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  • 第二次マンガ革命史 劇画と青年コミックの誕生
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    1巻2,420円 (税込)
    戦後、それまでの「漫画」は、手塚治虫による「ストーリーマンガ」の登場により、まったく別のものになった。これを仮に「第一次マンガ革命」と呼ぶ。 従来の風刺画・滑稽画から始まった「漫画」と、手塚の「ストーリーマンガ」とは、「コマ」があること、「ふきだしの中にセリフが書かれている」という共通点はあるが、「物語」の有無において根本的に異なっていた。 戦前からの「漫画」を引きずりながら、戦後の「マンガ」は新たな文藝ジャンルとして発展していった。手塚マンガは多くの亜流を生み、テレビアニメとも連動して、巨大産業へと成長した。 だが、やがて「手塚マンガは古い」とする勢力が現れた。彼らは自分たちの描くマンガを、手塚治虫とその影響下にあるマンガと区別するために「劇画」と呼んだ。 「劇画」が登場したのは貸本屋向けのマンガにおいである。一九五〇年代の日本は、まだ本や雑誌を買える人が限られていたので、貸本屋が隆盛だった。 貸本マンガの読者は子どもだけでなく、中卒・高卒で働いている若い労働者も大衆小説と同じように読んでいた。しかし、すでに中学生ではない彼らは、マンガを好んではいたが、「子どもっぽい」と物足りなく感じていた。描き手のマンガ家たちも子ども相手のマンガに物足りなくなっていた――ここに需要サイドと供給サイドの思いが一致し、青年を読者に想定したマンガが生まれた。その青年向けマンガの描き手が、自分たちの描くものは「劇画」だと宣言したのが、一九五九年である。 そしてこの同じ年、小学館は「週刊少年サンデー」を、講談社は「週刊少年マガジン」を創刊し、両誌ともマンガを柱とした。月刊の少年誌・少女誌もマンガが柱となっており、少年マンガ・少女マンガは隆盛を迎えていた。 それにともない、一九六〇年代も半ばになると、貸本マンガ業界が衰退していく。ごくわずかの貸本マンガの描き手だけが、一般書店で販売される雑誌へ転身できた。その代表が白土三平や水木しげるだった。彼らを積極的に受け入れたのが、手塚治虫と絶縁した「週刊少年マガジン」で、少年誌でありながら劇画の牙城となっていく。 白土と水木の二人を柱にして、一九六四年に「ガロ」が創刊された。新人の発掘にも熱心で、実験的・前衛的なマンガがこの雑誌から生まれていく。 「ガロ」に刺激されて、一九六六年に手塚治虫が創刊したのが、「COM」だった。この雑誌からも多くの新人が巣立っていく。 一方、青年がマンガを読むと知った出版社は、「青年コミック」という新たな市場を開拓した。一九六六年に「コミックmagazine」(芳文社)が最初の青年マンガ誌として創刊され、六七年に「週刊漫画アクション」(双葉社)と「月刊ヤングコミック」(少年画報社)、六八年に「ビッグコミック」(小学館)、「プレイコミック」(秋田書店)と次々と青年コミック誌が創刊された。「劇画」はこの新市場にも流れ込んだ。 手塚治虫の革命が第一の革命ならば、「劇画」は第二の革命の始まりだった。やがて「青年マンガ」「青年コミック」が市民権を得て第二次マンガ革命は成就する。(「はじめに」より抜粋)
  • 怖いクラシック
    3.5
    クラシック音楽は、日本ではいつからか「癒しの音楽」と喧伝されるようになった。だが、本質はその対極にある。死、神、孤独、戦争、国家権力――。こうした「恐怖」こそが、偉大な音楽家たちを駆り立ててきたのだ。モーツァルトからショスタコーヴィチまで、「恐怖」をキーワードに辿る、異色の西洋音楽史。
  • 不朽の十大交響曲
    値引きあり
    -
    この本は交響曲の十の名曲を選び、その曲にまつわる物語を記す歴史ノンフィクションである。いわゆるベストテンものは、何を選んでも、「あれがないのはおかしい」「これより、あっちだろう」というご批判をいただくのが宿命である。この本の選曲にもご異論のある方がいるだろう。選曲にあたっては、私の好み、愛聴曲ではなく、交響曲の歴史において重要と思う曲を選んだ。それだけですぐに二十曲くらいになり、何らかのタイトルが付いていて、知名度のあるものを優先させた。一話ごとに独立しているので、関心のある曲から読んでいただいてもかまわないが、順番に読んでいただき、その曲を聴いていただければ、「音楽史の流れ」が感じられるようにしたつもりだ。(「はじめに」より) <目次> はじめに 交響曲とはどんな音楽か 第一話 ジュピター  交響曲の最高神 第二話 英雄  英雄になった交響曲 第三話 運命  運命は扉を叩いた 第四話 田園  田園の気分と情景が交響曲になる 第五話 未完成  未完なのに名曲になった交響曲 第六話 幻想  恋愛から生まれた交響曲 第七話 悲愴  静かに終わる交響曲 第八話 新世界  交響曲は大西洋を渡る 第九話 巨人  姿を変え、名を変えた交響曲 第十話 革命  大粛清から生まれた交響曲 あとがき 参考文献
  • 江戸川乱歩と横溝正史
    3.7
    日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。ほぼ同時期にデビューした二人は、盟友として認め合い、生涯変わらぬ友情で結ばれた。それも作家同士というだけでなく、時に一方が編集者となって支えるという希有なつながりだ。この濃密な関係はどのように生まれ、育まれたのか──二人の足跡を辿りながら、数多の作品群を通して出版界の興亡のドラマをも描き出す、空前の対比評伝。
  • 悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東
    4.0
    権力を握ることは悪ではないが、激しい闘争を勝ち抜き、のしあがった者に“ただのいい人”はいない。本書は歴史上、最強最悪といわれる力を持った三人の政治家――ヒトラー、スターリン、毛沢東の権力掌握術を分析。若い頃は無名で平凡だった彼らは、いかにして自分の価値を実力以上に高め、政敵を葬り、反対する者を排除して有利に事を進め、すべてを制したか。その巧妙かつ非情な手段とは。半端な覚悟では読めない、戦慄の立身出世考。
  • 阿久悠と松本隆
    4.5
    「また逢う日まで」「UFO」「勝手にしやがれ」「ルビーの指環」「赤いスイートピー」──日本の大衆がもっともゆたかだった昭和後期。「うた」で時代を完全に支配した不世出の作詞家2人を主人公に、あの時代の残響と1億人の集合無意識を描ききる力作評伝。
  • アニメ大国 建国紀 1963-1973 テレビアニメを築いた先駆者たち
    3.0
    アニメに憧れたマンガの神様の“功”と“罪” 宮崎駿、高畑勲らが台頭した東映動画の躍進。エイケン、東京ムービー、タツノコプロ、ピープロ、スタジオ・ゼロなどの誕生。手塚治虫による虫プロ設立から倒産まで――その10年にわたる黎明史を描く。日本テレビアニメ史の決定版! 過酷な制作環境の中で、「動くマンガ」に執念を燃やし、テレビアニメ産業を創出した情熱家たちの物語。 マンガ×SF×週刊誌×テレビ――メディアミックスで「アニメ」が生まれる軌跡!  テレビアニメの歴史が、間もなく六〇年になろうとしている。  最初の国産連続テレビアニメは、一九六三年一月一日放映開始の『鉄腕アトム』であり、この年が「テレビアニメ元年」となる。『アトム』が大ヒットすると、早くもその年の一〇月に『鉄人28号』、一一月に『エイトマン』と『狼少年ケン』が始まった。  『鉄腕アトム』は手塚治虫のマンガを原作とし、手塚治虫が創立した虫プロダクションが制作したテレビアニメである。手塚治虫は戦後のストーリーマンガの始祖であると同時に、日本のテレビアニメの創始者でもあった。  テレビアニメ『鉄腕アトム』放映開始四年前の一九五九年春、小学館の「週刊少年サンデー」と講談社の「週刊少年マガジン」が同時に創刊された。「サンデー」「マガジン」創刊により、「少年雑誌」は週刊誌時代を迎えた。この二誌の創刊号の発売は一九五九年三月一七日で、四月一〇日に「皇太子(平成時代の天皇)ご成婚」があり、そのパレードを見るために、多くの人がテレビを買った。  一九五九年の「ご成婚」から六四年の東京オリンピックまでの五年で、ほとんどの家庭がテレビを持つようになった。テレビの普及は人びとの生活を、「月」単位から「週」単位へと変え、出版社はそれに合わせて週刊誌を次々と創刊した。  そのテレビ・週刊誌時代に勃興した新しい文藝ジャンルが、週刊誌の連載マンガであり、テレビアニメだった。  日本のテレビアニメは、創始者である手塚治虫がマンガ家だったこともあり、マンガと密接な関係を持ちながら発展していく。テレビアニメの大半はマンガを原作にしており、オリジナル作品であっても、マンガ家によるコミカライズが雑誌に連載されるケースが多く、最初期からメディアミックスがなされていた。  この本はそのテレビアニメの黎明期を歴史として描くものである。  約六〇年の歴史を持つテレビアニメの「黎明期」とはいつまでなのか。本書では、虫プロダクション倒産の一九七三年を黎明期の終わりと定義する。そして、直接の後日譚として、『宇宙戦艦ヤマト』までを描き、黎明期から拡大期への移行を確認して終える。  黎明期のさらに前、敗戦直前の映画館から物語は始まる。群像劇となるので主人公はいないが、しいて挙げれば、手塚治虫が中心になる。〈「はじめに」より〉 【目次】 第1章  手塚治虫が見たアニメ史 第2章  テレビ時代到来 第3章  最初の手塚アニメ『西遊記』 第4章  「虫プロ」への道 第5章  『鉄腕アトム』革命前夜 第6章  トキワ荘再結集「スタジオ・ゼロ」 第7章  「TCJ」と若きSF作家たち 第8章  出遅れた「東映動画」 第9章  「ピープロ」参入、「東京ムービー」設立 第10章 〈宇宙SFブーム〉と「タツノコプロ」 第11章 ライバルは〈怪獣ブーム〉 第12章 『オバQ』から『パーマン』へ 第13章 『009』の孤独な闘い 第14章 海外児童文学のアニメ化『ムーミン』 第15章 〈スポ根〉の熱狂 第16章 『ルパン三世』で始まる新時代 第17章 『マジンガーZ』と玩具ロボットの蜜月 第18章 〈建国の英雄〉の退場
  • アニメ大国の神様たち 時代を築いたアニメ人 インタビューズ
    4.5
    日本アニメを創出したのは一人の力ではない! 未開の映像表現を追いかけた職人たち、その貴重な記録。 中日新聞連載の「アニメ大国の肖像」待望の書籍化! ■「アニメ大国の肖像」とは? 2005年11月から2008年3月まで毎週1回、「中日新聞」朝刊文化面、および「東京新聞」夕刊にて掲載されていた、アニメ関係者へのインタビュー連載。番外編も含め全120回、40人近くの人物が登場する。テレビアニメ黎明期から活躍する脚本家・辻真先を筆頭に、制作当時のエピソードをまじえながら、「アニメ大国」の歴史に名を刻んだ名作たちの舞台裏を聞き出す。 ■「まえがき」より いったい、誰がアニメを作ったのか―。〈略〉突っ込んだ取材をしてみたいと思って取り組んだのが、本書の基となった「アニメ大国の肖像」の連載である。〈……〉アニメを実際に作ったのは、紛れもなく本書に登場するみなさんであった。そして、日本をアニメ大国にした業績は、有名なアニメ監督だけではなく、むしろ現場で限られた予算、人材、時間の中で、工夫を凝らして最高の表現を私たちに届けようと努力した方々にこそ、帰せられるべきだと確信した。〈……〉もう鬼籍に入られた方もおり、その声を再び聞くことはできないので、本書に収められた貴重な証言を、ぜひ味わってほしい。 【目次】 まえがき 三沢典丈 豊田有恒×辻真先 ―― 茶の間でアトムが飛んだ  月岡貞夫 ―― “オリジナル”のテレビアニメ「狼少年ケン」  白川大作 ―― 初の少女向け「魔法使いサリー」を企画  須藤将三 ―― 虫プロ営業担当が見た、手塚治虫のアニメへの情熱  鈴木良武 ―― アニメ脚本家の地位向上を  杉井ギサブロー ―― 映像表現としてのアニメの可能性探り  鷺巣政安 ―― 利益と制作費の間で模索して  雪室俊一 ―― 「サザエさん」を書き続けられた秘訣  おおすみ正秋 ―― 舞台で培った演出術をアニメでも 大塚康生 ―― アニメ職人がこだわる“リアリティー”  小田部羊一 ―― 描かれた世界の中でキャラクターを生き生きと  黒田昌郎 ―― 「世界名作劇場」の傑作群を演出 鈴木伸一 ―― トキワ荘のメンバーと「スタジオ・ゼロ」設立 熊倉一雄 ―― 「ゲゲゲの鬼太郎」主題歌も大ヒットした名優 山崎敬之 ―― 「巨人の星」から「アンパンマン」まで担当 出崎統 ―― 「止め画」という革新的演出術 九里一平 ―― 「タツノコプロ」を兄弟と設立 笹川ひろし ―― タツノコアニメはSFもギャグも 鳥海尽三 ―― タツノコのストーリーとアイデアを支える 藤川桂介 ―― 「マジンガーZ」「宇宙戦艦ヤマト」の脚本家 中村光毅 ―― 美術監督として数多の名作を 大河原邦男 ―― メカニックデザイナーの草分け 富野由悠季 ―― 「機動戦士ガンダム」の挑戦 山浦栄二 ―― リアルロボットもので熱狂を生む「サンライズ」を創業  安彦良和×辻真先 ―― ロボットアニメとは何か  松崎健一 ―― SFマニア視点で、設定に奥行きを  高橋良輔 ―― 演出経験が「装甲騎兵ボトムズ」に結実  石黒昇 ―― 「アートランド」を設立し、若い才能を輩出  田代敦巳 ―― 音響監督として名作を彩る  芝山努 ―― 「ど根性ガエル」「ドラえもん」の美しい絵コンテ  岡崎稔 ―― 鳥山明原作アニメが世界的な大ヒット  香西隆男 ―― 苦労しながら歩んだアニメーター人生  湯山邦彦 ―― 「ポケットモンスター」はゲームから世界的アニメに 原恵一 ―― 「クレヨンしんちゃん」の演出からオリジナルアニメ監督へ  辻真先 ―― 脚本家よ、未知の領域へ踏み出せ 解説 中川右介 コラム1 リミテッドアニメは議論の的 コラム2 分業体制の光と影 コラム3 過酷なアニメ制作環境 コラム4 マーチャンダイジングの功罪
  • 市川雷蔵と勝新太郎
    4.0
    市川雷蔵と勝新太郎ともに一九五〇年代から六〇年代にかけて、大映、いや日本映画界を支えた俳優である。 歌舞伎から映画へ移った俳優たちはみな、世襲と門閥で配役が決まる歌舞伎の世界ではいい役につけず、映画という新天地を目指した。そして雷蔵の死と大映の倒産で「時代劇映画の時代」はとりあえず終わり、残った時代劇スターたちの活躍の場もテレビへ移行した。雷蔵と勝は、歌舞伎から映画へ移り成功した最後の世代だった。 はじめに 前史 第一部 関西歌舞伎の凋落  第一章 脇役の子 一九三一年~一九五一年  第二章 歌舞伎役者・市川雷蔵 一九五二年~一九五四年 第二部 長谷川一夫を追う者たち 一九五四年~一九六二年  第一章 注目されないデビュー 一九五四年  第二章 雷蔵の飛躍 一九五五年  第三章 量産時代の始まり 一九五六年  第四章 開く差 一九五七年  第五章 日本人が最も多く映画を見た年 一九五八年  第六章 忍び寄るテレビ 一九五九年  第七章 それぞれの転機 一九六〇年  第八章 悪名 一九六一年   第九章 座頭市と忍びの者 一九六二年  第三部 両雄並び立つ 一九六三年~一九七一年  第一章 カツライス時代の幕開け 一九六三年  第二章 新しい取り組み 一九六四年  第三章 第三のシリーズ「若親分」「兵隊やくざ」 一九六五年  第四章 第四のシリーズ「陸軍中野学校」「酔いどれ博士」 一九六六年  第五章 勝プロ創立 一九六七年  第六章 雷蔵倒れる 一九六八年  第七章 雷蔵無念 一九六九年  第八章 雷蔵のいない大映 一九六九年~一九七一年 終章 生ける伝説 一九七二年~一九九七年 あとがき 市川雷蔵・勝新太郎・長谷川一夫 出演映画リスト 参考文献
  • イラストでわかる!クラシックの楽しみ方
    -
    ※この電子書籍は固定レイアウト型で配信されております。固定レイアウト型は文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 クラシック音楽を、教養として知っておきたいという気持ちはあっても、いざ聴いてみても「長い」「わからない」と挫折してしまった人は多いかもしれません。 確かにクラシック音楽はポップやロックといった音楽にくらべ、楽しむためには少しの知識が必要かもしれません。 本書では、「クラシックとは何か?」から始まり、曲の聴き方、作曲家と彼らが生きた時代までを100点以上のイラストを用いて楽しく解説します。 難しい解説は一切なく豊富なイラストを眺めているうちに、自然とクラシック音楽の基本がわかり、難解に思っていた曲もいつのまにか楽しく聴こえてくることでしょう。
  • 江戸川乱歩と横溝正史
    4.0
    日本の探偵小説を牽引した二大巨頭、江戸川乱歩と横溝正史。盟友として、ライバルとして、お互い認め合い、時に対立しつつ、一方が作家として執筆するとき、他方は編集者として支えた。太陽と月にも喩えられる日本文学史上稀な関係は、どのように生まれ育まれたのか。二人の大作家の歩みを辿りながら、日本のミステリ史のみならず、日本の出版史をも描き出す、空前の対比評伝! 【目次】はじめに/第一章 登場―「新青年」 ~一九二四年/第二章 飛躍―『心理試験』『広告人形』 一九二五~二六年/第三章 盟友―『江戸川乱歩全集』 一九二六~三一年/第四章 危機―『怪人二十面相』『真珠郎』 一九三二~四五年/幕間―一九四〇~四五年/第五章 再起―「黄金虫」「ロック」「宝石」 一九四五~四六年/第六章 奇跡―『本陣殺人事件』 一九四六~四八年/第七章 復活―『青銅の魔人』 一九四八~五四年/第八章 新星―『悪魔の手毬唄』 一九五四~五九年/第九章 落陽―乱歩死す 一九五九~六五年/第十章 不滅―横溝ブーム 一九六五~八二年/あとがき
  • 大林宣彦の体験的仕事論 人生を豊かに生き抜くための哲学と技術
    4.5
    2012年公開の『この空の花─長岡花火物語』が各界から絶賛。一方でAKB48のPV『So long! THE MOVIE』も手がけ、独特の世界観と64分という長尺でAKBファンの度肝を抜いた。映画会社に就職しなければプロの映画監督になれなかった時代に、道なき道をいかに切り拓いていったか。映画界が大きく変化しても、第一線で活躍し続けていられたのはなぜか。その半生と仕事論を語り尽くす。「映画はひとりでは作れません。多くの俳優やスタッフが集まって作るのです。監督はその現場の責任者です。芸術面だけでなく、マネージメントの責任者でもあるのです。(中略)さらに、映画を作るには資金が必要です。そして映画は興行ですから、お客さんに映画館に来てもらわなければなりません。映画は多くの企業と人が関与するビジネス・プロジェクトなのです。(中略)つまり、大林宣彦は芸術家であると同時に、半世紀にわたりビジネスの最前線の現場にいた人でもあるわけです。そして驚異的なことに、七十七歳になったいまでも現役です。そんな人が自分の体験に基づいて、成功の秘訣、仕事を得る方法、リーダーとしての心得、失敗しても挫折しない方法など、縦横に語ってくれます。そんな、贅沢な本なのです」(本書「はじめに――映画作家の体験的仕事論が、なぜすべてのビジネスの現場で通用する話なのか 中川右介」より抜粋)
  • 角川映画 1976-1986[増補版]
    3.5
    1970年代半ば、低迷していた日本映画界に登場した角川映画は、日本初の本格的メディアミックスだった! 小説と映画と主題歌をヒットさせ、ベストセラー作家とスターを生んでいく。「犬神家の一族」に始まり、「野性の証明」「復活の日」等の大作、「セーラー服と機関銃」「時をかける少女」等のアイドル映画。疾風怒涛の10年を描くノンフィクション。 2016年「セーラー服と機関銃-卒業-」(主演・橋本環奈)、「エヴェレスト 神々の山嶺」(主演・岡田准一、阿部寛)など角川映画40周年記念映画が公開。本書も40周年を記念して、大幅加筆で待望の再登場! 角川映画1986年以降、角川歴彦の「新生角川映画」、角川映画40周年の大きな流れも加筆して描く増補版!
  • 歌舞伎 家と血と藝
    4.3
    当代の役者はいかなる歴史を背負って舞台に立っているのか? 明治から現在まで、血と家と藝が密接にからみあう歌舞伎の世界には、波瀾万丈の人間ドラマがあった。歌舞伎座の頂点を目指す七大名家の興亡を描きつくした大著。歌舞伎を観るのが、もっと面白くなる! (講談社現代新書)
  • 歌舞伎一年生 ──チケットの買い方から観劇心得まで
    3.3
    歌舞伎を見るのに知識は必要ありません。見れば、難解ではなく、かっこよくて美しいと分かるはず! 贔屓の役者やお気に入りの演目を見つけるまでのドキュメンタリー的入門書。
  • 歌舞伎座誕生 團十郎と菊五郎と稀代の大興行師たち
    3.8
    歌舞伎座という「異界」はいかに誕生したか。黒船襲来から民権運動、歌舞伎界に押し寄せる近代化の波。江戸最後の大スター・3代目澤村田之助、團・菊・左、興行師と旦那衆、伊藤博文ら維新の元勲――。文明開化期の劇壇で織りなされた人間模様の実録。
  • カラヤン帝国興亡史 史上最高の指揮者の栄光と挫折
    3.6
    巨匠フルトヴェングラー亡き後、音楽界の頂点、ベルリン・フィル首席指揮者の四代目の座を?んだ男、ヘルベルト・フォン・カラヤン。彼は類い稀なる才能と権謀術数を駆使し、ザルツブルク音楽祭、ウィーン国立歌劇場他、名オーケストラの実権を次々掌握、前代未聞の世界制覇を成し遂げる。何が彼をかくも壮大な争覇の駆け引きに向かわせたのか? 盤石だったはずの帝国に迫る脅威とは? 二十世紀音楽界ですべてを手にした最高権力者の栄華と喪失の物語。
  • カラヤンとフルトヴェングラー
    4.0
    クラシック界最高の名声と金そして権力が集中するベルリン・フィル首席指揮者の座。ナチス時代、その三代目に君臨する巨匠フルトヴェングラー。彼は誠実な音楽の僕でありさえすればよかった、比類なき才能と野心をもった青年カラヤンが現れるまでは――。嫉妬の炎を執拗に燃やし詐略をめぐらす巨匠、巧みに抗うカラヤン、そこに巨匠を慕う無名の田舎音楽家チェリビダッケが加わり、争いはさらに複雑になる。クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ。
  • クラシック音楽の歴史
    値引きあり
    3.4
    人物や事件、概念、専門用語をトピックごとに解説。時間の流れ順に掲載しているため、通して読めば流れも分かる。グレゴリオ聖歌から二十世紀の映画音楽まで。「クラシック音楽」の学び直しに最適な1冊。
  • グレン・グールド
    3.4
    「演奏態度は最低、演奏は最高」と評された孤高のピアニスト、グレン・グールド。なぜ彼は「コンサートは死んだ」と言い、ステージに上がらなくなったのか。生誕80年、没後30年にあたる今年、コンサート・ピアニスト時代の軌跡を追うことでその謎に迫る。
  • 月9 101のラブストーリー
    4.0
    一九八七年四月にフジテレビのドラマ枠となってから、都会を舞台にした若い男女の華やかな恋愛物語を徹底化させた“トレンディドラマ”で革命を起こし、爆発的なヒットを飛ばしてきた「月9」。 ヒロインの最新ファッションや人気スポット以上に、人々を熱中させたものは何だったのか? 私たちは何を投影し、共感したのか? 絶頂期の『ロンバケ』を含む三十九作品を中心に、「月9」が連続ドラマの頂点に立つまでの十年の軌跡をたどる。 ドラマこそ今を映すジャーナリズム。恋愛ドラマとバブル経済と日本の興亡が重なる壮大な歴史ノンフィクション。
  • 現代の名演奏家50 クラシック音楽の天才・奇才・異才
    3.0
    非凡な才能を持つ音楽家同士の交流は深く激しい。帝王カラヤンに見初められ女王の道を駆け上がった天才少女ムター(Vn)、グリモー(Pf)とアルゲリッチ(Pf)という美貌と野性味溢れる新旧異才の共鳴、反体制を貫きソ連国内でほぼ演奏できなかったロストロポーヴィチ(Vc)を復活させた小澤征爾…。彼らは何をきっかけに師弟やライバル、恋人となったか。時に対立し、それは音楽にどう影響したか。自らの才能だけを頼りに栄光を掴みながらも戦争や冷戦に翻弄される天才たちの50の邂逅の物語が、現代クラシック界の1枚の相関図として浮かび上がる。
  • 国家と音楽家
    5.0
    ナチスに翻弄されたフルトヴェングラーとカラヤン。ムッソリーニに抵抗したトスカニーニ。スターリン圧政下を生き抜いたショスタコーヴィチとムラヴィンスキー。愛するが故に母国ポーランドを離れた名ピアニストたち――戦争と革命の時代、世界的名声を得た作曲家や演奏家は「音楽の力」を信じて権力者と対峙した。激突、妥協、沈黙、亡命、偽りの服従……極限状態での生きざまを描く、音楽家たちから見た戦争と革命の現代史。
  • サブカル勃興史 すべては1970年代に始まった
    3.0
    2010年代に入ってからウルトラシリーズ、仮面ライダー、ガンダム、あるいはベルばら、ポーの一族などが40、50周年を迎えている。逆算すれば分かるが、これらの大半は1970年代に始まったのだ――。
  • 沢田研二
    3.0
    1966年、京都の若者5人が芸能界にデビュー。沢田研二は、たちまち大スターに。だが、「時代の寵児」であり続けるためには、競争に生き残らなければならない。熾烈なヒットチャート争いと賞レースを、いかに制したか。頂点を極めるまでのジュリーの全軌跡。圧巻の情報量で、歌謡曲黄金時代を描き切る。
  • 【3冊 合本版】『クラシック音楽の歴史』3部作
    値引きあり
    -
    『クラシック音楽の歴史』 人物や事件、概念、専門用語をトピックごとに解説。時間の流れ順に掲載しているため、通して読めば流れも分かる。グレゴリオ聖歌から二十世紀の映画音楽まで。「クラシック音楽」の学び直しに最適な1冊。 『至高の十大指揮者』 音楽が歴史を動かし、歴史が音楽を変えた。交響曲と好敵手が織りなす人間ドラマ――十人のマエストロたちの人生。 『不朽の十大交響曲』 戦争と革命の150年は交響曲発展の歴史だった。名作誕生の背景から歴史と流れを紐解く。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。
  • 至高の十大指揮者
    3.7
    本書は「同じ曲でも指揮者によってどう違うのか」といった演奏比較を目的とした本ではない。もちろん、演奏を聴いていただきたいので、それぞれのCDを何点か紹介していくが、名盤ガイドではない。ネット時代のいまは、検索すればたいがいの演奏家の曲がすぐに見つかり、タダで聴くことができる。それがいいのか悪いのかは別として、かつてのような、「この曲はこの人の演奏」「この指揮者ならこの曲」という名曲名盤選びは必要なくなった。  したがって、演奏比較、その特色の解説といった観点ではなく、その指揮者がどのようにキャリアを積み上げ、何を成し遂げたかという人生の物語を提示する。  指揮者ごとの列伝なので、それぞれの章は独立しており、興味のある人物から読んでいただいてかまわないが、それぞれの物語にほかの指揮者が脇役として登場することも多いので、第一章から順に読んでいただいたほうが、通史としてわかりやすいかもしれない。 (本書「はじめに」より引用) <目次> 第1章 「自由の闘士」アルトゥーロ・トスカニーニ 第2章 「故国喪失者」ブルーノ・ワルター 第3章 「第三帝国の指揮者」ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 第4章 「パリのドイツ人、ボストンのフランス人」シャルル・ミュンシュ 第5章 「孤高の人」エフゲニー・ムラヴィンスキー 第6章 「帝王」ヘルベルト・フォン・カラヤン 第7章 「スーパースター」レナード・バーンスタイン 第8章 「無欲にして全てを得た人」クラウディオ・アバド 第9章 「冒険者」小澤征爾 第10章 「革新者」サイモン・ラトル
  • 社長たちの映画史 映画に賭けた経営者の攻防と興亡
    4.4
    ●大谷竹次郎、城戸四郎、永田雅一、堀久作、小林一三――経営者たちの興亡を中心に描く映画「経営」史 ●日本映画120年、映画の舞台裏は、かくも個性的な経営者たちの「世襲」をめぐるバトルロイヤルだった ●三船敏郎、石原裕次郎、勝新太郎、中村錦之助、そして黒澤明も、あくまで経営者として登場
  • 出版社社長兼編集者兼作家の購書術(小学館新書)
    3.5
    本のオモテとウラを知る。  著しい読書、書店離れに加え、電子書籍の規模が広がり、紙の書籍がますます売れなくなる時代。そんな時代にあって、「編集者」兼「著者」兼「出版社経営者」の中川右介氏は、買った本4万冊、作った本・雑誌500冊、書いた本50冊、読んだ本冊数不明、自らを「代表取締役編集長」と呼び、本のオモテとウラに通暁した人物。また、出す本の重版率が高く、書評で取り上げられる割合も極めて高い、まさに本の世界の“グランドスラム”です。そんな著者ゆえに語れる購書術、つまり本の賢い「買い方」を詳述する1冊が本書。  今の時代にあっては、1冊の本が書店、古書店、ブックオフなどの新古書店、さらにネットオークション、電子書籍など買い方にも多様な選択肢があり、価格も実質、一物多価といえる状況です。では、そもそも本の値段とは何か、どう買えばいいのか――。世に読書術の本が数多あるなか、本の買い方を徹底的に思考し、指南する本は、おそらく日本初ではないでしょうか。 全ての本好きに贈る、あるようでなかった究極の本の買い方術です。
  • 松竹と東宝~興行をビジネスにした男たち~
    4.0
    本書は白井松次郎と大谷竹次郎の「松竹」兄弟と東宝、宝塚を含む阪急グループの創業者の小林一三の物語である。劇場の売店の子と裕福な商家に生まれた慶應義塾卒という対照的な両者は看板役者、大劇場をめぐって数十年のあいだ、しのぎを削る。それが現在の松竹による歌舞伎の独占、阪急グループの東宝、宝塚の繁栄につながっていく――。膨大な資料を読み解いて描き出した、新たな演劇史。
  • 昭和45年11月25日 三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃
    3.9
    昭和45年11月25日、三島由紀夫、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹、介錯される――。一人の作家がクーデターに失敗し自決したにすぎないあの日、何故あれほど日本全体が動揺し、以後多くの人が事件を饒舌に語り記したか。そして今なお真相と意味が静かに問われている。文壇、演劇・映画界、政界、マスコミの百数十人の事件当日の記録を丹念に拾い、時系列で再構築し、日本人の無意識なる変化をあぶり出した新しいノンフィクション。
  • 時代の動かし方 日本を読みなおす28の論点
    -
    政治・経済から歌舞伎、恋愛、アートや相対性理論まで、各分野で活躍中の著者28名が「これだけは言っておきたい!」ことをテーマに執筆。 次々新しい出来事が起こっても、時間は地続き。情報の波にのまれそうになったら、これら28個の視点を、前に進むとき、考えるときの指針にしてください。 【収録作品(一部)】 飯田泰之 日本経済にまず“実力通り”の力を発揮させよ 生島淳 東京オリンピックもWCラグビー日本大会もすぐにやってくる 大栗博司 まさか毎日アインシュタインのお世話になるとは 沖田×華 北陸新幹線開通でおとずれた幸せと誤算 開沼博 『福島第一原発廃炉図鑑』が埋める「空白」 國分功一郎 無人島をどう生き延びるか? コグマ部長 仕事始めにテンションの上がる読書案内 今野晴貴 本当に恐ろしい「奨学金」という時限爆弾 坂口孝則 万全のリスク管理は無理だと認める勇気を持とう 佐藤慶一 “分散型”が進むメディア業界ではWebライター/編集者の“身体性”が鍵を握る 辛酸なめ子 印象に残ったフェス10選 鈴木大介 貧困問題をオワコン化するな! 武田砂鉄 2016年に求められるのは、「五郎丸ピケティ」的な語感 中川右介 海老蔵をもっと歌舞伎座に――これにつきる 中田考 難民問題が“先進国”に突きつけたもの 中村淳彦 2015年、介護という社会保障は破綻した 速水健朗 聖子とマッチとハムスターとしての僕たち 久田将義 山口組分裂で抗争勃発?乗じて半グレがのし上がる? 北条かや 上司の方々、『タラレバ娘』にきちんと向き合って下さい。 ※本作品は「幻冬舎plus http://www.gentosha.jp/」で連載した“言っておきたい!!2016”の記事をまとめたものです。
  • 十一代目團十郎と六代目歌右衛門 悲劇の「神」と孤高の「女帝」
    4.2
    戦後、大衆からの絶大な人気を誇り、市川宗家の名跡のもとで劇界を背負う宿命を負った名優、十一代目團十郎。妖艶な美貌と才芸を武器に、人間国宝、文化勲章などの権威を次々手にして這い上がった不世出の女形、六代目歌右衛門。立場の異なる二人が一つの頂点を目指したとき、歌舞伎界は未曾有の変革を孕んだ――。華やかな舞台の裏に潜む、人間の野望と嫉妬、冷徹な権謀術数の数々。最大のタブーの封印がいま解かれる。
  • すっきりわかる! 超訳「芸術用語」事典
    3.0
    ルネサンス、ロココ、アリア、ラプソディ、スピンオフ、千秋楽……。美術館や演奏会といった場面で、頻繁に出てくる芸術用語。分かったような気になっていても、いざ「説明を」と言われるとなかなか答えられないのでは? そこで本書では、そんな難解な言葉を、誰でも理解できるように超訳し、解説を加えました。知れば知るほど、芸術の世界が今より200%愉しめることウケあいの1冊!【主な超訳例】◎シュールレアリスム⇒現実を超えた不思議な世界 ◎アヴァンギャルド⇒美術の先頭の戦闘的な人々 ◎ロマン主義⇒夢みたいなお話こそ、すばらしい ◎エコール・ド・パリ⇒パリにいた芸術家のタマゴの外国人 ◎ヌーベル・バーグ→フランスの難しい映画 ◎未来派⇒未来は明るい、と信じられた人々 ◎ダダ⇒あらゆるものを否定せよ! ◎キュレーター⇒品のいい画商

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  • すべては、角川映画からはじまった。
    -
    2014年2月に発売された単行本「角川映画 1976-1986 日本を変えた10年」のもとになった情報誌「関西ウォーカー」の連載を完全再現!1970年代~80年代の角川映画初期黄金期の傑作群がどのように生まれたのかを描く。大林宣彦氏(映画作家)、井筒和幸氏(映画監督)らの当時の裏話をまじえた貴重な対談と、評論家・宇野常寛氏との対談「新旧アイドル論」も収録。「犬神家の一族」「人間の証明」「野性の証明」「時をかける少女」「復活の日」など 著者プロフィール なかがわゆうすけ/「クラシックジャーナル」編集長。1960年生まれ。クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲などの著書多数。本誌連載に大幅加筆した単行本「角川映画 1976-1986 日本を変えた10年」(KADOKAWA)が現在、好評発売中。ほか、「未完成」(角川SSC新書)、「歌舞伎 家と血と藝」(講談社現代新書)、「源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか『ドラえもん』の現実」(PHP新書)、「悪の出世学 ヒトラー、スターリン、毛沢東 」(幻冬舎新書)など
  • SMAPと平成
    3.0
    あれから僕たちは──2016年8月8日から14日、SMAPの解散発表、そして天皇陛下の生前退位のご意向発表という衝撃的な出来事が重なった。時代の転換点となったこの1週間から、SMAPの軌跡と平成という時代の総体に迫るメタ・ノンフィクション。
  • 世界の10大オーケストラ
    3.7
    1巻1,358円 (税込)
    長い歴史を誇るウィーン・フィルですら一八四二年の創立だから二百年に満たない。つまりベートーヴェン(一七七〇~一八二七)の時代には存在しなかったわけだ。かように近代になって誕生した「オーケストラ」は、きわめて政治的な存在であり、戦争や革命といった歴史的大事件に翻弄されやすい。「カラヤン」をキーワードに十の都市の十の楽団を選び、その歴史を、指揮者、経営者そして国家の視点で綴った、誰もが知る楽団の、知られざる物語。
  • 世界を動かした「偽書」の歴史
    3.5
    かくも人間は騙(だま)し、騙される。 フェイクニュース時代にメディアリテラシーを高めるための必須教養が「偽書(フェイク)の歴史」だ! 「ユダヤ人大量虐殺の根拠はなんと一冊の「偽書」にあった……」 本書では二十九の古今東西の「偽書」を挙げ、それがどのように世に出て、信じられ、「偽書」と暴かれたかを紹介する。 なかには、「偽書」と知らないで読んでいた本もあると思う。 この世界は奥が深く、「偽書」と断定できないものもけっこうあるのだ。(中略) 巷にたくさんあるフェイクニュースに騙されないためには、人類がいかに「偽書」に騙されてきたかを知る必要がある。 フェイクニュースの真贋を見抜く眼力を養うために本書を役立てていただきたい。 ――というのは本音だが、実はもうひとつの本音もある。 「偽書」は「読み物」として面白いのである。 もちろん、「偽書」と知ったうえでの話だが、多くの人が騙されるだけあって、実によくできている。 そういうわけで、不謹慎かもしれないが、本書は「面白い本」のガイドブックでもある。
  • 世襲 政治・企業・歌舞伎
    3.0
    日本の企業数は約三六七万社、そのうち九九%が中小企業で、規模が小さい「家業」ほど世襲率は高くなる。本来、実力ある者が後継すればいいだけなのに、システムとして不合理で無理筋、途絶や崩壊の可能性が高い「世襲」はなぜ多いのか。破綻を回避する術はあるのか。世襲が目立つ三業界――公職の私物化が進む政界、基幹インフラ産業の自動車・鉄道、藝は一代限りともいいながらほぼ世襲の歌舞伎界――を比較研究。このグローバルな時代にいつまで「家業」を続けられるか。実例でみる栄枯盛衰の世襲史。
  • 1968年
    3.3
    ちょうど50年前、1968年の日本は「昭和の青春」真っただ中。東大闘争、三億円事件、恋の季節、あしたのジョー、任侠映画……。世界の潮流に先駆けて、日本人の情念を大きく変えた「熱い1年」だ。特異な出来事と新世代のエネルギーの奔流を濃密に描く。
  • 戦争交響楽 音楽家たちの第二次世界大戦
    5.0
    ヒトラー政権誕生から終戦までに、著名音楽家たちはどう生きたのか。独裁体制から逃れるために亡命した人、独裁政権の宣伝塔となった人、戦場で戦った人、強制収容所で生死の境にいた人……。約50人の音楽家たちが直面した苦難と歓喜。
  • 玉三郎 勘三郎 海老蔵 平成歌舞伎三十年史
    3.3
    玉三郎、勘三郎、海老蔵を通して描く歌舞伎現代史。 昭和の名優たちの「神々の黄昏」として始まった平成歌舞伎。歌右衛門が選んだ後継者は玉三郎だった。その玉三郎が、次の阿古屋を発見するまでの物語と並走する、勘三郎の歌舞伎の可能性への奮闘と、その断ち切られた未来。そして、悲劇を乗り越えて團十郎へと向かう海老蔵。 歌舞伎座では舞台に一緒に立つ機会がごくわずかしかなかった三人を、本の上で共演させた、ここにしかない、平成歌舞伎。 【目次】  第一話 神々の黄昏 第二話 二人阿古屋──歌右衛門から玉三郎 第三話 勘九郎の国盗り物語 第四話 若き獅子たち──海老蔵と勘三郎 第五話 歌舞伎座さよなら公演の向こう側 第六話 澤瀉屋の「恩讐の彼方」 第七話 三つの悲劇
  • 第九 ベートーヴェン最大の交響曲の神話
    4.1
    クラシック音楽において「第九」といえば、ブルックナーでもマーラーでもなく“ベートーヴェンの”交響曲第九番のこと。日本の年末の風物詩であるこの曲は、欧米では神聖視され、ヒトラーの誕生祝賀、ベルリンの壁崩壊記念など、歴史的意義の深い日に演奏されてきた。また昨今は、メータ指揮のN響で東日本大震災の犠牲者追悼の演奏がなされた。ある時は祝祭、ある時は鎮魂――そんな曲は他にない。演奏時間は約70分と長く、混声合唱付きで、初演当時は人気のなかったこの異質で巨大な作品が「人類の遺産」となった謎を追う。
  • 大女優物語―オードリー、マリリン、リズ―
    3.3
    オードリー・ヘプバーン、マリリン・モンロー、エリザベス・テイラー。ハリウッドを代表する三人の大女優に、共演は一度もないが、その運命は思わぬ場面で絡み合っていた。オードリーより先に『ローマの休日』の王女役に名前が挙がったリズ、『ティファニーで朝食を』の主演を熱望していたマリリン――最も華やかな時代の映画界を舞台に、デビュー秘話からスキャンダルまで交えて描き出す、美貌と野望の物語。

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  • 手塚治虫とトキワ荘
    -
    東京都豊島区椎名町にあった木造二階建てのアパート、トキワ荘。1950年代、ここに住んだ手塚治虫の後を追うように、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが居住したことで、このアパートはマンガ史に残る「聖地」となった。戦後、日本のマンガ雑誌が、月刊誌から週刊誌へと変貌していく過程で、トキワ荘に集ったマンガ家たちがたどった運命、そして、今もトキワ荘が伝説となって語り継がれるのはなぜか。膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、日本マンガ史を解読する「群像評伝」!
  • 手塚治虫とトキワ荘
    4.4
    日本のマンガは、このアパートから生まれた。手塚治虫、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、石ノ森章太郎、赤塚不二夫……若き日の巨匠たちが集った聖地・トキワ荘。日本のマンガ出版史を描き切る決定版評伝。東京都豊島区椎名町にあった木造二階建てのアパート、トキワ荘。1950年代、ここに住んだ手塚治虫の後を追うように、藤子不二雄A、藤子・F・不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫らが居住したことで、このアパートはマンガ史に残る「聖地」となった。戦後、日本のマンガ雑誌が、月刊誌から週刊誌へと変貌していく過程で、トキワ荘に集ったマンガ家たちがたどった運命、そして、今もトキワ荘が伝説となって語り継がれるのはなぜか。膨大な資料をもとに、手塚治虫とトキワ荘グループの業績を再構築し、日本マンガ史を解読する「群像評伝」!
  • 読解!「ドラえもん」講座
    3.5
    国民的マンガ『ドラえもん』。この有名すぎるマンガの裏には、現代社会を予見したかのようなテーマが隠されている。 藤子・F・不二雄が描いた人間ドラマは、世の中の縮図だ! なぜ、「クラスでいちばんかわいい女の子」しずかちゃんは、凡庸なのび太の妻となるのか? なぜ、ジャイアンとスネ夫は、必ずタッグを組んでのび太をいじめるのか? なぜ、のび太は、いじめっ子と絶縁する道を選べないのか? なぜ、ドラえもんは、のび太を助けに学校には行けないのか? なぜ、『ドラえもん』世界の住人は、ドラえもんが歩いていても驚かないのか? 世代論、女性学、政治学、教育論、郊外論……。『ドラえもん』を多角的に読み解けば、現代社会が見えてくる。 もしドラえもんが大学のテキストになったら? 楽しく読める「ドラえもん」講座! ※『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか』(PHP新書)を加筆のうえで、文庫化。 ―――――――――――――――――――― 本書では、『ドラえもん』をいくつかの角度から論じていく。 『ドラえもん』が描くもの、とくに「ひみつ道具」については、現実世界には存在しないものであり、たとえ二十二世紀になっても実用化不可能と思われるものが多い。とくに、タイムマシン系、多元宇宙系、空間ワープ系のものがそうで、まさに、奇妙奇天烈・摩訶不思議、奇想天外・四捨五入なものだ。 ところが、『ドラえもん』で描かれる人間関係は、現実世界の縮図でもあり、デフォルメでもあり、さらには、何かを隠蔽することで主張しているとも思われる、奥の深い、とても出前迅速・落書無用なものではない。 本書は、『ドラえもん』のホンワカパッパな社会学的考察である。     (「はじめに」より) 【目次】 はじめに─現実社会の縮図としての『ドラえもん』 本書で論じる『ドラえもん』について 講座1 ドラえもん世代学 ─「ドラえもん世代」は存在するのか  『ドラえもん』は時代の象徴ではない?  時代の空気とは無縁の誕生  アニメ史における『オバケのQ太郎』の位置  『ドラえもん』までの紆余曲折  失敗続きのSF設定なのに  他 講座2 ドラえもん書誌学 ─「六つのドラえもん」作品研究序説  大全集でパラレルワールドの全貌が明らかに  いくつもの第一回と最終回が存在した  ドラえもんとセワシの登場順の微妙な違い  ドラえもんは六回、登場していた  なぜCIAはドラえもんを捕獲に来ないのか?  他 講座3 ドラえもん女性学 ─源静香と「紅一点」のフェミニズム批判  のび太は義経、ドラえもんは弁慶だった  紅一点の戦闘美少女・源静香  男から見て「女はよくわからない」の象徴  「かわいい女の子」以外の役割がない  フェミニズム批判は正しいか?  他 講座4 ドラえもん政治学 ─ジャイアンとスネ夫にみる日米関係  名前もまた様式である  民主主義の呪縛  国際政治学者が認めるジャイアン=アメリカ論  スネ夫・のび太同盟は必ず破綻する運命にある  日本政治におけるジャイアン的なるものとスネ夫的なるもの  他 講座5 ドラえもん教育学 ─のび太は日本最初のスクールカースト被害者なのか  見えないドラえもんから可視化されたドラえもんへ  のび太を助けに学校には行かないドラえもん  災厄の原因としての学校  「いじめ」そのものを笑いものにする  『ドラえもん』はいじめのルーツ?  他 講座6 ドラえもん郊外学 ─なぜ野比家は郊外に住んでいなければならないのか  のび太はどこに住んでいるのか?  無国籍でもある『ドラえもん』  練馬区における現実はマンガを模倣する  野比家は借家である  団地ではないが「団地化された郊外」  他 おわりに─『ドラえもん』とは何か あとがきに代えての感想文 おもな参考文献
  • 二十世紀の10大ピアニスト
    4.4
    〈名ピアニスト〉はいつの世もいる。しかし世紀を代表する〈巨匠〉は稀である。天才的な技巧や感性、音楽的業績だけでは計れない〈巨匠〉という存在、それは戦争で世界が混乱する二十世紀、同時多発的に開花した。当時、作曲家としてよりピアニストとして名高かったラフマニノフ、神技のホロヴィッツ、情感溢れるルービンシュタイン……他、計10人の大ピアニストが運命的に出会い、からみ合い、それぞれの人生と音楽を変えてゆく――。歴史の流れと共に消えた最後の巨匠たちの物語。
  • 萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命
    3.8
    一九七〇年。学生運動が終焉へと向かうなか、少女マンガの変革を目指した女性たちが東京練馬区の二軒長屋にいた。中心は萩尾望都と竹宮惠子。後に「大泉サロン」と呼ばれ、マンガ家のタマゴたちが集ったこの場所で、二人は互いに刺激を受け合い、これまでタブーとされた少年愛やSFといった分野で先鋭的な作品を次々生み出し、少女に熱く支持される。だがその軌跡は決して平坦ではなかった――。『ポーの一族』『風と木の詩』等、名作誕生のプロセスを追いながら、二人の苦悩と友情、瓦解のドラマを描く意欲作。
  • 阪神タイガース 1985-2003
    4.0
    バース・掛布・岡田・真弓で空前のブームを巻き起こし、日本一に輝いた1985年。だがその後の道は多難だった。「ダメ虎」の強烈な印象を残した1980年代末の暗黒期、終盤までヤクルトとの死闘を演じた1992年の一瞬の輝きを経て、再び長い90年代後半暗黒時代へ。そして野村監督時代という夜明け前を経て、突然やってきた2003年の星野阪神の栄光。とかく印象論で語られがちな人気チームの歴史を、記録と報道された事実をベースにして再構成する。ファン必携の「正史」。
  • 阪神タイガース 1965-1978
    値引きあり
    4.0
    タイガース「苦難の時代」を文献資料に基づいて再現する。しかし「記録集」にはしない。あくまで「物語」として主人公を置き、彼らを中心にして記述しよう。その主人公とは村山実、江夏豊、田淵幸一の三人だ――。 序章 「二人のエース」と二度の優勝 1959-1964 第一部 「伊予タヌキ」の知略 1965-1968  第一章 平和台の雨に泣く――1965年  第二章 奪三振記録での村山と長嶋――1966年  第三章 村山の苦闘、江夏の快投――1967年  第四章 江夏の江夏による江夏のための年――1968年 第二部 燃えつきた「炎のエース」 1969-1973  第五章 「クマさん」後藤の悲喜劇――1969年  第六章 苦悩の兼任監督――1970年  第七章 伝説の九連続三振――1971年  第八章 二人の監督――1972年 第三部 追放された「黄金バッテリー」 1973-1978  第九章 あと一勝に泣く――1973年  第一〇章 冷戦――1974年  第一一章 黄金バッテリーの終わり――1975年  第一二章 孤立する田淵――1976年  第一三章 崩壊する吉田体制――1977年  第一四章 どん底――1978年 終章 優勝までの七年
  • 坂東玉三郎 歌舞伎座立女形への道
    3.3
    不世出の女形、六代目歌右衛門が劇界に君臨する一九七〇年代、類希な美を煌めかせ、五代目玉三郎は現れた。三島由紀夫らに見出された彼は、目映い美貌とその才能で、大衆から熱狂的な支持を得る。一方、女帝・歌右衛門をなお「至高」と讃える劇評家たちは、玉三郎を酷評し、女帝も彼を拒絶し続けた。かつて伝統と秩序の中で疎んじられた玉三郎は、いま立女形として劇界の頂点にいる。これは未曾有の奇跡なのだ。彼はいかにして歌舞伎座のトップに上りつめたか――。葛藤と相克の四十年。
  • ヒトラー対スターリン 悪の最終決戦
    -
    生涯会うことがなかった二人は同じ思考ができた 史上最悪の独裁者たるヒトラーとスターリンは、国内政局を人望と政策論ではなく、権謀術数と容赦なき粛清で闘い抜き、独裁体制を確立した。だが、その手法は国際政治でも通用するのか? 二人の悪魔が手を結んだ独ソ不可侵条約からわずか2年後の1941年6月22日、ドイツ軍はソ連を奇襲し、首都モスクワに迫る! ヒトラーの裏切りに、スターリンはどう報復するのか? 冷酷さと残忍さにかけて他の追随を許さない二人の独裁者の心理を分析しながら、両国合わせて兵士だけで1600万人、民間人を含めると最大で4000万人が犠牲となった、悪の最終決戦ともいうべき史上最大の戦争――独ソ戦――を描く、歴史読み物。
  • 文化復興 1945年 娯楽から始まる戦後史
    5.0
    8月の敗戦直後、焦土の中から文化、芸能はどう再起したか? 75年前の苦闘をコロナ後のヒントに ! 大みそかの「紅白音楽試合」までの139日間、長谷川一夫、黒澤明、美空ひばり、手塚治虫ら多数の著名人の奮闘を描き切る。胸をうつ群像劇!
  • ブームはどう始まりどう終わるのか
    3.5
    1巻616円 (税込)
    健康、アイドル、レトロ…さまざまなモノが意外なきっかけでブームになる。何がいつブームになるかは、誰にもわからないが、ブームはいつかは終わる。ブームはどのように頂点を迎え、何がきっかけとなって退潮し、終焉していくのか。クラシックカメラブームのなかに身をおき、成功と挫折を味わった著者が自身の経験をふまえ、考察する。

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  • プロ野球「経営」全史 球団オーナー55社の興亡
    4.2
    1巻1,980円 (税込)
    長嶋も江夏も、イチローも大谷も登場しない、オーナー企業の視点から描く日本プロ野球「経営」全史! 1936年から歩みを始める日本プロ野球の歴史は85年。その間、球団オーナーとなった会社(個人も含む)は55社にものぼります。草創期の鉄道、新聞から、戦後の映画、食品、流通小売、そして21世紀に入ってからのITベンチャーまでの流れは、日本経済の構造変化と産業交代の姿そのものです。 草創期から変わらぬ球団がある一方で、1年に満たずに撤退したオーナー企業もあり、日本の会社の栄枯盛衰を描いた経営・ビジネス書として読みごたえがあります。 もちろん、本書はプロ野球本ですから、各球団オーナーの動向を時間軸に沿って追いながら、チームの年度別の観客動員数や順位、さらには世間を揺るがせた事件(「空白の一日」など)にも触れます。 「膨大な資料の中から埋もれていた史実を掘り起こし、歴史に新しい光を当てる」という執筆スタイルで評価の高い著者。本書では「経営」という切り口でプロ野球史を丸ごと取り上げた超意欲作です。
  • 松田聖子と中森明菜
    3.5
    アイドルを自覚して演じ、虚構の世界を謳歌する松田聖子。生身の人間として、唯一無二のアーティストとしてすべてをさらす中森明菜。相反する思想と戦略をもった二人の歌姫は、八〇年代消費社会で圧倒的な支持を得た。商業主義をシビアに貫くレコード会社や芸能プロ、辛気臭い日本歌謡界の転覆を謀る作詞家や作曲家……背後で蠢く野望と欲望をかいくぐり、二人はいかに生き延びたのか? 歌番組の全盛時代を駆け抜けたアイドル歌手の、闘争と革命のドラマ。
  • 松田聖子と中森明菜[増補版]
    3.5
    アイドルを自覚して演じた松田聖子と、唯一無二のアーティスト・中森明菜。二人は相反する思想と戦略で、80年代消費社会を代表するアイドルとなった。商業主義をシビアに貫くレコード会社や芸能プロの思惑が蠢く芸能界で、彼女たちはいかにして生き延びたのか? 彼女たちの個性に触発されて当時最前線にあった作詞家・作曲家たちが生み出した作品たちを論じ、歌番組全盛時代を駆け抜けた二人の歌姫のドラマを描く。2007年に出版された幻冬舎新書「松田聖子と中森明菜」に、1985年以降を大幅加筆した増補版。
  • 未完成 大作曲家たちの「謎」を読み解く
    4.5
    未完成の曲には、未完に終わった理由と経緯が秘められている。たとえば、作曲家が亡くなったために未完成となった曲でも、実際は完成させる時間があったのに何年も放置されていた曲がある。ではなぜ、放置されていたのか? 本書ではこうした「未完成の事情」を6つの作品について探っていく。あまりにも有名なシューベルトの《未完成交響曲》と、それに続くブルックナー、マーラーの最後の交響曲、存在すら知られていなかったショスタコーヴィチのオペラ《オランゴ》、プッチーニが力尽きた《トゥーランドット》、そしてモーツァルトが遺したレクイエム。なぜ未完なのか? なぜ未完なのに名曲として演奏されるのか? 音楽に秘められた人間ドラマを知ることで、名曲のイメージが覆される!
  • 源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか 『ドラえもん』の現実
    3.7
    1970年に登場して以来、いまや日本人に生まれて知らない人はいない(?)、いやいや、世界的にもファンが多い、わが国の国民的マンガ『ドラえもん』。あまりにも有名で、まるで空気のような存在のためなのか、はたまた子ども向けマンガと軽く見られたからなのか、正面きって論じられることはこれまで少なかった。しかしその作風は、たんなる生活ギャグマンガにあらず。『鉄腕アトム』直系のSFロボットアニメであり、『新世紀エヴァンゲリオン』の先を行く「セカイ系」でもあり、『けいおん!』に代表される「日常系・空気系」の元祖ともいえる、マンガ・アニメ史のパイオニアなのである。しかも『サザエさん』同様、主人公が成長しない「ループ物語」でありながら、調べていくと、なんと村上春樹氏もビックリのパラレルワールドだったのだ……。そして何より、政権交代、フェミニズム、スクールカースト、世代論、郊外論、戦闘美少女と、戦後からいまにいたる日本社会の推移をまるで予見でもしているかのような、社会学者が舌なめずりして飛びついてもおかしくないほど格好の研究対象なのである。『ドラえもん』を読めば日本社会のふしぎがわかる!ドラえもんワールドが好きで好きでたまらない人も、そうではない人も、じつは深すぎる『ドラえもん』の世界観にふれてみよう。

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  • 山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと
    3.3
    無数のアイドルが生まれては消えゆくなか、なぜ私たちは、彼女だけは忘れられないのか――。芸能界デビューから40年。膨大な文献と資料から、本人と関係者の発言を徹底収集。「伝統」と「革命」を同時に達成した、歌謡史上の奇跡「山口百恵」とその時代を活写した画期的評伝!

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  • 冷戦とクラシック 音楽家たちの知られざる闘い
    4.3
    かつて世界は二つに分断されていた。核戦争の危機も迫っていた。そのとき音楽家たちは──。 「クラシック後進国」のアメリカから世界を魅了したバーンスタイン、ソ連にあって当局にも屈しないムラヴィンスキー、そして「壁」のあるベルリンに君臨した帝王カラヤン……。冷戦とともに歩み、冷戦の終結とともにこの世を去った音楽家たちの姿から、戦後クラシック界の興亡を描き出す。
  • ロマン派の音楽家たち ──恋と友情と革命の青春譜
    -
    メンデルスゾーン(一八〇九年)、ショパン(一八一〇年)、シューマン(一八一〇年)、リスト(一八一一年)、ワーグナー(一八一三年)。国は別々だが、一八一〇年前後に生まれた彼らは、友人として緩やかなサークルをつくり刺激しあいながら、“新しい音楽”を創作した。溢れる才能と情熱を生み出したそのネットワークとはどのようなものだったか。恋愛や交流、時代の波は、大作曲家たちの作品にどのような影響を与えたか。同時代を生きた巨人たちの人生から、十九世紀に花開いたロマン派音楽の深奥に迫る!

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