原田ひ香のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ夫婦2人暮らしの奈都子は、母親から従兄弟が不倫の末に離婚し、デキ再婚した話を聞かされるシーンから物語は始まる。
周りの期待に応えるよう真面目に生きてきた奈都子は、努力という名のもとに自己中心的に生きてきた新妻にある種の興味を持つ。一方で、過干渉で噂好きな性格から家族に疎まれている母・ミツエは、不仲な両親のもとで育ち、友達もいない子供時代を過ごした元妻には不思議と受け入れられた。
真面目で夫とも距離を保っていた奈都子は、新妻里美のような必死さが足りないと感じているし、里美は自分のしたことや新婚なのにうまくいっていない夫婦生活とこれから向き合わなければいけない。
元妻の佐智子は、自身の悪癖の原因はなんなのか内省する必要がある。
それぞれのリスタートを感じさせる結びだった。 -
Posted by ブクログ
お酒が好きなのと読んだことのない作家さんを開拓したくて手に取りました。
一言にお酒をテーマにと言っても、お酒の失敗や作り手の跡取り、人それぞれの楽しみ方…いろんな視点からのお話が詰まったアンソロジーです。
初恋ソーダでは仲良くしていた山城という男性を主人公の家にあげて、手作りのお酒を振る舞う場面がありますが、短時間自分のテリトリーの中で過ごす中で価値観の違いにより主人公の女性が示す不快感がまざまざと描かれており面白かったです。自分の大切にしているものを雑に扱われるくらいなら1人の方がいいという気持ちはわかりますね。
また、原田ひ香さんの定食屋「雑」も面白かったです。丁寧な味の料理をお酒で流し込んで欲しくない。食事は食事、お酒はお酒で楽しみたい主人公。そんな考えを押し付けて夫は週3食堂に、それすら咎めると離婚を言い渡されてしまいます。そんな主人公がきっかけとなる食堂で働き始めるお話です。定食屋の主人であるぞうさんが魅力的です。気になって調べたら、定食屋「雑」の単行本があるんですね。そちらも読んでみたくなりました。 -
Posted by ブクログ
ランチ酒で、著者にハマって読み始めたが、やはり、著者は食事とストーリーを絡めるのがうまいなー。
ぞうさんの心の中は、ものすごく悲しい。
人生後半の人って、あんな風に考えるものだろうかと。想像しただけで辛い。
でも、さやかが居て本当に良かったよ。
彼女も彼女で辛く悲しいことを乗り越える時間だったけれど、彼女がいたから、ぞうさんは前向きになれたのだと想う。
そして、さやかも、ぞうさんがいたから乗り越えられたのだと想う。
2人がいないとやりきれない時間だったのだろうなと。
ついでに言うと高津さんも。
最後のコロナの話が私は一番辛かった。
でも、別の道をしっかりと歩めるようになった人たちの姿にホッとしたラストだった。 -
Posted by ブクログ
その店の名は通称、三人屋。
三姉妹がそれぞれ朝・昼・晩と、異なる料理を提供する。
常連客たちの物語から、彼女たちの過去が浮かび上がってくる。
1.森野俊生(26)の場合 2.三觜酉一(52)の場合
3.飯島大輔(36)の場合 4.桜井勉(32)の場合
5.志野原辰夫(故人)の場合
解説 北大路公子
「復活の豚かつ 食堂のおばちゃん19」山口恵以子/作の
文中に登場したので、興味を持っての読書。
何故、一緒に店をやらないのか?
何故、別々に料理を提供しているのか?
「三人屋」のクセ強の三姉妹と常連客が繰り広げる
人間模様は、美味しそうな料理で彩られている。
その店がある町と商店街は、まるで箱庭の如く。
狭い空間に詰め込まれた人々の姿と
あっという間に広がる噂。その閉塞感の中での日常。
時折、蝶のように迷って外界に出る者もいるが、
帰巣のように自ずと元の箱庭に戻ってくる。
男たちの物語の先には三姉妹があるのだが、
その男たちの感情がドロドロしていて人間臭い。
徐々に三姉妹のそれぞれの想いと彼女たちの繋がりが
結ばれていくのには、ホッとさせられた。
ダメダメの大輔の行動も、三姉妹に関しては心強い。
最後の方は駆け足気味でせわしくて残念な感じがしましたが、
さすがに美味しいものの描写は、この作家ならでは。
モーニングのトースト、讃岐うどん、つやつやのご飯と
キャベツのぬか漬けを食べられる常連客が羨ましいです。