畠中恵のレビュー一覧
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ネタバレ猫君シリーズ第二弾。
猫又達が暮らす江戸の町、みかんたち新米猫又達は猫宿で学び中。
みかんたちの成長物語かと思いきや、みかんたちはすでに二年生。
とはいえ、まだ首玉は上手く使えていない。
いきなり織田信長でもあった猫宿の長、長猫が殺され、
二年生以外の猫又達はそれぞれの猫里に呼び戻され、
猫宿に残った二年生は正体不明の者に襲われるという不穏な展開。
若年寄が将軍の世継ぎを変えようとしていて、
正体不明の男にも、見知らぬ猫又にも襲われる。
猫又が江戸城内にいるのはよろしくないと断じる怪僧は天海。
本猫たちも言っているが、若年寄は罰せられることもなくもやもやする結末だし、
殺された長猫はすぐ生まれ変わってくるし、
なにより猫又達の話し合いが多すぎ。
アクションとして心躍るわけでもないし、
謎解きとして面白いわけでもないし
ほのぼのももふもふも無いとあっては、どうしたものか。 -
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【概要】明治維新から20年、一度廃寺になり再建された東春寺に様々なできごとが。
【内容】>傾きかけた料理屋〈八仙花〉を立て直してほしいと、東春寺にやってきた女将が無茶振り。>母親が息子にお前は本当に私の子なのかと問う。悩んだ息子昌太郎が相談に来た。ダイナミックな展開。>辰馬ら貧民街の者たちがお宝を出せと寺に押し入ってきた。>二人の元武士がお宝を出せと襲ってきた。>師の宗伯が死んだ原因知ろうとした檀家たちの浅知恵がなんと成功して外務大臣を呼び出した。>明治という世はどんな世か。
【感想】めんどくさい部分をすっ飛ばして大雑把にさらさら描かれる明治という世。>スカイエマさんの表紙カバー絵が凛々しい。
■東春寺についての簡単な単語集
【敦久】東春寺のお隣である玉比女神社の宮司。元は僧で廃仏毀釈の折神職となった。僧だったときの名は春栄で宗伯の弟子だったこともある。なぜか冬伯は元兄弟子の敦久を嫌っているらしい。
【外務大臣】この時代の外務大臣は井上馨さんあたりか?
【玄泉】冬伯の弟子。師と違い慎重派で真面目。頭の回転は速く、所作は美しいデキのよい弟子。
【時代】明治に入って20年。同じ著者の『明治妖・モダン』と同時期。生活・風俗・街並みはどんどん変わっている。《江戸は、本当に遠くなったんだな》p.257。《冬伯様、明治だと、前向きになるんですか?》p.261
【昌太郎】ある事件の後西洋小間物を売る店を開いた。
【宗伯】東春寺の先代住職。突然亡くなったので東春寺は一時廃寺となった。
【辰馬】ある事件の後冬伯に懐く。相場師になろうとしたが役者の才能があったことがわかる。
【東春寺】一度廃寺となったが冬伯が再建した。とは言うものの檀家はすでになく貧しいので、冬伯の相場士としての稼ぎでもっている。
【西方】元警官。貧民街に沈んでいたが脱出。語りが上手い。
【八仙花】料理屋。ある事件の後東春寺と交流ができた。
【冬伯】東春寺住職。僧侶にして相場師。相場師としては堅実と言われているがやっぱりヤマ師っぽいところはある。《まあ、何とかなるか》p.268 -
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ネタバレ江戸の町名主代理の、お気楽モノ麻之助が、お上にもっていくには軽い・大家たちではさばききれない諍い・争いを華麗にさばく時代物小説。
前作では都合で結婚しただけだと思っていた連れ合いを亡くした麻之助。ところが喪失感が大きく、本作でも魂が半分抜けたrecklessな印象の浅之助でありました。
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独立短篇、「朝を覚えず」「たからづくし」「きんこんかん」「すこたん」「ときぐすり」の五篇からなります。
今回はこれまでと比較して、ちょっとイマイチな感じがしました。
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いや、どれも面白かったのは事実。
ただ、このシリーズものの面白さのベースは一見お気楽に見える麻之介の名探偵ぶりでありましょう。加えて、へらへらしているように見える彼の情や想いの強さ。この駄目さ・真面目さのギャップにあろうかと思います。
もう一つの面白さは、メインキャラ(麻之助、相棒の清十郎や吉五郎)の環境変化ではないかと思います。麻之助ならば結婚、清十郎なら父の逝去により町名主を襲名する。そういう変化により、ストーリー展開に幅が出てくると。
しかるに、本巻は後者の面白さ、メインキャラの「動き」が少なく、独立短篇もややダレた感じがしました。あ、事件が起こるんだな、で多分解決するんだな、お、やっぱり解決できたね、と予定調和感があったかなと。
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ということで、畠中氏のまんまことシリーズ第四作を読みました。
で、知りませんがいつの間にかシリーズは第十弾まで出ているとのこと。いやあちょっと長いなあ。しかも終わっていないと。
個人的には終わったシリーズを一気読みするのが好み。シリーズが終わるまですこーし待とうかな、と考えています。 -
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ネタバレ江戸の町名主代理の、お気楽モノ麻之助が、お上にもっていくには軽い・大家たちではさばききれない諍い・争いを華麗にさばく時代物小説。
言ってみれば、やる気なし刑事、兼、情け深い名裁判官、といった役どころの麻之助が主人公の時代小説。
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六編の短篇・一話読み切りの作品を収録する形もこれまで同様。
新婚の麻之助、子どもが産まれる前ですが、そんな中でも難問珍問が降ってわいたように集まり、今回も親友兼悪友の清十郎と吉五郎らと解決にあたります。
飄々としたユーモアあふれるやり取りはこれまで通り。謎を鮮やかに読み切る直観力・推理力も変わりなし。
ただし、本作では表題が暗に示す通り、麻之助は大きな精神的ダメージを負います。ダメ―ジを食らった後の麻之助の様子は最後の六篇目に詳しいのですが、悲しいのにへらへらしている人になってしまい、見ていて(読んでいて)辛いものがありますね。
言わば、失ってはじめて、大切なものが分かった、ということですかね。これはもう歴史は繰り返すという位頭では理解できるのに、経験するまで分からない、後天的洞察ですね。
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ということで、久々に読んだ「こいしり」シリーズ第三弾でした。
ここにきてドーンと暗い調子の結末になっています。第四弾以降シリーズがどうなるか気になるところです。 -
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江戸の町名主の跡取り・麻之助が、周囲の揉め事を裁く人気シリーズ第10弾。人情味溢れる「クエスト」があふれる日々を麻之助はどう生きるのか—。
読み終えた後、まるでお茶を淹れてホッと一息ついた時のような、温かで穏やかな余韻が胸に広がった。畠中恵さんの「まんまこと」シリーズ第十弾となる本作。シリーズ初読ということもあり、当初は江戸の濃密な人間関係に戸惑いも感じたが、読み進めるうちに、私はこの「八百八町」という巨大な舞台で繰り広げられる、人情という名の「クエスト」にすっかり引き込まれてしまった。
本作で描かれるのは、町名主の跡取り・麻之助のもとに次々と持ち込まれる相談事だ。それは時に、現代的な効率性や論理では解決できない、江戸特有の身分差やしきたりという壁にぶつかる。しかし、そこで立ち止まるのではなく、人と人との「縁」を紡ぎ直すことで解決の糸口を見出す様が清々しい。特に関心を持ったのは、風邪で動けなくなった店子の親子を、周囲が当たり前のように丸ごと世話し、支える場面だ。
現代社会はシステム化され、SDGsが掲げる「誰も取り残さない社会」を目指してはいるが、公的な支援(公助)だけではどうしても手の届かない隙間が生じてしまう。そんな今、改めて重要視されているのが「共助」の精神だ。本作に息づく、気疲れしない程度に当たり前に存在する助け合いの距離感は、まさに共助の理想形そのものであった。「困ったときはお互い様」と笑い合える関係性が、これほどまでに羨ましく、尊いものに見えるとは思わなかった。
その共助の中心にいる主人公・麻之助の在り方も興味深い。彼はいわゆる「いじられ愛されキャラ」であり、自分が手柄を立てることよりも、周囲が丸く収まることを良しとする。それでいて自分を卑下することなく、周囲に愛されているという確かな自己肯定感を持っている。この「周囲を立てる心」と「自分を大切にする心」の絶妙なバランスこそが、彼をかけがえのない存在にしているのだと感じた。
私自身、麻之助のように器用に立ち回ることは難しいかもしれない。けれど、もしあの江戸の町に住むのなら、声がかかればいつでも誰かの元へ駆けつける、そんな長屋の仲間の一人でありたいと思う。
この本は、単なる時代小説の枠を超え、今の私たちが忘れてしまった「人と繋がることの豊かさ」を教えてくれた。明日からは、もう少しだけ周囲に心を開き、自分も他人も大切にできるような、しなやかなバランスを意識して過ごしてみたい。 -
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ネタバレ大雪が降った日、長崎屋の離れに雪女が現れた。長崎屋の妖たちは、天狗の黒羽坊の噂を聞いた天狗たちと文の奪い合いをする羽目に…『ふゆのひ』。
長崎屋の離れを狙って追い払われた蝦蟇仙人が呪いを掛けていき…『のろいがえし』。
亡くなった噺家を偲ぶ寄席で披露する笑い噺に悩むあまり場久は悪夢を食べ忘れ…『鬼之助の日』。
離れに見知らぬ妖怪に若旦那が襲われた。妖怪たちは長崎屋の離れでの生活を賭けて長崎屋の妖に勝負を仕掛けてくる…『あやかしたち』。
禰々子が持ってきた虹色の秘薬を飲んだ若旦那は鳴家になっていた…『みっかだけ』。
長崎屋がとうとう遠くの妖の噂になるほどに。鳴家が活躍する巻。 -
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ネタバレしゃばけシリーズ第5弾、これまでとは少し趣の異なる長編作品です。
今回は、病弱な若だんなが旅に出るお話になっています。
物語の序盤では、いつも頼りになる仁吉や佐助とはぐれてしまいます。
側にいるのは松之助ですが、彼は普通の人間なので、読んでいて思わずひやひやしてしまいます。
妖たちの助けがない状況は、やはり心細く感じられます。
このシリーズは、根っからの悪人があまり登場しないところも魅力のひとつです。
今回も単純な悪意ではなく、自分なりの正義のために起こした行動が、意図せず悪い結果を引き寄せてしまう、という展開です。
その切なさが物語に深みを与えています。
それでも最後は、若だんなの優しさと頭の良さによって事態が解決へと向かい、大団円を迎えます。
読後には温かい気持ちが残ります。
若だんなは無事に湯治を終え、少しは健康になれたのでしょうか。
そんなことを思いながら、次の物語も読みたくなる一冊です。