【感想・ネタバレ】母親ウエスタンのレビュー

あらすじ

いつも行く食堂で出会った女の名は、広美といった。気づけば死んだ妻に代わり、子供たちの面倒を見てくれるようになっていた広美。しかしまたある日突然、彼女は家族の前から消えてしまう。身体一つで、別の町へと去って行ったのだ――。家族から次の家族へ、全国をさすらう女。彼女は一体誰で、何が目的なのか? 痛快で爽快な、誰も読んだことのない女一代記。

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ネタバレ

変わったお話でした。
母親のいないいくつもの家庭で母親のような振る舞いをして子どもたちを助けてあげる広美のお話。
エピローグがいいです。タイトルの回収をしてくれているようで気持ちよかったです。ここで銃を置くのか次の街に行くのか。誰も知らない。

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2025年06月19日

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いろいろな家庭で母親をやりながら転々と暮らす広美。どの家庭でも慕われてびっくりな話です。親子ってなんだろう?と考えさせられました。終わり方がよかったです。

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2025年02月04日

ネタバレ 購入済み

引き込まれる

原田ひ香さんの作品を最近、読む様になりましたが、過去と現在を行き来しながらの展開で時間も忘れて1日で読み終えてしました。

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2022年11月20日

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「おそれいりましてございます」

近所の定食屋に新しく入った店員は広美といった。

長距離トラックドライバーで、妻をがんでなくしたばかりの健介はまだ30代。

小さい3人の子どもたちと暮らしている。

こんなハンバーグを、子どもたちに食べさせてやりたい。

健介の何気ない一言をきっかけに、広美は子どもたちの面倒を見るようになる。そして生活を共にするように。それもごく自然な形で。

そして時がたち、生活が落ち着いた頃、彼女は風のようにいなくなっていった。


10数年がたった東京郊外のスナック。

そこに恋人の祐理が通いつめていることを知った大学生のあおいは、祐理を問いただす。

真面目で成績優秀な祐理がそこに通うのには、深い理由があった。


広美が歩んできた「家族たち」との時間と、祐理とあおいが学生時代を過ごす現代を交錯しながら、物語は進んでいく。

様々な事情から、「母がいない家庭」を渡り歩き、全身全霊で尽くしぬいた後、静かに去っていく広美。

彼女がそんな人生を歩まずにいられなかったのにも、深い理由があった。

子どもに会えない母もいる。

子どものいない母もいる。

血のつながらない母もいる。


ただ、目の前にいる子どもに、なりふりかまわず尽くしていくのが母の愛情。

その心は大空よりも広く、大海よりも深い。

人のために明かりを灯せば、自分の前が明るくなる。


さりげなくて深い、母の愛の物語。

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2019年11月16日

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他人がどう思うかはさておき、広美とターゲットの家族にとってはお互いを必要とし合う関係だったのだろう。あっという間に子どもを手懐け、父親達の心の隙間に入り込む広美を怖く感じたが、それでも家族は良い方向に進むという不思議な話だった。

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2025年11月24日

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ネタバレ

今まで読んだことのある、ひ香さんの作品と毛並みが違った。
母親がいない父子家庭に入り込んでは母親役をし、時間が経つといなくなり、また別の父子家庭へと渡り歩く広美。

なんと奇特な人だろう、何者なんだと不思議だった。
途中までは優しい目で見ていたが(読んでいたが)、
広美を母親と信じて育ってきた子どもたち、広美が突然姿を消したことにより捨てられたと傷つく子どもたちが現れたあたりから、
実はこの人は罪深いのではないかという気持ちがムクムク。
大人になっても「母親」を求める子どもたち、その不安定さが気の毒だった。

広美自身の問題が明らかになってもその気持は消えなかったが、
とは言っても、広美のお陰である一時期でも幸せに暮らせたという一面も否定できないのはもちろんだった。

結局広美は何がしたかったんだろう。
終わり方も、広美らしくないように思えた。
でも、嫌いじゃないです、この作品。
「おそれいりましてございます」

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2025年09月12日

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タイトルに惹かれなくて、なかなか手をつけられずにいたけれども、読み始めたら止められなくなった。これまでに出会ったことがない切り口の、母親の物語。

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2024年07月30日

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読み始めると、気になってどんどん、読んでしまう。
借りた本なので⭐️4、
買ってたら⭐️3のような気もする。

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2024年06月10日

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母親を失った機能不全家庭にどこからともなく潜り込んで最高の母親役をしてはまたどこかへと去る女の物語。

母の務めを果たしては立ち去ることで心を救ったかと思えばかえって残酷な仕打ちをしていたり、恨まれているようで感謝されていたり。「母親」という役割は本当に奥深い。自らも母親になり親と子どちらの立場もわかるようになってから読んだ為より一層ラストが味わい深かった。

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2024年04月10日

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3最初2つの物語が区切られながら進んで行くので時系列とか話の理解に戸惑ったけど途中で糸が繋がるようになってきてそこから引き込まれて面白かった。
広美は捨て猫のように何かしら問題を抱えている母親がおらず父と子供たちで暮らす家にすっと入り込んではしばらくするといなくなる。
広美は何を考えているのか何を求めていたのか。

以下心に残ったフレーズ。
「だけど、あおいを悲しませたりしないから安心して」
もう十分悲しんでいることが、祐理には伝わっていない。それがあおいには何より切ないのだった

あーこれ恋愛あるあるーと思った

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2024年02月24日

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慣れきった日常をキラキラした時間に変えるのは、外からの視点が必要。母親不在で壊れかけている家族に、野良猫みたいに、そっと入って来て、何とか持ち直した頃に、またそっと出てゆく。母親不在の荒れた家族に、ふらりとやって来て、またふらりと去っていく話。

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2023年08月21日

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ウェスタンといえば「シェーン」
子供のいる家に母はやってきて、ふらりと去っていく。かっこいい〜
木皿花さんの解説も、また絶妙。

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2023年04月19日

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ネタバレ

各地を放浪して、子供がいなくなったさみしさを紛らわせる女性の物語。
こんなに簡単に誰かの家に入れるのかと思うとびっくりするけど。
登場人物が多くて「え?この子は以前の話に出てきた!?」と確認しながら読みました。
虐待する男性を殺したんじゃないかという描写があったけど、殺すのはわかるんだけど、その後子供を施設に預けて出て行っちゃったんだ…と思うと複雑。
逮捕されたときや、真実がわかってしまったときのことを考えてのことだったのかなぁ。

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2023年02月01日

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題名からどんな話か全く想像がつかず、なんとなくパワフルで物悲しいイメージがあった。
読んでみるとと、これまで読んできた話とは違う感じでかなり新鮮だった。

なんらかの事情で母のいない子どもを世話して各地をまわるというお話。
現代と過去の二つの視点が交錯する。

母親をテーマにした作品は数あれど、ほんのいっとき、全身全霊の愛情を注いでいなくなる母親の姿に胸がいっぱいになる。
同時に、母を求めてやまない子どもたちの姿も心が痛む。

広美さんが子供を求める姿は、ちょっと狂気的なところもあり、子どもと一緒にいられるのなら、身も心も男に捧げることすらある。

後半は子どものためにここまで…という場面もあり、広美さんの愛の深さを痛感させられる。
一人の母親の生き方が周囲を変えていく様子も描かれ、なんとも言えない後味もよかった。

血のつながり、法的なつながりを持たない母親の姿を描き、母とは親子とはということを考えさせられる。

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2023年01月28日

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ネタバレ

ラスト、祐理と暮らすことにならなくてよかった。グッときたのは夜逃げの時に秋夫を誉めてあげてたシーン。淡々と飄々と進んできた物語なのに、あそこはなんか温度が高かったな。
あおいが少しずつ成長する感じもよかった。就活で煮詰まってる時、適当にガス抜きしてくれた広美。

映画にしたら面白いと思うたしかに。主演はだれにしよう、登場人物多すぎだな、子役もたくさんいるし。
親子ってほんと厄介だとつくづく思わされはしたけど、嫌な読後感ではない。それが原田ひ香の良さだろう。
ジャケットは単行本の方がずっといい。

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2022年02月23日

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どういう風に転がるか分からないスタートで、だんだん薄皮がめくれるように色々な事が明らかになっていき、柔らかな着地点に到達する、まさにエンタメ小説のお手本のような一冊。

個人的にはNHKでやっていたECDのドキュメントと被る部分も有ったり。
血の繋がりが有る一般的な家族であれ、そうではない家族であれ、最終的にはやはり皆1人1人の個人。だからこそ愛しいし、憎たらしい。
母親がいないという共通点はあるものの、住む場所も生活のレベルも違う、登場人物達の様々な家族像を作者は見事に描き出しています。
ドライとウェットが入り混じった家族という関係性の特別さにあらためて感じ入りました。

主人公の広美は果たして全員の事を本当に忘れてたのかな?実はそうじゃないんじゃないかな?
突然来て突然去っていく、しかし全員の心の中に暖かい繋がりを残していく、そんなミステリアスな広美の姿は言ってみればメリーポピンズですよね。

そんなメリーポピンズの姿のままでいてほしかった自分としては、出来れば最後の章で彼女の秘密のベールをはがしてほしくなかった。
それで星1つ削りました。
だけど読む人にとってはあの章が一番良いとも思います。なので、あくまでも個人的な評価として。
すんません。
だけどお話のレベルは文句無しの5つ星です。
いつか映画になるだろうな。

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2019年08月16日

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「流しの母親」をやる女性の一代記みたいな作品。
著者の長編ははじめてだが、読み甲斐のある小説だと思う。
ストーリーもキャラクターも、奇抜なようで自然な、不思議な感触だった。展開も、ぼんやり掴めながらも収束が読めない。文章が滑らかさも加わって、なんとも引き込まれる仕上がりになっている。
文芸として、巧い作品だった。他作も、少しずつ読みたくなる。
4-

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2016年10月30日

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西部劇のガンマンのように、母親がいなくて困っている家庭に颯爽と現れて、大丈夫と思われると、自然と立ち去っていく。
さすらいの母親広美。見ていられないから、彼女は自然とできるのだ。

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2025年12月04日

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ネタバレ

読んでいて面白くはあったんですけど、個人的にあまり好きになれない作品でした。

広美さんという方が、母親のいない家庭を渡り歩き、子どもたちの世話をするお話なのですが、その家に住んでいる男の人と度々男女の関係になったり、すごく献身的に世話をしていたと思ったら急にいなくなって、また次の家庭の母親になったりするのは少し無責任だと思いました。

わたし自身ずっと母子家庭で、父親がいる家庭というものを知らないのが当たり前なので、一度も欲しいと思ったことはありませんが、
もし一時期でも父親がいたとしたら、そしてその期間に楽しい思い出があったとしたら、あの頃に戻りたいと未練が残ってしまうかもしれません。
実際、何年か経った広美さんの家に続々と、母親に対して未練がある子どもたち(もう大きくなってますが…)が集まったわけですし。

ですが、虐待する父親から身を挺してかばった広美さんは、本当に母親の鑑だと思いました。
血だらけで、頭がぱっくりと割れていて、片方の目が開かなくて…。それでも抱きしめていた子どもは傷ひとつなく、病院に着いた時も、子供を先に診てほしいってセリフはなかなか言えないです。
その後、虐待する父親が"事故死"になりましたが、その真相についても。
広美さんは本当に母親になりたくて、でもなれなくて、「母親ウエスタン」になったんだなぁって、おぼろげながら思いました。

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2025年06月19日

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単純に好きか嫌いかと言うと、原田ひ香さんの作品の中では、好きではない。母親という存在が身勝手にも思えてしまうから。

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2025年04月23日

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ちょっと不思議で気味が悪いところもあった。
母親ってすごいな、狂気だな
でも最後は救いのある終わりでよかった

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2025年03月15日

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ネタバレ

色々な土地で母親がいない親子の元を転々として、母親がわりをしている広美。
広美自身が自分の子供と引き離されたことで、本当は子供を愛したいという感情と、それぞれの子供たちの母親に愛されたいと思う感情とが合わさり、不思議と親子になっていく。
そして広美は去る。本当の親子ではないけれど、お互いの心が救われていた。
本当にありそうでなさそうなお話。

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2025年01月24日

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ネタバレ

彼はすぐに忘れた
望月健介
妻を癌で亡くし、三人の子供が残された。

多恵子
健介の妻。生まれて初めて受けた役所の定期検診で膵臓に癌が見つかり、半年後にあっけなく死んだ。中学からの同級生。

広美
食堂「いろは」で働く。健介の五つ下。

桃子
健介の長女。

良介
健介の長男。

直介
健介の末っ子

森崎あおい
祐理とは同じ大学の二年生と三年生で、経済学部に所属している。同じ英語劇部に入っていて、そこで知り合った。

加藤祐理
あおいにつけられている。苦学生。奨学金をもらいながら、わずかな実家の仕送りとアルバイトでがんばっている。「ルージュ」に通っている。

小谷理美
祐理の元彼女。地元の専門学校を卒業し、介護士として上京。

美弥
あおいの大学の友達。

望月道夫
健介の父親。東北の病院で死んだ。健介が中学の時に出て行った。


電話は一度しかかかってこなかった
津田島
「卑弥呼」に通う。牧場主。

広美

斎藤紅美子
「卑弥呼」のママ。

たーさん
土建屋の社長。高橋。

幸太郎
津田島の息子。

日村
津田島の牧場で住み込みで働いている。

エリナ
津田島が農協の役員に連れていかれたロシア人ばかりをあつめたクラブで出会った。光太郎を産んで姿を消した。

朝倉
市役所勤務。妻子持ち。

中田
菓子屋に勤めている。

雅恵
「卑弥呼」のホステス。夫の暴力で内地から子供を抱えて逃げてきた。

坂下広美
「ルージュ」のママ。

優子
帯広の喫茶店に勤めている女。


免許証を盗み見た
新藤幾太
秋鮭漁の船に乗っている。

愛海
幾太の娘。

広美
幾太の車と接触事故を起こした。

丈朗
幾太の友人で同じ船に乗っている。

よし子
愛海の母親。

祐理

あおい

秋夫
弁当屋の新しいバイト。宮城県出身。二十三歳。

美奈子
秋夫が連れてきた女の子。十七歳。

康江
よし子の同級生で今も同じ町に住んでいる友達。

夜明けにロックを歌った
佐野秋夫

広美

夏菜
秋夫の妹。

晴彦
秋夫の弟。

行男
秋夫の父親。

関口
いかつい顔の男。

勝俣美奈子


耳栓をおいていった
牧瀬弥太郎
児童福祉司。東京の私立大学の心理学科を卒業後、東京北東部の児童相談所に五年勤めた。母親が救急車を呼ぶ騒ぎを起こし、地元に戻ろうと考え始めた。水面市の児童福祉司に欠員があり、試験を受け合格した。

悠木理恵
牧瀬に水面市の児童相談所の案内をしていた。四十代のベテラン児童福祉司。

内藤孝夫
腕のいい料理人だけど体が丈夫ではない。

美月
孝夫の娘。

柄本
もともと一般の市役所職員だった男。児相に異動して三年目。

貴恵
弥太郎の母親。

安井由紀子
弥太郎が水面に戻る一年ほど前まで付き合ってた。大学の同級生で、私立女子高校の教員をしている。

祐理
東京都の教員採用試験の一次に受かった。

あおい

美弥

飯田元
二年前に事故死。エリート商社マンで、息子と二人、高級住宅地の一軒家に住んでいた。

前田麻衣
前任の福祉司。

飯田保
飯田元の息子。都立の児童養護施設に入所している。

保の母親
元の暴力に耐えかねて保が幼い頃に家を出、行方不明のまま。

西村俊夫
飯田家を担当したいた児童福祉司。

坂下誠之助

エピローグ
健介



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2024年11月30日

Posted by ブクログ

面白かった。母親の心情を描く名手です。
他人の家庭に入り込み、母親として溶け込んで行く様がとても自然でバリエーションに富んでいて飽きさせません。そしてその果てに何かあるのか、伏線の回収もあり楽しめました。

主人公のおばさんと、その人に育てられた男のこ、児相の職員の男のまとめ方がハッピーで良かったです。

様々な母親の形が実際にある人達で親近感も感じました。

これは2012年初刊と古い作品でしたが、既に人気作家の片鱗が見えます

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

「広美」のキャラがたってて、次々と読み進めてしまった。母親とか、母性とかの重要性を考えさせらる。まったくもって「おそれいりましてございます。」でした。

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2024年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

けっこう面白かった。ストーリーは、主人公「広美」の行動や思いを、過去と現在で交互に展開させながら進んでいく形式。
過去では、「母親のいない子供(たち)」の世話をするために、好きでもないその子供(たち)の父親と付き合い、そして数ヶ月、数年たって別れていく「広美」を、その父親の観点から描いている。また現在では、「世話してもらった子供たち」のうちの1人で、苦学しながら教員か公務員を目指す「祐理」とその恋人「あおい」が、「昔をあまり覚えていない広美」に対して抱く、深い思いや感情を描いている。
「広美」が何故、縁もゆかりもない「子供たち」を母親代わりに世話をするのか?はあまり重要ではない。小説の最後の方でその理由が分かるが、けっこう平凡で、ある意味期待外れだった。
それより、世話の必要なくなったとたん、「広美」は彼ら父子から離れていく。子供たちは「広美」がいなくなることに納得していないが、父親たちの方は何故か「広美が何時かは自分達の前から姿を消す」ことが分かっていた。勿論、何故自分達の前に表れ、何故突然に自分達の前から姿を消すのかは分からないにしても。
読んでいると思うことは、「広美」にとっては「子供を世話すること」が大事で決して「その子供が好きなわけでも、ましてやその子の父親が好きなわけでもない」ということ。だから、子供たちが大きくなって「広美」に会いに来た時、本当の母親かと聞かれても「いいえ」と簡単に完全に否定する。そして感謝する彼らに「助けてもらったのはこちら」と彼らの感謝も拒否する。この「広美」の行為と思いは、何だろう?自分の実の子供に対する贖罪とか、子と無理やり離された不条理に対する彼女なりの抵抗とかは、何か安易だ。
よく分からないが彼女は「世話する子供」がいないと自分自身を生きられないのかもしれない。
最後の最後、「世話の必要のない」大人についていった「広美」は何かを吹っ切れたのかもしれない。

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2024年01月21日

Posted by ブクログ

幼子の世話や育児を目的に、使えるものは何でも使い、時には自分の体も使って、その父子たちの中へ入っていく。

それはまさに流れる者のように続いていく。

読後は想像していたのと違うな〜と正直戸惑ったけど、日にちが過ぎるにつれて、主人公が自分の子供を育てさせてもらえなかったことから、困っている家族、特に父子家庭の子供を放っておくことができなかったんだろうなと。
彼女の抱えるこころの傷やくやしさ。
最後、少し明るい未来が見えて良かった。

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2023年06月26日

Posted by ブクログ

どこにもいないような女の人の、フィクション!という感じの小説。
原田ひ香さんの小説は2冊めですが、1冊めで読んだ『三千円の使い方』とは全く異なるテイストで、リアリティのなさが面白かったです(もちろん、こんな生き方をしてる人も実際にはいるのでしょうが)。
血縁のない親子(のような)関係で、大人が子供を思って守る、というシチュエーションは『そしてバトンは渡された』に通じるものがある気がしましたが、こちらは心温まるお話ではなかったかな。
でも、誰にも頼らずに生きる広美さんの潔さは気持ちよかった。

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2023年04月09日

Posted by ブクログ

母親を必要とする子供と、必要とされたい元母親の長い物語だった。
25歳の広美の1番初めの話が、母親ウエスタンを始めるきっかけだったのではないだろうか。
「母親」として扱われることに喜びを感じたのだと思う。
ラストシーンは、「母親」としてではなく、「広美」を必要とされたことに安堵した。
それが物語のきっかけとなった健介によるものなのが尚更よかった。
裕理もあおいも「母親」として広美を受け入れようとしていたから、このままじゃ「広美」としての人生が死んでしまうと感じた。

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2023年01月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不遇の子どもがいると聞けば、どんな手を使おうともその父子家庭に入り込み、赤の他人の子どものために最善を尽くす女。そして自分の去り時だと思うと速やかに姿を消し、また次の家庭を探しては移る。

父子の父親のほうからはもう不要だと思われていたとしても、子のほうにとっては実の母親同然の存在。大人になった今も彼女のことを忘れられない子どもたちが、彼女を追いかける。

感情が読めないから彼女を理解しづらいけれど、母性とはこういうものなのでしょうか。不思議なタイトルに思い出すのは映画『シェーン』。「カムバック!」と言われたらそうしてもいいと思う。きっと、戻れる。

「借して」という誤字のせいでかなりテンションが下がってもったいない気がしたのは否めません。(^^;

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2020年06月25日

Posted by ブクログ

初めて読む作家さん。
母親を必要とする家庭に入り込み、一つの家庭に居座ることなく時期がくると去ってゆく、流れの母親『宏美』。
謎が多く、物哀しさ漂う物語だったが最後で少し救われた気持ちに。

やはり子供は無条件で愛されている期間が必要なのだと改めて実感する。
子供時代くらい、疑うことなく心身ともに安心して生活して欲しいと心から思う。

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2018年02月13日

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