木練柿(こねりがき)

木練柿(こねりがき)

小説・文芸
814円 (税込)

4pt

胸を匕首(あいくち)で刺された骸(むくろ)が発見された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎が袖から見つけた一枚の紙、そこには小間物問屋遠野屋の女中頭の名が。そして、事件は意外な展開に……(「楓葉の客」)。表題作をはじめ闇を纏う同心・信次郎と刀を捨てた商人・清之介が織りなす魂を揺する物語。時代小説に新しい風を吹きこんだ『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ第3巻、待望の文庫化。

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木練柿(こねりがき) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    「弥勒の月」に続く二作目 「宵に咲く花」「木練柿」が特に情感にあふれ、三人の今が、過去につながる話に事件が絡んで面白い。
    「木練柿」はシリーズの核になる三人を巡る、4編の短編から成っている。

     「楓葉の客」
    「遠野屋」でかんざしを盗んだ娘を、手代の信三が見つける。彼女は糸屋「春日屋」の一人娘で、親にすすめられた縁談がいやで、歩いているうちについふらふらと店に来て手が出たのだという。
    一方若い男が殺される。それがまた、女中の知り合だった。
    これらが「遠野屋」に起きた事件の発端だった。

     「海石榴」の道
    「遠野屋」で清之介が始めようとした、今で言う着物から草履、小物までのコーディネイトをするという企画が、「黒田屋」の殺人騒ぎで中止になっていた。もう一度始めようかというときに、仲間に入るはずだった「三郷屋」が殺人犯としてつかまってしまう。言い訳のできない状況だったが、信次郎はあまりの出来過ぎた状況に不信感を持つ。

     「宵いに咲く花」
    伊佐治の息子の嫁には、夕顔を見ると不可解な不安と恐怖を覚るという悩みがあった。
    だが夫婦仲はよく、良く働く気立てのいい嫁で幸せだった。
    ある日買い物に出て遅くなって帰る途中、暗がりで襲われる。
    ひねくれものの信次郎は、相変わらずいやみな男だったが、勘は冴えていた。

    「木練柿」
    清之介が刀を捨てたのは、亡くなったおりんに出会って「遠野屋」の婿に入るときだった。生き方に迷っていた彼に、両刀を預かりながらおりんは「お覚悟を」といった。この言葉は今でも彼の中で生きていた。
    平穏な日々の中で養子にして、可愛さが増してきた赤ん坊のおこまが散歩の途中で誘拐される。
    平身低頭して助けを頼む清之介を前に、信次郎は「おこまは生きている」と断言する。

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    シリーズ3作目、清之助、信次郎、伊佐治が事件の解明に一肌脱いでいくのは同じである。
    今回は4つの短編だったが、弥勒の月で冒頭で亡くなった清之助の妻おりんのことも描かれていてシリーズに厚みを感じた。

    「楓葉の客」は春日屋の娘お絹が遠野屋で櫛を万引きをする。そのころ、信次郎と伊佐治はあがった死体の見分をしていた。どんな縁があるのか。
    「海石榴の道」は帯屋の三郷屋の主である吉治がおせんの元を訪ねたらおせんが首を吊っていた。吉治は人殺しの嫌疑をかけられる。さて結末は?

    「宵に咲く花」では、伊佐治の義理の娘おけいは、幼いころから夕顔の花が怖く、白い花を見ると熱を出したり、気を失ったりしていた。伊佐治の息子と結婚し忘れていたが、ひょんな事から夕顔に出くわしてしまう。おけいの内面に潜むものはなんだろう。かんぴょうが夕顔の実からだとは知らなかった。干瓢と漢字で見ても夕顔は出てこなかった。知らないことを知る喜びは人のDNAに組み込まれている不変の欲求のように思う。

    「木練柿」は熟柿だろう。私は甘い熟柿が好きで、ふるさと納税でいただいたが一箱届き、食べきれそうになかったのでご近所にお裾分けした。さて、物語はおみつに連れられ散歩に出ていた赤ん坊のおこまが拐われる。おこまは清之助とおりんの間の子ではないが、清之助が育てている娘だ。
    木が清之助やおりんで、おこまが木練柿で木に守られて育っていくのだろう。

    短編4作というが、私には一つの作品の章立てのように感じた。そう感じるのは親子の間柄がテーマになっていると感じたからだ。あさのあつこさんの表現力に魅了された。

    0
    2023年06月14日

    Posted by ブクログ

    信次郎の「うるせえよ」にいつもドキッとしてしまう。
    ホント酷いし、実際居合わせたら(そんな、言い方ってもんがあるだろうに)って絶対思うんだろうけど、確かに騒ぐより大事な事があるわけで、間違ったことは言ってなくて……。
    だから、ハッとしてしまうのかな。

    遠野屋さんは風のない月夜のイメージだなぁ。
    信次郎と出遭ったことは良くも悪くもあるだろうけど、
    親分さんを父のように慕ってて欲しいなぁって思ってしまう。

    0
    2021年06月26日

    Posted by ブクログ

    『弥勒の月』『夜叉桜』に続くシリーズ第3巻。

    ⬛︎ストーリー⬛︎
    胸を匕首(あいくち)で刺された骸(むくろ)が発見された。北定町廻(きたじょうまちまわ)り同心の木暮信次郎が袖から見つけた一枚の紙、そこには小間物問屋遠野屋の女中頭の名が。そして、事件は意外な展開に……

    0
    2021年01月16日

    Posted by ブクログ

    遠野屋を真ん中にした短編集。
    めちゃくちゃ面白かった。
    本シリーズ3作目までの、最高傑作。
    ハートウォーミングな話もあれば、謎解きを満喫できるものもあり、さらには遠野屋とおりんの恋話まで大満足の一冊だった。

    0
    2019年11月10日

    Posted by ブクログ

    3作目になったからか、短編集だからか、登場人物に慣れてきたからか、前2作に比べるとスルスル読めて気持ちが良かったです。
    ホッとする感じがありました。
    このシリーズの映像化も難しいだろうなあ。登場人物を演じられる人って、とても上手な人だろうな、と思います。
    主人公二人、けっこう若いんですよね。読んでいくうちに、人生の深い経験者のような年齢を思ってしまうけれども、若いんですよね。
    さて、4作目に進むとしましょうか。

    0
    2015年03月10日

    Posted by ブクログ

    弥勒の月から、登場人物がお互いに熟れて行くのが分かる。
    ストーリーに唐突感を覚えることもあるが、丁寧で優しい文章に引き込まれる。

    0
    2015年02月04日

    Posted by ブクログ

    清之助と信次郎の2人の関係がなんとも言えず興味深い。研ぎ澄まされた刃で向き合うような緊張感がありながら、お互いに惹かれ合う好敵手。
    また、物語も血縁ではない者が本当の家族になろうとする心の繋がりを描いたものが多く、そのひた向きさに世知辛いこの世界に希望が見える気がした。
    あさのあつこ、さすがと思わせる。
    前作をもう一度読み直したくなった。

    0
    2013年04月01日

    Posted by ブクログ

    このシリーズ、弥勒シリーズって名前なのか…どうなの?いいの?弥勒は一昨目だけなのにな。
    兎に角。
    第三弾にして、短編集。四つのお話が入っています。私は伊佐治贔屓なので、宵に咲く花がお気に入りです。
    このシリーズで、この第三弾が一番好き。短編で描いても、くすまないあさのあつこの旨さには唸る。
    まぁしかし、清さんに怒涛のごとくトラブル発生なのは…物語の性質上仕方ないとしても。なんというか。トラブルまみれで、気の毒になる(笑)がんばれ、清さん、がんばれ、遠野屋。

    0
    2013年01月04日

    Posted by ブクログ

    シリーズ三作目。
    今回は信次郎や伊佐治、遠野屋清之介の周辺の人たちにスポットを当てた連作短編集。
    周囲の人がこの3人をどのように見ているのかがよくわかる。
    皆総じて信次郎を良く思っていないのがすごいが、ここまでくるとちょっと会ってみたいとさえ思える。

    でも最後に遠野屋に向かって言った「お前は大切な物を背負ってはいけない」というのは真理だなと思った。

    0
    2025年12月28日

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