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Posted by ブクログ
実録!という感じで、筆者の感情的なものを抑えた文体で、淡々と端的でとても読みやすい。くどくない程度に、流れを反復して説明を重ねてあるのも親切。だが!!なかなかの登場人物数。そして特に1部・2部あたりは映画会社がくっついたり離れたり、相当複雑な動きをするので、完全に理解したかと言えばそうでもない。けれど、章ごとの展開を追うだけでも十分ドラマティックで楽しめる。歌舞伎に始まる同族経営の松竹と、近代的経営の東宝、泥っぽい東映、菊池寛など文芸人を重役に置く大映…と、各社の個性もよくわかる。3部・4部は、「日本人が最も多く映画館へ行った年ー1958年」など1年ごとにまとめられていき、崩壊へのカウントダウンに手に汗握る。そもそも興業的で山師的だった映画界。水の江瀧子と女優さん以外、女性がまったく出てこないギラギラした男社会。キーになる五社協定のことは知ってはいたが、それにより不遇な扱いを受けた俳優さんや作品のあまりの多さ、あまりの理不尽さに驚く。これまで表から見ていた作品が、こんな綱渡りで作られていたのか!交換条件で出演していたんだ!と、知らなかった事情も浮き彫りになって、見方が変わってくる。三船、勝、石原ら独立プロのスターたちの純粋さ、無知さ、映画愛にも胸が痛む。最後に、市川雷蔵ファンとしては、352ページの眠狂四郎が誤字で狂死郎となっていることを申告。
Posted by ブクログ
祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
「平家物語」
巻末に添えられた平家物語の一文のように、映画業界が大きく隆起し魑魅魍魎の人間模様あり友情ありを経て凪となり消えゆく様が非常に面白かった。残った3社も様変わりしていることだろう。今の映画業界にも少なからず映画さながらのドラマもあるのだろうが、この時代ほどではないと思われる。
裏切り者とされたが最後、業界締め出しの嫌がらせの憂き目にあう俳優、業界人の話しには辟易したが、それは今もあるんだろうと想像する。
541P、読み応えあり。
Posted by ブクログ
新作「コナン」が興行収入100億成し遂げる勢いに対して、公開一ヶ月経った「シン・仮面ライダー」ただいま20億行くか行かないか…それが続編(「仮面の世界」?)のありやなしやの運命を決める、と言われています。さて、東映はまた庵野秀明にオファーするのか、どうか?ここ数日で命運決まるような気がしてドキドキしています。本書を読んでいて庵野秀明は21世紀の黒澤明か?と思ったりしました。そこそこ利益上げても大ヒットじゃないと面倒臭がられる…映画は監督のものではなく、その監督に作らせる会社のもの。その会社の最高権力者「社長」にフォーカスした映画産業興亡史です。まったく新しい視点の本ですが、ものすごく既読感あるのは、著者の前著『プロ野球「経営」全史』の手法の横展開であり、野球ビジネスと映画ビジネスで登場人物も被っているからでしょうか。取材無しで、既存の資料だけで見えているようで見えていなかった歴史を浮かび上がらせる、まったくすごい方法論を築き上げたものです。中川右介の前では出版、野球、歌謡曲、映画、アニメ、すべてが繋がっていきます。MCUならぬNBU(中川書籍ユニバース?)なんちゃって。でも…彼の本がどうしても気になってしまうのは手口によるものではなくて、なぜそのジャンルを取り上げたか?という彼のモチベーションに共鳴しているから、なのではないかと思っています。深いところで影響を受けてしまった(特に10代に…)出発点が同世代として、かなり被っている気がします。ということで『ほにゃらら「経営」全史』シリーズ、地上波テレビ局に向かうのでは、ないか、と密かに予想しています。今回、そのプロローグめいた要素も満載ですし。
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