原田ひ香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの身も蓋もない話(母の近所の噂話)が、気まずい朝食の席の時間つぶしになるだけでなく、不思議な安心感を美菜代に与えるのだ。これが必要なのかもしれない。
人生は流れる。すごい速さで。それをほかの人たちの噂話で実感することが。
女親と娘は習慣が、男親と息子は考え方が似てくるのだと祖母は言っていた。
「だけど、人はすべてのことは選べない。人生で大きな選択をしたら、反対側の道には決して行けないのよ。いくら、夫たちにひどい目に遭わされたとはいえ、わたくしは家族を捨てて家を出た。でも、それで自由を得たの。そしたら、多少のさびしさに耐えるのは仕方ない」
「遺産相続でもめ事が起きた時、後で必ず幸せになるのは遺産を放棄したほうだって。不思議なことに、遺産を手に入れた方はなぜか人生がうまくいかなくなるんだって。それが人生の真理なの」
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Posted by ブクログ
三人姉妹にフォーカスしていた前回とはガラリと様相を変え、今回の続編は長女の夜月を中心に描かれている。
長女の夜月は、自分の思うままにこの世に漂い、ただ自然体に生きているようであるのに、何故か人に強い影響を与えてしまう存在だ。
豆腐屋の居候に甘んじて自分を見失っていた正人を見事に掬い上げ、彼女のヒモ的存在である作家の一也が「一行目が書けない」と悩んでいるとき、夜月がさらっと放った「二行目から書けば良いんじゃない?」という一言。これでふっと肩の力が抜けた一也が、自分のヒモ生活をそのまま書こうと思いつくくだりなど、彼女がそこにいるだけでみんなの強張った心が不思議と落ち着いていく空気感は唯一無二なのは認めざるを得ない。
作中では、次女のまひるのちょっと扱いづらい頑固さや、他の女と出入りがありつつも夜月に想いを残す大輔のこだわりなどが交わったり、全体としてはどこか焦点が絞りきれていない展開が目立つ。
「三人屋」から始まった物語だからこそ、夜月一人の物語にしてしまったことで、前作ほどの面白さに繋がらなかったという印象が残る。
しかし、夜のスナックのワチャワチャした空気感は健在であり、
最後に判明するその「美味しい玉子サンドの秘密」が、絶対に門外不出であることだけは確かである。