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歌舞伎座という「異界」はいかに誕生したか。黒船襲来から民権運動、歌舞伎界に押し寄せる近代化の波。江戸最後の大スター・3代目澤村田之助、團・菊・左、興行師と旦那衆、伊藤博文ら維新の元勲――。文明開化期の劇壇で織りなされた人間模様の実録。
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Posted by ブクログ
面白かった、けど読むのに時間かかった・・・。なんででしょうね、中川右介さんの本は、内容にはすごく興味あるし、実際面白いんだけど、なかなか頭に入らなくて同じ行何度も読んだりしている。 まあそれはともかくとして。以下、印象に残ったことメモ。 *徳川時代には役者は「河原乞食」と蔑まれ、幕府の弾圧の対象で...続きを読むあった歌舞伎が、明治維新を経て文明開化の名の元に、いろいろあって、日本の誇る高尚な伝統芸能という存在になったという、ダイナミズム。 *徳川時代に、下賤な「芝居」なんか見たこともなく育った明治のエリートたちが、欧州視察にて、国賓として観劇でもてなされることに驚く。西洋では上流社会の社交の場として劇場が存在するようだが、それにひきかえ日本の芝居って、そうとうレベル低いんじゃないか、と。特に脚本が、荒唐無稽でちゃんちゃらおかしいぞ、と。ここから、トップダウンの「演劇改良運動」が始まる。演劇界からの内発的要素はなし(でも九代目團十郎は高尚趣味なので、個人的方針とは合致していた)。 *守田勘彌の存在感。とにかく勘彌がいないと劇界はどうにもならない、というくらい。今でいう億単位の借金を個人で抱え込んで、奔走。明治政府要人に接近していたのも勘彌だし、この人のはたらきがなかったら、歌舞伎は存続していなかったかもしれないね!(こんな本読んだわりにあまりにざっくりなまとめで我ながらひどい。) *松竹兄弟の革新性。松竹が歌舞伎界を掌握するまで、はこの本の範疇ではなかったけど。歌舞伎興行にたかって利益をむさぼる、ヤクザ的な存在=前近代的な悪習を断ち切るという理念のもと、それらの既得権益?者たちからの嫌がらせや妨害を受けながら果敢に改革に取り組んだ、ということだった。 *川上音二郎って、バイタリティあふれる面白い人だなあと思った。政界や團十郎や勘彌が理念倒れで終わってしまった「近代的でリアルな、日本の新しい演劇」の創出を、ゼロから(だからこそ)なしえてしまった。 *「歌舞伎座」誕生のとき。この名称自体が画期的だった。それまでは「芝居」と読んでいたし、かぶきの表記もまちまちだった。あとがきでは、歌舞伎座という劇場名として「歌舞伎」という華やかな名称があったことも、歌舞伎がすたれなかったことのささやかな一因かも、というようなことが書かれていた。この歌舞伎座を設立した福地桜痴は、旧来の芝居(=歌舞伎)否定派だったのだから、おもしろい。
1889年落成の「歌舞伎座」を軸に、幕末・明治期の歌舞伎の歴史をテーマとしているが、本書がユニークなのは、役者の演技論や作家の文学論には深入りせずに、もっぱら興行システムの変遷を、金主・座元・役者間の「カネ」と「コネ」の入り組んだ生々しい人間関係に重きを置いて明らかにしていることだろう。いわゆる「...続きを読む団菊左」時代だが、本書の最大のキーパーソンは団十郎でも菊五郎でもなく、江戸三座の1つ「守田座」(維新後は「新富座」)の座元で、後に歌舞伎座にも関係する12世守田勘彌である。江戸の芝居小屋から近代の劇場へ変化する過程を、この稀代の興行師の盛衰に焦点を合わせることで、その「近代化」の意義と近世人ならではの限界が見えるようになっている。江戸の興行体制と無縁の世界から現れる松竹の「最終制覇」という「結末」(本書ではエピローグで簡単に言及される)を知っている現代人からすると、まさに「過渡期」であったことが痛感させられた。
サブタイトルにある”稀代の興行師たち”とは幕府官許の江戸三座森田座の座元守田勘彌、歌舞伎座建設の中心人物となる福地櫻痴、金貸しで興行の金主となる千葉勝五郎、田村成義らを指すが、本書の主要人物と言えばもっぱら守田勘彌である。 本来は福地櫻痴こそが本書の主人公となる筈だが、そのあまりに波瀾万丈な生涯を前...続きを読むにすると他の奇人たちが霞んで見えてしまう。 書名から歌舞伎座誕生の経緯を描いたノンフィクションを想像するが、安政七年(1860)悲劇の立女形澤村田之助のデビューから明治36年九代目市川團十郎の死までの長いスパンを描く渾身のノンフィクション。 金と欲、プライドの激突、義理と人情が渦巻く当時の劇界。 そしてあまりに多い火事による劇場の焼失。 歌舞伎座建設の立役者となる福地櫻痴について描くために前半部分は当時の政界の抗争がまた丁寧に描かれ、政治部分だけとっても読み物として十分手応えがある。 本書タイトルが損をしているようにも思えるが、やはりこれしかないようにも思える。
明治維新と、それにともなって歌舞伎役者と歌舞伎そのもののステータスが上がっていく様子が、とても興味深く読めた。芝居の歴史を興行の面から描いた名著だと思う。
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歌舞伎座誕生 團十郎と菊五郎と稀代の大興行師たち
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中川右介
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