教、つまり全て騙されている、洗脳されているという真実に辿り着こうとする宗教にのめり込んでしまいそう。
何か真実らしいものを信じ込んでいるという究極の真実を見つけた気になるが、その確実な真理のように思えるものも、信じ込んでいるだけかもしれない、というマトリョーシカ構造。
真実の乗り換え、新し -
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コンビニ人間に続き2つ目の村田沙耶香さん作品。大多数の当たり前の中で外れて漏れて苦しくなってしまう人の心を書かせたらピカイチだなぁと毎回思う。
知佳子の悩みのどうしようもなさよ。
相手が地球じゃ伊勢崎さんもどうしようもない!むしろ相手が地球である事を言ってあげて欲しかった!!理解されないだろうけど、伊勢崎さんとなら一緒にいれたんじゃないかな?と思わせる包容力だったのに…知佳子には、それが生きてる人間にとっては失礼なことになってしまうのを感じたんだろうな
「ハコブネ」は救われたいと思う人が勝手に期待を持って次々と乗ってくるだけで、どこにもいかずにそこに佇んでいるものだった。ハコブネ自体に何者 -
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「変容」のような話に安心感がある
何篇でも似た話を読みたい
名前を新たに生成する作業の逆も、それが導く結果は、やはり、存在と名付けの強固な関係性を下地にしている。言葉を消滅させられるというのは、何らかの存在に向いていた「言葉」という明るいライトのスイッチを切られるということなので、もともと当たり前のように見えていたものがどんどん暗がりに溶け込んで、存在しないも同然になってしまう(意識に上らなくなる)。サピアウォーフ仮説のような。
言葉ををあてがう作業は、もともと存在していたものをライトで照らして浮かび上がらせているのか。それともそれは単にライト自体からプロジェクションされていて、元から存在して -
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可愛らしい話だった。と思えるのは私がその時から遠く離れた所に来てしまっているからだろうか…
小学校五年生のクラス替え。いつも一緒にいた女の子達と離れてしまった律は あぶれてしまわないうちに急いで自分と同じような大人しそうな風貌の女の子を探さなくてはならなかった。
同じクラスにひときわ背の高い独特な雰囲気をもつ女の子がいた。それが瀬里奈だった。彼女は全く喋らないかわりによく泣いた。とても繊細であるのに周りに対してひどく無神経な瀬里奈は皆に疎まれて敬遠されていた。
しかしあるキッカケを境に瀬里奈は変わっていきクラスでのヒエラルキーも上がっていった。
そしてそのキッカケをつくったのは律だった。
中 -
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ぬぉぅグロテスクだ表現が。グロテスクといってもスプラッター的なグロテスクではなくて、こうなんか心の闇の部分を引っ張り出されるようなうぅぅってなるグロテスク。
女の作家さんでこういう感覚になったの初めてです。
短編3作。
この子達はこの後どーなっていくんだろう。
自分の世界が内に内に向かう主人公ばかり。
共感は出来るものでもないが、誰しも少しは自分の中の奥の奥のずっと深いところに少しはなにかドロドロしたものがあって、普段は気付かない忘れているというかいつの間にか蓋をしていたところに石を投げられ、ホラここだよと言われている感じがしました。なんか怖いわ(笑) -
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中編と短編。
とある離島の謎の秘祭から逃げ出す所から始まり、物語が反転に次ぐ反転をして最後には隕石でも落ちてきたかのような着地点の見えない大どんでん返し、天変地異。
カタストロフィー若しくはユートピア。
他の作品とは違った角度から飛んでくるクエスチョンに初めて感じるスッキリはしない読後感。
短編の方も他の作品とは何か違った。
テーマは女性の夢精と男の潮吹き。字面だけみたらエロ小説なんですが、エロい描与はほほなく、歪んだ性描写もほぼなく、海辺の3人の老婆のシーンはよく意味がわからなかったけど何故か妙に印象的で記憶にこびり付いてる。
何も解決していないようで何かスッキリした。そんな終わり方。クレイ -
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不思議な世界線の物語たち。
ふわふわとした、「こ、これでいいのかな?」みたいな気持ちで読み進め、最後の【変容】を読み終わる頃には世界観にも慣れ、なかなか良い読後感だった。
特に【丸の内魔法少女ミラクリーナ】【変容】が面白かった。
【変容】について
私たちのスタンダードは、作られている…
よく、アンガーマネジメントをして、足るを知り執着を捨て、あるがまま自分らしく、なんていうのを大切にしなきゃなと思ったりするが、それももしかしたらこの時代の誰かが作っている流行りの人格なのかもな、ふふっ、じゃあ無理してやんなくてもいいな、となんだか妙に納得した。 -
Posted by ブクログ
NHK夜ドラマ(3回程度)で観たい、と思わせるほど映像がイメージしやすい。何度も読みたいとまでは思わないが、一風変わった青春小説としてオススメです
==本の紹介==
私は内気な女子です――無言でそう訴えながら新しい教室へ入っていく。早く同じような風貌の「大人しい」友だちを見つけなくては。小学五年の律(りつ)は目立たないことで居場所を守ってきた。しかしクラス替えで一緒になったのは友人もいず協調性もない「浮いた」存在の塚本瀬里奈。彼女が臆病な律を変えていく。(講談社文庫)
教室の中、女子にとって大切なこと。
同じ匂いの女子同士でつるむこと。
ヒミツを打ち明ける順番を守ること。
教室の風景に -