原田ひ香のレビュー一覧
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TVのBS深夜ドラマ『台所のあるところ』を観ている人々の、個々のドラマを描いている。SNSにハッシュタグを付けてドラマの不明点、感想を書き込むことで緩やかに繋がっている。ドラマが不穏な展開になるにつれて、個々のドラマも重く不愉快な展開が続いていく。
離島出身の夫に付いて移住した妻。徐々に判明する妻の違和感。2つの姓しか居ない島で真っ二つに分かれて生活されていた。就職さえ姓が支配していた。
他の章では4人の子供がいるシングルマザー。夫の不倫による離婚と、言う事を聞かない子供たちに呆れ返る。
胸くその悪いドラマと、同じ様な個々のドラマが最後に来て、明るい方向に急展開。あれあれという感じ。終わり良ければ全て良し、ということなのだろうか。 -
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復讐屋の成海慶介の事件簿。
依頼主のはずの神戸美奈代が自分の復讐の依頼を断られたことをきっかけに成海の秘書になる。
第一話 サルに負けた女
猿の病気をきっかけに結婚の延期を迫られた女の復讐の依頼。
ここで、成海の復讐のパターンが明かされる。
「復讐するは我にあり」
第二話 オーケストラの女
コンマスを外された女の復讐の話
第三話 なんて素敵な遺産争い
以前成海に依頼して、離婚した妻への復縁の依頼。
このエピソードは、なんだか最後が全くしっくりこなかった。
第四話 盗まれた原稿
盗作したシナリオライターへの復讐の依頼。
完全に筋が読めるストーリー
第五話 神戸美奈代の復讐
神戸美奈代の復讐を自分でやり遂げようとするストーリー。
最初のエピソードに繋がる、そして成海の過去に繋がる興味深いエピソード。
イケメンなのに性格が悪いという、使い古しされすぎたキャラにも関わらず、安易に美奈代と結ばれないところが良い。
どのエピソードもある程度筋が読めそうだし、だいたいパターン化されて、飽きてくるものだけれど、いろんな分岐点や、ツイストがあって面白い。
こういうの、ドラマになりそうだと思った。 -
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前作の「東京ロンダリング」が中々良かった。本作もそれを引き継ぎながらも、新しい味付けをしながら物語は展開していきます。いわゆる連作短編集で、別個の短編が語られているかと思うと徐々に繋がりが見えてきて、なんだか大きな話になりそうだなと思っていると、最後は少し尻すぼみな感じで話が終わります。その分前作の方が余韻の残りかなとかも含めて良かったかなと感じています。
今回は前作同様に多様な若い女性のリアルな生き方や考え方が、描かれているように思います。また真摯に仕事に取り組む人を丁寧に描いておりお仕事小説の側面もあると思う。
前述したが少々尻切れトンボな終わり方をしているので、まぁちゃんやりさ子さんの行く末が気になります。ともに幸多かれ事を願います。 -
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無職のバツイチ57歳の松尾純一郎。
早期退職に応募し、喫茶店を経営したこともあるが、結局潰してしまった。
そんな彼の1月から12月までの喫茶巡りと人生のストーリー。
とにかく構成が秀逸。
松尾が関わってきた全ての人のキャラクターが、異質ではなくリアル。
そして合間に出てくる喫茶店の描写も素晴らしい。
私は紅茶派だし、コーヒーについては全然詳しくないのだが、美味しいコーヒーが飲みたくなる。
これらのお店は休業しているところもあるが、実在した喫茶店らしく、ファンが聖地巡礼しているらしい。
面白すぎる。
離婚した前妻のエピソードも、友人松尾のエピソードも好き。
バツイチでどうしようもない松尾だが、何か憎めない。
自分の悪いところに今更気がついて、反省しているところもおじさんにしては柔軟すぎて、リアルではないが、好感が持てる。
大きな事件は起きないが、人の人生にいくつかあるだろう山谷を少しだけ垣間見ることができて、先が気になり一気に読んでしまった。 -
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ネタバレ続編だから仕方ないのだと思うけど「三人屋」に比べると、全体的にボヤッとしていて負の感情を抱いた。
読者からすると本の中でずっとそこにあってほしい「三人屋」だったのに、現実的に盛衰の衰の部分を目の当たりにさせられてしまった感じ。
そして作家の一也がいちばん感情移入できなくて、本人視点があっても性格もうまく掴めなかったのに、そんな人が結果的に三人屋の場所を潰したうえに不義理な形で終わったので驚きだし、商店街のみんなと共に腹が立つ。
前作だと温かみ部分ばかりがクローズアップされていた感覚だけど、携帯屋の望月によって、"部外者"への冷たさとか、人間同士の距離感が近いことによる面倒くささとかが露出した感じがあった。
個人的には最初の章の理人が良かったな。
「オトウサン」に無言電話をかけて「もしも、僕のことが嫌いだったら……ごめんね。でも、お金だけでも受け取ってくれないかな」と言われるシーンが印象的。
会いに行って本当によかった。
古屋さんとの関係性も切なくて、、、でも三人屋で働くようになって、「ママみたい」と評されるようになって、素の自分を出せるようになったのかなと安心した。無理に古屋さんとハッピーエンドにならないのがいいのだ。