あらすじ
隠し味のルーツをめぐる「食」の家族小説。
留季子の実家は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」。いずれは継ぐものという周囲からの圧迫に耐えられず、大学卒業後はSEとして企業に就職した。しかし、食べることも料理をすることももともと大好きな留希子。SNSでレシピを発信しているうちに、料理研究家としての仕事も舞い込むようになる。アプリ開発会社と組み、大型連休に向けた簡単でおいしい献立レシピの企画を立ち上げるが、留季子の思いと、忙しい女性たちの現状はいつの間にか乖離し、アプリ制作は難航した。一方、昭和二年の品川料理教習所の台所では、女中奉公に来て半年のしずえが西洋野菜の白芹(セロリー)と格闘していた。どのように調理すれば美味しく食べてもらえるのか。しずえは、蕗と同じように小さく切って、少量の油で炒め、醤油と味醂、砂糖で炒りつけた。留希子としずえ、二人をつなぐ一皿の料理の隠し味をめぐる「食」の家族小説。巻末に、著者の原田ひ香さんと料理家・飛田和緒さんの対談を特別収録。
※この作品は単行本版『口福のレシピ』として配信されていた作品の文庫本版です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
老舗の料理学校の娘は家の意向に逆らい、料理系インフルエンサーとしてそこそこ名を挙げている。豚の生姜焼きレシピの創始者の昔話が時折挟まれ、料理そのものだけでなく調理法等の時代の違いも感じられるため、読んでいて楽しい。家族とのわだかまりを少しずつ解消の道に進める坂崎が、計算通りに自分の意のままに品川家を操っていそうで面白い。現代は何でもネットで調べれば大抵の物を美味しく作れるが、最初にレシピを考案した人が試行錯誤を重ね苦しんで生み出したことを改めて実感できた。りんごを使った豚の生姜焼き、今度作ってみよう。
Posted by ブクログ
主人公留希子は、江戸時代から続く老舗の料理学校「品川料理学園」が実家。
一人娘なので 実家を継ぐことは約束されているはずなのに
その なんとも言えない重圧で 家をでた。
でも やはり血は争えないのか 食べることも料理することも好き。
そのレシピをツイッターやSNS で配信したら 人気になり 料理研究家として仕事依頼も来ることになる。
アプリ会社と開発の様子を書いている。
その合間に 品川料理学園の昔の歴史も 間に 覗かせている。
私は 食べることは好きだけれど料理が苦手なので
楽しく 読むことができた。
友人にも料理上手な人がいるけど
確かに 外食をしていると 調味料当てている。。
料理が好きな人の共通点を見つけた気がする。
Posted by ブクログ
読んでいる間、ずっと頭が生姜焼き!私はこってりが好きなので、砂糖は必須、りんごはすりおろすの面倒とか。私なりのレシピが頭の中で作られていくよう。料理家の人の大変さが、感じられました。
風花ちゃんバージョンも読みたい!
Posted by ブクログ
昭和と令和、2つの時間軸で交互に話が進んでいく。
女中奉公で品川料理研究所に来て、旦那様を支えるしずえと、老舗料理学校の後継者という環境に反発して家を出て、SNSでレシピを発信する現代の留希子、2つの物語が段々と交わっていく。
暮らしぶりや男女の関係、家や苗字を残すことの考え方など、色んな意味での2つの時代の対比が面白かった。
昔の人は丁寧に丁寧に日々を生きていたんだなと思う。
この本を読んで、令和の時代の留希子パートでは、時短のレンジレシピが焦点となっているけれど、逆に昭和のしずさんのように丁寧な料理をしたいと思った。
Posted by ブクログ
日記のようなレシピ本を手がかりに、昭和と令和を行き来しながら、料理に込めた真摯な思いに触れる物語です。
私は昭和ストーリーがぐっときました。愛の形は様々です。
Posted by ブクログ
私の祖父母が生まれた時代のしずさんと現代(いつ頃なのかしら)を生きる留希子 料理に携わり試行錯誤に夢中になるところはそっくりで お母さんやお祖母ちゃんの人となりはあまり語られていないけれど、彼女たちにもそれぞれ物語がある それも読んでみたいな これから冬なので春菊が出てきたらおそばを食べたいなと思う
Posted by ブクログ
とても良かった。とともにやるせない気持ちもあり。最後、個人的にはもう少し納得した形で終わって欲しかった。しずえさんの喜びと悲しみにもう少しじっくり向き合いたかったな。
Posted by ブクログ
料理を通じて時代をつなぐ話。
曽祖母とひ孫までつないだポークジンジャー。読む途中で食べたくなり作った。
料理の才能が、それぞれの人生や生き方を左右する、楽しく読めた。
自分が納得のいく人生なら、どんな道でもみんな幸せなんじゃないかなと思った。
Posted by ブクログ
代々受け継がれていく系の話に弱いのかもしれない。すごく温かな気持ちになれたし、自分が今自分でいることは少なくともその上の世代の人がいてこそなのかもと思わされた。
Posted by ブクログ
3千円の使いかたで作者を知り、このアプリのおすすめから出会った。
文章で書かれているのに、目の前に料理の映像が浮かんでくる。詳しく描写なのに、説明文にならない絶妙な表現に引き込まれた。
戦前のある人のレシピと、今の令和の時代が繋がった時、ぶるっと鳥肌がたった。料理を作る事が苦手な私が、料理をしてみたいと思える本。
Posted by ブクログ
私は料理を作るが全く好きじゃないから、主人公の気持ちは分からなかったけれど、美味しそうな料理にお腹が空いてきました。うちの夫が、料理を作るのがストレス発散って言ってて、全然共感出来なかったけれど、この本を読んで少し理解出来たかもしれない。でも私は同居人と同じように、これからも食べる専門でいつづけると思うけど。笑
本当にこの作者さんの料理の表現が素晴らしすぎる。食べたくなる!お腹が空いてくる。丁寧な暮らしとはこのことだなと思わせてくれる。
あとランチ酒でも思ったけど、イケメンの男性を表現するのもすごいと思う。絶対自分が主人公でも、惚れてしまうかっこいい男性がいつも出てくる。だからきゅんきゅんしながら読める。笑
昔の話と交差するのも良かったです。昔はお肉食べれた人は、一部の人たちだけだったんですね。一般家庭でお肉が食べられる時代に生まれて良かった。そして先見の明で、一般家庭でも作りやすいレシピを考えた先代はすごいと思いました。
私も今年は少し料理してみようかなー。
Posted by ブクログ
料理を作り出すところ、レシピを考えるところの描写が読んでいて楽しかったです。
時代が入れ替わりながら話が進み、最後につながっていくところも読みごたえがありました。
Posted by ブクログ
老舗料理学園と伝統のレシピには孫の留希子も知らないルーツがあった。留希子の今と過去の祖母の同時進行で物語は進んでいく。そして繋がる。隠された秘密も納得できる内容だ。出てくる料理もとても美味しそうで目に浮かぶ。とても面白かった。
Posted by ブクログ
ふぉぉぉ。( ゚д゚)
すんごい食の歴史小説読んだ気分。
表紙の絵が単行本はよく見るとちょっと怖かったけどw
今と昔の2つの時間軸で物語が始まって、最初は主人公の作る美味しそうなご飯の様子でワクワクします♪
それがやがてひとつのレシピで交わります。
何か映画のジュリー&ジュリアみたいな感覚。
私は料理作るのめんどくさくて嫌いなんだけど、作らなきゃいけないのでごはんを作りたくなる気分にさせてくれる本が大好きです。
いつもスマホでパッと検索してパッと作るけど、「このレシピ考えた人天才☆ありがとう(;;)」ってよく言っちゃうから、何か余計に料理を研究してる人の苦労が伝わったなぁ。
ありがたや(-人-)
ちょっと心が苦しくなる部分がいくつかあって考えちゃったけど読んで良かった。
骨酒って何よ?(*´﹃`*)美味しそぉ(*´﹃`*)
2人の今後も気になる☆
丁寧に料理をしたくなる1冊です。
Posted by ブクログ
原田ひ香作品のなかでこれまでベスト! 大手料理学校の跡継ぎを嫌って家を出たのに、いつしか料理ブロガーとして活躍している主人公と、その曽祖父の時代に洋食を家庭料理にすべく苦心する女中が交互に語られ、結びついていくのだけど、料理の美味描写も女性の生きづらさもいつも異常にせつせつと胸に舌に迫る。
ところで作中に出てくる銀座のとんぶりそうめん、それは創作和食屋というより、ワインバーのシノワのメニューですよね?あれは絶品。死ぬ前に食べたいやつw
Posted by ブクログ
余韻がじーんと来て、軽く泣けた。
しずさんのパートと留来子のパートが交互になっていて、一瞬、えっ?いう意外な展開になって面白かった。
しずさんの生き方が素敵だし、留来子も素敵な女性で、料理も参考になる。
Posted by ブクログ
主人子は、フリーのSEをしながらを自作の料理の写真とレシピをSNSで発信している留希子。
実家が老舗の料理学校「品川料理学園」を経営していて、幼い頃から学校の後継者としての将来が決まっているような雰囲気を嫌って家を出て、だけども料理は好きだったので自分流のレシピを上げては認知度を上げてきた日々。
そんな彼女の日常に、昭和が始まった頃に品川家の台所で女中奉公をするしずえの姿が挟まれて進むお話。
前半、「水曜日の春菊」までは、竹の子をはじめとしておいしそうな料理が次々と出てきながらも、お話としてはややつかみどころがない感じ。
「木曜日の冷や汁」になって、理事長でありながら創業者の流れをくむ女性たちに頭が上がらない姿でそこまで描かれてきた坂崎が焼いた鯵を持って来たところからようやく面白くなってきた。
持参した鯵を使って『本当の冷や汁』を作る坂崎の姿がまず格好いい。加えて芋焼酎を飲みながらの留希子の愚痴に、一度言いたかったと切り込むところがなかなか。
「金曜日の生姜焼き」から、そのレシピを巡って、さらに物語は動き出す。そこまでゆるゆると語られてきた昭和の物語と、留希子の今がつながる描写がとても良い。なかなかほぐれぬ留希子vs.祖母・母の関係の中で、ここでもまた坂崎がいい働き。
終章、「あとしまつの日曜日」ではしずえのその後が満ち足りたものであったことが分かり、後味も良かった。
Posted by ブクログ
先祖との繋がりを感じる、引き込まれる内容だった
悲しい女性の人生も描かれていたが、悲しいだけでは表現しきれない気持ちになった
面白い小説だった
Posted by ブクログ
江戸時代から続く老舗の料理学校が実家である留季子。と、昭和初期その料理学校に女中奉公に来ていたしずえ。
ふたり時代が行ったり来たりしながら話は進んでいく。
違う仕事をしていたけど、料理好きでSNSで発信したりと料理に関わっている留季子。
しずえは、どのように調理したらおいしく食べてもらえるかを考える日々。
その時代で情景は全く違うけれどふたりに共通点もあり、身の振り方をどうするのか。
大きな決断を迫られた生きる時代が全く違うふたりの物語。
ひ香さんだから、ほんと難しくなく読みやすく、すーっと入ってくる。
Posted by ブクログ
時代は違うけど2人の視点からお話が進んでいく。
留希子さんとしずえさん。
SNSを駆使し、レシピを公開している留希子さんと、旦那様からの依頼でレシピ作りを始めたしずえさん。
レシピ作りに翻弄されつつも、それに生きがいを感じていく2人。
原田ひ香さんの作品には美味しいものがたーくさん出てくる。
やっぱりこの作品だと、豚の生姜焼きが食べたい。
Posted by ブクログ
今はネットで簡単に見れるレシピを昔は自分の味覚、嗅覚、視覚で確かめて書き連ねているのを見ると1つ1つの料理をもう少し丁寧に作ろうと思うようになりました。
昔の方の様々な人生観が垣間見れたのもよかったです。
Posted by ブクログ
同著者の本を読むのは4冊目。
以前読んだ3冊の印象は「本によってアタリハズレの差がデカい」こと。
そして今回は「アタリ」の方だった。メデタシ。
ある意味とても良く練られた、小説らしい小説。さすがプロ、という感じ。
①食べることと料理の楽しさ、②代々料理学校を経営して来た品川家の歴史、③主人公・留希子と坂崎との関係性の3本の糸が、時間の軸を相前後しながらバランスよく交錯し、エンディングで見事に大団円。こりゃ素人には書けないわ。読み進むのが実に楽しく心地良く、ストレスなく一気に読み終えた。
唯一の難を挙げれば、ラストに感じた若干の「尻切れトンボ」感。読者の想像力に委ねた余韻あるエンディング、とも云えるのかも知れないが、個人的には、これだけ面白く練り上げたストーリーだけに、最後もあともう一歩、具体的な「形」を見せて締め括って欲しかったなあ、と。
しかしこれだけ面白い小説も書ける著者。なんでかハズレも少なくない。これはもう、個人的な相性の問題ですな。
Posted by ブクログ
料理を作っている描写がとても美味しそう。
レシピを考案するのって本当に大変。
昔のパート(料理学園のはなし)の最後はちょっと切なくなった。
もう少し同居人の話も読みたかったな。
Posted by ブクログ
出てくる料理の描写が本当にどれも美味しそうでたまらなかった。
品川家の話はハッピーエンドでほっこりした。
最後のしずさんのラストシーンは切なかった。
Posted by ブクログ
しずえさんの人生、これでよかったのだろうか。
良いも悪いもしずえさん自身は納得している。
が、
本来であれば感動するはずのラストのシーンも、寂しさを感じてしまい、何とも言えない気持ちに。
せめて、実の子供や孫と少しでも交流があればもう少し報われるのに。
御屋敷時代の、素直で一生懸命な可愛らしいしずえを知っているだけに、他にもっと何か方法は無かったのだろうかと考えてしまう。
料理は深いんですね……。
日々、雑にしか料理に向き合っていないので、反省もしました。(^_^;)
Posted by ブクログ
お手軽で美味しそうな料理が出てきて、参考になるかと思いきやそれほどでもなかった。
料理の才能がある人は、材料でぱっぱっとメニューが思いつき、手順も無駄なくできるんだろうなぁ。
私は食いしん坊だけど、料理の才能はないのが残念だ。
Posted by ブクログ
昭和初期のしずえと現代に生きる留季子。二人を繋ぐことになった生姜焼きのレシピ。
昭和の初めならしずえのような境遇になる人もいたのかもしれないけど、まあまあ裕福で学もありそういうお商売の人でもないのだから品川の2代目夫妻は罪作りだと思う。留季子のレシピアプリ試したい。
今回もどれも美味しそうな料理がたくさん。で、坂崎さんとは結局どうなるんだろう。