歴史・時代小説作品一覧

  • ご破算侍
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    社寺の境内で、大道芸を演じて生計を立てている塚野金三郎。実は、剣にかけては、なかなかの腕利き。ある日彼は、奥州某藩の侍に、藩士として他藩との試合に出てくれと頼まれる。勝てば一両二分、負けても二分はくれると言う。ところが、相手方の藩士からも、負けてくれれば二両やるが、と誘われて……。さて、金三郎が獲得した礼金は? 味わい豊かな傑作時代小説集!
  • 平賀源内(上・下合冊版)
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    技術革新の先駆的人物として脚光を浴びる異能の士・平賀源内を時代小説の巨匠が活写。いま脚光を浴びる「百年早く生まれた男」。多才に恵まれ、出世を志す野心家・源内を相反する二つの面を持った人物として描く力作。讃岐藩の軽輩から檜(ひのき)舞台へ――。
  • 浜田騒動
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    島帰りの牢人(ろうにん)が、浜田旧城下で贋(にせ)の公卿(くぎょう)に化け、維新の世に不平不満をもつ旧藩士や庶民を引きこんで、ひと騒動を企(たくら)んだ(「浜田騒動」)。――時代小説界の巨匠が、武士世界の悲喜こもごもを綴(つづ)る珠玉の短編集!
  • 仙石騒動
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    但馬出石藩(兵庫県)の当主・仙石道之助の廃嫡を狙って、実父播磨守(はりまのかみ)と国家老(くにがろう)の仙石左京が暗躍。江戸詰勤番侍(えどづめきんばんざむらい)・金子半十郎は、但馬出石五万八千石の行く末を案じ、あえて不忠の臣となることを決意した!
  • 泪  坂
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    江戸指物師(えどさしものし)・橋上清次は、嫁ぐ娘のために姫鏡台(ひめきょうだい)を造っていた。ほぼ完成しているそれが仕上げられることはない。娘は手の届かないところへ行ってしまったのだから……。思い出に浸(ひた)る日々を送る彼の心の糧(かて)は、泪坂の住人たちとの交流だった。失意にくれながらも、清次はある決意を心に秘めていた――。父と娘の深い絆が胸を打つ、優しく切ない「奇蹟の物語」。
  • 大利根任侠伝
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    天保十一年七月。岩井村の少年茂太(しげた)は、幼なじみのおりんと共に滝不動の祭礼へ。そこで笹川繁蔵の用心棒・平手造酒(ひらてみき)の居合い抜きに驚嘆し、やがて弟子入りを果たす。だが、すでに病魔に冒されていた造酒は、笹川―飯岡の大利根の決闘で惨死した。 強欲非道、無法の世界を舞台に、やくざとは、…庶民の人生とは何かを問う。真の任侠道を求めた男の青春像を活写。
  • 吟遊 直九郎内探記
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    千石取りの旗本の子息で、俳諧好きの高瀬直九郎は、おりおり気楽な吟行の旅に出る。が、それは表向き、実は大目付高木伊勢守の密命により、諸般の内情を探るのが彼の任務だ。 家来の友平、十吉少年、それに筆丸(伝書鳩)、給(愛犬)の一行が、悪人どもをむこうにまわして、丁々発止と火花をちらす。 複雑怪奇な陰謀を暴くニューヒーロー颯爽と登場!
  • 尼僧忍法 一番首
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    今川の人質として駿府に向かう松平竹千代(家康)が、尾張の織田に奪い去られた。竹千代に付き従う伊賀忍者お光は、信長に彼の出生の秘密を話す。竹千代は双子なのか。やがて織田と今川で人質交換が成立。信長は本物の竹千代を近習とし、ニセ者を今川に送る。数奇な運命をもつ二人は若武者に成長し、敵味方となって田楽狭間で対決する。新尼僧シリーズ。
  • 尼僧ながれ旅
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    〃宿場の賭場で女だてらに壺振りをする謎の美女・お京〃とは仮の名、じつは朝廷の御用を務める尼僧隠密の八瀬。和宮様のご降嫁の道筋を探索せよとの命を受けての忍び旅。折から巷には、「和宮様は替え玉」という奇怪な噂がながれていた――。幕末の世、尊皇攘夷の志士たちと新撰組との凄惨な死闘の中を生き、濃艶な色香で男たちの心を蕩かす、女隠密道中記!(『尼僧股たび中山道』改題)
  • 伝七捕物帳
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    「やいっ。化けの皮を、てめえで脱いで恐れいってしまえ」 紫ぶさの十手と分銅ぐさりを武器にして、悪人どもを懲らしめる黒門町伝七親分! 大江戸八百八町から京都までを舞台に、痛快ストーリー満載の傑作選。
  • 信長の女
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    「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。 しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。 女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。 その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
  • 幕末算法伝
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    最上流算法家の金盛吉之丞は、維新の動乱に巻き込まれ、官軍参謀暗殺の一味に加わって失敗。逃走の途中、負傷して動けぬ親友の渡会清明を手にかけた過去がある。その事情を明かせぬまま、彼は清明の妹・志ほに、実の兄同様の愛情を注ぐ。ところが、志ほは彼を恋人として慕い、ひたむきな思いを寄せていた――。 日本独自の算学(和算)を題材とした、異色の長編時代傑作。
  • 算学武士道
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    水沢藩の勘定方に勤める保(たもつ)は、貧しさゆえに、好きな算学(数学)に打ちこむことができいない。ある日、算学を嫌っていた父が水死した。母の行動に疑惑を懐きながらも、そのままにしてしまった彼は、自責の念にかられる。保は、算学への夢を捨て、母を道連れにして…。(表題作) 剣の道よりも、和算の解に命を賭けた男たちの悲喜劇を描く、異色の傑作時代小説集!
  • 大江戸人情絵巻~御家人月十郎~
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    武士の力はもはや衰え、豪商の財貨が力を持ち始めた江戸。御家人・桐野月十郎は、材木商一文字屋と知り合った。一文字屋の背後には、吉原に本拠をおく浅草団左衛門一族がいた。月十郎を陰から助け続ける一文字屋と団左衛門。本人も知らない、月十郎出生の秘密に、その理由があったのだった……。月十郎たちは、大きな時代の渦に巻き込まれつつあった。(『元禄町人武士』改題)
  • 冥府の刺客
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    長崎の女郎・花桂は、同じ宿の女郎・薄雲に元気がないのが気になっていた。それを尋ねると、薄雲は、天草四郎と情を通じたと話した。総大将の四郎が討ち死にした島原の乱が治まってから、すでに十二年が過ぎている。討たれた首は替え玉のものだったのか。四郎は、原城に散った一揆勢三万七千余の血涙の思いをはらすとも語っていた。史実に挑む「性と暴力」の新路線。
  • 大逆説!西南戦争 西郷隆盛、九州王国を樹立す
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    1877年に起こった西南戦争。西郷軍は9月24日の明治政府軍の総攻撃で潰滅、隆盛も自刃して果てた……。だが、西郷は生きていた! 身代わりになった影武者のおかげで開聞岳(かいもんだけ)まで逃れた西郷は、残党を結集させ、鹿児島奪還を目指し、海と陸からの総攻撃で再び政府軍に挑んだ! 壮大なスケールで歴史のif(イフ)に挑戦した歴史スペクタクル小説、ついに文庫化!
  • 地獄十兵衛
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    「天草四郎が生きている……」老中・松平信綱は柳生十兵衛に告げた。「恐るべき陰謀を企(くわだ)て吸血鬼となって蘇(よみがえ)った!」すでに柳生の高弟にも犠牲者が出ていた。十兵衛は、合気の術と柳生杖(づえ)と称する特殊な武器で、妖怪を退治すべく九州へ旅立った。そこは魑魅魍魎が蠢(うごめ)き、謀略が渦巻く地獄であった。天才剣士が吸血鬼集団に挑む長編伝奇の傑作!
  • すっ飛び駕(かご)
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    爛熟の天保の世に咲いた悪の華──お数寄屋坊主の河内山(こうちやま)宗俊。浪人・金子市之丞を助けたことから、奥州棚倉藩五万石のお国替騒動に巻き込まれる。持ち前の度胸と気風(きっぷ)で大名相手に一世一代の大芝居。痛快時代小説。
  • 史談家康の周囲
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    大ベストセラー『徳川家康』の著者が、その創作の動機や意図を、情熱をこめて語り、家康の実像に迫る。また、信長、秀吉、政宗など、周囲の人物像にも鋭い視線をあてた史談集。ビジネスマン必読の書。
  • 直飛脚(じきびきゃく)疾(はし)る
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    直飛脚――それは徳川十一代将軍・家斉(いえなり)の密書を、定められた刻限までに目的地に届けることを使命とする、凄腕の武士たち。使命を果たせぬときは、即刻切腹。秋元炎九郎は手裏剣、本荘錦之介は大刀(だいとう)、太田又兵衛は短槍(たんそう)、各(おのおの)の武器を携え、彼らは極限の疾走を開始した。襲いかかる凶刃(きょうじん)をかわして、たどり着いた場所には……?! 痛快、傑作、新感覚時代小説の極北。(『一千キロ、剣が疾る』改題)
  • 旅鴉(たびがらす)
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    「上州無宿の、石神の伊八郎って野郎を叩っ斬ってくれ」一宿一飯の恩義のある親分の頼みで、羽黒(はぐろ)の源太、別所の弁蔵の二人は中仙道の旅に出た。親分のひとり娘お光(みつ)が、伊八郎に手籠(てご)めにされ、連れ去られたのだという。……事件の意外な展開と、意表を衝(つ)く結末。虚無的で孤独な旅鴉たちを、綿密な時代考証と推理小説的手法で、みごとに描く傑作股旅(またたび)小説集。(『血しぶきに煙る信州路』改題)
  • 狂乱・春の夜の夢~松尾芭蕉と八百屋お七~
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    純情一途の恋に燃える八百屋お七、無軌道な邪恋にのめりこむ柏屋お駒。同じ小町娘と謳われながら、正反対の二人の恋が、やがてもつれ合い、あげくは殺人、放火の大事件へ……。お駒の父、柏屋忠兵衛や町奉行所同心、小野寺儀十を門弟にもつ俳人・松尾芭蕉は、鋭い推理で天和江戸大火の不可解な謎に迫る。〃探偵〃芭蕉があばく、悪漢、悪女の陰謀と愛欲模様。
  • 夢  剣(むけん)
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    剣の師・荒木又右衛門から、天分(てんぶん)に欠けると宣告された若き武芸者・正木(まさき)伊織は、厳しい修行の末「夢剣」を体得した。まさかその剣が……。剣豪物から股旅(またたび)物まで、推理小説的手法を縦横に駆使した傑作集。
  • 北風の伊三郎
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    裏街道を歩く者たち、追われている者、秘密の旅をする者、無宿人、それに女連れの旅人。下総無宿の北風の伊三郎もそんな一人だった。必殺の技、片目隠しの突きが空気を裂くとき、北風の音が聞こえるという。渡世の義理で用心棒を引き受けた伊三郎は、密命を帯びる武家の兄妹を守って、江戸まで五百三十キロ、敵がひしめく中仙道をひた走った……。
  • さすらい街道
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    下総無宿、夜番の丹次郎は、孤独の影をひきずる旅鴉。「下手人は必ずおれが、たたっ斬る」顔馴染みになった小料理屋一家を、無残にも殺害した群雲の伝兵衛。丹次郎は仇を討つべく、その無宿者のあとを追った。ついに追い詰めた。しかし伝兵衛は国定忠治に斬られ、ふしぎな三つの言葉を残して死んだ。推理小説的手法を用い、股旅小説に新風を送る傑作。
  • 海潮寺境内の仇討(あだう)ち
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    文政九年の夏。父・東条仁左衛門の七回忌法要の日に郷里に戻った三郎太は、兄の敵(かたき)・彦兵衛に決闘を挑んだ。江戸で剣の修行を積んだとはいえ、彦兵衛は藩の剣術指南役。だが、武士の一分(いちぶん)を立てるべく、相打ちを覚悟した三郎太の必死の猛襲に勝敗はつかず。やがて二人に思わぬ結末が……!?(表題作) 一編一編に多彩な魅力を満喫できる珠玉の短編八編。
  • さらば風雲海峡
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    主君毛利元就の密命をうけた忍者・世鬼冬之介(せきふゆのすけ)は、関門海峡を渡り、大友氏の勢力下にある門司に潜入した。そこで彼は、かつて一族を滅ぼされた恨みから毛利家を敵視する美しい女・綾乃と出会い、愛が芽生える。忍びの世界に馴染めぬ冬之介は、殺伐とした戦国の世に、おのれの信念と愛情を貫く決心をする。 忍者の凄絶な死闘と、ひたむきな愛を描く長編戦国ロマン!
  • 上意討ち
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    「新之助、進吾を討ち果たし、深雪を連れ戻して参れ」と殿の厳命が降(くだ)る。新之助と進吾は同じ小姓組で無二の親友だ。深雪は先君の庶子。その深雪と駆け落ちして殿の逆鱗に触れたのだ。上意は絶対である。進吾を討たねば帰藩は許されない。新之助は婚約者と別れ旅に出た。三年目、独り身に落ちぶれた進吾を発見するが……(表題作)。武士道の真髄を活写。他8編!
  • 助 太 刀
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    山之辺銀二郎は新婚早々、すぐ江戸藩邸の勤務を命じられた。暫く独り暮らしに戻るのは辛いけど、出世は確実。ところが大恩を受けた人の嫡男・草狩敬之介から、「憎い男と果し合いをやる。助太刀を頼む」と切願された。果し合いは勝っても死罪。吉は凶に変わった。だが銀二郎は頷いた。(第一話・助太刀) 武士が掟に耐え、美しくも残酷に生き抜く士道小説の珠玉集。
  • 介 錯 人
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    不幸は突然、襲ってきた。藩内で陽明学を講ずる門出転(かどでうたた)に幕府から苛酷な罪科が下されたのである。「切腹」。この学問は国禁とされていた。愛弟子・和三郎の動揺は激しかった。「師の大恩に報いるには自ら介錯人を努めること」と申し出た。師を送る日が迫る。和三郎は〃失敗〃の夢にうなされた。さて当日は……? 武士道小説の名手が織りなす美しくも悲しい九編の宿命絵巻。
  • 洞窟の生存者
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    太平洋戦争――この二度と繰り返してはならない歴史は、戦いの真の姿を眼をそらさずに見ることによって、再びその愚を冒さない抑止力につながっていくだろう。極限状況に置かれた東南アジアの戦場で、兵士たちはどのように生き、人を愛し、憎み、そして死んでいったか。――戦争の実相に迫る傑作小説集!
  • 色に狂えば
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    奈津は不義密通が重罪だと知ってはいたが、小者の小市郎に惹かれ、からだを許した。以来、若い二人は燃え狂う。が、密会は露顕し、夫の茂右衛門は有無も言わせず小市郎を斬った。次の刃は当然、自分へ……と奈津は覚悟したのに、茂右衛門は太刀を納めた。なぜ? どんな仕置が奈津を襲うのか!(『芙蓉』)。直木賞作家が、武家社会の掟に抗う女性を描いた珠玉小説集。
  • 秀吉の野望
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    「上様〔信長〕が本能寺でお果てに……」。側室の坂氏こうは耳を疑った。つづいて、「嫡男の信忠様も二条御所でご切腹!」の悲報が届く。明智光秀の謀叛だ。信長の正室に子供はなく、側室・生駒の方に信雄、こうに信孝という男子が残された。二人の嗣立争いは絶対に避け難い。こうは織田一族の崩壊を恐れた。だが、狡猾な秀吉の野望がその不安を衝く。ほか三編収録。
  • 奥義・殺人剣
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    秘剣、邪険、妖剣――剣の「道」を究めんとする男たちが編み出す必殺の「技」。一瞬の見切りで肉を斬り、骨を断つ。彼らは生死の境に命を懸ける緊張感、いわば血の陶酔感の虜となる。男女の愛憎や復讐に燃える凄まじい怨念の果てに辿り着く剣とは、奥義とは、何であろう……。 赤穂浪士の討ち入りの背景に隠された人々の苦悩にも焦点をあてて描く、密度の高い傑作集。
  • 龍馬の明治(上)
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    坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる! 九死に一生を得た龍馬は、〃廃幕〃による改革を目指し、陸奥宗光(むつむねみつ)とともに精力的に動き始める。が、討幕の気運は諸藩に広がっていた。長州に続き、薩摩の西郷隆盛も武力討幕へ傾いていく。さらに諸外国までもが、龍馬の志を阻(はば)もうと……。龍馬が生きて明治を迎えたら日本はどうなったか。大胆な発想で描くもう一つの歴史物語。
  • 柳生三天狗(地の巻)
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    大坂夏の陣後、泰平の世を迎え、将軍指南番として次期将軍家光の訓育を目指す柳生一族。父宗矩を中心に、十兵衛、友矩、又十郎の兄弟小天狗が大人顔負けの腕と度胸で活躍する傑作時代長編!〈全二巻〉
  • 柳生三天狗(天の巻)
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    大坂落城のおり、坂崎出羽守が救け出した千姫と瓜二つの美女・お竜の正体は? 柳生宗矩は、預かり人のお竜が伊達政宗はじめ天下騒乱を企てる者に利用される怖れがあると察知し、密かに下屋敷に匿うが……。
  • 木枯し紋次郎(十四)~女の向こうは一本道~
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    木枯し紋次郎の前に、最強のライバルが立ちはだかった。直心影(じきしんかげ)流の達人で武家崩れの渡世人・峠花の小文太は、行方不明の妹が紋次郎のため女郎に売られたと聞く。五年ぶりに再会したその妹は、死の床にあった。小文太は紋次郎を斬り刻むことを誓った。恐るべき宿敵。「明日のおのれを見通せねえ身にござんす。先のことはあっしにもわかりやせん」紋次郎危うし。
  • 木枯し紋次郎(十三)~人斬りに紋日は暮れた~
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    渡世人の一団に追われた紋次郎は、霧の中で突然弓矢の攻撃を受けた。勘だけを頼りに人影に斬りつけると、相手は意外にも猟師の親娘。娘はその傷のために嫁入り話が破談となった。償いをしようとあせる紋次郎は、五十両で「人斬り」を請け負うのだが、殺す人物はなんと……!? 人の世の哀しさ、わびしさ、そこにきらりと光る紋次郎の優しさ。詩情あふれる見事な時代小説。
  • 木枯し紋次郎(十二)~奥州路・七日の疾走~
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    奥州路、そこは賭場も親分衆の住まいもなく、渡世人にとっては禁断の土地であった。しかし、清水港から千石船で銚子に向かった紋次郎は、途中暴風雨にあい、八戸に流れついてしまった。一日も早く関八州に抜けなければならない。――紋次郎を追う、侠客・大前田栄五郎がはなった三十人の刺客と一刀流の達人。紋次郎に勝ち目はない。シリーズ初の長編大作。
  • 木枯し紋次郎(十一)~お百度に心で詫びた紋次郎~
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    紋次郎は夕焼けを眺めながら、峠路を下る。五、六歩行ってから振り返り、唇の中心に移した楊枝に息を集めた。木枯しに似た音とともに、楊枝は吹き矢のように飛んだ。峠路を下る木枯し紋次郎の顔に、表情はない。……人を冷たく引き離しながら、密接に関わってしまう紋次郎。その乾いた心情の底にある人間の温かみ。旅はまだ終わらない。道の先にはどんな風景が……?
  • 木枯し紋次郎(九)~三途の川は独りで渡れ~
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    「三途の川は、独りで渡るもんでござんす」冷ややかな目でそう言うと、渡世人は長脇差を鞘に納めた。北国街道を行く紋次郎の顔に表情はない。……行きずりの男から託された荷物、間に合わなければ子供が間引かれるという。紋次郎は騙されたのか!? なかに二百両の小判が入っていた。──虚無と孤独が色濃く漂う時代劇のスーパーヒーローが、今日も街道を足早に通り過ぎる。
  • 木枯し紋次郎(八)~命は一度捨てるもの~
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    うっそうとした木々、蝉の声に包まれた山道に突如降りつける夏の驟雨……。木曽路を進む木枯し紋次郎はそんな時、幼馴染みの長兵衛とお鶴に出会った。久しぶりの三人が巻き込まれる一大事!? 身を引き裂かれるような状況に立たされる紋次郎。ついにその長脇差は、情容赦なく光った! 全編みなぎる斬新な趣向と密度濃いドラマ。人の魂を震わす、感動の物語。
  • 木枯し紋次郎(六)~上州新田郡三日月村~
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    道中支度の長身、風雨に晒されて黒く変色した三度笠が大粒の雨を弾き返している。次の瞬間、大音響が轟いた。渡世人は落雷の衝撃で意識を失った。二十年ぶりに生まれ故郷の三日月村を訪れた紋次郎であった。石切り人足与作の孫娘に助けられて回復した紋次郎は、与作老人が、実は盗賊泥亀の喜三郎の仮の姿だと知る……。サスペンスと鮮やかなどんでん返し!
  • 木枯し紋次郎(五)~夜泣石は霧に濡れた~
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    「生きる張り合いも、生き甲斐もなかった。その日が去れば昨日だし、その日が来れば今日だった。明日という日は、ないのである」渡世人・紋次郎が今日生きる自分を守るのは、刃渡り二尺の頑丈な刀。道中合羽で刀を隠し、大勢を相手に変幻自在の戦法を取る。……漠とした不安ただよう天保年間を駆けぬけた紋次郎が、21世紀の現代に時代を超えて甦る。
  • 木枯し紋次郎(三)~六地蔵の影を斬る~
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    「あっしには、かかわりのねえことでござんす」その渡世人の左頬には、古い刀傷の跡がある。さらに彼は唇の左端に十五センチほどの手製の楊枝をくわえている。紋次郎のこのトレードマークは、十二、三年前、彼がまだ二十歳前のある出来事に由来していた……。上州新田郡三日月村の貧農の息子は、まさにこの瞬間から、永遠のヒーローに生まれ変わったのである。
  • 無頼武士道(下)
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    幕府体制の爛熟期、並外れた才能と反骨魂で世を渡る源内。その多彩な活躍ぶりは、人々を完全に魅了するが……。権力と金と色との渦巻くなかで、ついに己れを陥れた田沼意次に復讐を遂げる、一代の奇傑の生涯!
  • 夢と承知で(下)~鼠小僧と遠山金四郎~
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    江戸へ出没した残忍なやり口で商家を襲う葵小僧。対抗策に窮した金四郎は、かねて面識のある千葉周作、間宮林蔵、安藤広重、柳亭種彦、渡辺崋山、高島秋帆、大塩平八郎、大原幽学ら八名を集め、将軍暗殺を阻止する策を練った。しかし中の一人がニセ者だという疑惑が……。襲撃が予想される、将軍の増上寺参詣の日が迫る! 推理小説の手法を駆使した傑作時代小説。
  • 変人武士道(上)
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    出石藩仙石家の変人武士、白鳥大三郎と一柳主税は、美貌の娘二人を助けた。藩主の御落胤のお墨付きを持つ袖姫と次女・糸枝。四人は、主家乗っ取りを企む一派が起こしたお家騒動をのがれ、江戸へ向け珍道中に出発!
  • 平賀源内(上)
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    時代を遥(はる)かに先んじ、人々の意表をつく業績を挙(あ)げた源内。多才に恵まれ、出世を志す野心家の彼を、「学問への純粋な情熱」と「ぬけめのない商才」との相反する二つの面を持った人物として描く力作。異能の士を、時代小説の巨匠が活写。
  • 忍びの者
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    伊賀の地に拮抗する百地三太夫、藤林長門守の二大勢力の間で、「影」に徹して生きる忍者の群の中に、若き日の石川五右衛門がいた。歴史の裏側で暗躍した忍者の世界を、現代の眼で捉えなおした記念碑的名作!
  • 明治剣客伝~日本剣豪譚~
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    文明開化の明治、断髪、廃刀令の施行により、剣道は衰え、職を失った剣士たちは、〃撃剣興行〃などで細々と生計を立てていた。しかし、西南戦争の折りの警視庁抜刀隊の活躍で、明治政府も改めて剣道の価値を見直す。苦難の時期を乗り切り、旧幕時代から伝わる各流派の奥義を次の世代に残した名剣士たち。名勝負の数々が、いま、鮮やかに甦る。
  • 女刺客人~尼僧お庭番~
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    将軍吉宗の御落胤、と名乗り出た天一坊は、ニセ者として処刑された。だが、それは替え玉であった!? 腕利きの女忍者・鈴鹿は、密かに生母の故郷へ落ちのびる真の天一坊に同行する。一方、天下の乱れを案じ、天一坊を亡き者にしようとする公儀や尾張・紀州の刺客が、執拗に行く手を阻む。妖艶な女刺客やくノ一の対決を描く、官能時代傑作第三弾!
  • 徳川家光(一)
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    徳川幕藩体制は、東照大権現家康・秀忠によって確立され、三代将軍家光が確固不動のものとした。持ちまえの決断力で、次々と内外に対する諸政策を打ちだしていく家光の生涯を鋭く描いた歴史ロマン。〈全3巻〉
  • 地獄の辰・無残捕物控~明日は冥土か京の夢~
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    地獄の辰こと、江戸・深川の岡っ引き・辰造は、許嫁のお玉と同心・磯貝源之進に裏切られ、湯治場めぐりへと旅立った。その彼を追った手下の銀太が、何者かに斬殺された!? 大好評『地獄の辰シリーズ』第3弾!
  • 地獄の辰・無残捕物控~岡っ引きが十手を捨てた~
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    喧嘩早くニヒルで、〃地獄の辰〃と異名をとる、江戸・深川の岡っ引き・辰造。十年前、何者かに手籠めにされて死んだはずの彼の許嫁・お玉が生きていた!? 大好評『地獄の辰・無残捕物控』シリーズ、第2弾!
  • 地獄の辰・無残捕物控~首なし地蔵は語らず~
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    腕と度胸は抜群、喧嘩早く、ニヒルな顔立ち――人呼んで地獄の辰、江戸・深川堀川町の岡っ引き。辰の愛人・お玉が何者かに手籠めにされ、殺された。復讐を誓う彼は、北町奉行所の町方同心の片腕となった……!
  • 素浪人 宮本武蔵(十)〈無常の篇〉
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    「負けないことが、生きること」を説きつづけた峰流武蔵。遂に、この最終巻で真価を発揮する。宮本武蔵、29歳。佐々木小次郎、27歳。互いに人を斬り、斬っては旅に出た。虚しくなれば女も抱いた。その同じ生き方が対抗意識を燃やしたのか、両雄は並び立たないのか。海上一里の孤島に死闘の時刻が迫る。「現代人の感覚に合う」と、好評の嵐を起こし、全十巻が完結!
  • 素浪人 宮本武蔵(九)〈牙狼の篇〉
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    武蔵は川越城の攻防戦で大活躍した。城番は江戸に招かれ、五千石の旗本に昇格。武蔵にも仕官の誘いがかかる。断わった。旅は人を磨く。江戸を去り、水戸、仙台を巡る。含み針の如雲斎も手強かった。同じ武蔵と名乗る武芸者とも戦った。敗北は死だけしかない。石巻街道で美男の剣士と擦れ違った。殺気を感じた。佐々木小次郎である。二人の前哨戦がもう始まった!
  • 素浪人 宮本武蔵(八)〈腥血の篇〉
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    武蔵は川越城下に潜り込んだ。川に紙を浮かべて斬る。難しい。やがて、きれいに割れた。川越城は江戸城の出城だ。だが、城番と旗本二〇〇人が守るだけ。この城を落とすと浪人が武士に戻れるとか。関ヶ原の落武者が結集した。家康の巧妙な残党狩りだった。武蔵は剣友・夢想権之助と城の守りを懇願された。群がる敵を斬る。水切り術の体得で、武蔵は一層、凄みを増した。
  • 素浪人 宮本武蔵(六)〈餓虎の篇〉
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    宮本武蔵は、300人も斬った。斬り慣れた体が疼く。出雲・松江に足を向けた。暫く穏やかに生きたいが、武芸者の休息は死しかない。その頃、越前の剣豪・鐘巻自斎の高弟に、美男子で筋骨隆々の佐々木小次郎が出現した。三尺二寸の刀を背負い、京へ向かう。滅法強い。一方、武蔵は、またも師の仇討ちに勇む山伏らに狙われていた。二人の剣鬼の共通項は、素質か練磨か。
  • 真田十勇士 巻の五
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    真田幸村など大坂方の凄まじい戦いぶりに、一時は東軍の本陣も総くずれとみえた。しかし老獪な家康は、淀君をまどわして城内の結束をみだす。落城に臨んだ猿飛佐助は、ある秘密を抱いて脱出を試みた。完結編!
  • 真田十勇士 巻の二
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    猿飛佐助と穴山小助、由利鎌之助たちは、駿府へ向かう家康を東海道で襲撃しようと計画を練る。いざ、と身構えたとき、思わぬ邪魔が入った。三好清海入道、伊三入道の二人が、行列に殴り込みをかけたのだ。
  • 女無宿人・半身のお紺~醒めて疼きます~
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    男嫌いでとおるお紺が、火消人足の善十に惚れ、互いの半身に下り竜、上り竜を彫った。平手造酒とともに、笹川の繁蔵の許に草鞋を脱いだお紺は、飯岡側の助っ人を斬ってみると……。シリーズ全3冊完結!
  • 女無宿人・半身のお紺~さだめが憎い~
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    天保十三年、善十の行方を追って中山道の追分から北国街道の宿場・善光寺大門町に入ったお紺は、そこで病いに倒れた。金策にはしる平手造酒は、松代藩士より五両で浪人暗殺を引き受けたが……シリーズ第2弾!
  • 女無宿人・半身のお紺~お怨み申しません~
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    男嫌いのお紺と、町火消人足の善十が惚れ合って、お互いの半身に下り竜、上り竜の入れ墨を彫った。だが、善十は吉原の遊女を殺めてしまった。お紺も、善十の逃亡を助け、追っ手三人を矢立仕込みの匕首で……。
  • 春日局(二)
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    金龍が腹中に入る夢を見て御台所が産んだ、竹千代君(家光の幼名)の守り役・傅局(ふのつぼね)となった福(後の春日局)。若君と小姓たちを育成し、弟君に奪われそうになる世継ぎの座を秘策で守る。家康の死後、ついに大奥総取締役に。
  • いざよい変化
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    蒼生(あおい)が以前に主(あるじ)夫婦を娶(めあわ)せた材木問屋のいせ屋は、最近の二度の火事で巨額の富を得ていた。一方、御府内では、巫女や拝み女の行方不明事件が次々発生。蒼生の裏稼業〈妖堂(あやしどう)〉に捜索の依頼が来ていた。更に。いせ屋の主・彦次郎の背後に、蒼生を狙う〈忍非人衆(しびとしゅう)〉の影が! 蒼生や三妖娘(さんようこ)を追いつめる謎の烏男(からすおとこ)とは!?
  • 士魂魔道(上)
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    大坂落城の猛火を逃れ、さまざまな運命をたどる落武者たち。その一人、無双の剣技に颯爽と己の道を切り開く深見重兵衛。政権の礎ようやく固まる江戸をめざす人々の姿を酷薄に描く、凄絶非情の長編力作!
  • 地獄の女殺し~玄白歌麿捕物帳~
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    柳橋の船宿の一室「風流洞」はいつもの4人に占領されている。蘭法医の杉田玄白、浮世絵師の喜多川歌麿、徳川の御家人にして剣の達人・平山行蔵、そして宿の女将(おかみ)・お艶(つや)。天明の世に次々起こる難事件、怪事件に彼らは立ち向かう。……三と八の日に出る幽霊。冷酷無比な盗賊の善行。女たらしで床上手(とこじょうず)な美男強盗。……江戸を舞台に4人の男女が大活躍。痛快時代推理小説。
  • 月影兵庫 独り旅
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    惚れた女と一緒になって、道場を開いた兵庫。だが、恋女房の桔梗は流産し、あっけなく死んでしまう。無常を感じた兵庫は、道場をたたんで飄然と旅に出た。そこで待ち受けるものは……? 剣と愛欲の道中記!
  • 月影兵庫 秘剣縦横
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    気ままな暮らしに未練を残しつつ、桔梗と所帯をもった兵庫は、十剣無統流の道場を開く。入門者が増え、生活も安定したころ、昔すりだった女に惚れた同心の門弟が惨殺された! 快調シリーズ第三弾!
  • 月影兵庫 上段霞切り
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    格式ばった生活を嫌い、気ままな素浪人をつづける月影兵庫。義理の伯父・松平伊豆守信明の屋敷から消えた京洛随一の美女・綾姫の行方を追って東海道の冒険道中へ……。時代小説に本格的推理を織り込んだ傑作長編!
  • 鷽(うそ)~岡っ引き源捕物控(五)~
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    小名木川(おなぎがわ)に浮かんだ女の水死体。自死か、それとも誤っての転落死か? 検屍(けんし)をした源次と手下の助三(すけぞう)は、全身数カ所に何かで殴られた痕を見つけ、殺しと断定した。女の身元から錺職人(かざりしょくにん)の亭主をしょっぴく。だが、男はその時刻、別の女と出合い茶屋にいた。源次は元同心・神子孫七の助言を得て探索に奔(はし)る。すると、女の意外な過去がわかってきた(表題作)。
  • 迷子石~岡っ引き源捕物控(三)~
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    伊沢町の出合い茶屋で大工の棟梁が殺された。岡っ引き源次の調べで、死因は尻の穴に凶器を突っ込まれたことらしい。仏の連れはお高祖(こそ)頭巾を被った背の高い女だったが、姿を消していた。女を追う源次と手下の助三(すけぞう)。そんな時、第二の殺人が! さらに調べの中で浮かんだ役者男が同じ殺されかたを……。源次は元同心の神子孫七(かみこまごしち)に助言を求めるが……(表題作)。
  • まぼろし鏡~岡っ引き源捕物控(二)~
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    岡っ引き源次の縄張りで心中事件が!? だが、源次は二人の死体から殺しの匂いを嗅(か)ぎ取る。女は半囲いとして3人の男の妾(めかけ)だった。源次は、元同心・神子孫七(かみこまごしち)の助言で見つけた血染めの手拭(てぬぐい)と女の線から、下手人探しに奔(はし)る。そんな折り、またもや女の水死体が……。女は生前、鏡に向かい、呪文のようなものを呟いていた(表題作)。――巧みな物語構成で描く好評シリーズ。
  • 越後騒動(上)
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    江戸の町奴(まちやっこ)関根弥次郎は、旧主越後松平家の騒動の渦中に身を投じて、颯爽と正義の刃を揮う。彼をめぐって主家の娘照姫と、女剣士佐々木留伊が恋の駆け引きに鎬を削るが、その背後に陰謀の魔手が…。
  • 隠密くずれ 悪党狩り
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    夢の五介と幻の三蔵。切っても切れない相棒同士が、江戸を抜けてからはや四年。上田城下に入った二人は、腐敗しきった藩重役どもの悪行を嗅ぎ付けた!! 信州から東海、四国へ放浪し、悪党相手に大立ち回り!
  • 隠密くずれ 剣鬼放浪
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    「裏切り者は殺せ!」と昔の仲間に追われ、諸国をさすらう隠密くずれの三蔵と五介。諸藩の内紛をめしのタネに一か八かの荒稼ぎに命を賭ける。中国筋から四国を目指して相変わらずの大暴れ! シリーズ第二弾!
  • さむらい一匹(上)
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    老中水野出羽守は、美濃加納藩主の娘小桜姫を将軍の側室に送り込み、己の権勢維持を狙っていた。対立する松平和泉守は、凄腕の剣士たちを雇って妨害を計る。江戸に向かう姫と、警護する剣士勘八郎の危険な道中!
  • おぼろ隠密記~妖(あやか)し小町 三 振袖御霊ノ巻~
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    和菓子の老舗・華月堂の娘・橘華月は、幕府の隠密。田沼意次と手を組む術師・池原雲伯は、<写し絵の術>を使う中村兵庫を差し向けてきた。兵庫は、梅、桜、菊の振袖御霊三人娘を操り、江戸に火を放つ。炎の中、華月は、三人娘、兵庫と闘う! しかし、華月(本体)=朧(霊気体)の秘密を雲伯に見破られ ……。ますます快調、第3弾!
  • 鳴門秘帖(上)
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    江戸時代中期、阿波徳島の藩主、蜂須賀重喜(しげよし)を黒幕として倒幕の陰謀があると疑った幕府は、隠密の甲賀世阿弥(よあみ)を送って動向を探らせるが、世阿弥は10年このかた行方知れずになる。幕府は隠密、法月弦之丞(のりづきげんのじょう)を、世阿弥の消息を探り、阿波藩の動静をあらためて探るため派遣する。だが、弦之丞はたちまち、お十夜孫兵衛、スリの見返りお綱という正体不明の者たちに跡を追われる。世阿弥は捕えられ、剣山の山牢に幽閉されていた。そして探り当てた阿波の秘密を遺書ともいうべき血で書いた「秘帖(ひじょう)」にまとめていた! 弦之丞と阿波藩の剣客たちは「秘帖」をめぐって熾烈な戦いを繰り広げる…

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  • 黒田如水
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    黒田如水(じょすい)は通称黒田官兵衛として知られる、戦国時代から江戸時代前期にかけての武将・大名。竹中半兵衛と双璧をなす秀吉の参謀であり、後世「両兵衛」「二兵衛」と並び称された。キリシタン大名でもあった。如水は時勢を見ぬく確かな眼をもち、毛利の勢力下にありながら、織田の天下を予見した。また、荒木村重の奸計によって、伊丹城地下牢での多年の幽囚生活を余儀なくされながらも、見事に耐えぬく胆力の持ち主でもあった。…本作品は36歳までの若き日の如水を格調高く描いている。

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  • 平賀源内捕物帳
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    江戸時代にエレキテルを作ったことで有名な平賀源内は、それ以外にも西欧の技術や文化を紹介するなど、幅広い活躍を見せた人物。その源内に探偵役をやらせたのが本書で、シリーズ作のすべて、「萩寺の女」「牡丹亭」「稲妻草紙」「象の腹」「長崎物語」「風見鶏」「三人姉妹」「預り姫」の全8編を収めてある。

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  • 顎十郎捕物帳(上)
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    顎十郎(あごじゅうろう)、本名は仙波阿古十郎(せんばあこじゅうろう)。「眼も鼻も口もみな額際(ひたいぎわ)へはねあがって、そこでいっしょくたにごたごたとかたまり、厖大(ぼうだい)な顎が夕顔棚の夕顔のように、ぶらんとぶらさがっている」ために付いたあだ名。それでも武士のはしくれで、頭のほうは抜群によくきれる。江戸末期に起こる謎の出来事を、快刀乱麻、もののみごとに解明してみせる、エスプリにあふれた現代感覚の時代ミステリー。この巻には11編を収めた。

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  • 芸三職森川杜園
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    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 幕末の奈良に生まれ、絵と彫刻、狂言の三才に秀で、数々の貴人に愛された芸の人、森川杜園。重厚にして軽快、大胆にして精緻な作品の数々は、どのようにして誕生したのか。大和の異才、森川杜園の生涯をみずみずしく描いた初の伝記小説巨編。

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  • くろふね
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    黒船来る! 嘉永六年六月、奉行の代役として、ペリーと最初に交渉にあたった日本人・中島三郎助。西洋の新しい技術に触れ、新しい日本の未来を夢見たラスト・サムライの生涯を描いた維新歴史小説!
  • 仇討ちの客 高瀬川女船歌六
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    父の敵(かたき)を探して二年――母、下僕とともに十二歳で美濃加納藩を旅立った上沼大炊助一行は、路銀に窮し旅籠「柏屋」に逗留することになった。宗因は彼らに手を貸そうとするが、大炊助の剣の腕が上がらず、仇討ちの実現に不安を抱く。そんな時、下僕の安五郎が博打で一儲けして……。武士の掟、仇討ちの果てにあるものとは何なのか? 少年は果たして武士の掟に背くのか? 高瀬川に集う人々の哀歓を描く人気シリーズ第六弾
  • 水戸光圀 花と風の巻
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    世直しのため日本各地を漫遊する“黄門様”で有名な水戸光圀。徳川御三家のひとつ水戸家第二藩主で、名君として名高い。ところが、誕生のエピソードや、若い頃の言動はとても「名君」とは思えないほど意外だった。真実の水戸光圀に迫る作品(水戸光圀 上巻)

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  • 三代目五右衛門
    値引きあり
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    「その方ら四人には本日只今より身分を捨てて貰いたい」。火盗改の新兵衛は、極悪非道の盗賊を捕らえるべく、捕方の衣装を捨て、江戸の市井に潜り込む。血気盛んな三人の若手同心と共に用意した新兵衛の切り札は、あの大泥棒の三代目、石川五右衛門だった!

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  • 腹鼓記
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    天保八年、阿波徳島の奉行・浜島庄兵衛が染物屋大和屋の娘お美代を見染め、妾にしたいと無理難題を言ってきた。大和屋に命を助けられた狸の一家が恩返しに窮地を救うが、意外や意外、事態はエスカレートして狐族まで巻き込む化かし合いが勃発する。人と狸の恋、狸と狐の毛球試合、狸大学の化け学講義、狸対狐の屋島壇ノ浦の合戦など、珍談綺譚で展開する奇想天外大爆笑痛快長編。
  • 曇天に窓があく
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    下級武士の次男が生き抜く幕末変革期の日々東北小藩の下級武士の次男・風間啓四郎は、人生を変えようと日々あがくが、時代は風雲急を告げ、その波に巻き込まれていく。ベテラン作家による青春時代小説。
  • 静かなる凱旋
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    秋田県鹿角の旧家の当主・青山吉之助は、日露戦争の講和が叫ばれる今、鹿角遺族会会長として遺族を引き連れ上京し、知遇を得た桂太郎と交渉して、講和阻止を申し入れるつもりだ。かつて鹿角が盛岡藩領だった頃、金で武士の株を買った金上侍と蔑まれ、戊辰戦争では奥州の争乱に巻き込まれ、日露戦争では大切な長男を失った。幕末から明治――時代が動き、社会が変わる時期を、壮大なスケールで描いた渾身の書き下ろし長編小説。
  • 春風は、斬られまい
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    元寇後の激動の世、華麗な書と卓越した詩で中国と日本を結んだ傑僧がいた! 幼き頃に故郷を追われ、名僧・一山一寧の弟子として修行に励む、若き僧侶・雪村友梅。その書と詩の才能を認められ、仏道の奥義を究めるべく元国朝に単身渡る。禅僧・叔平隆や当代一流の大書家・趙子 昂との出会いを通して異国の地で叡智を磨く雪村であったが、蒙古人による日本人狩りの手が迫っていた――。
  • 真説・信長十二人衆 斎藤内蔵介(斎藤利三)編
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    斎藤内蔵介(斎藤利三)編を電子書籍化。娘は春日局。一説によると明智光秀が謀反を起こしたきっかけとなる武将であるといわれている。本書では斎藤内蔵介が決起し、本能寺へ向かうところまでを描いている。 ※impress QuickBooksシリーズは出版社のインプレスが、「スマホで読むための電子書籍」として企画しています。

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  • 真説・信長十二人衆 蜂須賀小六編
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    蜂須賀小六編を電子書籍化。美濃国の斎藤道三に仕えれば、道三が討死。尾張国の岩倉城主・織田信賢に奉公すれば、織田信長に落城される。信長の従妹であり、犬山城城主の織田信清に仕えれば織田信長にまたしても落城されるといったように・・・蜂須賀小六が秀吉に仕える以前の話から解説している。 ※impress QuickBooksシリーズは出版社のインプレスが、「スマホで読むための電子書籍」として企画しています。

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  • 真説・信長十二人衆 前田犬千代(前田利家)編
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    加賀藩主前田氏の祖。豊臣政権の五大老の一人、前田犬千代(前田利家)編を電子書籍化。主に今川義元を討った桶狭間の戦いの時代を描いている。本編では前田犬千代は無類の女好きとして登場している。 ※impress QuickBooksシリーズは出版社のインプレスが、「スマホで読むための電子書籍」として企画しています。

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  • 真説・信長十二人衆 明智光秀編
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    明智光秀編を電子書籍化。明智光秀と妻の「しら」の視点で物語がはじまる。なお明智光秀のスポンサーは、従兄妹にあたる信長の正妻奇蝶であったという、興味深い点も紹介されている。 ※impress QuickBooksシリーズは出版社のインプレスが、「スマホで読むための電子書籍」として企画しています。

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  • 真説・信長十二人衆
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    永禄元年織田信長25歳の時から、天正10年本能寺で爆死するまでを、その家臣団の側から12章にわけて描いた小説。 従来の俗説になじまれている向きには、ここに出てくる信長は珍しいかも知れないし読んで驚かれるかもわからない。(中略)しかし・・・今までの既成概念をすてて調べられるだけ調べ上げて、そして、ここに新しく浮かべさせた信長はだれからの借り物でもなく二十年という歳月を投影した私なりの所産である。(あとがきより)

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  • 徳川家康は二人だった
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    松平元康(徳川家康)は、実は死んでいた? 徳川家では、三河出身者は1万石以下の旗本として冷遇され、他国者だけ大名に立身した謎に、独自の視点で迫る。隆慶一郎『影武者徳川家康』に先駆けた衝撃の問題作。 徳川家では、三河出身者は一万石以下の旗本として冷遇されている。伊勢出身の榊原康政とか、駿府出身の井伊直政や酒井忠次や遠江の本多忠勝が「徳川四天王」となり、他国だけ者大名に立身した謎も、三河の松平元康と他国者の家康が別人と判れば、よく納得できる。そのわけも呑みこめ信長殺しの手がかりともなる(本文より)

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