島本理生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ過去に受けた傷と、その克服について、
書かれた本だったかと思います。
千紘は幼い頃に性加害を受けたことがトラウマとなり、自己と他人の境界線が曖昧になって、自ら傷つきにいってしまったりと、自分を守ってあげていないような気がしました。
作中で何度も行われる自炊も、作家である千紘が裁断機の刃を本の背表紙に当てるのは、自傷行為の暗喩のような印象です。
自分でも自分を傷つけて、他人の男からも傷つけられて。。夏の章は中々苦しかったです。
ただ、秋冬春にかけて、自己と他人の境界線の引き方を学んでいけたのかなと、
自分が心地良いように過ごせる生き方が見えてきたような兆しがありました。
過去の性加害最低野郎とも、それを知ってた上で過去も今も守ってくれなかった最低母親とも、
破壊衝動的なとんでも最低編集者とも、
まさに裁断なのです。
王子と、猪俣君と、清野さんは、千紘が自分軸で動けるように必要な出会いだったと思います。
最後のシェイクスピアの名言も良かったです。
“A rose by any other name would smell as sweet ”(バラはどんな名前であっても、その香りは変わらない)
清野さんとの関係に説明できる名称は無いけれど、
お互い会いたいと思い続けることは美しいし、それは愛し合っていると言えるのかなと。
人間関係の本質を考えさせられるような一冊でした。
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Posted by ブクログ
ネタバレ好きが詰まった盛り合わせ!めっちゃ良かった!
最悪よりは平凡 (岛本理生)
魔美のしんどさがしんどくて、それでも好きな人ができてこれから始まっていく感じに、人生捨てたもんじゃないよねと思えた。
深夜のスパチュラ (綿谷りさ)
ひとりで買物行く時のグルグルハイテンション感にめちゃくちゃ共感。スパチュラに泣けちゃう気持ちもわかりみしかなかった。
カーマンライン (一穂ミチ)
回想から始まるストーリー展開に安心感。「ホテル・ニューハンプシャー」読んでみようと思った。
無事に、行きなさい (桜木紫乃)
「アプンノ パイエ」の言葉の意味と2本の線のデザインがそのまま主人公へのメッセージになっていて良かった。ミワさんかっこいい!
海鳴り遠くに (窪 美澄)
主人公の恵美が、絹香と出会って自分の心にちゃんと向き合えたのが良かった。最後の携帯電話越しの波の音に新しい人生が始まる感じがした。
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Posted by ブクログ
これ書いてるの私?(そんなわけないのですが)と思ってしまうくらい、「わたし」の気持ちが分かりすぎて、心のカサブタを剥ぐみたいな気持ちになった。読むのきついくらい共感してしまったけど、「回復」へ向かう途中ってこんな感じなのか、と客観視できて、痛みは無視しなくていいんだ…と思たことがすごく、良かった。
小説としては本当に本当にかなり好きだし、島本理生さんの描く痛々しい女の子の、その生きる様が瑞々しくて、感性のいろんな部分が刺激される。島本理生さん沼すぎる。
島本理生さんがこの本を執筆したのって大学生のときなんだって!すごいよね〜
ちょっと心のカサブタが剥がれてしまったので次は、幸せハッピー!みたいな作品を読むことにします。笑 -
Posted by ブクログ
2025/03/02
よだかというのは主人公の名前じゃなくて、この本の話の中で触れられる宮沢賢治の小説のよだかから取られたもの。
主人公のアイコは顔に大きな青あざを抱えて生きてた。周りからも傷つけられたり、心無い態度を取られたりしたことが重なって人並みの生活にもすごい憧れていると同時にそんなに簡単には人を信用できないと思って生きていた。
大学院まで進学した彼女が、ふとしたことから知り合った年上の映画監督の人に恋をするお話しである。
自分の芯があるとか、人として強いとかそんな表現が出てくるのですが、それって本当にそうなんだろうか、具体的にどいうことなんだろうかということを考えられる小説だと思います。
もちろん主人公や出てくる人たちが織りなす人間模様や恋模様も読んでいてとても面白いです。 -
Posted by ブクログ
少し前にトークショーを拝見したものの、読んだことがなかった島本理生先生。小説はみずからラブストーリーと銘打ったものを選ぶことはあまりなかったので、とても新鮮な気持ちでこの本を手にとってみた。
2020年、というのは、ちょっと身構えてしまうワードだ。現実世界に色んなことがあったせいで、過剰に意味がこもってしまう。作品の時間軸は主に2018年で、2020年は後日談として触れられる。解説でコロナ禍を踏まえた加筆修正があったとなっていたが、確かに時代の空気感が丁寧に織り込まれていた。この時代だからこそ、刺さる物語の着地になっていたように思う。
島本作品は初読なのだけれど、文章の湿度が高くて乾いた肌に染み込んでいく感触があった。なんでこの気持ち良い文体を今まで読んでこなかったのだろうか……。主人公の葵は、結構ヘビーなバックボーンを持つ。その実情は紡がれる人間関係の中で、少しずつ後出しされていく。だからだろうか、自然と葵の人間性が自分に透過してきて、苦しくなるほどの一時と、終盤に向けての開放感を、我が事のように感じることができた。
葵を取り巻く男性陣、バラエティに富んでいて、色々と考えさせられる。自立して生きていくこと、について改めて直面したような。といっても自分は葵ほど芯は強くないのだけれど。
それにしても……急死した母のワインバーを継ぐ、という舞台設定は、お酒もお料理も美味しそうすぎてハチャメチャに飲みに行きたくなった。葵と松尾君のいるワインバー、ふらりと訪れてみたい……。 -
Posted by ブクログ
(2023年12月21日の感想。帰りのバスで書く。)
アンソロジーっていいよね。宝箱みたい。いろんな作家さんたちが一度に会していて豪華。
この本を買った頃は丁度自分のなかで島本理生、窪美澄、一穂ミチのブームが来ていた。だからウッキウキで買って、そのあと暫く読めずにいたのを今になってようやっと読めた。
面白かったのは綿矢りさ「スパチェラ」
綿矢りさは、中学生の頃に『蹴りたい背中』、大学二年の秋に『勝手にふるえてろ』を読んだ。両方とも、それから今回の「スパチェラ」にも当てはまることだけど、今を生きる若い女の子を描くのが本当に上手。綿矢りささん自身は歳を重ねているのに、寧ろ作品のなかではより若く、より瑞々しく、そしてより甘く仕上がってきていて面白いと思う。
桜木紫乃「無事に、行きなさい」も印象的だった。
別れを告げる言葉を持たない民族のさよなら、無事に、行きなさい。別れる人の無事を願うことができるなんて懐が深いと思った。私は馬鹿みたいに重たいから、倫彦の無事なんて絶対願わない。私の預かり知らぬところで不幸になってくれと思う。
意外だなって思ったのは窪美澄「海鳴り遠くに」
この人こんなキャラクターも描けるのね、という点で意外だった。絹香のような子、珍しい気がする。最初に読んだのが『やめるときも、すこやかなるときも』だったから、多分その影響を引きずっているのだろうけど。年が明けたら『さよなら、ニルヴァーナ』読もうかなって計画中。