あらすじ
離婚し子供たちと引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる……。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちはどう抗えるというのか。迫真と驚愕の犯罪小説(クライムノベル)。
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Posted by ブクログ
貧困者の問題の根底にある「認識の貧困」。易きに流れ、どんどん深みにはまっていくのに、誰にもそこまでの深刻さがない。しがらみに囚われ続けるにしろ、断ち切って孤独を選ぶにしろ「どこに行っても、この世は修羅」「結局、私たちはどこにも逃げられない」という諦めの中にあるからか。
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原田ひ香さんの本を読むのは何回目かだけど、初めて読むタイプで驚いた。ハッピーエンドかと思いきや終始暗い内容だった。生活保護受給者に対する偏見がなくなって欲しい。誰もが皆明日住む場所、食べるものに困らなくなればいいと思う。
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罵りあいながら同居する3世代の女性たち(藍、孝子、ヤス)と、ひとりで祖父を介護する隣人の美代子の貧困の闇を描いた物語
藍たちの共通点は男にだらしない、品がない、言葉が汚い、お金にがめつく貧乏…と、実際にいたらなるべく関わりたくない
女性の貧困、年金や生活保護の不正受給など、なかなか重いテーマでした
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ひえー、壮絶。原田ひ香ってこんな桐野夏生みたいなのも書けるんだ、すごい。貧困の連鎖やそこに落ちていく女性が出てくるから、どうせ売春とかだろと思って読んでたら、そんなもんじゃなかった。動機は違うがマイホームヒーローみたいな展開には圧倒されて、読む手が止まらなかった。女性の生きづらさや貧困や介護、親子関係、吊り橋効果やシスターフッドなど、様々な複雑なテーマを取り扱いつつもエンターテイメントとしてとても良かった。主人公が自分の子供たちに対しての愛情の希薄さに気付くところがなんともリアルで薄寒い思いがした。面白かった。
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読み終えてだからこのタイトルなのか……と何とも言えない気持ちになった。
この世界は残酷である。
「差別はやめましょう、多様性を認めましょう、あ、でもごめんね。お前は無理だわ。こっち来ないでくれる?」
こんな具合に。
貧困とは、性差とは、それを生まれつきの性別のせいにして背負わせる現代の罪は誰が背負うべきなのか。
地獄とは真っ逆さまに落ちていくのではない。静かに音もなく善意で舗装された道をヘラヘラ歩いていき、気づくとたどり着いているのだ。
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いつも原田ひ香さんの、美味しい描写がとても好きで読んでいるのです。今回もどんなかな~と思ったら、驚きました。
DRYは貧困や介護といった社会のいわば歪みのような状況に追い込まれた女性たちの話でした。美味しい食べ物の描写はなく、カレーを食べるシーンも前後の話から全くもって美味しい匂いのするカレーではありませんでした。
虐待の連鎖や介護による家族の犠牲といった、社会の歪みの犠牲者なのだけど懸命にもがき生きている人たち…。犯罪はいけないけれど、追い込まれると起こしてしまうんじゃないかとリアルなのかもと思いました。
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イヤミスが好きだから、読後感があまりよろしくないのもけっこう好きな感じだった。
三世代にわたる女性の貧困が描かれている。お金がないからこそ心荒むし、言葉遣いも荒いし、暴力もある。意外とこういう暮らしを送っている人身近に沢山いるんだろうな。
あと、タイトルのDRYは心が渇くとかそういう意味だと思ったのに、まさかミイラが関係してるなんて。衝撃的だった。
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やだやだやだ、怖い怖い。
…でも怖いのは作中の事件じゃない。「犯人としての美代子」でもない。
藍と美代子の二人、いやもっと言えば藍の母や祖母の人生が…。恵まれた環境とは言えない中で、もがいても、もがかなくても…上手に浮かび上がれない感じ。
介護がただ一つのアイデンティティかつ生活の糧になってしまった美代子。その行き着く先……
胸がつまったのが、何人も徘徊老人を略取して軟禁してたわりに、その老人を真に心配して探していた(であろう)家族は1家族だけだったという点。
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怖かった。
原田ひ香さんよく読むのでこんな話になっていくとは思わず、でも、いつも通りの読みやすさはそのままで
貧困に苦しむ人は、
その人自身の責任なのかどうか
犯罪が絡むし、グロテスクな表現もあるが、なんだかむしろ犯罪ぐらいを絡めないと、これをただリアリティに満ちた話で書くとそれこそ暗すぎる話になるんだろうなと思った
Posted by ブクログ
貧困に喘ぐ親子3世代の女性の話。DRYというタイトルからcoolというか感情が乾いてるという話かと思ったら途中からとんでもない方向に。良い意味で裏切られた作品でした。
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これ読み始めてから気が付いた!前にすでに読んでた・・・
とはいえ、内容はかなり朧気だったので、再度読むことに。
こんなグロ系の話だったとは!今回はそこらへんはかなり飛ばして読んだ。前回も飛ばしたのかな。だから覚えてないのか。
みんな完全に間違っているけれど、そうするしかなかったのかな。
「品の悪さ」って、自分には結局どうすることもできないのか?
揃いも揃って頭が悪いなら、どうすることもできないのか。
藍がねぇ。ただ不幸な子って感じではなく、自分でどんどん悪い方に行っている感じ。子どものことも不倫のことも理解できない。プライドとかないのか?
最後もなぁ。満足感も爽快感もない。
結局ずーっと底辺を言い訳ばかりしながら這って生きていくのか。
まったくスッキリしない話なので、前に読んだことも忘れてしまうんだろうなぁ。
Posted by ブクログ
ダークな作品だった…。
冒頭の3人の描写は読んでいてイライラするし気分が悪くなるくらいだった。そして、更なるあのグロテスクな描写は、「読んでいる」にも関わらず目を背けたくなる。不倫相手の高柳から言われた「底知れない品の悪さ」という台詞が、浅はかで、奔放で、刹那的、そして、孤独なこの女達を象徴しているように感じた。
Posted by ブクログ
離婚して実家に出戻った藍。祖母と母のイザコザに辟易する中、ヤングケアラーとして介護に人生を捧げてしまった、お隣の“みよちゃん”の優しさに救われ、墜ちてしまう。
『女なのは、私たちが悪いんじゃないよ。生まれつきなんだから』
彼女たちが自分の人生を取り戻すのを阻んでいるのは、周囲の人々の悪意なのか。十分な知識や愛情を得る機会を奪われたからなのか。
覗いてはいけない袋小路を見たような、苦い後味が残る読後。
Posted by ブクログ
前に読んだ桐生夏生さんのOUTという本を思い出した。内容的にはあってはならない事だけど、実際に起こりうるかもしれないと思ってしまった。ドライの意味・・・怖い。
Posted by ブクログ
これは今までの原田ひ香さんの作品ファンには、ショッキングな内容かも知れません(色んな意味で)
でも生活のリアルの描写はいつにも増してしっかりと身に迫ってきた。
Posted by ブクログ
なんともドヨンと澱んだものが残る物語です。
ホラーやのようなリアリティのあるグロもさあり、
でも、もっと深い救いのない後味の悪さが残ります。
本のうらすじにはクライム小説とありますが、
そんな感じで括れないような気がします。
今の世の中の実情とリンクした貧困、高齢化、
介護ケアの闇がテーマです。
しっかりした取材力に裏打ちされた骨太の構成は、
この作家の底知れない才能を垣間見ます。
主人公藍の不倫相手、高柳が言う「底知れない品の悪さ」や「関わったら、ずっと下に堕ちていってしまいそうな。いや、堕ちるっていっても、不倫とかそういう堕ちるじゃなくてさ」、「その後ろには俺たちとは全然違う、何かがある」という考え方は、昭和に育った自分の底にもあるようで、苦々しさがこみあげできます。
毒親と毒祖母に育てられた藍の心情は、正直シンパシーは感じられませんが、普通のしあわせを羨望しそれを奪われ、絶望の中からもがき苦しむ姿は、本当に生きづらい今の世の中を生きる者としてとても親和性を感じます。
自分も堕ちそうで堕ちない崖の上にいるのではないか?
そんな恐怖感を感じながら今を生きています。
藍と美代子が遊んだ家の裏の崖は、世間とその先にある底知れない底を、シンボライズしたものではないでしょうか。
この物語の身に迫る閉塞感が、現実味を帯びて迫ってくる、心のコンディションがいい時にしか読めない作品です。
Posted by ブクログ
内容は暗く湿っているのに、登場人物達の思考は妙に明るくカラリとさえ感じるのがものすごく不気味。色んな意味でドライでなるほどと。
底辺(と言いたくはないけど)にある人々のその日暮らしで先々を見通すことが出来ず、支援が無ければ墜ちていってしまう描写がリアル
しかし誰にも共感できない本を読むのは辛い
Posted by ブクログ
書店で見てジャケ買い。
女とお金、貧困。
他人事のようで、身近な話題でもあるなぁ、と思い読んでみることに。
実際にこのような思いを抱えて生きている人は確かに存在する。最初はダメだと分かっていながらも足を踏み入れ抜け出せなくなる心理、共有してしまう秘密、介護に疲れノイローゼのようになってしまう若者。
男に頼らないと生きていけない女、幾つになっても惨め。
同じ女として、これから面倒を見なくてはならない親たちのことも考える。
やっぱり、お金はあったほうが良いし、ギリギリでの生活はいつ破綻するかわからない。
今は大丈夫でも、この先どうなるかなんてわからない、、
だからこそ、若いうちからしっかりとお金のこと、老後のこと、介護のこと、考えておかないといけないと思った。
藍ちゃん、みよちゃん
私も近所に年齢の近い幼馴染がいるから、自然の当てはめて考えてしまう部分もあった。
もし私がこの本のキャッチコピーを書くならば。
「貧困な女が抱える秘密と落ちていく沼」
とかかな?
作者の原田ひ香さん。
割と好きな作家さんかもしれない。
Posted by ブクログ
11月-06。3.0点。
離婚し、親権も夫に取られた元妻。勤務先にも元夫の義父母がクレームし、クビに。
実家に戻るが、隣家には長年介護をする幼馴染みがいて。。。
暗い物語。でもあり得なくも無い。
Posted by ブクログ
終始暗く、重い内容だった。介護、虐待、貧困…希望の光を見い出せない暗いトンネルをずっと歩いているような。
途中のグロいシーンは読めずに飛ばしてしまいました。
途中まで衝撃的な内容にしては、最後がやけにサラッとした展開のように感じた。
Posted by ブクログ
生きていくことの大変さ、両親から受ける影響について気づかされるところがお勧め。介護や貧困の話なので読んでいて辛くなるけど、ハッピーエンドで完全に救われるわけでもないのがリアルです。
Posted by ブクログ
離婚して祖母と母が暮らす実家に戻った藍。
隣家に住む、祖父を介護している美代子が時々顔を出してくれる。
美代子は祖父の年金を頼りに暮らしているようだ。
他人事ながら、祖父が死んでしまって年金が入らなくなったら美代子はどうするのだろうと藍は考える。
美代子の家を訪れるようになって、藍の感覚は少しずつ狂い始める。
Posted by ブクログ
エグいとの噂だったので、恐る恐る読んでみたが、思ってたよりエグくなかった。
生き抜くって大変で、自分を助ける人やお金が絶対必要。
しかし、それが可能な人と可能では無い人がいる。
自分は、どっちになるのだろう?と考えながら読んでいた。
生きてる限り、最低限の生活ができるような仕組みが世の中にはあるのだから、そんなに悲観しなくても良いかもしれない。
でも、結局は「ただ生きてるだけ」の存在になってしまうのではないか。
何も産まず、何の変化も起こさず、ただそこに存在しているだけ。
それは、果たして死んでいるのとあまり変わらないのではないだろうか。
そんなことをついつい考えてしまった。
Posted by ブクログ
最近お気に入りの作家さんの作品で、さぞ楽しい話かと思っていたら、サイコホラー
なみの恐ろしい話だった。
凄い事が起きてるのにその当事者達のさらりとした感覚が更に恐怖を増す
貧困や孤独とは人としての感覚をここまでも麻痺させるのかという恐怖でしかない作品でした。
Posted by ブクログ
ずっと気分が悪いのだけれど面白かった。
はじめはぐだぐだした家族関係。
だらしない主人公とだらしない母と祖母。
くだらない不倫。じぶんでしっかり考えることをしない藍にいらいら。このまま不快な家族の描写が続くのか、なぜ子の本を読むことになったんだっけ?と思ってたら、途中読みながら気絶しそうになった。けれどそこから面白くなった。
肉屋で働いてるのが心配でわくわくした。
結局は若い女性が割を食う世の中の仕組みに著者は一石を投じたかったのか…?わからない。私は原田ひ香さんを全く知らなくてTwitterで読みたくなるレビューを見かけたから本作を読むことにした。もともとどういうジャンルのひとなんだろ。
ここに出てくる若い女性は特殊すぎて同情できない。たんなる馬鹿たちの話だったのか?
美代子はいいひとで賢くて、でもばかな道を進む。色んなことができるのに、そんな道には進まなくない?
共感できる人物が子供しかいなかった。
わたしもクリスマスにDSもらいたかった。
読み終えて買い物に出てウインナー買った。なぜかウインナーが食べたくなった…