あらすじ
九州の離島に、この家はある。ある共通の過去を抱える女たちが、世間から離れ、静かに共同生活を送る「グループホーム」。互いの本名や出自も知らないまま、厳しい禁忌のもとに行動する彼女たちの家に、ある奔放な親娘が入居したことで、その日常が大きく崩れていく。女たちが迷いと衝突、葛藤の先に見る地平とは――。話題作を次々ものする著者が放つ、感動長編。(『虫たちの家』改題)
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Posted by ブクログ
現実には無さそうな、フィクションならではの設定のせいか、ぐんぐん引き込まれてページを繰る手が止まらなくなり、朝の通勤電車を1駅乗り過ごしてしまった。
原題が「虫たちの家」とのことで、虫が出てくるお話だったらどうしよう、と身構えたが、昆虫に関する描写は殆ど無いので私のように虫が苦手な人間でも問題なく読むことができた。
ただ、「虫の名前の文字列を目にするのも嫌」という人には向かない本なのでご注意を。
読み終わったあと、もう一周最初から読みたくなる一冊。
Posted by ブクログ
なかなかの原田ひ香ワールドでした。最初はゆっくり読んでいましたが、途中から引き込まれてあっという間に読み終えました。少女時代の話しが少し納得出来てないとこもあるので、もう一度ゆっくり読み返してみたら納得出来るかな…。
今の時代の生きることの難しさと、主人公達の生き抜く強さを感じました。
Posted by ブクログ
改題する前のタイトルが「虫たちの家」だったので、虫を擬人化した話かと思ってしまったが、女性の駆け込み寺みたいな場所の話でした。最初は淡々と話が進み、このまましっとり終わるのかなと思っていたら、後半に怒涛の展開が。特にテントウムシさんは思っていたのとは逆の展開。アゲハも然りで唖然となった。女性にとっての性虐待は精神的なものだけではなく、社会的地位や関係性までもが壊される。男女平等になってもそこだけは確実に平等にはならないんだろうなと思いました。
Posted by ブクログ
インターネットで秘密を暴露されるなどして傷付いた女性たちが暮らす、離島のグループホーム。
ある母娘の登場により、状況が変わっていく。
ミステリー要素もあり、一気読みした。
アゲハが「ミミズなんて付けられたら嫌だなー」と言ったのは軽いジャブだったんだろう。こわっ。
テントウムシの本当の名前を知っていればこそ。
躍起になってアゲハの過去を調べている間、テントウムシは何がしたかったんだろう。
アゲハを追い出したかったの?
居場所を守ることと、過去を暴くことはどう繋がるんだろうか。
私にはそれが理解できなかった。
危うい過去、秘密というものが、他者にとって非常に興味をひく対象であることは、本当にその通りだ。
同じようにネットに傷付けられた者同士であっても、相手にどんな過去があるか、気になるものなんだろうか。
Posted by ブクログ
後半1/4はまさにページをめくることすらもどかしくの状態になった。
ずっとアゲハに気を取られていたけど、実は…
と思うとやはり名前の付け方も秀逸すぎるほど秀逸だと感じた。美しいアゲハに気を取られているうちに、本当の致命傷を与えてくるのは蝶なんかじゃないもんね。
引き込まれる文章力。さすが〜!!!
Posted by ブクログ
ある出来事が起きたとする。
それに複数の人が関わったとしたら、
事実はあくまでもひとつなのだけれど、その事件が彼らに与える影響はそれぞれだ。
マリアとテントウムシは、小さな離島に住んでいる。それからミミズとオオムラサキが加わり4人になった。そこはネット被害にあった女性たちが、世間の目から逃れて共同で暮らすグループホームだった。
ある日、そこに親子が入居することになる。母親はミツバチ、美しい高校生の娘はアゲハという名前をマリアからもらう。
最終的に、テントウムシはその親子に追い出されることになる。彼女が何があっても守ろうと決めた、自分の終の棲家になると思った『虫たちの家』から。
実はミツバチはテントウムシに復讐するため、娘をリベンジポルノの被害者に仕立て上げてまでここにやってきた。娘のアゲハは母親が何よりも大切なので、そのことに疑問は持っておらず、母親と同じようにテントウムシを憎悪している。
人を憎むのってエネルギーがいると思う。その憎悪の炎が消えないように気持ちを持続させるには相当な気力が必要だろう。だからミツバチは体が弱いのかな。憎むことに生きる力を使い過ぎたから。
かつてわたしも人を憎んだことがあった。でも結果としてそれは何の救いにもならず、そのことに固執し続けることにより、かえって自分自身を傷つけることになった。
自分の思いが通じずに、もどかしい気持ちになる。
本当のことが相手に伝わらずに、誤解したまま遠い存在になってしまう。
生きているとままならないことがたくさんあるけど、それでも強くしなやかに生きて行きたいと思う。なぜなら誰もがきっとわたしと同じ気持ちを抱えながら生きていると思うから。
この小説を読んで、あらためてそう思った。
出来過ぎだなと思う部分もあったし、もやもやってするところもあったけど、全体的によい話だった。あまりにも読みやすい文章が、物語をさらりと読ませ過ぎて、大切な部分を流してしまいそうになるのが残念なところではある。
Posted by ブクログ
改題する前の「虫たちの家」の方が内容にもしっくりくる。
ネット、特にリベンジポルノなどで傷つけられた女性たちがひっそりと暮らす家に美しい娘アゲハとその母親であるミツバチが加わったことで急激に平穏が崩されていく。
アゲハの言動に翻弄される主人公テントウムシ。しかし病弱で部屋にこもっている母親にも何かある...
いったいなんだろう、何が目的なのだろう...とざわつく気持ちを抱えつつ、唐突かつ断片的に語られる誰かの古い記憶とテントウムシの過去、アゲハの情報を繋ぎ合わせていくドキドキ感がたまらなかった。
これ以前に2作品読んだが、どれもスカッとは終わらなかった。
この作品も然り。
そこが原田氏の持ち味なのかな、と思うし嫌いじゃない。
Posted by ブクログ
様々な理由から過去を消したい、逃げたいと思っている女性たちが暮らす「虫の家」というグループホーム。本名や過去は明かさず昆虫の名前で呼びあう。似たような傷を持ち、ひっそりと暮らしたいとだけ願っている。心の救いとは何か。過去から一歩を踏み出すことができるのか。辛かったことが消えることはないのかもわからないし、この先も楽ではないのかもわからないけれどそれでも生きていくしかないという現実に押しつぶされそうになりながらも必死に立とうとする姿がいい。
Posted by ブクログ
ネット被害にあった過去をもつ女性たちが離島でグループホームとして築いた"虫の家"に、新たにやってきた母子連れの住人。
彼女たちが、それまでひっそりと平穏に暮らしてきた虫の家の安定を壊していく、ちょっと怖い話。
内容も重く、原田ひ香の他の本からすると、ちょっと異質かも。。
Posted by ブクログ
虫たちの家。インターネットにあられもない姿を晒され日常生活を送れなくなった女たちがひっそりと暮らす場所に、新たに加わったアゲハとミツバチが島での日常にゆっくりと影を落とす。
テントウムシの視点での物語と、誰かの幼少期のカウンセリングの回想が交互に書かれて進んでいく。回想で語っているのが誰なのか気になってしかたなかった。復讐のために嘘をついて虫たちの家へと行くのではなく、本当にリベンジポルノを起こしてまであの島に行こうとするのが執着の深さを感じられた。
アゲハが何故事件の前に学校であんなことをしていたのか、理由は母親の影響で歪な人格形成をしてしまったからということなのか?テントウムシをライターだと信頼してアゲハのことを話したショコラが可哀想だなとちょっと思った。
とても面白かった。けれど事件の首謀者であるはずの現代のミツバチの視点がないのが物足りなかった。
Posted by ブクログ
リベンジポルノ、ネットへの流出…。
どんなに好きな相手でも、恥ずかしい写真を撮りたがる男とは付き合わない方がいい!
恋なんて、その時だけでいつか覚めるんだから。
愛してくれる人は、決してそんな写真やビデオは撮りたがらない。
Posted by ブクログ
過去にDVに会い被害を受けた女性達の為に九州の島に虫の家というものを作り、世間から逃れてきた女性達を受け入れていた。そこではネット禁止や様々な禁止事項があり、本名を晒さず無視の名前を付けて暮らしていたが、事件が起き、みんながバラバラになるまでを描いた。バラバラになっても、皆、しっかりと前を向き歩いていく姿はとても良かったです。
Posted by ブクログ
物語の展開としては謎が多く、そして島と、私の独白みたいなストーリーで進んでいく。その独白をしているのが主人公かと思ってどう繋がるのかと思っていたが‥
Posted by ブクログ
09月-19。3.0点。
九州のある島で、DV被害等に遭った女性達がひっそり暮らす。そこへ母娘がやってくる。高校生の娘は島の連中とコミュニケーションを持ち。。。
読みやすい。過去の因縁がここまでとは。
Posted by ブクログ
平穏な日常をすごすていた。ただそれだけなのに。
想像もしていなかったことが起き、社会から隠れるためにある南の島の一軒家で目立たないように平穏に過ごす。ここが自分の居場所だと、終の住処だて思いながら。
でもそんな平穏な島での暮らしも、ある親子の入所により追い詰められて、自ら居場所を失くしてしまう。
伏線の回収はすごかったが、読んでいる間、後味が悪く、扱うテーマと虫の名前で呼ばれることに、何だか慣れなかった。
なぜ虫の名前で呼ばれるのかは定かではないけれど、「あの『家』がなくても生きていける。」
それぐらい逞しくなった彼女たちがせめてもの救い。
Posted by ブクログ
前半では、様々な事情を抱えながらも一生懸命生きる女性たちの隠れ家生活が淡々と綴られる。そして後半で一気に展開し、前半の伏線が一気に回収されていく。
改めてイチから読まないと収拾がつかないほどの展開で、ミステリー好きの私としては、心地よい展開でした。
女性たちのニックネームが虫に由来するものなのだが、その意味が、本人たちの性格や行動、背景を何とも絶妙に表されているのも、興味深い点です。