村田沙耶香のレビュー一覧
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◯星が吸う水
ラストの砂利でのシーンに関する友人の感想が、悲しくなりました。どうしても理解の範囲外にある意見に対して歩み寄るのは難しいと痛感しました。鶴子の、自分が人と違う考えを持つからこそなのか、相手の考えをいつも尊重しようとしている姿勢を私ももっと持ちたいと思います。
◯ガマズミ航海
文庫本でいくつか話が収録している場合、似たテーマを合わせることがほとんどだと思います。ガマズミ航海を読み始めたとき、ああまた性についてかあと多少のまんねりを感じました。何となく、ほかの(まだ読んでいないものも多くあるので偉そうな考えだとは思うのですが)村田沙耶香作品でも性に関する描写が似ている気がして同じようなの読んだのになあ、と。村田沙耶香さんは読みやすい、まわりくどくない直接的な表現が多いように思うのですが性描写もそれで余計にワンパターンに感じてしまいました。
ただガマズミが星吸うと異なるのは性に疑問を持つ主人公に共鳴してくれる人が現れることです。村田沙耶香作品では主人公が突出して奇抜なイメージがあったので、2人が同じ方向に向かう本作は新鮮でした。 -
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「星が吸う水」
性や恋愛への考え方の違う3人が、お互いがお互いをそれぞれの方法で思いやりながら、分かって欲しくてすれ違う。30代女性3人の友情物語のような。分かってもらいたくて、近づこうとすればする程、分からない相手は遠ざかっていく。それぐらい違うなら、多少ムキになってでもぶち壊すなにかが必要なんだろうなぁ、なんて思う友情的な?ラストが村田さんの作品の中では新鮮にも感じた。わざわざ作ったオーダーメイドの性の形を隠さなくてはならないのには、私も納得できない。
「ガマズミ航海」
性行為じゃない肉体関係をしたい。それってなんなの?と思う反面、気持ちは分からんでもないとも思う。セックスをすれば深い関係になっただとか、煩わしいと思う。結局のところ、性行為じゃない肉体関係=ガマズミを実際にするのは難しそうだけれど、そういうものを必要とする人ってきっと増えてきてるんじゃないかなぁ、なんてのは空想だろうか。
村田さんの書く「死」には生の熱がすごく詰まっているのに、性はなんだかいつも中立というか無機質というか。あまり熱っぽさを感じない。これだけ「性」を押し出した作品だからこそ、村田さんの他の作品ほどの狂気や熱量を感じなかったのかなぁ。 -
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私たちは性欲=性行為(セックス)と愛(親密性)を否応なく結びつけてしまう。愛がなければ性行為をしてはいけないし,性行為をするならば愛がなければいけない,と。それこそが「本物」であり,それ以外は存在しないと考えてしまう。
でも,果たして,そうなのであろうか。「本物」とは「偽物」があるから存在しうる。いや,「偽物」を「本物」だとみなすから「偽物」が存在するし,その意味で「本物」も存在する。たとえば,グッチの鞄の模造品を「グッチの鞄」とみなすから,「偽物」と「本物」があるように,性行為without愛を性行為with愛とみなすから,性行為without愛が偽物,性行為with愛が本物になる。本来は異なるものをあるモノと同じとみなすから,本物と偽物が生まれる。
それらは本来異なるものである。ただ,似ているだけである。グッチの鞄であれば,細く見ると,似ている部分と似ていない部分が目に見えるので,それらが本来異なるモノであることがわかる。しかし,性行為with愛と性行為without愛では,目に見える部分(性行為)が似ていて,目に見えない部分(愛)が似ていない。だからそれらは切り分けがつかない。ここに両者の難しさがある。
それらが本来異なることを知るためには,目に見えるようにするしかない。あるいは,身をもって体験するしかない。でも,どうやって?それがまた難しい。この点がそれらの切り離しがたさをさらに難しくしている。目に見えない部分が似ていないという難しさに加えて,目に見えるようにする,あるいは,体験することの難しさという二重の困難。
本書はこの二重の困難に正面から向き合う。性欲と愛の分かちがたさという自明のつながりを改めて問い直す。あるいは,人と人との親密なつながりについて,親密とは何かについて。あるいは,性欲について,愛について。
「本物」とはいったい何なのだろう。
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購入済み
主人公がアスペルガー だとは書いていませんが、読み手によってはアスペルガーであるだろうと想像させて読ませてしまうところが、実際アスペルガーの人がいる中で生活している、もしくは家族や自分自身がアスペルガーである場合、評価というか読んだ感想や気持ちが大きく変わってくる作品だと思います。
小説というのはあくまで一人の人間、個人の思想を文字にするというものであるからこそ、それが全てではないということも含めて読むのでしょうが。
ここで描かれる普通や、主人公が紛れようとする普通や、登場する全ての人が目指す普通は日本独特の普通である部分も多く、人間世界に共通していえる普通もあり、日本の普通はどこかの国では普通ではない、アスペルガー だろうがなんだろうがここで書かれている皆が目指す普通のことは、ある人にとっては普通であっても、普通どころか君達は何に洗脳されてるのだと異様に感じる人もいるのも事実なので、普通を押し付けようとするシーンでのやりとりなどは、小さな世界感で独特で読んでいて気味が悪かった。カルト集団の小さな世界にも感じる。
この世界は広くて、どこかの空間では普通で当たり前になっているけど、どこかの空間では普通ではなく、当たり前じゃないことがある、人間は視野が狭くなると怖いなと感じ、気味悪さや生きづらさが伝わる作品です。
しかしながら、貧困という問題は個人の責任ではなく国をあげて取り組むべきことだと考えさせられます。こんなに真面目に一生懸命、天職を見付けて輝いて働いているにもかかわらず、人生の一生を保証されないなんて悔しいばかり。
コンビニのマニュアルは、軍隊の規律の中にいるようでさえあり、厳しいですね、怖いですね。
こんなに厳しい毎日なのに、一生懸命働いても保証されないのですね。料金支払い、荷物の受け渡し、毎日の食事まで。街の人々の為に、24時間手厚くおもてなしをしているのに、街の人のために動いてくれるはずの役所の窓口は態度が悪くても許されて、コンビニ店員は態度が悪いと社会の悪になってしまうのですね。 -
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ネタバレ前半は“クレイジー沙耶香”っぷりがちょっと抑えめなのが肩すかし。
『an・an』という媒体のせいなのか、アラサー女子の共感を呼びそうなエッセイが続く。(いろいろ過剰なところがあるが)
後半は自分が出せるようになったのか(偉そうな物言い)『ご本、だしときますね』で読ませていただいたようなキレっぷりが出てくる。
『となりの脳世界』の方が村田節全開っぽいのでそちらも読んでみたい。
あと「オタク女子は洋服を自分に似合うかどうかよりもそのアイテムに萌えるかどうかで選んでしまう、とネットに書いてあった」と書かれていたけど本当にそうだよなーと苦笑い。 -
購入済み
なんてことだ
書き上げている世界や思想は読み物として完成度が高いのですが、生々しい痛みが苦手な人にお勧めできない本です。
私にはこれに耐える精神は持ち合わせていない。書物を読んで吐き気がするという体験は初めてです。
しかしながら、村田さんの書く力が読ませてしまうんですね。読んでいて、嫌な予感(私には合ってない)がしていたのに、読み始めると引き返せなくなり、ページを閉じることができず、結局最後まで読むことになりました。
私はティムバートンが好きですが、彼の作品の中にも具合が悪くなるのでもう二度と観れない映画があります。この本も、そんな気分になる小説でした。