原田ひ香のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルでミステリーかと思ったが登場人物の心の葛藤や変化を描いた小説だった。
もし自分がその状況になったらー…
と考えさせられる内容だった。
怖い描写とかは無いので深夜でもコーヒーを飲みながらゆっくり読むことが出来た。
事故物件と聞くと避けたいものだが、この小説ではあえて事故物件に住む人(住むしかない状況の人、自ら住む人、迷いながらも住むひと)にフォーカスを当てている。
それぞれ住む人にはそこに至るまでの経緯や状況が書いており、その場合では私も住むかもしれない…と共感する人物もいた。
住む事で不安になる者、前向きになる者、考え直す者、それぞれ違い、とても興味がそそる内容だった。
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Posted by ブクログ
里里はシングル・マザーだ。妻子ある男性と付き合っていたが妊娠し、一人で生んで育てることを選んだ。都市銀行でプログラマーをしていたが、妊娠したので退職した。実の母親は里里には親らしい言葉をかけてもらったことが無い。妊娠したと言っても出産には反対で、手伝ってもくれないことは分かっていた。職探しをしたら女性向けの情報サイトに正社員として勤めることができたのは僥倖だった。実家の母親から大きな封筒が送られてきた。その中にもうひとつ封筒がある。中を見ると家計簿だった。その封筒の差出人の所には名前があり、三浦晴美とある。母からの同封のメモには、自分には必要がないものだからそっちで好きにしてくれたらいい、とい
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Posted by ブクログ
ネタバレバブル期を謳歌したミチルさん。彼氏のいなかった時がなく、美魔女と呼ばれるくらいのモテモテな女性。
45歳でもまだまだ現役!とばかりに自信満々でいたのに、三ヶ月前に彼氏にふられてからの落ちぶれ具合が痛々しい。仕事に無断欠勤して解雇、何もやる気が起きない。でも、何とかチラシ配りのバイトに就いて、前を向こうとする。
彼女の根っからの明るさが、この本の魅力だと思う。ちょっと鼻につくところはあるけれど、家賃値下げ交渉をする段になってからの活躍は、元々仕事のスキルが高い人だったんだなと思わせる。交渉術も巧みだし、人の機微を見て柔軟に対応できる。
彼女が「現役」の呪縛から解き放たれる瞬間は、読んでいて自分も