歴史・時代小説 - 光文社文庫作品一覧

  • 幕末算法伝
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    最上流算法家の金盛吉之丞は、維新の動乱に巻き込まれ、官軍参謀暗殺の一味に加わって失敗。逃走の途中、負傷して動けぬ親友の渡会清明を手にかけた過去がある。その事情を明かせぬまま、彼は清明の妹・志ほに、実の兄同様の愛情を注ぐ。ところが、志ほは彼を恋人として慕い、ひたむきな思いを寄せていた――。 日本独自の算学(和算)を題材とした、異色の長編時代傑作。
  • 算学武士道
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    水沢藩の勘定方に勤める保(たもつ)は、貧しさゆえに、好きな算学(数学)に打ちこむことができいない。ある日、算学を嫌っていた父が水死した。母の行動に疑惑を懐きながらも、そのままにしてしまった彼は、自責の念にかられる。保は、算学への夢を捨て、母を道連れにして…。(表題作) 剣の道よりも、和算の解に命を賭けた男たちの悲喜劇を描く、異色の傑作時代小説集!
  • 助 太 刀
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    山之辺銀二郎は新婚早々、すぐ江戸藩邸の勤務を命じられた。暫く独り暮らしに戻るのは辛いけど、出世は確実。ところが大恩を受けた人の嫡男・草狩敬之介から、「憎い男と果し合いをやる。助太刀を頼む」と切願された。果し合いは勝っても死罪。吉は凶に変わった。だが銀二郎は頷いた。(第一話・助太刀) 武士が掟に耐え、美しくも残酷に生き抜く士道小説の珠玉集。
  • 介 錯 人
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    不幸は突然、襲ってきた。藩内で陽明学を講ずる門出転(かどでうたた)に幕府から苛酷な罪科が下されたのである。「切腹」。この学問は国禁とされていた。愛弟子・和三郎の動揺は激しかった。「師の大恩に報いるには自ら介錯人を努めること」と申し出た。師を送る日が迫る。和三郎は〃失敗〃の夢にうなされた。さて当日は……? 武士道小説の名手が織りなす美しくも悲しい九編の宿命絵巻。
  • 洞窟の生存者
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    太平洋戦争――この二度と繰り返してはならない歴史は、戦いの真の姿を眼をそらさずに見ることによって、再びその愚を冒さない抑止力につながっていくだろう。極限状況に置かれた東南アジアの戦場で、兵士たちはどのように生き、人を愛し、憎み、そして死んでいったか。――戦争の実相に迫る傑作小説集!
  • 太閤暗殺
    3.8
    ようやく授(さず)かった我が子・お拾(ひろい)にすべてを譲(ゆず)り渡したい……太閤秀吉は、実の甥である関白・秀次を疎(うと)ましく思い始めていた。危機感を抱いた秀次の側近・木村常陸介(きむらひたちのすけ)は、大盗賊・石川五右衛門に太閤の暗殺を依頼した! 迎え撃つ石田三成と前田玄以の秘策とは? 本格時代小説にして本格ミステリー。戦慄のラストに驚愕必至の、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作!
  • 色に狂えば
    -
    奈津は不義密通が重罪だと知ってはいたが、小者の小市郎に惹かれ、からだを許した。以来、若い二人は燃え狂う。が、密会は露顕し、夫の茂右衛門は有無も言わせず小市郎を斬った。次の刃は当然、自分へ……と奈津は覚悟したのに、茂右衛門は太刀を納めた。なぜ? どんな仕置が奈津を襲うのか!(『芙蓉』)。直木賞作家が、武家社会の掟に抗う女性を描いた珠玉小説集。
  • 龍馬の明治(上)
    -
    坂本龍馬、暗殺者の凶刃を逃れる! 九死に一生を得た龍馬は、〃廃幕〃による改革を目指し、陸奥宗光(むつむねみつ)とともに精力的に動き始める。が、討幕の気運は諸藩に広がっていた。長州に続き、薩摩の西郷隆盛も武力討幕へ傾いていく。さらに諸外国までもが、龍馬の志を阻(はば)もうと……。龍馬が生きて明治を迎えたら日本はどうなったか。大胆な発想で描くもう一つの歴史物語。
  • 女刺客人~尼僧お庭番~
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    将軍吉宗の御落胤、と名乗り出た天一坊は、ニセ者として処刑された。だが、それは替え玉であった!? 腕利きの女忍者・鈴鹿は、密かに生母の故郷へ落ちのびる真の天一坊に同行する。一方、天下の乱れを案じ、天一坊を亡き者にしようとする公儀や尾張・紀州の刺客が、執拗に行く手を阻む。妖艶な女刺客やくノ一の対決を描く、官能時代傑作第三弾!
  • 松平長七郎旅日記~江戸・山陽編~
    4.0
    三代将軍家光の甥ながら、長七郎は無位無官の気まま者。折りから都で琉球の美姫刈女(びきかりめ)と出会い、姫が亡き父から受け継いだ莫大な財宝をめぐる怪事件に捲(ま)き込まれ、正義の刃(やいば)を揮(ふる)う(「白妖鬼」より)。痛快無比の道中記。
  • いざよい変化
    -
    蒼生(あおい)が以前に主(あるじ)夫婦を娶(めあわ)せた材木問屋のいせ屋は、最近の二度の火事で巨額の富を得ていた。一方、御府内では、巫女や拝み女の行方不明事件が次々発生。蒼生の裏稼業〈妖堂(あやしどう)〉に捜索の依頼が来ていた。更に。いせ屋の主・彦次郎の背後に、蒼生を狙う〈忍非人衆(しびとしゅう)〉の影が! 蒼生や三妖娘(さんようこ)を追いつめる謎の烏男(からすおとこ)とは!?
  • 月を流さず~御算用日記~
    5.0
    能州から、長姉の伊智が上ってきて、四兵衛長屋は大騒動! そんななか、幕府御算用者の生田数之進と早乙女一角は、下野国黒銀藩の藩邸に潜入する。藩主・大関増輔は鯱病を病み、藩政の実権をめぐって、奥方派と愛妾派の暗闘が噂されている小藩である。背後に潜む悪の謀(はかりごと)が打ち砕かれたとき、意外な真相が明らかになる、傑作時代人情小説。待望のシリーズ第6弾!
  • 流星のごとく~御算用日記~
    5.0
    「そやつは贋者(にせもの)じゃ、数之進(かずのしん)にあらず」。――幕府御算用者・生田数之進は、いつもとは違う方法で、筑後国鶴見藩に潜入している。走り者が続発し、財政は苦しいはずなのに、なぜか贅沢を続けられる藩。その調査を続けるうち、明らかになる驚愕のからくり。そして、その奥には、さらに根深い陰謀が……。千両智恵が窮地を救う、好評シリーズ第4弾!
  • まことの花~御算用日記~
    5.0
    生田数之進(いくたかずのしん)は、不審のある藩を調べる幕府御算用者(ばくふごさんようもの)。今回は無類の狂言好き、若狭守(わかさのかみ)村芳が治める吉田藩に潜入することに。前藩主の亡霊騒動、姿を見せない奥方の謎。その裏には本家と分家の争いが!? 仕掛けられた「連環(れんかん)の計」とは、そして、鶯の鳴き声が招くのは、藩の改易か繁栄か。数之進の千両智恵が大活躍。江戸の町に桜の嵐が吹き荒れる。
  • 天地に愧(は)じず~御算用日記~
    4.5
    幕府御算用者・生田数之進(いくたかずのしん)は、御家騒動に揺れる播磨国高野藩(はりまのくにたかのはん)への潜入を命じられる。改易を目論(もくろ)む幕府の思惑を避けつつ、真実を掴もうとするが、そんな折り、藩士が何者かに襲われた。また、藩に怪しい隻眼(せきがん)の大男が出入りし……。やがて、その男の正体が判明し、戦慄が走った! 果たして、藩と数之進の運命やいかに!? 著者渾身の時代小説、大好評第2弾!
  • 元禄百足盗
    5.0
    倒幕を謀る柳沢吉保と大僧正隆光が召還した四十七の「魔」は、浅野内匠頭の遺臣たちに憑依した! 悪霊祓い師・祐天上人は、阿弥陀仏の導きで彼らを封じんとするが……すでに江戸は、四十七人の盗賊「百足盗」の出現に震撼としていた! ――伝奇時代小説界の新たな俊英が描く、虚々実々の江戸魔界絵図。各界で話題を呼んだ怪異僧・祐天、ふたたび見参!
  • 月影兵庫 独り旅
    -
    惚れた女と一緒になって、道場を開いた兵庫。だが、恋女房の桔梗は流産し、あっけなく死んでしまう。無常を感じた兵庫は、道場をたたんで飄然と旅に出た。そこで待ち受けるものは……? 剣と愛欲の道中記!
  • 月影兵庫 秘剣縦横
    -
    気ままな暮らしに未練を残しつつ、桔梗と所帯をもった兵庫は、十剣無統流の道場を開く。入門者が増え、生活も安定したころ、昔すりだった女に惚れた同心の門弟が惨殺された! 快調シリーズ第三弾!
  • 写し絵殺し~岡っ引き源捕物控(八)~
    3.0
    油問屋の若後家(わかごけ)の死体が空き店の奥座敷で発見された。赤いしごきの片端を柱に括り付け、絞殺されていた。下手人は男か、女か? 源次(げんじ)は女が顔を出したことがある写し絵の会を探る。その後、死体のそばにあった妙なものから、元大奥勤めの女が浮かんだ。さらに、源次は元同心・神子孫七(かみこまごしち)から同じ手口の事件を報される。果たして、縺れた糸の先には……。(表題作)
  • 鷽(うそ)~岡っ引き源捕物控(五)~
    -
    小名木川(おなぎがわ)に浮かんだ女の水死体。自死か、それとも誤っての転落死か? 検屍(けんし)をした源次と手下の助三(すけぞう)は、全身数カ所に何かで殴られた痕を見つけ、殺しと断定した。女の身元から錺職人(かざりしょくにん)の亭主をしょっぴく。だが、男はその時刻、別の女と出合い茶屋にいた。源次は元同心・神子孫七の助言を得て探索に奔(はし)る。すると、女の意外な過去がわかってきた(表題作)。
  • 木練柿(こねりがき)
    4.1
    胸を匕首(あいくち)で刺された骸(むくろ)が発見された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎が袖から見つけた一枚の紙、そこには小間物問屋遠野屋の女中頭の名が。そして、事件は意外な展開に……(「楓葉の客」)。表題作をはじめ闇を纏う同心・信次郎と刀を捨てた商人・清之介が織りなす魂を揺する物語。時代小説に新しい風を吹きこんだ『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ第3巻、待望の文庫化。
  • 江戸情話集
    -
    三代将軍家光の供をして京へ上った菊地半九郎は、一夜、祗園に遊び、その夜初めて店出しの初心(うぶ)な遊女お染に惹かれた。毎夜のように通いつめる彼も、いずれは江戸へ帰らねばならぬ身の上。やがて別れの日は迫り、追いつめられた二人の行く手には苛酷な運命が……(「鳥辺山心中」)。浮世のしがらみを振り切って、恋に命を賭ける男女の情をこまやかに描いた情話集。全5編。

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  • 人間の剣 幕末維新編(上)
    -
    刀身不気味に冴えわたる無銘剣。携えた者には強烈な気力がみなぎり、一閃、血煙が上がる。幕末、大老井伊直弼が斃れた桜田門外の変では、「臆病者」と侮られていた小河原秀之丞が、坂下門外の変では江戸城に斬り込んだ小姓組名取克之助が、この剣を血で染めた……。流転する剣は、さらに京の新選組へ! 剣は動乱の幕末に何を見たか。歴史小説に新境地を拓く力作!
  • 裏切老中~闇御庭番(一)~
    5.0
    将軍・家慶の公儀御庭番である菅沼外記は、老中・水野忠邦の命により、佞臣・中野石翁を罠に嵌めるが、口封じのために水野に命を狙われてしまう。外記は試練を経て、水野とその配下の御目付・鳥居耀蔵の悪政を正す「闇御庭番」として生まれ変わる。家慶の密命を帯び、仲間とともに巨悪に立ち向かう正義の男。時代小説の醍醐味が詰まった傑作シリーズ、ここに始まる。(『闇御庭番 江戸城御駕籠台』改題)
  • さらば黒き武士(もののふ)
    4.0
    武田軍に攻め込まれ落城寸前の長篠城を救うため、鳥居強右衛門は城を抜け出した。その強右衛門の口から語られたのは、京の町で出会ったある女の話で……(「長篠の蒼空」) 宣教師ヴァリニャーニから織田信長に献上された弥助。信長に気に入られた弥助は、武士として信長に仕えることになるが……。(表題作) その他、感動必至の二編を収録。歴史に埋もれた愛を描く、傑作短編集。(『花のこみち』改題)
  • 阿修羅の微笑~日暮左近事件帖~
    3.3
    出入物吟味人として日暮左近が働く公事宿巴屋に、亡き父の借金を返せと迫られているという男が訪れた。巴屋では仕事を引き受けたが、借金の返済を迫っていた男は殺され、依頼人の男は町奉行所に捕まってしまう。男の背景を探る左近の前に現れる謎の刺客。最も強い青い眼の遣い手との死闘の末に左近の運命は――。衝撃の結末が待つ藤井邦夫の代表シリーズ第三巻。(『愛染夢想剣 日暮左近事件帖』改題)
  • つなぐ鞠(まり)~上絵師 律の似面絵帖~
    3.6
    鞠の意匠をあしらった「鞠巾着」が人気となり、安定した仕事をもらえるようになった律。涼太との祝言の日取りも決まり、幸せをかみしめながら、職人の仕事も一生続けていこうと決意するのだった。そんな折、拐かし一味の女の似面絵を頼まれた律は、仕上げた絵に何か引っかかるものを感じて――。恋に仕事に一途に生きる女職人の姿を描く、人気シリーズ第五弾。
  • 隠密刺客遊撃組
    -
    幕府の役職を投げ打ち、兵学と儒学を講義する兵聖閣と武術稽古場・兵原草蘆を創って門弟を育ててきた兵法家の平山行蔵。江戸の町を荒らす巨悪が出現し、もと老中の松平定信の命で盗賊集団退治に乗り出したが――。当代屈指の武術研究家・長野峻也氏の原案。過去の時代小説にないド迫力の剣戟と武士の悲哀などを描いた珠玉の作品。
  • 花を呑む
    3.8
    「きやぁぁっ」老舗の油問屋で悲鳴が上がる。大店で知られる東海屋の主が変死した。内儀は、夫の口から牡丹の花弁が零れているのを見て失神し、女中と手代は幽霊を見たと証言した。北町奉行所の切れ者同心、木暮信次郎は探索を始めるが、事件はまたも“仇敵”遠野屋清之介に繋がっていく……。肌を焦がす緊張感が全編に溢れる、人気シリーズ待望の第七弾。
  • かげろうの恋~もんなか紋三捕物帳~
    3.0
    天麩羅屋を営む浪人・伊達宗之介は、一人娘・千春の小言に頭の上がらぬ日々を送る。ある雷雨の夜、二人が町医者の屋敷の前を通りかかると、蓑笠姿の男が表門から遁走。邸内で目にしたのは男と女の亡骸だった。探索に乗り出した岡っ引の紋三は無数の不審な点に気付き……(表題作)。粋な紋三親分と、しがない浪人・宗之介の人情裁きが冴え渡る書下ろしシリーズ!
  • 巡る桜~上絵師 律の似面絵帖~
    3.7
    池見屋から巾着絵の仕事を減らされ、律は焦りを覚えていた。そんな折、葉茶屋・青陽堂では、商品に古茶が混じったことで、得意客が離れる騒ぎが起こる。商売敵による差し金ではと若旦那の涼太は悔しさを滲ませるのだが……。職人としての誇りをかけた仕事に打ち込みながら、ゆくえ定まらぬ恋に心揺らす律。得意の似面絵が事件解決にも一役買う、人気シリーズ第四弾。
  • 舞う百日紅~上絵師 律の似面絵帖~
    3.9
    父の跡を継ぎ、上絵師として身を立てたい律だが、ままならず落ち込むことも多い。幼馴染みの涼太への想いも、深く胸に秘めるばかりだ。しかし副業の似面絵の評判は上々で、引きも切らず注文が舞い込んでいた。そんな折、母を殺めた辻斬りの似面絵そっくりな男に出会うのだが――。仕事に恋にひたむきに生きる女職人の姿を鮮やかに描く、待望のシリーズ第二弾。
  • 冬天の昴
    4.0
    北町奉行所定町廻り同心、木暮信次郎の同僚で本勤並になったばかりの赤田哉次郎が女郎と心中した。その死に不審を抱いた信次郎は、独自に調べを始めた矢先、消息を絶つ。信次郎に仕える岡っ引の伊佐治は、思案に暮れた末、遠野屋清之介を訪ねる。次第に浮かび上がってきた事件の裏に潜む闇の「正体」とは――。あさのあつこの代表時代小説シリーズ、待望の第五弾!
  • 落ちぬ椿~上絵師 律の似面絵帖~
    3.9
    辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り……。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。
  • 女賞金稼ぎ 紅雀~血風篇~
    3.0
    裏世界に名をとどろかす賞金稼ぎ紅雀は、元は高崎藩勘定吟味役の娘で名をお香といった。盗賊一味・高波六歌仙に家中皆殺しに遭った中、唯一の生き残りであった。抜け忍・黒鳶の弟子となったお香は、地獄の苦しみの末に忍びの殺人術を会得。ついに復讐へと旅立つ。標的は高波一味の強者六人と無数の手下ども。美貌の女剣士が斬って斬って斬りまくる! 新シリーズ。
  • 夏宵の斬
    3.0
    手習師匠として平穏な日々を過ごす老人・内村清左衛門。元侍の彼は苦い過去を背負っていた。とある経緯で再会したかつての主からもたらされた事実。それは故郷・越後国大前郡における、藩政改革を志す本覚党の蠢動だった。35年前、大志の下に清佐衛門らが結党し、目的を果たせず無残にも壊滅したはずの一団が、何故再び……!? 著者渾身の剣劇と人間ドラマが光芒を放つ!
  • 涅槃の雪
    4.2
    町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが――。爽やかな傑作時代小説。
  • 東雲(しののめ)の途(みち)
    3.9
    橋の下で見つかった男の屍体の中から瑠璃が見つかった。探索を始めた定町廻り同心の木暮信次郎は、小間物問屋の遠野屋清之介が何かを握っているとにらむ。そして、清之介は自らの過去と向き合うため、岡っ引きの伊佐治と遠き西の生国へ。そこで彼らを待っていたものは……。著者がシリーズ史上ないほど壮大なスケールで描く「生と死」。超絶の「弥勒」シリーズ第4弾。
  • 城を噛ませた男
    3.9
    「奴に城を取らせる。そして俺は国を取る。」乱世に雄飛するため、希代(きたい)の謀略家・真田昌幸(さなだまさゆき)が仕組んだ秘策とは?(表題作) 強大な豊臣水軍を前に、城に籠もる鯨取りの親方が仕掛けた驚愕の大反撃!(「鯨のくる城」) 戦国の世、大勢力がぶつかる狭間で、ある者は平身低頭し、ある者は乾坤一擲(けんこんいってき)の勝負に出る。生き残りをかけ、なりふり構わず戦う人間を熱く描いた渾身作全5編!
  • 落雷の塔~夢次郎 紅毛カルタ事件帖~
    -
    文化年間の江戸。ある諍(いさか)いから逃れるため、英国船から飛び降りた大倉恭之介(おおくらきょうのすけ)は、深川に流れ着くと、身分を隠し夢次郎として暮らし始める。ある日、思いを寄せる芳奴(よしやっこ)が事件に巻き込まれた! 恋敵の源太郎とともに、謎の品川浜屋敷に潜入する夢次郎。得意の「紅毛カルタ(タロットカード)」を駆使し、大切な女を守れるか? 西洋占星術の第一人者が描く痛快時代小説!
  • 夜叉桜
    4.0
    江戸の町で女が次々と殺された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎(こぐれしんじろう)は、被害者が挿していた簪(かんざし)が小間物問屋主人・清之介の「遠野屋」で売られていたことを知る。因縁ある二人が再び交差したとき、事件の真相とともに女たちの哀しすぎる過去が浮かび上がった。生きることの辛さ、人間の怖ろしさと同時に、人の深い愛を『バッテリー』の著者が満を持して描いたシリーズ第2作。
  • 幻海 The Legend of Ocean
    3.0
    1588年、イエズス会士シサットは日本での布教の行き詰まりを打開すべく、豊臣秀吉と会談。北条家征伐に同行し航海学の知識を貸すなら東国に布教の拠点を作ってよいとの条件をのみ、豊臣水軍に加わる。だが戦いのさなか「奥伊豆に黄金の国がある」という噂を耳にした一行は危険な海域を目指す。彼らがそこで目にしたものとは!? 迫真の海洋スペクタクル合戦譚。

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  • 月の牙~八丁堀つむじ風 決定版~
    -
    南町奉行所定廻り同心、成沢東一郎は岡っ引きの寅吉、密偵のお紋らと共に、日夜、江戸の治安を守っている。唯一の気がかりは病身の妻、信乃のことであった。ある日、薬研堀の料理屋で立て籠もりが起こる。成沢の同僚、当麻三郎助は手柄に焦がれ、その店に急ぐのだが――。人望と実力を兼ね備えた腕利き同心・成沢が活躍する「八丁堀つむじ風」シリーズ、開幕!
  • うろこ雲 決定版~研ぎ師人情始末(三)~
    4.5
    研ぎ師・荒金菊之助の裏店に越してきた伊佐次が襲われた。伊佐次は騙されて詐欺の片棒を担いだのだが、大金を持ち逃げした一味に狙われたのだった。同情した菊之助は伊佐次を匿うが、伊佐次の身請け人・喜兵衛が斬殺された。菊之助は、従兄弟の南町奉行所臨時廻り同心・横山秀蔵と一味の捕縛に乗り出すが……。人気時代作家・稲葉稔の原点シリーズ決定版第三弾。
  • 糸切れ凧 決定版~研ぎ師人情始末(二)~
    5.0
    八王子千人同心の家に生まれたが、研ぎ師となった荒金菊之助(あらがねきくのすけ)はある日、常陸(ひたち)屋に押し込むという男と女の話を耳にする。はたして常陸屋の主が殺され、五百両が盗まれた。下手人はその男女なのか、それとも失踪した養子の貞助(さだすけ)なのか……。人情にもろく、お節介な菊之助の直心影流(じきしんかげりゅう)の剣が冴える。人気時代作家・稲葉稔の原点シリーズが、決定版として新たに登場。
  • 忠義の果て~蛇足屋勢四郎(二)~
    -
    困りごとを解決する「蛇足屋」松波勢四郎は岡場所を荒らす牢人を追い払う仕事を頼まれている。その仕事が片付かないうちに、新たに持ち込まれたのは、脱藩の罪で追われる藩士を捜すという一件。幼なじみの与力・内藤藤十郎の力も借りて、源次と奔走する。この二件、元は一つであることが分かったが、勢四郎に恨みを持つ一刀流の手練、赤井が立ちはだかる……。
  • 雲水(うんすい)家老
    -
    美濃の野平藩では不作続きの上、江戸藩邸の維持費などが嵩み、財政が逼迫していた。末席家老の井戸一之助は窮状を脱しようと智恵を絞り、藩内で良質の土が採れることから、肥前焼のような高価な焼物業の振興を思いついた。だが、有田や伊万里の窯は厳重な管理下にあり、製法は門外不出である。そこで家老自らが雲水(修行僧)に身をやつし、肥前に潜入したが……。
  • 伊達政宗(六)
    3.0
    家康が礎を築いた徳川政権は秀忠・家光と引き継がれて確固不動、遂に外様大名取潰しに着手する。巧智に長けた政宗は、稀代の“臍曲がり論法”で伊達六十二万石を安泰に導き、生涯を閉じた。全六巻完結!
  • 伊達政宗(三)
    3.7
    太閤秀吉の死後、次期政権の座をめぐって天下はふたたび動乱の様相を呈し、ついに石田三成と徳川家康が関ケ原で激突した。遠く奥羽の地にあって上杉勢と対峙しながら、その勝敗の帰趨を隻眼で睨む政宗!
  • 伊達政宗(二)
    4.0
    関白秀吉が天下統一の野望に燃え、小田原城攻めを開始した天正十八年。正宗は憤懣を胸中に秘め、遅れて参陣した。激怒する秀吉を相手に、無類の勝ち気な性格と型破りの言行で真っ向から挑む独眼竜の叛骨魂!
  • 伊達政宗(一)
    3.7
    戦乱の嵐が吹きすさぶ永禄十年、名流伊達家に奥羽の歴史を変える男児が誕生した。名を“梵天丸”。後年、“独眼竜”の異名で恐れられた乱世の英雄、正宗の青春と天下取りへの野望を描いた長編歴史小説全六巻!
  • 月影兵庫 極意飛竜剣
    -
    老中松平信明の嫡子信安が惨殺された。木挽町の下屋敷で兵庫を待っているところを襲われたのだ。犯人の追及に乗り出した兵庫は、片腕の男が事件の鍵を握っていることを知る。秘剣颯爽、シリーズ第二弾!(『片腕の男』改題)
  • 義経の征旗(上)
    4.0
    源平の戦いに、奥州藤原(おうしゅうふじわら)氏が立ち上がった! 平泉の藤原秀衡(ひでひら)の許に身を寄せていた源義経は、頼朝挙兵の報を受け、鎌倉へ馳せ参じる。頼朝の隙を突き、京へ入った木曾義仲は後白河法皇を幽閉、その傍若無人(ぼうじゃくぶじん)ぶりに業(ごう)を煮やした秀衡は、ついに奥州軍を南下させる。しかし、頼朝は秀衡を迎え撃つべく……。歴史の転換期を新視点で捉えなおす、もう一つの歴史物語。(『秀衡の征旗』改題)
  • 駿河の海~名奉行 筒井政憲異聞~
    -
    人柄よく、私欲なき名奉行・筒井伊賀守政憲。今日も出来する厄介事に、三人の個性的な仲間たちと全身全霊で対峙する。行方不明となった幕臣の奥方探索、伊能忠敬の地図略奪事件、江戸をにぎわす小普請坊主・河内山宗春の捕物劇……。剣呑な事件と息もつかせぬ剣戟に胸躍り、誉れ高き政憲の人情裁きが心を打つ新シリーズ、堂々たる登場。こんな奉行を待っていた!
  • 秘剣龍牙(りょうが)
    5.0
    千葉周作らを輩出した名門中西道場で出来物とうたわれた老剣士・白井亨は、稽古をつける門弟の中に極めて鋭い面打ちを見せる美少年を発見した。名を富樫栄といい、加賀藩徒士の父は非業の死を遂げていた。少年の望みは武家の再興や剣の上達ではなく、安穏な在所暮らしだという。だが、栄の周囲に父を討った不逞の輩の影が――。格調高雅な珠玉の七編を収録!
  • 剣魔推参~隠密刺客遊撃組(弐)~
    -
    江戸を恐怖に突き落としていた集団・土蜘蛛党を成敗した元幕臣で兵法家の平山行蔵。江戸の一角に突如、不審な宗門「天水教」なる者達が現れた。奇妙な装束の集団は、一体何をしようというのか。行蔵たちは天水教を調べ始める。そして想像を絶する戦いの火蓋が切られた。当代屈指の武術研究家・長野峻也の原案。空前絶後の戦闘シーンが詰め込まれた白眉のシリーズ第二弾。
  • 口入屋賢之丞(けんのじょう)、江戸を奔(はし)る~幕末梁山泊~
    -
    麻布谷町の山吹屋。そこは主の賢之丞の差配で、様々な求めに応じて人を斡旋する口入屋だ。武家や商家、普請場など斡旋先は多岐に亙るが、時に怪しげな依頼も混じってくる。花火師と猟師と鉄砲鍛冶を揃えてくれという浪人にきな臭さを感じた賢之丞は、読売屋や女郎、忍など多彩な仲間たちとともに、幕末の江戸を揺るがす陰謀に立ち向かう! 痛快時代活劇。
  • 蛇足屋勢四郎~困りごと、骨折りいたす~
    -
    島帰りの牢人、松波勢四郎は、下女のお菅と二人、内職と便利屋稼業で暮らしをたてている。ある時、持ち込まれた頼み事の裏に、自身が島送りになった事件の黒幕、鳶沢又八郎がいるらしいという話を聞かされた。用心棒を頼まれた別件にも、その一味が絡んでいるらしい。幼馴染みの与力、内藤藤十郎にも力を借り、因縁の相手の正体を暴こうとするが……。
  • 忍者大戦 赤ノ巻
    -
    柳生との孤独な戦いに挑む忍びが駆使する特殊な術とは?(殺人刀) 下忍ゆえ舐めさせられた屈辱……愛する女のため抜け忍となった男の運命は?(忍喰い) 伊賀の里を焼き尽くした信長への復讐に燃える、美しきくノ一の恐るべき策謀。(月に告げる) ほか、本格推理作家6人が贈る全編書下ろしの作品集。『黒ノ巻』に続く、謎に彩られたスーパー忍者活劇第2弾!
  • 忍者大戦 黒ノ巻
    3.0
    戦国時代には数々の合戦の舞台裏で、徳川の治世にはその政の背後で、彼らは密かに戦い続けていた――。伊賀、甲賀、軒猿……時に密命を受け、時に自らの意思で死地へと飛びこんでゆく忍者たち。秘術を尽くした激烈な死闘に息を呑み、仁義なき騙しあいに手に汗握る。本格ミステリーの手練れたちが全編新作書下ろしで贈る、謎に彩られたスーパー忍者活劇全五編!
  • 信玄
    -
    諏訪、村上、小笠原の諸豪を逐い、宿敵上杉謙信と川中島で激突した信玄は、信濃を手中に収めるや、一転、怒涛の如く駿河・遠江に侵入、これも制圧した。 武田騎馬軍団を率い、戦国の世に君臨した名将を描く。
  • 暗殺
    -
    明治・大正・昭和、三代にわたる暗殺事件を描いたドキュメント・ノベル。それぞれの時代背景で演じられた惨劇は、日本近代史に大きな影響を与えた。暗殺者が殺人という非常手段によって、時流を変えようとする動機と心理を、事実に基づき劇的に再現する。「大久保利通の刺殺」ほか、人間の狂気を鋭く追求する八編を収録!
  • 武道伝来記
    -
    臆病者と蔑まれた間宮織部は、息子・和三郎に「武士」の心を打ち明けて死ぬ。後日、若殿のお供をした和三郎は、大藩・細川家とのトラブルを唯一人で収拾、父の汚名を晴らす。直木賞受賞作。
  • 平泉落日
    3.0
    奥州一体に強大な勢力と文化を誇った藤原秀衡。頼朝に追われた義経を匿ったため、鎌倉幕府の追及厳しく、屈服か、決戦か。秀衡の死後、次代を担うべき嫡子泰衡と、国衡・忠秀ら一門は足並みも揃わぬまま、怒濤のごとき幕府軍を迎え、熾烈な繰り広げる。――独自の文化を築いた平泉のがわから初めて書かれた藤原氏滅亡の謎!
  • 夢暦 長崎奉行
    -
    文化九年。遠山金四郎の父・景晋(かげみち)は長崎奉行を命じられた。鎖国の世にあって阿蘭陀(オランダ)、清(しん)と交易する長崎は、抜け荷(密貿易)横行の地でもある。その根絶こそが景晋の責務であったが……。首謀者のひとり、水野忠成(みずのただあきら)は事件の発覚をおそれ、遠山父子に奸計(かんけい)を仕掛ける! さらに物語は、擬装船二隻の入港という大事件へと展開……。圧倒的スケールの大型時代小説!
  • 巨鯨の海
    4.0
    江戸時代、紀伊半島の漁村・太地に、世界でもまれな漁法「組織捕鯨」を確立した人々がいた。磨かれた技を繰り出し、集団で鯨に立ち向かう「鯨組」は、仲間との強い絆と厳しい掟により繁栄を極めた。命を削る凄絶な戦いゆえに、鯨にも畏怖の念をもって立ち向かう彼ら。江戸末期から明治へ、共同体の熱狂の季節と終焉を躍動感溢れる筆致で描く、全6編の一大クロニクル! 「山田風太郎賞」「高校生直木賞」受賞作!
  • 勝頼
    -
    父・信玄の遺志を継いだ勝頼は、長篠・設楽原で宿敵織田信長に決戦を挑んだ。が、圧倒的な数量の鉄砲の前に、多くの将兵が倒れ、無敵を誇った騎馬軍団は潰滅。甲斐源氏の嫡流・武田一族は滅亡への道を歩む。
  • 長宗我部元親
    3.0
    色白で目が大きく、「姫若子(ひめわかこ)」と渾名されていた長宗我部家の若殿、元親(もとちか)は、初陣の日に意外にも勇敢な荒武者ぶりを発揮。やがて縦横の機略をめぐらし、周到な駆け引きによって、四国全土を掌握した。 しかし、豊臣秀吉の台頭により、せっかく手に入れた三国を奪われ、もとの土佐一国にもどされる…。全国統一を夢みた男の野望に満ちた生涯を描く力作。
  • 淀  君
    -
    浅井家の姫と生まれながら、心ならずも、父母を討ち滅ぼした敵将・豊臣秀吉の側室になった淀の方。苛酷な運命に、ただ従うほかはなかった淀君も、「せめて、浅井の血をひく秀頼を天下の主に」と、強大な徳川家康を相手に、己の意地を張り通す。――“豊臣家を滅亡に追いこんだ悪女”という従来の見方を覆し、新しい角度から戦国を生きた女の実像に迫る長編歴史小説。
  • 影の将軍
    3.5
    盟友明智光秀と共に足利義昭の将軍擁立に奔走し、やがて信長の臣下に。戦国の世を生き、傍ら茶道・和歌の世界に独自の境地を切り開き、世に“文芸大名”と称された細川藤孝(幽斎)・忠興父子の数奇な生涯を描く。
  • 怪談 累ケ淵
    -
    旗本小普請組の深谷新左衛門は、鍼医で高利貸しの安川宗順への借金返済に窮し、妻を抱かせた。それを、嫡男新一郎に見られ、逆上した彼は宗順を斬殺。その後、新左衛門は幻覚にとり憑かれ妻を刺殺、みずからも命を絶った。深谷家は改易になり、散り散りとなった家族に、世にも数奇な運命が……。(表題作) 剣豪作家としても著名な著者が放つ、妖気と幻想の世界!
  • 元禄霊異伝
    -
    世は元禄。賑わう廓・吉原で遊女は憑いた悪霊を祓う僧がいた。名を祐天という。 ――そのころ、犬公方・徳川綱吉をあやつる柳沢吉保と隆光は、倒幕の陰謀を企てていた。六義園を通じ、江戸に妖霊を放つつもりなのだ。新井白石の協力を得て、陰謀を察した祐天は、法力でこれに対抗するが……? 江戸の命運やいかに? 新機軸で挑む、壮大な伝奇絵巻!
  • 信  虎
    -
    内戦に明け暮れ、飢饉や疫病に悩む甲斐は、乱国であった。十四歳で守護の地位に就いた武田信虎は、甲斐統一を目指し、苦闘の道を歩む。信玄の父であり、〃悪逆無道〃の汚名を被(き)せられた武将の悲劇を描く傑作。
  • 篝  火
    3.5
    亡き豊太閤の遺志を無視して、着々と自己の勢威を拡大する家康に、真正面から対決を迫る石田三成。天下分け目の関ヶ原を背景に、三成と西軍諸将たちの、それぞれの生きざまを鮮烈に描いた傑作。
  • 石田三成
    3.7
    死の床にある秀吉をめぐって、北政所と淀殿、石田三成と古参の武将たちが激しく対立。慎重に時を待つ家康の巨大な影が、無言の圧力となって人々を脅かす。 知性の人・石田三成の悲劇を描いた長編歴史小説!
  • 三好長慶
    3.0
    群雄割拠の戦国時代。都では、管領細川氏の臣下であった三好長慶が、守役松永久秀の巧妙な知略に援けられ、ついに将軍を凌ぐ実力者となる。だが、「いずれはその権力も全て我がものに」と、久秀は秘かに機会を窺っていた――。織田・豊臣に先立って、一時期、天下を掌握した三好長慶の波乱の生涯と、戦国の世を彩るしたたかな人間たちの生きざまを描く、一大歴史巨編。(『妖雲』改題)
  • 大久保利通
    -
    水と火のごとく相反する性格を持ちながら、固い友情に結ばれた大久保と西郷。倒幕運動を推進し、維新の大業を成すが、「征韓論」をめぐって激しく対立。歴史を大きく動かした大久保利通の足跡を描く長編傑作。
  • 闇の龍馬
    4.0
    慶応3年(1867)11月15日。坂本龍馬、凶刃に倒れる! 幕末維新の立て役者ゆえに、幕府が、紀州藩が、さらに驚愕の大物が龍馬を狙う。彼の死で歴史を変えたのは誰だったのか? 恐るべき〃闇〃の指令者とは――。 歴史の暗部に消え去ろうとする真実に、「海援隊」で行動をともにした陸奥宗光が迫る! 大胆かつ緻密な推理。そして戦慄の真相。「闇シリーズ」第2弾!
  • 闇の本能寺~信長殺し、光秀にあらず~
    4.0
    〃信長殺しは光秀ではない。歴史に隠された闇の人物がいた!〃 殺戮と破壊を繰り返し、「天魔」と呼ばれた信長は、憎悪と恐怖の対象だった。そして、比叡山焼き討ちを機に、信長殺害を目指してついに闇の人物が動いた。 信長の死を望む大物は多いが、謀略と密計の渦巻く信長殺しの真相に、読者(あなた)は戦慄するにちがいない……。歴史推理に著者独自の新境地を拓いた、渾身の力作。
  • ご破算侍
    -
    社寺の境内で、大道芸を演じて生計を立てている塚野金三郎。実は、剣にかけては、なかなかの腕利き。ある日彼は、奥州某藩の侍に、藩士として他藩との試合に出てくれと頼まれる。勝てば一両二分、負けても二分はくれると言う。ところが、相手方の藩士からも、負けてくれれば二両やるが、と誘われて……。さて、金三郎が獲得した礼金は? 味わい豊かな傑作時代小説集!
  • 信長の女
    -
    「信長には何人も女がいたんだ」と言うと、ほとんどの人が、疑わしそうな顔をする。 しかし信長には男女合わせて23人の子がいたのである。 女性は、7人か8人かいたが、とりわけ愛し合った女性がいた。 その女性吉乃が、産後の肥立ちが悪く29歳で死ぬと、信長が一晩中、泣き明かし、小牧山城の望楼から、墓の方角を望んでは涙ぐんでいた。
  • 大江戸人情絵巻~御家人月十郎~
    -
    武士の力はもはや衰え、豪商の財貨が力を持ち始めた江戸。御家人・桐野月十郎は、材木商一文字屋と知り合った。一文字屋の背後には、吉原に本拠をおく浅草団左衛門一族がいた。月十郎を陰から助け続ける一文字屋と団左衛門。本人も知らない、月十郎出生の秘密に、その理由があったのだった……。月十郎たちは、大きな時代の渦に巻き込まれつつあった。(『元禄町人武士』改題)
  • 史談家康の周囲
    -
    大ベストセラー『徳川家康』の著者が、その創作の動機や意図を、情熱をこめて語り、家康の実像に迫る。また、信長、秀吉、政宗など、周囲の人物像にも鋭い視線をあてた史談集。ビジネスマン必読の書。
  • さすらい街道
    -
    下総無宿、夜番の丹次郎は、孤独の影をひきずる旅鴉。「下手人は必ずおれが、たたっ斬る」顔馴染みになった小料理屋一家を、無残にも殺害した群雲の伝兵衛。丹次郎は仇を討つべく、その無宿者のあとを追った。ついに追い詰めた。しかし伝兵衛は国定忠治に斬られ、ふしぎな三つの言葉を残して死んだ。推理小説的手法を用い、股旅小説に新風を送る傑作。
  • 無頼武士道(下)
    -
    幕府体制の爛熟期、並外れた才能と反骨魂で世を渡る源内。その多彩な活躍ぶりは、人々を完全に魅了するが……。権力と金と色との渦巻くなかで、ついに己れを陥れた田沼意次に復讐を遂げる、一代の奇傑の生涯!
  • 徳川家光(一)
    -
    徳川幕藩体制は、東照大権現家康・秀忠によって確立され、三代将軍家光が確固不動のものとした。持ちまえの決断力で、次々と内外に対する諸政策を打ちだしていく家光の生涯を鋭く描いた歴史ロマン。〈全3巻〉
  • 地獄の辰・無残捕物控~首なし地蔵は語らず~
    -
    腕と度胸は抜群、喧嘩早く、ニヒルな顔立ち――人呼んで地獄の辰、江戸・深川堀川町の岡っ引き。辰の愛人・お玉が何者かに手籠めにされ、殺された。復讐を誓う彼は、北町奉行所の町方同心の片腕となった……!
  • 月影兵庫 上段霞切り
    -
    格式ばった生活を嫌い、気ままな素浪人をつづける月影兵庫。義理の伯父・松平伊豆守信明の屋敷から消えた京洛随一の美女・綾姫の行方を追って東海道の冒険道中へ……。時代小説に本格的推理を織り込んだ傑作長編!
  • 越後騒動(上)
    -
    江戸の町奴(まちやっこ)関根弥次郎は、旧主越後松平家の騒動の渦中に身を投じて、颯爽と正義の刃を揮う。彼をめぐって主家の娘照姫と、女剣士佐々木留伊が恋の駆け引きに鎬を削るが、その背後に陰謀の魔手が…。
  • 影の大老(上)
    4.0
    流浪の国学者長野主膳は、彦根城内の埋木舎(うもれぎのや)に不遇の日々を送る井伊直弼と知り合い、肝胆相照らす。やがて家督を相続した直弼は、幕府の期待を担って大老に就任。主膳は、その〃懐刀(ふところがたな)〃となる。長編歴史小説。
  • 伊達政宗(五)
    3.3
    大いなる野望を託して支倉常長をローマへ派遣した政宗。だが、頼みとするエスパニヤ艦隊の来援は遂に幻と消えた。焦燥にかられる政宗の目前で、難攻不落を誇った大坂城は崩れ落ち、戦火の中に豊臣家は滅ぶ!
  • 伊達政宗(四)
    4.0
    切支丹禁止令の噂が広まるなか、越後少将忠輝の執政大久保長安が企んだ大陰謀。ついに最後の荒療治・大坂城攻めを決意する大御所家康。〃天下取り〃の好機到来とみた政宗は、江戸の伊達屋敷にあって策をこらす。
  • さむらい一匹(上)
    -
    老中水野出羽守は、美濃加納藩主の娘小桜姫を将軍の側室に送り込み、己の権勢維持を狙っていた。対立する松平和泉守は、凄腕の剣士たちを雇って妨害を計る。江戸に向かう姫と、警護する剣士勘八郎の危険な道中!
  • 鎧櫃の血
    -
    三浦老人の話は、およそ二十四、五の短編である。単彩の話題をとらえて、人生の断面を衝き、時代相と生活が渾然と融け合っている……。「江戸」がすっかり懐ろに収まっている趣きである。全十八編収録。

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  • 鷲(わし)
    -
    お鷹場を荒らす尾白の鷲をめぐって血みどろの葛藤(「鷲」)、名工の兜が持ち主に祟りをもたらす(「兜」)など、不思議な因縁の糸に導かれ、人知を越えた恐怖の世界を、ふと垣間見てしまった人々の運命は?(全十編)

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  • 鯨分限(くじらぶげん)
    3.7
    幕末から明治へ――。捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁・太地覚吾を、激変する時代の荒波が襲う。外国船の乱獲による鯨の不漁、南海地震による大津波、村を救うため画策した蝦夷地での操業も頓挫する。そして、巨鯨を追うあまりに引き起こされた海難事故「大背美流れ」では、100名以上の生命が奪われる。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の物語。
  • 恋情の果て
    4.0
    江戸に駆け落ちしてきた男と女。掏摸にあい、公事師に騙されたあげく、妓楼の女主人に買われた三次。「おらも、あとから逃げる」という言葉を信じて彼を待ち続けたおとせ。十年後、三次と再会したものの、料理屋の主人となったおとせの心はなぜか揺れる……。(「恋情の果て」よリ)身悶えするほどの恋着、嫉妬、見栄、欲望――熱く静かに心震わせる女たちを描く時代小説短編集。
  • 馬喰八十八伝
    -
    年老いた母を種付け馬・花雲の背中に乗せ、嘘を封じる百カ所まいりに出た若者。馬の名産地・桜七牧で、真実を述べたばかりに八十八回叩かれた腹いせに、同じ数の嘘をつき生きることを決意、自ら八十八と名乗る。悪代官に野盗の頭目、一癖も二癖もある相手に、嘘つきの天才八十八が言葉巧みに勝負を仕掛ける。恋あり、オゲレツあり、爆笑必至、痛快な男の出世物語。
  • 魔海風雲録~都筑道夫コレクション〈時代篇〉~
    5.0
    豊臣から徳川への歴史の転換期――。木曽の山中では、山大名・紅面夜叉の隠し財産をめぐり陰謀が渦巻いていた。そのありかを記すとされる魔鏡の争奪戦。手から手へ渡るたび人々の運命を翻弄し、その果て、魔鏡は南の大海原、奴隷船の上に流れ着いたが……。(魔海風雲録) ほか、傑作時代短篇「西郷星」及び「善亭武升なぞ解き控」を合わせた3篇を収録。
  • 光秀曜変
    3.0
    信長に仕え二十年。丹後丹波を平定し一国の主となった光秀。齢六十を過ぎたが、嫡男は幼く、まだまだ隠居はできない。主君の覚えを得るためには武勲を上げ続けねばならぬのだが……。安土で家康への饗応を命ぜられた光秀は失態を演じ、主君の不興を買う。不安に駆られる光秀に追い打ちをかけるような下知が。領地召し上げ。追い込まれた光秀が兵を挙げた先は――。

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