あらすじ
六十年に一度、皆が伊勢神宮へ向かう、おかげ参りの年。六つになる姪の結に、大坂の大店の跡取りになる養子話が舞い込んだ。しかし、本家からの迎えは来ず、なぜか伊勢まで結を連れて来て欲しいと文が届く。うまい話に乗っていいのか見極めるため、両替商の三男坊・九郎は、姉夫婦から頼まれて結を送ることに。拾ったばかりの仔犬のまろ丸をお供に旅に出たものの、行く先々で困った事に遭遇し、九郎はそのたびに良い考えを求められ……。
己の居場所が見つからない九郎と、大店の財を継ごうとしている結が、明日を懸けて東海道を西へ行く!
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わたしはしゃばけシリーズが大好きなのですが、今回は妖怪ではなくて犬!
わくわく読み進めるとやっぱり愛らしいキャラクターで、あっという間に夢中に!
ちょっと家鳴に似てる「きゅわん」という鳴き方がかわいい…!尻尾をふりふりしてそうな様子が目に浮かびます。
ちいさな結と仔犬のまろ丸の組み合わせ、
2人揃ってうとうと寝てしまったりと読んでいて癒されました。
そして結を伊勢まで送る九郎。
最初はなんで自分が…?という雰囲気もあったのに、結と過ごすうちに家族としての愛情が芽生えはじめていてほっこりしました。
自分ではなくお以登さんに懐いてる…と思いはじめたり、もしかすると結の成長を見守れるのかもしれない…と考える九郎。
お以登さんはどう考えたってあのひと…!とやきもきしたものの、ものすごく素敵な叔父さんです。
九郎は大阪でどう変わっていくのか…!
続きはあるのでしょうか。
とても面白かったです!
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時代ものではあるけれど、
明日の見えない若者がともかく進んでいくという意味では、
今の時代にも通じるのかな。
作者から、現代の若者へのエールかも。
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六十年に一度のおかげ参りに出発だわん。
おかげ犬のまろ丸は6歳のお結、お伴の九郎たちに同行。
だが道中は波乱万丈。結の伊勢行きの理由もあり、
困りごと連発、謎の人物たち、事件も起こる。
果たして伊勢に辿り着けるのか、心配だわん。
一 上方からの文 二 日本橋~品川 三 品川~小田原
四 小田原~箱根 五 箱根~丸子 六 丸子~島田
七 島田~舞坂 八 舞坂~吉田 九 吉田~岡崎
十 岡崎~四日市 十一 四日市~伊勢 十二 西へ、明日へ
語りは、まろ丸と九郎。
6歳の結は大坂の大商人・米問屋の花沢屋の家付き娘に
選ばれて、何故か伊勢へ旅することとなる。
同行は、その叔父である両替商の三男坊・九郎と
荷物持ちの東屋の手代・平八。そして仔犬のまろ丸。
時は江戸時代。おかげ参りの年の伊勢参り。
その旅の疑似体験が味わえる道中記が語られます。
宿、グルメ、名所の愉しみがある一方で、
箱根越えや川渡りの厳しさ、東海道を徒歩で進む苦労など、
当時の旅のリアルさも感じられます。
しかも単なる旅ではなく、途中から同行する3人、
関わってくる者たち、拐かしに惑わせる噂、そして恋。
結の存在が次々に起こる困りごとや事件に絡みます。
大商人の身代に関わる不穏な後継問題も見えてきます。
でも、共に旅をしていると見えてくるものがある。
伊勢に到着するまでの結とまろ丸の成長が愛らしい。
それ以上に、自分の行く末を考えながらも困難に対し、
知恵を絞る九郎の姿が清々しかったです。
九郎は新しい地で先に進む。
己の明日を切り開いてゆく未来に幸あれ!
Posted by ブクログ
結ちゃんとまろ丸が可愛い!
大阪へ養女になりにいく結の旅に同行する叔父の九郎が一生懸命でいい感じ。
ひょんなことから同行することとなった紺や以登とも徐々に気心が知れて、、、いってるのか、あれは?
伊勢で結のあらたな家族となるものたちと顔合わせ。
さてさて、鬼が出るか蛇が出るか。
それぞれの行く末も見えて来て大団円。
みんなに明るい未来がありますように。
Posted by ブクログ
好きな作家さんだったので。
薄茶色の体にまろ眉のまろ丸とくれば、柴犬かと。
その仔犬がおかげ犬として伊勢参りに行く珍道中の話かと思っていたが、
予想ほどは珍道中ではなかったし、
ほんのりミステリー仕立てになっていた。
大阪の大きな米問屋に養女に行くことになった六歳の姪を、
伊勢まで送っていくことになった九郎。
大人でも1ヶ月ぐらいはかかる道中、
六歳の子供を連れて行くのも大変だというのに、
仔犬もいるとはかなり大変だなと思っていたら、
初日で乳母が足を捻ってしまい雲行きが怪しくなる。
仕方なく引き返そうとしていた九郎たちに、上方の言葉を話す女たちが声をかけてきて…。
一緒に旅をすることになる女性の一人は、
養母になる女将さんだろうことは早々に気がついたので、
ちょっと興がそがれた。
三男で継ぐ家もない九郎が大阪で仕事を見つけるだろうことも、
意外性がなかったし。
一緒に旅をしている気分になれたので、良かったかな。
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六十年に一度のおかげ参りの年に、六歳の姪と仔犬を連れて、伊勢参りに行くこととなった九郎。
姪と自らの行く末を思いあぐねつつの道中記。
違う景色を見て、初めての経験を重ね、それぞれが成長していく様が心地好い。
共に旅をしているような気分にもなれたが、やっぱり私もどっか行きた~い!!
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60年に一度のおかげ参りの年。
西の大きな米問屋へ養女の話が出た姪を連れて、伊勢へ旅する九郎の物語。
まだ6歳の姪の結、仔犬のまろ丸、荷物持ちの平八と共に伊勢へと向かいます。
遠縁の結をわざわざ養女に迎える意図は?
三男坊で身の振り方の定まらない九郎の将来は?
奉公人として先の見えない平八の今後は?
伊勢への道中の様々な事柄を経て、それぞれの人生を見つめ直し、身の振り方を考えていきます。
旅の終わりには、旅の終わりの寂しさと、それぞれが明日へ向かって一歩踏み出す勇気を感じてぐっときました。
お伊勢参りと言うと漠然とその時代の一大イベント、憧れのレジャーのように考えていましたが、本当に大変な旅だったんだなーと感じました。
川ひとつ渡る事がこんなに大変だったなんて…
それでこそお伊勢参りの感動も一入だったのかな。
また、一筋縄では行かない旅路が人を成長させてくれるのかも。
現代では味わえない大変な旅が少し羨ましくなりました。
道中にちらほら出てくる旅の食べ物やお土産。
美味しそうで食べてみたくなりました。
全く同じ旅は無理だけど、いつか同じように少しずつ街道を進む旅をしてみたいな。
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まろ丸はお伊勢参りのおかげ犬。
仔犬で家族とはぐれたところを結に拾われる。
結は六つながら、疫病で跡取りを失った大阪の大店花沢屋の家付き娘に指名され、伊勢経由で大阪に向かうことに。
各章ともまろ丸の独白で始まるが、本書の主人公は結に付き添う叔父の九郎。
前半は摺りとか川渡りとか箱根の山越えとかいろいろな出来ごとに遭遇しながらの道中記。
小田原の透頂香やお菓子のういろうが出てくるあたりは東海道中膝栗毛のオマージュか。
後半同行するお以登とのやり取りが増えるにつれ、結の養女話の裏に潜む事情が透け始め、不穏な空気が漂う。
とともに、九郎と結はお以登から何かにつけて試されるようになる。
あれこれの後にようやく着いた伊勢で起きた結とまろ丸の失踪事件を経て、厄介な親戚は追放されて一族結束し、お紺と正次郎は夫婦になれ、雨降って地り、商家三男の九郎の落ち着き所も定まり、めでたしめでたし。
Posted by ブクログ
しゃばけシリーズ以外では久しぶりに読んでおもしろって思った1冊。
旅の道中も美味しそうな食べ物や当時の旅のようすも見えてきたり、読んでて楽しかった。
結ちゃんとまろ丸のイラストも可愛くてほっこり。
九郎さんのその後についての続編があっても面白そう!
Posted by ブクログ
今まで長屋ものを読んでいたので、いきなりこんなに羽ぶりのいい江戸ものに少し違和感。
そんなにオヤツってしょっちゅう食べれるの?とか(笑
タイトルの「まろ丸」がメインでいろいろ事件が起きるのかと思ったらそうではなかった。
だいたい章の区切りなんかはそこで場が変わるものが多いなか、これはそのまま話が続いたり、かといって章が終わる時は唐突だったりで、初めての手法だったのでちょっと慣れずにフワフワした感じで読んでた。
そんなに山はなかったなーと思ってたら最後の最後でちょっとヤバい事件が起きて、このページ数で終わるの⁉︎とハラハラ。
しかし昔とはいえ、6歳の子が親といきなり離れて暮らせるもんなのかなぁ。
Posted by ブクログ
6歳の姪・結に大阪の大店への養子話が舞い込む
九郎は姉夫婦に頼まれ、大阪まで送るはずが60年に一度おかげ参りで賑わう伊勢を目指すことに
ストーリーテラーが子犬のまろ丸
宿では籠に入ってたり、疲れて懐にしまわれたりとほのぼの
まろ丸の大阪での日々は続編となるのだろうか?