【感想・ネタバレ】DRYのレビュー

あらすじ

離婚し子供たちと引き離され、金銭的に困窮した藍は、祖母と母のいる実家に戻る。生活力もなく喧嘩の絶えない藍たちに手を差し伸べたのは、隣に住む美代子だった。祖父を介護して暮らしているという美代子に助けられ親しくなるうち、彼女のある秘密が知れる……。貧困、ケア、孤独。背負わされる業と役割に、女たちはどう抗えるというのか。迫真と驚愕の犯罪小説(クライムノベル)。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

詩人・社会学者である水無田気流さんの解説がよかった。藍も美代子も「ヤングケアラー」だという。2026年の今はよく聞くワードだけど、刊行当時の2019年はそこまで浸透していなかったのでは。原田ひ香さんの鋭い視点に圧倒される。貧困や知識の不足、礼節の欠如などは親子で連鎖し、特に子どもが女児である場合、その連鎖から抜け出るのは難しい……と。女性はやはりケアを押しつけられやすいし、自らケアを引き受けようとしてしまう(藍もなんだかんだ言いながら結局母と祖母のケアをしている)。お金や教育、職歴、家柄や一般常識がないとゼロからはい上がるのは困難で、その困難さは男性以上なのでは……と思わされる。

ヤングケアラーは自由や教育だけでなく、愛情も奪われてしまう。潤沢な愛情を受けられなかった結果、藍と美代子のようにからからに乾いてしまうんだな、と見ていて辛かった。藍も我が子たちへの愛情が薄いことに後から気づくが、それは愛し方を親から教わっていなかったからじゃないだろうか。
美代子の家庭がどうだったかは詳しく描かれていないけれど、もっとひどかったのかもしれない。じゃないと死体を平然とミイラ処理できる感覚は育たないだろう。

「誰でもこうなる可能性がある」と書く人もいるけど、そうはならないと思う。これは境界線を越えられる人たちの話だ。実の母を包丁で刺そうとする人、家がゴミだらけでも構わない人、死体をミイラ処理しようと思いつける人、祖母が一人暮らす部屋で不倫相手と行為に及べる人。原田さんは越えられない側の人だとは思うので、どうやってこの側の人たちの生活を取材したのかとても気になる。参考資料にはミイラ作りと生活保護受給の方法に関する本しかなかったけれど。

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2026年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな話や人物も書けるんだ!という驚きの小説だった。私は原田ひ香をすごく枠に当てはめて理解してたんだなと思った。

解説では主人公の藍にわりと同情的というか寄り添った意見が語られていたけれど、私は(けして良いとは言い難いかえれど)浮気した元夫や不倫相手の上司が藍を雑に扱ったり蔑んだりする気持ちが少し分かってしまう気がする。
作中で不倫相手から告げられる「底知れない品の悪さ」「俺たちとは全然違う何か」が、私にも肌感覚として理解できるからだ。

読み進めながら、そりゃ元夫は子どもと藍を引き剥がすよな、義母は嫌うよなと思ってしまうのだ。育ちの良くない人特有の下品さや雑さを感じるのだ。無鉄砲というか頭の悪さ(先を考えられない、良いこと悪いことの境界が曖昧)というか、なんでそんななの?というような嫌悪感。それが主人公からにおうのだ。
母親と祖母を嫌悪しながら、でも確実に同じムジナである主人公。

美代子は最後まで読み終えた今はただ可哀想だった。主人公を陥れたときはとんでもない人物だと思ったけれど、逮捕前夜の美代子と主人公の会話は罪を共有したことで生まれた友情のシーンだと思っている。自分のせいで美代子の罪がバレて逮捕されることになった主人公が美代子にひたすら謝るのを、美代子は優しく許し気遣う。孤独で誰も本当に美代子が求める救いを与えてくれなかったことで美代子は袋小路に迷い込んで出られなくなってしまったけど逮捕されることで解放された。

と思ったら最後に主人公が今度は同じ袋小路に踏み込むかもしれないことが示唆される。タイトルがDRYなので主人公は美代子と同じ道は進まないのではないだろうか、と思いつつ、夢も希望もない世界で一体彼女たちはどうしたらいいのかと重たい気持ちになる小説だった。

あとミイラと死体遺棄のシーンはグロすぎて読み飛ばした。とてもじゃないけど読めない。ちょうど「冷酷」(座間市のバラバラ殺人事件の本)を読んだばかりなのでちょっと無理だった。

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2026年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イヤミスが好きだから、読後感があまりよろしくないのもけっこう好きな感じだった。
三世代にわたる女性の貧困が描かれている。お金がないからこそ心荒むし、言葉遣いも荒いし、暴力もある。意外とこういう暮らしを送っている人身近に沢山いるんだろうな。

あと、タイトルのDRYは心が渇くとかそういう意味だと思ったのに、まさかミイラが関係してるなんて。衝撃的だった。

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2023年11月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やだやだやだ、怖い怖い。
…でも怖いのは作中の事件じゃない。「犯人としての美代子」でもない。

藍と美代子の二人、いやもっと言えば藍の母や祖母の人生が…。恵まれた環境とは言えない中で、もがいても、もがかなくても…上手に浮かび上がれない感じ。

介護がただ一つのアイデンティティかつ生活の糧になってしまった美代子。その行き着く先……

胸がつまったのが、何人も徘徊老人を略取して軟禁してたわりに、その老人を真に心配して探していた(であろう)家族は1家族だけだったという点。

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2023年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

書店で見てジャケ買い。
女とお金、貧困。
他人事のようで、身近な話題でもあるなぁ、と思い読んでみることに。

実際にこのような思いを抱えて生きている人は確かに存在する。最初はダメだと分かっていながらも足を踏み入れ抜け出せなくなる心理、共有してしまう秘密、介護に疲れノイローゼのようになってしまう若者。


男に頼らないと生きていけない女、幾つになっても惨め。


同じ女として、これから面倒を見なくてはならない親たちのことも考える。


やっぱり、お金はあったほうが良いし、ギリギリでの生活はいつ破綻するかわからない。

今は大丈夫でも、この先どうなるかなんてわからない、、

だからこそ、若いうちからしっかりとお金のこと、老後のこと、介護のこと、考えておかないといけないと思った。



藍ちゃん、みよちゃん

私も近所に年齢の近い幼馴染がいるから、自然の当てはめて考えてしまう部分もあった。


もし私がこの本のキャッチコピーを書くならば。

「貧困な女が抱える秘密と落ちていく沼」

とかかな?


作者の原田ひ香さん。
割と好きな作家さんかもしれない。

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2024年01月02日

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